弁護士の転職ならMS Agent|弁護士の転職成功のポイントを徹底解説!

弁護士は言わずと知れた最難関国家資格であり、その活躍のフィールドは年々広がりを見せています。
そのため、転職市場における採用ニーズが非常に多く、選択肢が幅広いため、転職やキャリアの方向性に悩む方も多いでしょう。
本記事では、35年以上にわたり弁護士の転職支援を行ってきた管理部門・士業特化型転職エージェント「MS Agent」が持つ弁護士の転職ノウハウを一部公開いたします。
弁護士の方から多く寄せられる疑問に答える内容を網羅しておりますので、転職活動中の方はもちろん、検討段階の方もぜひご活用ください。
※以下の記事の要約から気になるトピックを選んでいただくと、該当の章までジャンプできます。
弁護士の転職について
弁護士の最新転職市場は?
法律事務所への転職で押さえるべきポイントは?
一般企業への転職で押さえるべきポイントは?
弁護士の就職・転職に年齢は関係ある?
弁護士のキャリアパス・転職先について
【転職理由別】弁護士におすすめの転職先一覧
ワークライフバランスを整えたい弁護士向けの転職先
専門性を高めたい弁護士向けの転職先
年収を上げたい弁護士向けの転職先
人間関係の良好な職場で働きたい弁護士向けの転職先
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【2025年】弁護士の最新転職市場
まずは、弁護士の転職市場における最新の傾向を確認してみましょう。
一般企業を希望する弁護士が増加している
ここ数年は、一般企業への転職を希望する弁護士が増加しており、JILAによると2024(6月)時点では3,391人が組織内弁護士として働いていると公表されています。
2020年のコロナ禍以降、多くの企業がリモートワークやフレックスタイムを導入する一方で、法律事務所ではクライアント情報の管理やチームでの案件進行の関係から、一般企業ほど柔軟な勤務体制を取ることが難しいのが現状です。
そのため、働き方を改善したいと考える弁護士が一般企業への転職を希望する傾向にあります。
実際にMS-Japanの転職エージェントサービス「MS Agent」にご相談いただく方もインハウスを希望する弁護士の割合が増加しており、インハウスは弁護士のキャリアとして一般的なものになっているといえるでしょう。
法律事務所では優秀な弁護士の取り合いに
一般企業に転職する弁護士が増えたことで、法律事務所では優秀な弁護士の取り合いになっていると言えるでしょう。
そのため、一部の大手・準大手や中堅の法律事務所でも、これまでより採用対象を広く検討するようになっています。
また、企業のグローバル展開が進むにつれて、各国の法規制やリスク対応が求められるだけでなく、コーポレートガバナンスやコンプライアンスへの対応を重視する企業も増え、弁護士を採用したいと考える一般企業が増加しています。
そのため、法律事務所と企業の両方で弁護士の需要が高まっている状況だと言えるでしょう。
このように、弁護士にとっては依然として売り手市場が続いており、転職を検討する方にとって有利な市況です。
2025年以降も弁護士の転職市場は活発に推移していくと見込まれます。
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弁護士の転職が難しい?その理由は?
