2023年04月01日

企業へ転職!企業内弁理士は成立するのか

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社会科学系の国家資格を持っていながら、独立開業をせずに企業内で働く専門家が増えています。代表的なのは、企業内弁護士や企業内会計士です。各資格ともに、総人口数が増えているために、中には一般企業を活躍の場とする士業の方もいます。では、弁理士の場合、企業で働くというキャリアは成り立つのでしょうか。

弁理士という職業の可能性

弁理士法1条には、「弁理士は、知的財産(※中略)に関する専門家として、知的財産権(※中略)の適正な保護及び利用の促進その他の知的財産に係る制度の適正な運用に寄与し、もって経済及び産業の発展に資することを使命とする」と定められています。

つまり、弁理士は特許権や意匠権、著作権などのような、人間の知的活動によって生み出されたものを排他的に利用する権利、つまり知的財産権に関する業務を行う国家資格です。特許権の取り扱いは物理学・化学・工学など科学技術の知識も必要となることから、理系分野を得意とする人が弁理士資格を取得する傾向にあります。

また、弁理士は試験の難易度が高く、社会的な影響力もあることから、世間の人々から寄せられる信頼性も非常に高い資格です。たとえば、元内閣総理大臣の菅直人氏は、弁理士の業界から転身した政治家です。

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企業内弁理士として働くには

弁理士も、独立開業をして弁理士事務所(特許事務所)を構える方や、事務所に勤務する方が大半です。つまり、外部から依頼を受け、委任契約を締結して業務を遂行する形が一般的です。
しかし、知的財産権は企業活動と密接な関連があるため、企業に転職し、従業員として勤務する企業内弁理士(企業内弁理士)の可能性は大いにあるといえるでしょう。

もし、弁理士が企業に転職するならば、知的財産部(知財部)という専門のセクションが設置されている会社への転職を目指すのが有力でしょう。特許事務所から転職することも十分に可能です。
知的財産部門がある会社は、知的財産の内容から逆算して考えてみるとわかります。

たとえば、弁理士の職域である知的財産権の代表的なものに特許権があります。発明品に対して、一定期間内において他の誰にも無断で使わせず、使う場合には使用料を徴収するなどの排他的権利です。
発明といえば、商品を開発するメーカーが行う可能性があります。発明といえるほどの新規性や進歩がみられないアイディア商品でも、実用新案権を主張して排他的に取り扱うこともできます。このような権利の扱いは弁理士の専門分野です。特許権や実用新案権を行使して、使用条件などの交渉を行うときには、弁護士との協働で進めることもあります。

著作権も知的財産権です。著作権は、人がその思想又は感情を創作的に表現して、文章・イラスト・音楽・映像などを制作した場合にその人に与えられます。作品の著作権を管理する出版社や音楽レーベル、映画会社、芸能事務所などにも、知的財産部がある可能性があります。

このほか、製品などの特徴的外観(デザイン)を保護する意匠権や、ブランド(ロゴマーク)を保護する商標権なども知的財産権の一種ですので、様々な業界の企業に弁理士が関わる余地があります。つまり、弁理士が企業に転職し、新たなキャリアを歩むフィールドも様々あるということです。

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企業内弁理士の仕事内容

企業に転職した場合の弁理士の仕事内容は、特許などを特許庁に申請して、登録を行うのが主要業務です。特許権や実用新案権、商標権、意匠権は、「先願主義」が採られています。既に同じようなものが出願されている場合には、排他的権利を得ることができません。よって、過去に出願された類似品とは異なる独自性があることを特許庁に主張して、うまく権利を獲得するのも、弁理士の腕の見せどころといえるでしょう。

実は、弁護士の資格を持つ人は、試験で弁理士業務も行える特権があります。ただ、弁理士の業務は専門性が高く、司法試験や司法修習を経ただけでは十分に身につくものではありません。よって、弁理士と弁護士が手を組むことには大きな意義があるのです。

企業内弁理士として転職した場合、年収はどれくらい?

弁理士が必要とされる企業からの待遇は厚く、転職をした場合、年収700~800万円程度の条件を提示されることがあります。企業活動に貢献できる働きを見せれば、年収1,000万円を超えることも十分に可能でしょう。ただ、弁理士としての能力が高いだけでは、高収入に繋がるとは限りません。ご自身の得意分野や経験と、転職を希望する企業の業務内容との相性次第で、待遇は変わっていきます。

また、日本弁理士会に納める弁理士の初期登録料は35,800円で、毎月15,000円の会費を支払い続けなければ、弁理士を名乗って仕事をすることができません。これらの費用負担を会社が持ってくれると、実質的な給与も増えることになるでしょう。

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まとめ

企業内弁理士としての転職は、十分可能性やニーズがあると言えます。企業への転職は、安定した収入や立場を求めるだけでなく、ある特定の業界に携わり、知的財産権を行使する当事者として働ける喜びがあります。弁理士の雇用を求めているのは、画期的な商品やサービスを開発している企業が多いでしょう。そこに関わって仕事をする日々は、刺激的でやり甲斐も感じられるはずです。

<参考>
日本弁理士会
日本弁理士会-月刊パテント

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