経理の志望動機【例文付】未経験者・経験者向けNG例・OK例を徹底解説
経理に限った話ではありませんが、転職時に重要になってくる要素の1つとして「志望動機」があります。
経験者はもちろん、未経験者は実績などでのアピールができないため、いかに志望動機を練り上げるかが転職成功の鍵になるといっても過言ではありません。
この記事では、経理経験者・未経験者の志望動機のポイントや、志望動機のOK例文・NG例文を解説します。
経理経験者の志望動機のポイント
経理経験者の志望動機のポイントとしては、「何の業務をどこまでできるかを明確にする」「転職先で活かせることや新たに挑戦したい仕事を明確にする」の2点を意識しましょう。
それぞれのポイントを詳しく解説します。
何の業務をどこまでできるかを明確にする
まずは、何の業務をどこまでできるかを明確にすることです。
具体的な経験の紹介として、どのような経理業務に携わってきたかを具体的に説明します。たとえば、日常の帳簿管理や決算業務、税務申告などです。
「日常の帳簿管理」と一口に言っても、仕訳や帳簿の記入、請求書の処理、支払い管理など業務内容はさまざまです。「決算業務」や「税務申告」なども同様で、個人によって対応する範囲が若干異なります。
こうした部分も考慮し、わかりやすく説明できるのが理想です。
経理に関連する特定のスキルや専門知識をアピールすることも重要です。会計ソフトの使用経験や、国際会計基準の知識などは、転職時のアピールポイントになります。
チームを率いた経験、部門の成果に対する貢献など、「リーダーシップ」を中心としたアピールも効果的です。
転職先で活かせることや新たに挑戦したい仕事を明確にする
転職先で活かせることや、新たに挑戦したい仕事を明確にするのも重要です。
転職先で活かせることに関しては、これまでの経験を新しい職場でどのように活かせるかを具体的に示します。たとえば、「過去に効率化やコスト削減に貢献した経験を挙げ、それを新しい職場でも実現したいと述べる」などです。
新たな挑戦への意欲の表明も重要です。新しい環境で学びたいことや、専門性を深めたい分野を明確にします。
たとえば、企業に合わせて「特定の業界に特化した会計知識を獲得する」などです。
そして上記が、長期的なキャリアプランとどのように結びついているかを説明するのも重要です。応募先企業での長期的なキャリア構築への意欲を示せるため、プラスの評価につながりやすくなります。
経理経験者の志望動機OK例
経験者の志望動機 例文(JASDAQ上場企業から転職)
現職では、JASDAQ上場企業で5年間、年次決算・月次決算業務を担当していました。
その中で、上司が大手企業での経験を活かしてさまざまな課題を一人で解決しており、その姿を見てより業務の幅を広げていきたいと思うようになりました。
貴社であれば、原価計算や税務申告書の作成といった業務にも関われ、経理担当としてさらに飛躍していけると思い志望しました。
将来的には部門のマネジメントを担えるような人材になりたいと考えております。
経理経験者の志望動機 例文(求人サービス企業から転職)
現職では、求人サービス企業の経理職に従事し、債権債務・会計処理を一通り理解し、月次決算を一人で行っていました。
その過程で経理マニュアルや按分自動計算シートなどを作成し、属人的でない経理業務を確立していきました。
今後経理としてさらに業務の幅を広げていきたいと思い、プライム上場企業である貴社を志望しました。
業務の円滑化・効率化を意識しアイディアが浮かんでは試みる積極性を活かして、御社が重要視する「主体性」のある人材として貢献していきたいと思っております。
経理経験者の志望動機 例文(上場企業メーカーから転職)
現職では上場企業メーカーで、決算業務や有価証券報告書作成にも携わっています。
また、在庫ロス削減のための管理システム導入では、プロジェクトリーダーとしてシステム選定から導入・運用までを行った経験もあります。
御社ではこの経験を活かし、決算・財務諸表作成はもちろんのこと、コスト管理の面でも貢献できるよう、精一杯努めたいと思っております。
経理経験者の志望動機 例文(ベンチャーITから転職)
現職ではIT系ベンチャー企業にて一人で経理をしています。
日々の記帳から月次・年次決算までをすべて担当しましたので、経理業務の全貌と、経営と経理の接点について理解があります。