難関国家資格である弁護士資格を取得してもなお、「弁護士の転職は難しい」と言われることがあります。
その背景には、弁護士の転職市場やキャリアの多様化など、様々な要因が影響しています。
弁護士の飽和による転職市場の激化
「弁護士の転職が難しい」と言われる理由の1つとして、2006年に導入された新司法試験制度の影響が考えられます。
司法試験制度の改革により、毎年1,500人程度だった司法試験合格者数が、2010年には2,133人まで増加しました。
しかし、弁護士が扱う事件の総数は大きく増えていないため、限られた案件を巡って弁護士同士での受注競争が起きています。
こうした状況が、弁護士の転職市場での競争をより厳しくし、スキルや経験に応じた年収格差も広がっています。
また、採用する側も「事務所に高く貢献できる経験豊富な弁護士」を求める傾向があり、特に若手や実務経験が少ない弁護士にとって、転職市場での競争は一層厳しいものとなっています。
AIやテクノロジーによる弁護士需要への影響
AIやリーガルテックツールの普及により、従来弁護士が行っていた業務を効率化するケースが増えつつあります。
そのため、弁護士には従来の法律知識だけでなく、こうした変化に対応し、テクノロジーの知識や他分野のスキルを積極的に身につけることが必要になっています。
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キャリアの多様化
弁護士のキャリアは、法律事務所だけにとどまらず、一般企業、コンサルティングファーム、任期付き公務員など、多岐にわたるようになりました。
また、法律事務所内でも、企業法務や国際法務、知的財産といった専門分野の案件が増え、企業内でも海外進出にまつわる法務やコンプライアンス業務など、弁護士の役割が多様化しています。
選択肢が広がった分、「転職の成功」が単純に新しい職場を得ることではなく、自分の目的やキャリアビジョンに合った転職先を見つけることに重きが置かれるようになりました。
このため、転職先選びの難易度が上がり、より慎重なキャリア設計が求められています。
弁護士の主な転職先
弁護士の代表的な勤務先としては「法律事務所」や「一般企業(インハウスローヤー)」が挙げられますが、「コンサルティングファーム」「任期付き公務員」も転職先の選択肢として考えられます。
それぞれの転職先について、詳しく解説していきます。
法律事務所
法律事務所の場合は、さらに細分化して考えられますが、大きく分けて一般民事を中心とする事務所か、企業法務を中心とする事務所かに分かれます。
一般民事系事務所
一般民事を中心とする事務所の場合、メリットとしては企業法務系事務所と比較してワークライフバランスが整っていることが多い点です。
これは、案件1件あたりの処理に必要な時間が企業法務と比べ短い傾向があり、また弁護士1人で事件処理をするケースが多いため他弁護士との連携にかかるコミュニケーションコストも少ないことから、個々人が自分のペースで業務調整をしやすいことが一つの要因でしょう。
また、一般民事系の事務所では個人受任を認めているケースも少なくないため、事務所案件で収入を得ながら、独立に向けて自らのクライアント開拓も並行して行いやすいこともメリットでしょう。
企業法務系事務所
企業法務系事務所の魅力は、報酬の高さと専門性の高さでしょう。大手の事務所では1年目でも1,000万円を超える収入を得ることができ、パートナークラスになると億円単位の収入を得ることができます。
その分、案件が大きく、1件にかかる処理時間が多くなるため、働き方は忙しくなります。弁護士としての経験値や、収入を重視する方にはおすすめの選択肢です。
また、企業法務系事務所といっても様々で、大手事務所のように大型案件を多人数の弁護士で対応するケースもあれば、ジェネラルコーポレート(一般企業法務)を中心として、単発の案件はそこまで多くないという事務所もあります。
そういった事務所には、普段はそこまで残業は発生せず、スポットの案件が発生した時期だけ忙しくなるといったケースもあるため、企業法務をやりたいけれど、常に忙しいのは避けたい、といった方であれば有力な転職先候補になるでしょう。
一般企業(インハウスローヤー)
弁護士が一般企業に転職する場合、法務部に配属となるケースがほとんどです。
主な業務としては、(社員からの)法律相談、契約法務、コンプライアンス対策、法令調査、労務・労働問題、知的財産関係などがあります。
一般企業でインハウス弁護士として勤務するメリットとしては、就業環境の良さがあります。
法律事務所で働く弁護士は業務委託契約であるケースが多く、会社員というよりも個人事業主的な働き方が一般的です。
一方、一般企業の場合は、基本的に正社員として雇用されるため、労務管理が徹底されており、ワークライフバランスが整った働き方ができます。
また、福利厚生面に関しても法律事務所と比較して、一般企業のほうが充実しているケースが多いでしょう。
一般企業に転職する際に注意すべきは、「業務内容」「収入」です。
