経理のやりがいは?経理社員に聞いた魅力や転職のポイントなど
経理へのキャリアを考えている方にとって、経理で味わえるやりがいは気になる要素です。
しかし、企業のお金に関する業務を行う仕事柄、経理の働く様子を間近で見ることは難しく、どのような時にやりがいを感じているのかも分かりにくいと思います。
そこで今回は、経理職のやりがい・魅力とは何か、経理職へ転職する際のポイントは何か、について詳しく解説します。
経理の仕事内容
経理のやりがいの前に、まずは仕事内容について解説します。
経理の仕事は大きくわけて、日次業務、月次業務、年次業務の3種類があります。
日次業務
日次業務とは一日単位で実施していく業務で、以下の4つがあります。
- ・現金預金の管理(現金出納帳管理):入出金記録の確認や残高の照合
- ・伝票処理:各種伝票の作成と帳簿への記録
- ・経費精算:従業員の経費・仮払金の清算
- ・雑務:ファイリング作業やメールのチェック作業など
日次業務は細かい作業となりますが、決算書作成において必要となるデータなので、ミスがあると後々そのカバーが大変になります。
月次業務
月次業務は月単位で実施する業務で、以下の5つがあります。
- ・買掛金・売掛金の管理:買掛金については現金が支払われたのか、売掛金については入金が行われたのかをチェック
- ・領収書・請求書の発行:取引先・得意先に対して、請求書や領収書を発行・送付する作業
- ・給与計算:従業員の勤怠管理をもとに、給料を計算
- ・在庫管理:原材料や在庫商品(棚卸品)を管理
- ・社会保険料の納付:従業員の源泉徴収税、住民税、社会保険料の支払いをするための事務作業
年次業務
年次業務は、一事業年度ごとに実施する業務のことです。以下の4つがあります。
- ・年末調整:扶養控除申請書の用意、従業員の所得税申告書類の作成
- ・償却資産調査:減価償却の申告
- ・決算書作成・確定申告:財務諸表など決算書の作成および税務申告に関わる書類の作成
- ・税金納付:法人税、法人事業税、法人地方税、消費税の納付事務作業
経理の仕事は、決算時期に繁忙期を迎えます。日本企業は多くが3月決算なので、その時期が近づくと残業が発生しやすいです。
また、大企業では経理部門が担当しますが、中小企業では経営者が行ったり、経理・労務・人事の作業を少人数でまとめて行ったりすることもあります。
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経理社員に聞いた!経理のやりがい・魅力
実際にMS-Japanの経理担当として働く2名の社員に、「やりがいを感じるポイント」について聞いてみました。
勉強した分だけできる業務が増えた時
Kさん
始めは日常業務や月次業務の理解で必死でした。
そこから勉強していく中で法人税など申告書のポイントがわかって税理士と話せるようになったり、税効果やキャッシュフローの作成などより専門性の高い業務ができるようになったりして、段階的にステップアップしている実感が湧きます
Nさん
経理になったのは、産休育休明けからです。それまで簿記の資格は取っていましたが、ほぼ経理経験なしでした。
派遣でさまざまな会社の経理部門で経験を積んで、一歩一歩ステップアップしてきました。自分の頑張り次第で、仕事の幅をどんどん広げられる職種だと思います。
業務の効率化や改善ができた時
Kさん
Excelを活用して工数削減につなげたり、ミス防止のために「なぜこの数字が正しいか」を色々な視点で証明できる仕組みを作れたりするとやりがいを感じます。
資金繰りを行っている時
Nさん
前職で資金繰りが厳しく、毎日のように売上と支払の調整を行っていた時は、毎月うまく乗り切れると自身の家の家計簿をやっているくらい嬉しい気持ちになります。
決算が締まった時
Nさん
特に四半期決算、本決算は決算締め→監査→開示→株主総会(本決算)とあり、正直気持ちが重い日々が続きます…。
その分無事に締め作業が終わった後は、自分を褒めてあげたいくらい達成感があります。
さまざまな部署・役割の人の役に立てた時
Nさん
他部署から経理の知識が必要な相談をされる時に、そこで役に立てるとモチベーションが上がります。営業担当からは請求関連の相談がくることが多いのですが、営業活動以外のところでもサポートができていると思うとやりがいを感じます。
キャリアパスによって異なる経理のやりがい
経理部門のキャリアパスとしては、ゼネラリスト、スペシャリストの2つの方向性があり、それぞれで仕事内容が違うので、やりがいの感じ方も異なります。
ゼネラリスト
中小企業から大手企業へ
経理部門という専門職が集まる部門が作られている大企業とは異なり、中小企業ではバックヤード部門の従業員が複数の業務を兼任していることが多いです。具体的には経理以外にも、人事、総務、労務などの業務を任される場合があります。