今回は、規模の大きな会社で経理を経験したいと思い、御社を志望いたしました。
御社では、これまでの経験を活かし、とくに営業と経理の橋渡しに貢献し、利益率向上のお役に立てればと思っております。
経理経験者の志望動機NG例
前職では経理の業務を一通り担当していました。自分にとって天職とも思える経理業務をさらにスキルアップしたいため、御社を志望いたしました。
業務は責任をもって、まじめに取り組む所存です。よろしくお願いいたします。
志望動機は、応募先に対して自分がどのような貢献ができるのか、応募先は自分の採用にどのようなメリットがあるのかをアピールするのが重要です。
この志望動機は「自分がスキルアップしたい」とだけ書かれていて、応募先への貢献や採用のメリットが書かれていないのでNGです。
また、仕事に「まじめに取り組む」のは当たり前です。当たり前のことを書いてしまうとマイナス評価になることもあります。
経理未経験者の志望動機のポイント
経理未経験者の志望動機のポイントは、「なぜ経理を目指すのかを明確にする」「なぜこの会社で働きたいかを明確にする」の2点です。経験者のように実績や経験、スキルセットでアピールするのは難しいため、志望動機がより重要になります。
上記のポイントをそれぞれ詳しく解説します。
なぜ経理を目指すのかを明確にする
まずは、なぜ経理を目指すのかを明確にしましょう。そのためにはまず経理の基本的な業務内容について理解を深める必要があります。
経理業務は主に日次、月次、年次の3つに分類されます。
- ・日次業務:売掛金・買掛金の管理、現金・預金の出納管理、会計ソフトへの仕訳入力など
- ・月次業務:日々の業務を集約する月次締め作業や月次試算表の作成など
- ・年次業務:決算報告資料の作成など
経理職への志望動機では、「数字に強い」「興味がある」といった理由だけでは説得力に欠けます。
未経験者は、経理に関心をもった具体的なきっかけやポジティブな理由を伝えるのが大切です。たとえば、「営業職の経験から財務諸表への影響に興味をもち、経理業務への魅力を感じた」といったエピソードです。
また、これまでの経歴から経理業務に活かせる経験やスキルを見つけてアピールしましょう。
たとえば、前職でのデータ入力やデータ管理、レポート作成の経験は、経理でも活かせる可能性があります。問題解決能力や細部に配慮する能力、仕事の精度、コミュニケーション能力などもアピールポイントになります。
経理関連の経験が少ない場合は、簿記2級以上の資格取得を目指すとよいでしょう。試験に合格していなくても、勉強中であるとアピールできます。簿記以外にも、MOSなどのパソコンスキルは経理職でのアピールポイントになります。
なぜこの会社で働きたいかを明確にする
なぜこの会社で働きたいかを明確にするのも重要です。
志望動機を決める際、企業に関する徹底したリサーチが欠かせません。経理職を目指すにあたって、どの企業でも適合するわけではなく、特定の企業を選んだ明確な理由を設定しましょう。
たとえば「貴社のチームワーク、そして革新性を重視する企業文化に共感しました」(企業の文化や価値観への言及)などがあります。企業の文化や経営理念は、志望動機の基盤として活用しやすいのでおすすめです。
求人情報や企業の公式Webサイトだけでなく、公式SNS、新卒採用情報、経理以外の職種の求人情報など多様な情報源から企業について広く調査するのも重要です。
多角的な視点で情報を集めておくと、より客観性のある志望動機を書きやすくなります。
企業の規模や業態によって、経理の職務範囲は異なることもあると理解しておくのも重要なポイントです。
たとえば、製造業では工業簿記の知識が求められることがあり、中小企業では一人で幅広い経理業務を担当するケースもあり得ます。募集内容を細かく確認しつつ、必要とされる知識やスキルを把握し、企業が求める要件に沿った志望動機を作成しましょう。
未経験者の場合、実務経験の不足を不利に感じることもあるかもしれません。企業研究を通じて自身の適性や意欲をアピールすることで、ポジティブな印象を与えられます。
とくに同業界の経験があれば、その業界特有の規則や慣習を理解している点を強調することも有効です。
経理未経験者の志望動機OK例