業務内容に関しては、様々なクライアント・案件に対応する法律事務所と異なり、基本的には自社の業務のみを行うため、場合によってはルーティン化された業務に面白味を見いだせない可能性があります。
また、管理職になると実務よりもメンバーや部下の管理業務の比重が増えるため、法律家としての実務が少なくなることもあります。
転職前に業務内容に関してはしっかりと確認しておくべきです。
収入面では、法律事務所から転職する場合は下がる可能性もありますが、勤務時間が短縮されるため、時間単価で考えればさほど気にならない範囲であることも多いでしょう。
収入とワークライフバランスのどちらを重視するのかは、転職前に自分の価値観をしっかりと考えておきましょう。
専門職採用等の特別枠で採用されるケースを除き、基本的には就業先企業の給与テーブルに従うことになるため、大手企業であれば課長職で800~1,000万円前後、部長以上の管理職でも~2,000万円前後になるでしょう。
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外資系事務所
外資系の法律事務所は、高い報酬とグローバルな業務環境が大きな特徴です。
1年目から1,000万円を超える年収を得られることも多く、特に若手弁護士にとって魅力的な報酬水準だと言えるでしょう。
海外の企業の案件や国内企業の国際案件が多いため、国際的な法務スキルを磨ける機会が豊富で、グローバルに活躍したい方に適した職場です。
ただし、所属している外資系法律事務所そのものが日本市場から撤退するリスクも伴うため、長期的なキャリアを考える際にはその点を意識する必要があります。
また、日系法律事務所と比較して、外資系法律事務所のアソシエイト弁護士は、事務所内でのパートナー補助業務の割合が多く、クライアント対応が少ない傾向があります。
そのため、パートナークラスでなければクライアントの開拓が難しく、将来の独立を目指す方にとっては、クライアントネットワークの構築に限界があるかもしれません。
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コンサルティングファーム
コンサルティングファームの取り扱う案件と弁護士の業務経験は相性が良いため、コンサルティングファームも有力な選択肢の1つといえます。
法律の知識はもちろん、弁護士として培ってきた論理的思考力や情報収集能力はコンサルティングファームでも欠かせないスキルのため、弁護士はコンサルティングファームからもニーズが高いです。
また、昨今のコンサルティングファームではM&A案件が多く、こういった経験を持った人材は非常に重宝されるため、M&A案件の経験があれば転職時にも幅広い選択肢から選ぶことができます。
法律事務所で弁護士として働く場合、基本的には課題・問題がある程度具体化して法律家の助けが必要な段階で依頼を受けるケースが多いですが、コンサルティングファームではクライアントの新規事業の企画段階からタスクフォースに参加するケースもあるため、コンサルタントという立場でありながら、上流から事業・経営に入り込んでいける点はコンサルティングファームならではの魅力とも言えます。
その他ファーム
Big4などの大手の会計ファームでは弁護士も活躍しています。弁護士として働く中で会計士や税理士などの他士業者と協働したことがある方もいるでしょう。
大手の会計ファームでは案件をグループでワンストップに対応できるよう、弁護士を社内で採用するケースもあります。
M&A、企業再生、フォレンジックなど、会計系のファームが良く取り扱う案件で弁護士の力が必要なケースは往々にしてあるため、弁護士のニーズがあります。
弁護士全体の中で、会計系ファームで勤務している弁護士は少数派のため、他の弁護士と差別化を図るという意味でも選択肢の1つになるでしょう。
任期付き公務員
弁護士の中には、任期付き公務員として官公庁等の国の機関で勤務している弁護士もいます。
金融庁や特許庁、公正取引委員会など選択肢は幅広くあります。その名の通り任期付きでの特別公務員となり、例外もありますが、基本的には3年程度勤務するケースが多いです。
任期付き公務員として勤務することで明確に自分の専門分野が確立されるため、キャリア形成の上でのメリットもあります。
また、昨今の円安の影響で経済的事情から海外留学が難しい弁護士も増えており、留学の代わりに任期付き公務員として勤務し、専門性をつけるといった方法を選ぶ人も少なくないです。
任期付きという条件はありますが、基本的にはワークライフバランスも良く、報酬も低くはないため、選択肢の一つとして検討しても良いでしょう。
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【転職理由別】弁護士におすすめの転職先
弁護士のよくある転職理由は4つ、「ワークライフバランス」「専門性」「年収、待遇」「ワークライフバランス」「人間関係」が挙げられます。
この章では、転職理由別におすすめの転職先をご紹介します。
専門性を高めたい弁護士におすすめの転職先
弁護士として専門性を高めたい場合は、「特定分野に専門性を持った法律事務所」がおすすめです。
