【経理のキャリアプラン・キャリアパス完全ガイド】面接で使える例文や落とし穴など

「経理としてどのようなキャリアプランを描くべきか」と悩む方は少なくありません。
昨今、会計基準の国際化や単純業務のAI化が進む中で、経理のキャリアの選択肢はますます広がっています。
この記事では、経理の王道キャリアプランに加え、AI時代を見据えたキャリアの可能性について詳しくご紹介します。
経理の代表的な4つのキャリアプラン
経理のキャリアは、多様な可能性を秘めています。
ここでは、経理職が目指せる4つの代表的なキャリアプランをご紹介します。
経営に携わる上位職を目指す
経理職から経営企画や役員を目指すキャリアです。
経理業務は経営判断に直結する数字を扱うため、「企業の経営状態を分析し、戦略を立てる力」が求められます。
このスキルを磨けば、経営層を直接サポートする重要な役割を担うことができるでしょう。
中小企業から大企業の経理へ転職する
経理業務の内容は、企業規模や成長ステージによって異なります。
中小企業で実務経験を積みながらスキルを磨き、大企業へ転職するキャリアは、多様な業務を経験できる点で魅力的です。
このキャリアを通じて、経理のスペシャリストとしての幅を広げることができます。
資格を取得し独立開業する
税理士や公認会計士といった資格を取得し、独立を目指す選択肢もあります。
独立開業には難関資格の取得だけでなく、営業力や人脈づくりも必要ですが、成功すれば自分のペースで働きながら専門性を活かすキャリアを築けます。
外資系企業に転職
もしも、国際的なキャリアを目指すなら、外資系企業への転職がおすすめです。
米国公認会計士(USCPA)などの資格を取得することで、外資系企業のFP&A部門などで活躍するチャンスが広がります。
FP&A部門での経験は、CFO(最高財務責任者)への道を切り開くステップにもつながります。

キャリアアドバイザー長谷川 栞
経理のキャリアプランは、どれが「正解」というものではありません。
大切なのは、自分の価値観やライフスタイル、今後身に付けたいスキルと合っているかです。
たとえば「経営層を目指したい方」は、大企業で高度な経理業務やマネジメント経験を積むのが近道ですし、「自由な働き方を重視したい方」なら、資格を取得して独立する道もあります。
自分の今の立ち位置と、どんな働き方・スキルを望んでいるのかを整理することで、最適なプランが見えてきます。
迷ったときは、一人で考え込まずに転職のプロのサポートを受けて棚卸ししましょう。
企業規模に応じた経理のキャリアパス
経理職のキャリアパスは、勤務先の企業規模によって大きく異なります。
ここでは、「大手上場企業」「中小企業」「ベンチャー企業」の経理部門で描けるキャリアパスをご紹介します。
大手上場企業
大手上場企業の経理職の場合、自社で昇進を目指すのが一般的なキャリアパスです。
企業によって役職名は異なってもきますが、一般スタッフから主任、課長、部長へと段階を踏んで昇進していき、最終的にCFO(最高財務責任者)を目指します。
ただし、大手上場企業の経理はスタッフ数が多く、配属された誰もが自動的にCFOまで昇進できるわけではありません。
昇進過程において同年代のスタッフとの競争があり、企業によっては能力・実績を理由として、年下・後輩が先に昇進する可能性もあります。
順調に出世していくには、自身の努力と実行力が必要です。
中小企業
中小企業は大企業とは異なり、バックヤードのスタッフは複数の業務を兼任していることが多く、経理に加えて人事、総務、労務などの仕事に携わるケースが多く見られます。
そのため経理の専門職に特化するというより、バックヤード部門を横断的に経験し、マルチな経験・実績を積むことができます。
経理だけでなく、その他の業務についても幅広く経験・実績を積んでいきたい方にとっては、中小企業での勤務はおすすめのキャリアパスです。
一方、あくまで経理のスペシャリストとしてキャリアアップを図りたい、将来的に簿記・税理士の資格取得を視野に入れて経理職として活躍していきたいと考えている方にとっては、中小企業は必ずしも適した勤務先とはいえない部分があります。
ベンチャー企業
ベンチャー企業は事業が成功すれば急速に成長していき、状況次第では上場準備(IPO)など刺激的で貴重な経験を積めます。