そのため中小企業では、経理のみならずバックヤード部門全般の経験を得られることが多いです。経理にとどまらず幅広い実務経験を積み、そこで経験を活かして大企業への転職を目指すキャリアパスも可能です。
経営企画になる
経理部門から、経営層が行う意思決定をサポートする経営企画へのキャリアアップを図る方法もあります。経理部門では企業全般の財務状態を把握するための知識・スキルを身に付けられるので、そこで培った経験は、経営戦略を策定する経営企画部門でも十分活かせます。
CFOなどの役員になる
CFO(最高財務責任者)は、企業が行う資金調達や予算の執行、内部統制環境の整備などを統括する役員クラスの役職です。企業の規模や業界によっても多少変わりますが、一般的には一般社員→主任→課長→部長→CFOというキャリアパスになります。
ただし、とくに大手企業では昇進をめぐる競争があり、順調に出世できるとは限りません。経理職として努力を重ね、成果を出していくことが求められます。
スペシャリスト
外資系企業で専門性を磨く
語学力を身に付け、米国公認会計士(USCPA)などの資格を取ることで、外資系の経理職への転職を目指す道筋もあります。
大手の外資系企業では、CFOの下にFP&A(財務計画・分析)部門があり、企業の財務分析や財務計画の立案、業績レポートの作成といった業務を担っています。このFP&A(財務計画・分析)部門で経験を積めば、将来的に自社もしくは転職によって、CFOへのキャリアパスを実現しやすくなります。
公認会計士、税理士になる
経理部門に勤務しながら、経理・会計のさらなる専門的な知識を身に付けられる公認会計士、税理士の資格取得を目指すこともできます。もし晴れて試験に合格すれば、士業の有資格者として収入アップも期待できるでしょう。
ただし、合格までの道筋は容易ではありません。税理士試験については、経理部門・税理士事務所への転職をする場合、科目合格しているだけでも評価対象とされます。
経理に向いている人
ここからは、経理への転職を目指す方向けに、転職に役立つ情報を紹介していきます。
まず、経理に向いている人の特徴がどのようなものかを見てみましょう。
経営的な視点で会社を見ることができる
経理に向いている人の第一の特徴として、経営的な視点で会社を見られることがあげられます。経理は、単に会社のお金を集計するだけではありません。
前述のとおり経営陣に、経営状況をわかりやすく説明し、さらには経営上の課題の解決策を提案することが求められます。 それはいわば「経営コンサルタント」のような役割を果たすといっていいでしょう。
したがって、経理スタッフには経営的な観点をもって、会社の現状を捉えられること、および経営上の課題の解決までの道筋を見通せることが求められます。 経営に興味がある人が、経理に向いているといえるでしょう。
簿記や会計業務の知識がある
経理には、簿記や会計業務についての詳細な知識が求められます。日商簿記検定やFASS検定などの資格を取得していると、経理職への転職を有利に進められるでしょう。
ただし、資格は必ずしも必須ではありません。 実際に経理の仕事をスタートしてから、必要なスキルを一つひとつ身に付けていくこともできます。
単純作業に集中して取り組める
「経営者に近いポジションで仕事ができる」とはいえ、経理の仕事は細かな単純作業も必須です。
しかも、お金を扱いますので、間違いは許されません。この間違いの許されない単純作業に、緊張感を維持しながら集中して取り組めるという人も、経理に向いているといえます。
数字に強い
経理に向いている人の特徴として、数字に強いこともあげられます。
数字に強いとは、単に「計算ができる」ということだけではありません。ある数字を見た時に、その背景までを分析し、読み解けることを意味します。数字の意味を考えたり、数字の分析や比較をしたりが好きな人は、経理に向いているでしょう。
経理に求められる能力
経理部門に転職する場合、以下のスキルがあると評価されやすいです。
IT・OAスキル
IT・OAスキルとは、いわゆるパソコンスキルのことです。経理では業務レベルに関係なく、会計ソフトを使用できるだけの基本的なパソコンスキルは必須です。
各種事務作業においてもWord、Excel、PowerPointを使用する機会は多く、中でもExcelは重要で、関数を使えるだけでなく、関数を使ったレポート・資料を作れるとより評価されます。
コミュニケーション能力
経理というと、いつも数字と向き合っている部門とのイメージがもたれますが、実は他部署や社外の人とのやり取りが多く発生します。
そのためコミュニケーションは、経理に求められる最重要のスキルの一つといっても過言ではありません。
たとえば、前職が営業職で経理職への転職を考えている人は、営業職で経験したこと、あげた成果をしっかりとアピールしましょう。営業は得意先との交渉が必要となる職種なので、そこで得られた実績は、採用担当者にコミュニケーションスキルが高いと評価されるきっかけになります。
