2023年06月01日

弁理士の仕事内容や向いている人の特徴

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弁理士 仕事内容

弁理士とは特許、意匠、商標、実用新案などの知的財産権全般を取り扱う専門家です。知的財産法をはじめとする幅広い法律知識が要求され、業務に従事するには国家資格を取得する必要があります。しかし弁護士や会計士ほど知名度がなく、普段どのような仕事を行っているのか、わかりにくい面があるのも事実です。そこで今回は、弁理士の仕事内容や向いている人の特徴について、詳しく解説します。

弁理士の仕事内容

弁理士の主な仕事は法人企業もしくは個人事業者の依頼により、特許庁に対して新規の発明品の知的財産権を申請すること、特許権の侵害などの知的財産権を巡る紛争を解決することです。具体的には、産業財産権の取得、産業財産権の紛争解決、コンサルティング業務の3つがあります。

産業財産権の取得

知的財産には、新技術や製品のオリジナリティを認める「特許」、製品のデザインに関する「意匠」、ロゴマークなどに関する「商標」、製品の形状・構造・組み合わせに関する「実用新案」などがあります。

これらの知的財産(産業財産)を発明者が権利化するには、特許庁への申請が必要です。しかし、権利化の手続きは大変複雑であり、申請から権利取得までのプロセスには高度な専門知識が求められます。というのも、申請された知的財産が本当に独自性のあるものなのか、権利として認可するのにふさわしい対象なのかを、客観的・徹底的に評価する必要があるからです。

弁理士は、企業・個人から依頼を受けて、知的財産権を権利化するために必要な書類作成と問題解決に取り組み、できるだけ発明者側に有利となる権利を取得できるよう支援を行います。特許庁に対して知的財産権の申請を行うことは弁理士の独占業務として法律上位置づけられています。

産業財産権の紛争解決

知的財産権(産業財産権)を特許庁に申請し、登録済みであっても、権利者に断りなく企業・個人が使用するという事例は多いです。知的財産に対する権利の範囲は複雑に規定されているため、当事者に無断使用の意識がなくても、いつの間にか知的財産権を侵害しているというケースも少なくありません。

このような場合、知的財産を巡って企業間や企業と個人の間、あるいは個人間において、紛争が起こる場合があります。紛争が発生した場合、その解決にあたるのが弁理士です。

紛争解決の方法には、当事者間での交渉や裁判による決着などがあります。特に近年では日本企業と海外企業との間での紛争も増えており、弁理士には外国語による交渉力も要求されるようになってきました。

コンサルティング業務

弁理士は知的財産の専門家として、保有する法律知識と技術に関する知識を活用しながら知的財産に関するコンサルティングサービスを行えます。法人企業であれば、自社が開発した先端技術を保護し、継続的に利益を得ようするのが通例です。弁理士は、知的財産をどのように保護し、利益を獲得していくかを戦略的に考え、企業側に提案します。「知財コンサル」とも呼ばれ、弁理士の働き方の1つです。

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弁理士の勤務先

独立開業せず、特定の法人に勤務するという場合、
・特許事務所に所属する
・企業の知的財産部に所属する

という2つのパターンがあります。

特許事務所

特許事務所は事務所ごとに規模が大きく異なり、100名以上の事務所もあれば、数人の職員のみが所属している事務所もあります。
さらに、事務所の規模によって顧客層や請け負う業務の内容も異なるのが一般的です。大規模な事業所であれば、顧客は大企業が多く、業務内容も特許、意匠、商標など知的財産に関する多岐にわたる案件を取り扱います。
一方、規模が小さな事業所は、顧客は中小企業や個人が中心であり、知的財産のうち特許だけ、意匠だけといったように特定の分野に特化していることが多いです。

企業の知的財産部

製品開発を行っている大企業の場合、自社の中に法務部もしくは知財部を設けていることも多く、弁理士はそのような部署にサラリーマンとして勤務できます。業種としてはやはり製造業が中心ですが、最近では自社ブランド商品を開発、販売している小売業も有力な就職先候補です。

自社製品を手掛ける企業にとって、自社の知的財産を守れるかどうかは、自社の命運を左右するといっても過言ではありません。そのため、専門家である弁理士は企業内で一定の評価を受け、キャリアアップにより重要な役職を任されることも多いです。

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弁理士試験の合格率・難易度

特許庁によると、令和4年度弁理士試験は志願者数3,558人、受験者数3,177人で、このうち合格者数は193人となり、合格率は6.1%でした。

合格者の平均受験回数は3.4回であり、もちろん一発合格を果たす人もいるでしょうが、学習期間を含めると合格に至るまで数年はかかるのが一般的といえます。こうした状況を踏まえると、弁理士試験の難易度はかなり高いといえます。

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弁理士に向いている人

弁理士は最新の発明・技術に触れる専門職であるため、物事に好奇心を持ち、ニュースを常にチェックする勉強好きである人が向いています。書類業務が多いので細かい作業が苦にならないこと、その一方で、クライアントから発明内容を聞き出すなど対人関係構築能力も欠かせません。

そして重要なのが、物事に関する想定外な発見をすること、他人が見落としていることを発見し指摘できることです。弁理士には、クライアントの発明品が既存品と違うことを主張するために、既存品にどんな未発見の穴があるのかを説得力を持って指摘する能力が求められます。

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まとめ

弁理士の仕事内容としては、産業財産権の取得業務、産業財産権を巡る紛争解決、さらに企業を対象としたコンサルティング業務などが中心です。弁理士は独立開業できる専門職ですが、経験が浅いうちは勤務弁理士として働くのが一般的といえます。勤務先となるのは、特許事務所もしくは企業の法務部や知財部です。

他人が見落としているような想定外なことを発見・指摘することが得意な人などは、弁理士に向いているといえます。我こそはと思う方は、知財分野に飛び込み、弁理士資格に挑戦してみてはいかがでしょうか。

<参考>
日本弁理士会 関西会「特許と実用新案の違いについて」
特許庁「令和元年度弁理士試験の結果について」

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