未経験者の志望動機 例文(医療事務から転職)
現職の病院の事業縮小に伴い、経理スタッフが企業経営で重要な役割を担っていることを知り、経営部門で働きたいと思いました。
日商簿記2級を取得したのを機に、実際に会社の経営状況を把握できる経理の仕事に携わりたいと思い、未経験でも将来的に決算実務などを目指せる貴社を志望しました。
「調整力」が重要とされる経理部門で、前職の介護スタッフとして培ったコミュニケーション能力を活かして各関係部署との調整や交渉を行いながら、将来的に経営基盤強化に貢献していける人材になりたいと思っております。
未経験者の志望動機 例文(大手都市銀行営業職から転職)
現職では、都市銀行の法人営業職として、融資、預金業務、事業承継サポートや不動産仲介業務に従事していました。
簿記資格を取得したことをきっかけに、これまで銀行で培った財務分析といった業務経験を活かせる経理に興味をもちました。
海外にも製造販売拠点がある貴社で、会計や税務の知識向上を図り、最終的には銀行で培った第三者の評価視点を活かしつつ、企業価値の向上に貢献していきたいと思っております。
経理未経験者の志望動機NG例
前職では営業職として働いていました。お客様に対する細部に至る丁寧な対応が評価され、会社で表彰されたこともあります。
物事にまじめにコツコツと取り組む性格の私は、営業より経理が向いていると思い、今回御社の求人に応募させていただきました。
未経験の場合には前職での経験を伝える際には、経理への意欲と適性のアピールが重要です。
しかし、この例文では、適性は「細部に至る丁寧な対応が評価され会社で表彰」と「営業での経験」を伝えるのみで、なぜ経理に適性があるのか不明です。
また、意欲も「まじめにコツコツと取り組む性格の私は営業より経理に向いている」と主観的に表現されているだけで、具体性・客観性に欠けています。
客観性をもたせるために、資格を取得した(取得に向けて勉強をしている)旨を盛り込みましょう。また、表彰された実績は具体的な数値などで補足することが重要です。
大切なのは、具体性と客観性であることを念頭に作成しましょう。
志望動機の添削も可能!経理の転職に困ったら専門のエージェントに相談を!
経理の転職をする際、自分一人の力だけではどうにもならない部分が出てきます。転職サイトから自分で探して応募をしたり、ハローワークを活用したりする人も多いでしょう。
経理はどの企業にも存在する職種ですが、配置される人数が少なく、退職者も比較的少ないため、求人の数は限られています。転職を成功させるためには、多くの求人情報から最適なものを選ぶのが重要です。
求人情報を幅広く収集するためには、以下のような方法がよいでしょう。
- ・転職サイト:最も一般的な方法で、会員登録をすることで多くの求人にアクセスできます
- ・ハローワーク(公共職業安定所):厚生労働省が運営するサービスで、とくに小規模企業の求人を多く扱っています
- ・転職エージェント:民間企業が運営し、非公開求人を含む多様な求人にアクセスできます
上記の中でもとくにおすすめなのが、転職エージェントです。
転職エージェントには経理職に特化したキャリアアドバイザーがおり、業界の動向や求人市場の詳細な情報を提供してくれます。明確なキャリアプランを立てつつ、計画的な転職活動が可能です。
非公開求人へのアクセスができるのも転職エージェントの魅力です。
多くの企業は最良の候補者を求めて非公開求人を出しており、転職エージェントを通じてのみアクセスできるようになっています。転職サイトやハローワークでは見つけられない機会に出会える可能性が高いといえるでしょう。
個別のサポートが受けられるのも、転職エージェントを活用する大きなメリットです。
転職エージェントでは、履歴書や職務経歴書の添削、面接対策など、個別のニーズに合わせたサポートを受けられます。さらには一般的に難しいとされている給与や労働条件の交渉も代行してくれます。
管理部門・士業特化の転職エージェント「MS Agent」では、業界に精通したキャリアアドバイザーがあなたらしい転職をお手伝いします。
「MS Agentではどのようなサポートをしてくれるの?」と疑問に思われた方は、
「MS Agent」の転職サービス紹介をご確認ください。
経理の転職でよくある質問
Q.求人を見るポイントは?
