2023年10月17日

弁理士試験とは?難易度や試験科目、2023年の試験日程など

管理部門・士業の転職

弁理士試験とは?難易度や試験科目、2023年の試験日程など

弁理士として働くには、弁理士試験に合格し、弁理士会に登録しなければなりません。

弁理士試験は、知的財産に関する法律の知識が問われます。 弁理士は独占業務・専権業務が認められている国家資格であり、試験範囲が広く、制度や法律に対する深い理解が求められる難関試験です。

本記事では、弁理士試験の概要や試験科目、合格率、合格に必要な勉強時間目安などについて解説します。

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弁理士とは

弁理士とは、「知的財産」のプロフェッショナルです。

「知的財産」とは知的な創作活動によって生まれた、物・建物・デザイン・技術・アイデア・商品・サービス・文芸・音楽・美術・新種の植物・特産品・商号など、財産と同様に価値があるものの総称です。

上記のような知的財産を保護するための制度を「知的財産権」といいます。
弁理士は、知的財産権を保護するために法律や制度を運用し、経済活動や産業の発展を手助けする役割を担っています。

<知的財産権の例>
著作権、商標権、特許権、意匠権、商号、不正競争の防止、地理的表示法、育成者権、回路配置利用権

弁理士試験とは

弁理士試験は、弁理士として必要な知的財産に関する知識と応用力を問われる試験です。

試験は3段階で、マークシート方式の短答式試験、筆記試験の論文式試験、口頭で解答する口述試験の全てに合格する必要があります。

弁理士試験に受験資格はある?

弁理士試験に受験資格や制限はありません。
誰でも目指せる資格ではあるものの、法律や制度に関する深い理解が求められる国家資格であるため、司法試験や司法書士などと同様に難関試験に分類されます。


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弁理士試験の試験科目

弁理士試験は、短答式試験論文式試験(必須科目/選択科目)口述試験の3部構成 です。
まずは短答式試験に合格することで、次の論文式試験に進むことができます。
口述試験に進むためには、短答式試験と論文式試験に合格しなければなりません。

各試験から出題される科目や解答方式は下記の通りです。

出題形式 科目 解答方式
短答式試験 特許法・実用新案法/著作権法・不正競争防止法/商標法/意匠法/工業所得件に関する条約 マークシート
(5肢択一)
論文式試験
(必須科目)
特許法・実用新案/意匠法/商標法 筆記
論文式試験
(選択科目)
理工I(機械・応用力学)/理工II(数学・物理)/理工III(化学)/理工IV(生物)/理工V(情報)/法律(弁理士の業務に関する法律)
※願書提出時に1科目選択
筆記
口述試験 特許法・実用新案法/意匠法/商標法 口頭

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2023年の弁理士試験日程

弁理士試験日程3部構成となっており、5月から10月にかけて開催されます。
2023年度の試験日程は下記の通りです。

2023年の弁理士試験日

<受験願書交付期間>
日  付:3月1日(水)~3月31日(金)
※願書請求はインターネットからも可能です。

<受験願書申込期間>
日  付:3月15日(水)~4月5日(水) ※4月5日消印有効
※願書受付は郵送のみ対応です。勅許庁へ直接持参は受け付けていません。
また、受付日や消印が過ぎてしまったものは無効になるので注意しましょう。

<短答式筆記試験>
日  付:5月21日(日)
会  場:東京、大阪、仙台、名古屋、福岡
合格発表:6月12日(月)

<論文式筆記試験>
日  付:必須科目7月2日(日)・選択科目7月23日(日)
会  場:東京、大阪
合格発表:同日

<口述試験>
日  付:10月21日(土)、10月22日(日)、10月23日(日) ※いずれかの日
会  場:東京
合格発表:11月9日(木)

弁理士試験にかかる費用

受験手数料:12,000円(特許印紙)
支払い方法:受験願書に特許印紙を貼り付ける ※特許印紙は郵便局にて販売しています。


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弁理士試験の合格率・難易度は?

弁理士試験の合格者数・合格率の推移

2022年の弁理士試験は、受験者数3,177人に対し、合格者は193人で、合格率が6.1%となりました。
過去5年間(2018〜2022年)の合格者数は6.1〜9.7%の間で推移しており、10%以下の難関試験だといえます。

年度 受験者数 最終合格率(合格者数)
2022年/令和4年 3,177人 6.1%(193人)
2021年/令和3年 3,248人 6.1%(199人)
2020年/令和2年 2,947人 9.7%(287人)
2019年/令和元年 3,488人 8.1%(284人)
2018年/平成30年 3,587人 7.2%(260人)

他の士業資格と合格率と難易度

他の士業資格と合格率を比較してみましょう。
弁護士や税理士のように受験資格が設定されている場合は、受験資格がない試験よりも合格率が高くなる傾向があります。
そのため、純粋に「合格率=難易度」とは言い切れませんが、目安としてご参考ください。

資格名 合格率 受験資格
税理士 12〜15% 大学・短大・高等専門学校で該当科目を履修/日商簿記1級合格者・会計士補/該当会計業務の職歴
弁護士 6〜10% 法科大学 3年または2年の課程を修了/予備試験に合格
行政書士 8〜15% 制限なし
社会保険労務士 4〜6% 該当する大学・短大・専門学校の学歴/実務経験/該当する国家試験合格者
土地家屋調査士 7〜9% 制限なし
海事代理士 48〜54% 制限なし(登録に制限あり)
公認会計士 10% 制限なし
中小企業診断士 20% 制限なし
不動産鑑定士 5% 制限なし