会計に関する資格
やはり会計に関する資格の有無は、経理職における重要な評価基準です。経理職への転職を考えるなら、日商簿記2級を取得しておくと有利に進められます。
ここでポイントになるのは、日商簿記検定は受験資格がなく、誰でも受験できるという点です。つまり経理未経験であっても、独学・通信教育・専門学校への通学などを通して勉強し、資格試験に合格すれば日商簿記資格は取得できるのです。
そのため、簿記資格の取得をしているかどうかは、本人が経理の仕事にどれだけの思いをもっているかを示すことにもなります。
経理部門への転職活動の際、「経理職に関心をもったから志望しました」といっても、簿記の資格を持っていなかったら、「転職に向けて何の努力・勉強もしていない」と低評価を下される可能性もあります。
経理へ転職する際のポイント
未経験から経理に転職するには
経理未経験で経理部門への転職を考える場合、経理ならではの仕事の流れ・業務内容を理解することで手一杯になるので、できるだけ「部分的」な仕事に取り組める環境の企業を選ぶのがおすすめです。
具体的には、ある程度規模の大きな企業で、新人社員に任される業務が細分化されているような企業が理想的といえます。業務が細分化されていれば、仕事を早く覚えることができ、負担も少なめなので、簿記や会計の勉強時間を作ることもできます。
ただし未経験可の求人であっても、30代を超えてから転職を考えるなら、即戦力としてある程度の能力・スキルを示すことも必要です。最低でも日商簿記2級あたりを取得しておきたいところです。
また、転職活動を始める前に、なぜ経理職を目指そうと思ったのかを明確に答えられるように準備しておくとよいでしょう。面接の場で必ずといっていいほど面接官から質問されます。
実務経験者が転職するには
経理経験者の場合は、実務経験の年数よりも、前職で具体的にどのような業務に取り組んできたのかを説明することが大切です。仕訳は一通り経験しているのか、売掛金回収など難しい業務の経験はあるのか、決算書の作成にどこまで関わっていたのかなど、自分の経験・スキルを詳細に伝えましょう。
経験・未経験別の経理の志望動機例文
経理職は業務内容が業種業態に関係なく共通している点が多いことから、なぜこの会社に応募したのかを説明できるようにしておきましょう。
経理未経験者の応募動機の例文
前職では営業部門で勤務していました。働く中で経理部門が企業経営において重要な役割を担っていることを実感し、ぜひそのような業務に関わりたいと考えるようになりました。
そこで前職の仕事に取り組む一方、経理部門への転職に備えて日商簿記2級の合格に向けて勉強し、先ごろの試験で合格できましたので、これを機会に転職を考えました。
前職の営業で培ったコミュニケーション能力を活かし、経理部門において持ち前の調整力・交渉力を生かしたく思っています。
経理経験者の例文
現職では製造業の企業で経理職に従事し、約5年間にわたって月次決算、年次決算業務に従事してきました。今後さらに業務の幅を広げたいと思っております。
貴社であればこれまで培ってきた経験を活かせるのはもちろん、管理会計や税務など経理職として多様な経験を積めると思い、この度志望させていただきました。
将来的には経理職としてさらに飛躍したく、貴社の経理部門の管理職を担えるような人材を目指したいです。
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まとめ
経理部門における日常の業務は細かいルーティン作業が多く、しかもミスが許されません。しかし、企業経営全般に直接関っているとの実感をもてるのは、経理部門における大きなやりがいの一つです。
また、経理職の業務は規模・業種・業態を問わず共通している点が多いため転職活動がしやすいです。中小企業から大企業へステップアップを狙った転職も実現しやすいといえます。
未経験者でも転職は可能なので、これまで経理に関わったことがない人も、仕事内容に興味があるなら転職を前向きに考えてみてはいかがでしょうか。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
カナダ州立大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。求人企業側の営業職を経験した後、2014年にキャリアアドバイザーへ異動。
2016年からは横浜支社にて神奈川県内の士業、管理部門全職種を担当し、現在は関東全域の士業、管理部門全職種を担当。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 外資・グローバル企業 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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