A.経理の転職活動で求人を見る際は、前もって自分の希望や各種条件を明確にするのが重要です。
経理は多くの企業で必要とされる職種であり、基本的に「求人が見つからない」ことはほとんどありません。ただし、選択肢が多く、どれに注力すべきか迷う場合もあります。
まずは、なぜ転職を考えているのか、どのようなキャリアを望んでいるのかを自問自答することが重要です。たとえば、キャリアアップ、給与の向上、ワークライフバランスの改善など、転職の主な動機を明確にします。その後、給与や勤務地、企業の規模、業界、職務内容など、複数の要素の中で何を最優先にするかを考えます。
ただし条件を厳しく設定しすぎると、利用可能な求人の数が大幅に減少します。理想的な条件を満たす求人を見つけるのが難しくなり、転職活動が長引くかもしれません。転職に関する精神的なストレスを増加させる要因にもなります。
すべての条件を満たす理想的な求人はなかなか見つからないため、どの点で妥協が可能かを考え、現実的な視点で求人を探しましょう。もちろん妥協をしすぎても、職場への満足度が低くなってしまうため、バランスを考えるのが重要です。「自分にとって重要な価値観やキャリア目標を犠牲にしない」ことを第一に考えると、後悔のない選択がしやすくなります。
Q.経理において、経験がない業界への転職は可能?
A.結論から言えば、経理において、経験がない業界への転職は十分可能です。
経理の基本的なスキルセット(たとえば財務諸表の作成、予算管理、税務処理など)は、ほとんどの業界で共通しています。異業界に転職しても、自分が培ってきたスキルを十分に活かせる可能性が高いでしょう。
ただし製造業(メーカー)で経理職において原価計算に携わる場合、業界特有の知識が重要視されるケースがあるため注意しましょう。原価とは、材料費、労働費、製造間接費など製品を製造するためにかかるコストです。原価計算は製造業の経理業務の中核をなしており、製品の製造コストを正確に把握し、利益管理や価格設定に反映できるかどうかが重要になります。
とは言え、経理の求人に「特定の業界経験者」を条件として設定しているものはそれほど多くありません。通常の転職と同じように、自分のスキルセットや経験を整理しておき、志望動機などに織り交ぜるとよいでしょう。
異業界への転職の際は、キャリアストーリーとして「なぜその業界に興味をもったのか」「どのように自分の経理スキルがその業界で役立つのか」を明確にするのが重要です。業界固有の知識を習得しておくと、より自分をアピールしやすくなります。
まとめ
経理職の転職において、志望動機の作成は重要なステップです。
経験者は「自分がどの業務をどこまでこなせるか」を明確にし、「転職先でどのようにそのスキルを活かせるか、また新たに挑戦したい業務は何か」を具体的に示すことがポイントです。
一方、経理未経験者は「なぜ経理を目指すのか」、「その会社でなぜ働きたいのか」をはっきりさせることが求められます。
経験者ほど求人の選択肢はありませんが、20代や30代であれば未経験でも転職できるチャンスはあるため、根気よく転職活動を続けるのが重要です。
また、応募企業に合わせた志望動機を作成するには、求人情報や企業情報を広範囲にわたって収集する必要があります。
自分で情報収集をすることも可能ではありますが、得られる情報に限りがあること、情報収集に時間がかかってしまうことを考えると、転職エージェントを利用することがおすすめです。
転職エージェントは、経理職に特化したキャリアアドバイザーが、企業や求人情報を提供してくれるだけでなく、非公開求人へのアクセスや選考対策など、就職サイトやハローワークにはないさまざまなメリットがあります。
弊社MS-Japanが提供している転職エージェントMS Agentには、経理の転職を専門としたキャリアアドバイザーも在籍しており、さまざまな面でサポートしておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。企業側を支援するリクルーティングアドバイザーとして約6年間IPO準備企業~大手企業まで計1,000社以上をご支援。
女性リクルーティングアドバイザーとして最年少ユニットリーダーを経験の後、2019年には【転職する際相談したいRAランキング】で全社2位獲得。
2021年~キャリアアドバイザーへ異動し、現在はチーフキャリアアドバイザーとして約400名以上ご支援実績がございます。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 法律・特許事務所 ・ 役員・その他 ・ 社会保険労務士事務所 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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