企業成長の過程、あるいは上場準備の過程で身に付けた経験・実績は、同じくこれから成長・上場を目指している企業において高く評価されます。
自分なりの実務経験・能力・実績を積んでいき、自身の市場価値を高めながら転職を重ねていきたいと考えているなら、ベンチャー企業でキャリアアップを図るのが近道といえるでしょう。
キャリアプランを考える際の落とし穴
経理としてキャリアプランを描く際には、いくつか注意すべきポイントがあります。
全て予定通りにいくとは考えない
キャリアプランを考える際、「理想と現実を踏まえること」が大切です。
理想が高すぎると、現実との差が大きくなってしまい、その差を埋める方法も思いつかず、絵に描いた餅となってしまいます。
計画倒れになることが目に見えているキャリアプランを考えても、自身のモチベーションを高めることはできません。
現実に即したキャリアプランを考えにくい場合は、身近にいる上司や先輩をロールモデルとして設定し、その人がどのようにしてキャリアを積んでいるのかを参考にしてみるとよいでしょう。
経理はスペシャリストかゼネラリストかでキャリアが大きく異なる
経理のキャリアプランは大きく分けて、スペシャリストとゼネラリストの2パターンがあります。
経理のスペシャリストとは、「財務分析」や「税務」「会計処理」など、特定の業務に特化した専門的な能力と実績を積んでいくことです。
一方、経理のゼネラリストは特定の業務に限定せず、幅広く知識や技能を身に付け、実績を積んでいくことです。
スペシャリストとゼネラリストは、一方が他方に比べて望ましい・優れているというわけではありません。
重要なのは「自分がどちらに向いているか」という点です。
スペシャリストとゼネラリストのどちらを目指すかによって、取得すべき資格も変わってくるため、若いうちにどちらを目指すかを決めておくとよいでしょう。
経理からのキャリアチェンジも視野に入れる
経理の業務には、性格や適性が大きく関わります。
ルーティン業務が多く、かといっていい加減な業務は許されず、わずかなミスが経営判断のミスにもつながる恐れがあります。
また、関連する法律の改正も多いため、絶えず制度改正に対するアンテナを張っておく必要があります。
こうした経理業務に取り組む中で、自分に向いていないと感じた場合は、早い段階でキャリアチェンジを検討しましょう。
経理で得た経験は、経営企画や営業などの他部署でも役立ちます。
とくに「コスト・財務状況を踏まえて物事を考えられる能力」は他部門でも重宝され、自分の強みとなるでしょう。
キャリアのプロに力を借りる
キャリアについて迷ったときは、転職エージェントに相談するのも一つの手です。
転職市場の最新情報を把握しているエージェントは、あなたの市場価値を高めるキャリアプランや、具体的なステップを提案してくれます。
また、あなたの目指すキャリアの実現に向けた具体的なアドバイスも得られるため、一人で悩むより効率的です。

キャリアアドバイザー長谷川 栞
経理の方から多くいただくご相談の一つに、「このまま今の会社で働き続けていいのか分からない」という不安があります。
転職を検討する際は、自分の市場価値や次のステップを明確化することが重要です。
自力の自己分析だけで明確化ができない場合は、第三者の視点を借りること、結果的に一番納得できるキャリア選択につながることもあります。
面接で使える経理のキャリアプラン例文
転職活動の面接では、自分のキャリアプランを具体的に説明することが求められます。
以下に、代表的なキャリアプランの例を2つご紹介します。
経営に関われるトップ層を目指す
過去5年間、中小企業にて経理担当として幅広い業務を経験し、経理の基礎を学びました。
そこで得た経験・スキルは貴重だと考えていますが、自分の実力をさらに向上させ、より広い視野をもてるキャリアを積みたいと考えています。
現在考えているキャリアプランとしては、まずは御社のような大手企業の経理部門にて高度な財務分析を経験し、これまで得られなかった領域・業務の実績を上げたく希望しています。
その上で、数年以内には部門リーダーやマネージャーとしての役割を担えるようになり、「長」としての経験を積みたいと思っています。
また長期的には、経理のみならず他の部門との連携、企業全体の視点からの意思決定に関わる管理職を目指したく考えております。