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独学でも大丈夫?弁理士試験の勉強時間

以下では、弁理士試験合格に向けて必要な勉強時間や合格基準について解説します。

合格するために必要な勉強時間の目安

弁理士試験に合格するために必要な時間は3,000時間程度と言われています。
例えば、1日5時間勉強すると600日、1日3時間勉強すると1,000日かかる計算です。

弁理士の勉強をゼロから始めた場合、「一発合格」や「1年で合格を目指す」ことは極めて難しいでしょう。
無理をして受かる試験ではないため、事前にしっかりと計画を立てて挑戦することが重要です。

独学で突破が難しいのは論文式試験の必須科目と口述試験

弁理士試験の難関は、「論文式試験(必須科目)」と「口述試験」です。
論文式試験の選択科目は独学でも合格可能と言われていますが、必須科目は特に難易度が高いとされています。
論文式試験では、法律・制度をしっかりと理解した上で、論理的な文章に落とし込むスキルが必要です。
例え正しい回答を記入できていても、論点の記述が不足していれば減点・不合格となることもあります。
また、制限時間が設定されているため、筆記スピードを意識した練習も必要です。

口述試験は面接形式で行われる試験で、面接官に問われた質問に対して口頭で解答します。
短答式試験・論文式試験の合格者を対象とした試験のため、合格率は高めです。
しかし、面接練習や自己採点が難しいため、独学だけでは対策が足りない可能性があります。


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弁理士試験の過去問

弁理士試験の過去問

弁理士試験の過去の試験問題は、特許庁のホームページで閲覧可能です。
現在は平成14年度(2002年)から令和4年度(2022年)の21年分が掲載されています。

<短答式試験>
掲載情報:過去問、解答

<論文式試験 必須科目/選択科目>
掲載情報:過去問、論点 (解答の掲載なし)

<口述試験>
掲載情報:出題テーマ (過去問、解答ともに掲載なし)

特許庁:弁理士試験>過去の試験問題


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弁理士試験の免除制度

弁理士試験は、条件を満たせば試験科目の一部が免除されます。
この免除制度は、平成29年度(2017年)から導入されており、以後数年の合格率は上昇していました。

免除が受けられるのは、短答式試験と論文式試験(必須科目・選択科目)で、口述試験は対象外です。
免除を受ける際は、必ず「受験願書」を提出する際に合格通知などの必要書類を添付しなければなりません。

短答式試験の免除者

免除対象は、以下の3つの条件の内、いずれかに該当する必要があります。

(1)短答式試験の合格者
合格発表された日から「2年間」、短答式試験そのものが免除されます。
(2)特許庁における所定(審判または審査)の事務に5年以上務めた者
工業所有権(産業財産権)に関する法令ならびに条約についての科目が免除され、受験する科目は著作権法および不正競争防止法のみに軽減されます。
対象者は工業所有権審議会から免除認定が必要です。
(3)工業所有権(産業財産権)に関する単位取得後に所定機関から認定された者
過程を修了した日から「2年間」、工業所有権に関する法令ならびに条約についての科目が免除され、(2)の免除者と同様に、受験する科目は著作権法、および不正競争防止法のみに軽減されます。

論文式試験(必須科目)の免除者

免除対象は、以下の2つの条件の内、どちらかに該当する必要があります。

(1)論文式試験(必須科目)の合格者
合格発表された日から「2年間」、論文式試験(必須科目)が免除されます。
(2)特許庁における所定(審判または審査)の事務に5年以上務めた者
対象者は、工業所有権(産業財産権)に関する法令ならびに条約についての科目が免除されます。

論文式試験(選択科目)の免除者

免除対象は、以下の2つの条件の内、どちらかに該当する必要があります。

(1)論文式試験(選択科目)の合格者
合格発表された日から「期間の定めなく」、論文式試験(選択科目)が免除されます。
(2)特許庁指定の資格を保有する者
下記の資格を保有する場合は「期間の定めなく」、論文式試験(選択科目)が免除されます。
【対象となる国家資格一覧】
司法書士、行政書士、司法試験の合格者、薬剤師、技術士、一級建築士、
情報処理技術者、電気主任技術者(第一種/第二種)、電気通信主任技術者
(3)学位(修士、博士、専門職)を保有する者
工業所有権審議会から免除認定を受けると、無期限で論文式試験の選択科目が免除されます。


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まとめ

弁理士試験では、知的財産などの法律や制度の専門知識が問われます。 一発合格や1年目で合格を目指すことが難しい国家資格であり、別名「理系の弁護士」と呼ばれています。

弁理士試験に合格するためには、事前に計画を立て焦らず取り組むことがポイントです。

  • ・受験希望者は、願書請求(3月)と願書受付(4月)の期限を厳守すること
  • ・「短答式試験」「論文式試験」「口述試験」それぞれに対応した試験対策を取る
  • ・試験範囲が広いため計画的かつ、十分な勉強時間を確保すること(勉強時間の目安は3,000時間)
  • ・過去問を使い出題傾向やポイントをつかんで勉強すること

難関試験ではありますが、受験資格に定めがないため入口のハードルが低く挑戦しやすい資格でもあります。 短期勝負にこだわらず、免除制度をうまく活用すれば、対策範囲も狭まるため合格出来る資格でしょう。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

佐藤 颯馬

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。

会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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