経理の知識は、財務状況の正確な把握および最適な経営判断の基盤となるものであり、その知識・実績をもつ管理職として役割を果たしていきたいです。
経理のスペシャリストを目指す
全職での2年間の経理経験により、経理の基礎を学習できました。
現在はさらなる専門能力を身に付けるため、公認会計士の資格取得を目指して学習を続けています。
将来的なキャリアプランとしましては、公認会計士の資格を取得後、資格を活かして企業の経理部門でスペシャリストとして実績を積んでいくことを希望しています。
御社での業務経験は、企業の財務状況を把握し、経理の業務プロセスをより深く理解する上で非常に価値があると考えています。
そして40歳頃を目途として独立し、独立後は中小企業を中心に会計・財務のコンサルティング業務に取り組みたく思っております。
これまでの知識・経験を活かし、地域経済を支える企業の成長をサポートしていきたいです。

キャリアアドバイザー長谷川 栞
面接では、「どんな経験を積み、将来どうなりたいか」を一貫性のあるストーリーで伝えることが大切です。
たとえば「30代でマネジメントを経験し、40代で経営層を目指す」といった中長期のビジョンを持ちつつ、今の転職でなぜこの会社・この職種なのかを具体的に語ると説得力が増します。
また、希望だけでなく「なぜそのプランを選んだのか」「現時点で足りない経験は何か」まで説明できると、論理的思考力や主体性もアピールできます。
不安がある方は、エージェントにキャリアプランのストーリーを見てもらい、ブラッシュアップするのがおすすめです。
経理の求人例
まずは、「MS Agent」で取り扱っている経理求人例をご紹介します。
「MS Agent」は管理部門・士業専門転職エージェントであり、業界最大級の求人数を誇ります。
非公開求人も数多く取り扱っているため、求人紹介を希望される方はぜひ会員登録をしてみてください。
経理メンバー/東証プライム上場/国内最大手、世界トップクラスの実績を誇るメーカー
仕事内容 |
下記の業務を、ご経験・適正を考慮した上でお任せします。 ・本社単独決算全般(子会社シェアードサービス含む)、各種開示、税務申告業務 ・経理関係のPJT業務(新しい会計基準導入、新規取得会社のPMI、会計関連システム導入等) ・国内海外の拠点サポート(経理指導、新規事業の会計方針策定、業務フローの企画等) ※海外担当は、英語でのメールのやり取り、オンライン打ち合わせが発生します。 ・売上・原価管理 ・固定資産管理 ・監査対応 |
必要な経験・能力 |
※下記いずれか必須 ・上場企業で経理財務領域のご経験3年程度以上 ・会計士資格をお持ちの方(監査法人経験のみの方も歓迎) |
想定年収 |
620万円 ~ 770万円 |
IPO準備中/経理部長/映像・出版を始めとするエンタテイメント企業/フレックス・リモートあり
仕事内容 |
<経理部門業務> ・連結、単体決算業務(月次、年次) ・子会社を含めた資金管理業務 ・監査法人対応、税務調査対応 ・税務関連の法改正対応 <お任せしたい業務詳細 (雇い入れ直後)> ・IPO準備に向けた準備、決算早期化、内部統制対応 ・決算の早期化 ・連結、単体決算業務(月次、年次)のチェック、指導 ・経理スタッフのマネジメント ・20社ある連結会社の会計処理の統一を推進 |
必要な経験・能力 |
・IPO準備責任者や、上場会社で経理マネジメント経験者としての実務経験をお持ちの方 |
想定年収 |
1,000万円 ~ 1,300万円 |
時価総額4兆円超のグローバル企業にて経理の募集/リモート・フレックス活用可能/働きやすさ◎
仕事内容 |
・IFRSによるリクルートホールディングス単体・連結決算業務 ・日本基準によるリクルートホールディングス単体決算・税務業務 ・有報・短信・任意開示資料作成 ・各SBUにおける会計カバナンスの構築 ・グローバル含むリクルートグループ全体のアカウンティング組織の連携強化 ・経営層へのマネジメントレポーティング ・新規事業における会計論点設計 ・組織再編や国内外のM&Aにおける会計面でのプランニングおよびリスク提示 |
必要な経験・能力 |
英語のビジネス活用経験(読み書き)
+
下記いずれか必須 ・事業会社にてIFRSでの連結・単体決算経験3年以上 ・公認会計士もしくはUSCPA資格をお持ちで、会計監査経験3年以上 |
想定年収 |
704万円 ~ 1,029万円 |
経理に求められるスキル
経理に求められるスキルを、経験者と未経験者のそれぞれで見てみましょう。
経理経験者に求められるスキル
経験者に求められるスキルは、経理の実務を通じて身に付けていく業務スキルそのものです。
経理の業務スキルは、日々の伝票処理・会計ソフト入力や支払い・入金の確認などにはじまり、月次や年次での決算関係書類作成、年末調整、上場企業であれば有価証券報告書作成など、経験年数に応じて高度になります。
また、これからの経理では、AIやRPAなどを使いこなせるITリテラシーも必要とされるでしょう。
経理未経験者に求められるスキル
未経験者の場合には、まずワードやエクセルなど経理業務に必須となるパソコンスキルを身に付けるのがよいでしょう。
また、他部署とやり取りする機会が多い経理職は、コミュニケーションスキルも重要です。
資格については、一般に経理職なら、簿記の2級以上が必要とされています。
ただし、未経験から経理を目指す場合には、自分に経理の適性があるかを判断するため、まずは3級を受検してみるのもよいでしょう。
経理を目指す上で有利な資格
経理を目指す上で有利な資格を見ていきましょう。
簿記
経理を目指す上で欠かせないのは、経理の基本知識となる簿記の資格です。
日本商工会議所が主催する「日商簿記検定」は3級~1級まであり、簿記2級以上を応募資格とする経理の求人も多くあります。
未経験で経理を目指すなら、できれば2級、最低でも3級を取得したほうがよいでしょう。
転職で有利になる上に、勉強した内容は実務に直接役立ちます。
FASS
FASS検定は、経済産業省の発案により開発された検定試験です。
簿記の知識のみを評価する簿記検定とは異なり、経理としての実務能力を測定できるのが特長です。
結果は合否ではなく、レベルA~からレベルEの5段階で評価され、何度も受検してレベルアップしていく人も多くいます。 取得することにより、未経験でも経理実務についての知識をもつことが証明できます。
USCPA
外資系企業などでグローバルに活躍したいなら、USCPA(米国公認会計士)の取得がおすすめです。
試験は英語で行われるため、英文での経理スキルを証明できるからです。
日本の公認会計士試験より会計知識としての難易度は低く、合格しやすいといわれています。

キャリアアドバイザー長谷川 栞
転職エージェントは、すぐに転職を考えていない方のご相談も可能です。
「将来のために、今どんなスキルを磨いておくべきか」「目指しているキャリアの実現に対して、不足しているスキル・経験は何か」といった相談も歓迎しています。
今すぐの転職ではなく、“いつか転職するための準備”として相談しておくことで、選択肢を広げることができます。
まとめ
経理職のキャリアプランは、目的や目指す方向性によって多様な選択肢があります。
経営層を目指す道、スペシャリストとして専門性を深める道、あるいは他部門や独立へのキャリアチェンジなど、それぞれの道には異なる魅力と挑戦が伴います。
しかし、転職市場の動向や業界の将来性といった情報を個人で正確に把握するのは難しい場合もあります。
そのため、経理に特化した転職エージェントに相談することは、キャリアプランを具体的かつ現実的に描くための有効な手段です。
エージェントは、あなたの経験やスキルに基づいて適切なアドバイスを提供し、転職市場の最新情報を活用して最適なキャリアを提案してくれます。
また、キャリアプランは一度立てたら終わりではなく、「変化する状況に合わせて柔軟に見直すこと」が大切です。
転職エージェントを活用し、今後のキャリアをより良いものにするための第一歩を踏み出してみましょう。


この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、化粧品会社へ入社し美容部員として店舗販売業務に従事。
その後キャリアアドバイザーとしてMS-Japanに入社し、
主に経理財務や会計事務所などの会計転職希望の方を中心に担当。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 税理士科目合格 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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