すでに興味のある分野が明確な場合は、その分野に強いブティック系法律事務所を探しましょう。
また、現在所属している事務所から官公庁に出向する、もしくは任期付き公務員として官公庁で勤務するといった方法もあります。
官公庁で法律・規則の立案作業や、行政実務等の普段の弁護士業務とは違った立場で仕事をすることで、新たな目線の獲得や、特定の法領域への理解の深化につながるでしょう。
中には、官公庁での業務経験を経て、その専門分野に強い事務所に転職するという弁護士もいます。
さらに、一般企業に出向、もしくは転職するということも、専門分野を持つために有効です。
出向・転職先の企業の業界・業種に関する法律分野の専門性を高めることができ、依頼者の立場から企業法務に携わることで、ビジネスを会社の中から理解できるため、再度法律事務所に転職したり、独立開業したりする場合にも、同業のクライアントに対して深い理解をもとにリーガルサービスを提供できます。
専門分野を持つための方法は様々あるため、自らの状況・志向にあった選択が重要です。
年収を上げたい弁護士におすすめの転職先
転職によって年収を上げたい場合は、法律事務所が一般的な選択肢となるでしょう。
※日本弁護士連合会『基礎的な統計情報(2023年)』を参考に作成。
弁護士の働き方として年収が高い勤務先は、法律事務所と言われています。
インハウス弁護士として勤務する場合は、企業の給与テーブルに従うため、役員等になるケースを除いて、年収の上限が決まってしまいますが、法律事務所であれば、場合によっては億円単位の報酬を年間で得ることも可能です。
また、弁護士の収入源として無視できないのは「個人受任」による収入です。
現在勤める事務所が個人受任不可である場合、個人受任ができる事務所に転職することで、年間に稼げる金額を上げることが可能です。
個人受任を可能とする事務所は経費負担が3割程度であることが多いため、個人受任で年間300万円の売上があれば、約200万円の収入増が見込めます。
また、事務所によっては経費負担が1,2割ほどのケースや、まったくない場合もあるため、隠れた優良事務所を見つけることができれば、大幅に収入アップすることが可能でしょう。
ワークライフバランスを整えたい弁護士におすすめの転職先
弁護士がワークライフバランスを改善できる転職先は「一般企業」が代表的です。
弁護士はどうしても長時間労働になりがちで、若手のうちは体力もあり、経験を積むためにも多少の無理をすることはありますが、年齢を重ねたり、家庭を持ったりすることで働き方を見直したいという弁護士の方は多いです。
一般企業の場合、深夜や明け方まで及ぶような働き方はせずに、1日8時間程度の勤務時間となるケースが多いです。
フレックスタイム勤務やリモートワークを導入している企業も増えているため、生活に合わせて柔軟に働けることも魅力です。
一方、法律事務所の場合、事務所ごとに働き方は様々です。
法律事務所は忙しいというイメージが根強いですが、転職先によってはワークライフバランスを整えることは十分に可能です。
一般的に、企業法務を取り扱う法律事務所は忙しい傾向にあるため、一般民事系事務所、もしくは総合型事務所が選択肢として有力でしょう。
ただし、中には一般民事系事務所であっても忙しいケースや、企業法務系事務所であっても安定した働き方ができるケースもあるため、個々の事務所の運営方針を確認する必要があります。
人間関係の良好な職場で働きたい弁護士におすすめの転職先
人間関係の良好な職場への転職を目指す場合、事前の情報収集が重要です。
日本弁護士連合会の基礎的な統計情報(2023年)によると、実に97.8%の事務所が10名以下の人数で運営されています。
事務所規模 | 2023年 | 割合 |
---|---|---|
1人 | 11,299 | 61.8% |
2人 | 3,159 | 17.3% |
3~5人 | 2,623 | 14.4% |
6~10人 | 798 | 4.4% |
11~20人 | 261 | 1.4% |
21~30人 | 60 | 0.3% |
31~50人 | 40 | 0.2% |
51~100人 | 16 | 0.1% |
101人以上 | 11 | 0.1% |
合計 | 18,276 | 100.0% |
小規模な事務所の場合、他の弁護士や事務員との人間関係はきわめて重要な要素です。
ボス弁や兄弁・姉弁と考えが合わない、いわゆるお局さんのような事務員がいるといったことを理由に転職する弁護士も少なくありません。
転職先はインハウスでも法律事務所でも、人間関係の改善は期待できますが、同じ失敗を繰り返さないために転職エージェント等、第三者からの事務所・企業内部の情報提供を受けたうえで、転職活動を進めるべきでしょう。
そのエージェントから転職した人の実績があり、今でも活躍しているといった情報を持ったエージェントにお願いすれば、人間関係の改善による転職で失敗するリスクを低下させることができます。
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法律事務所への転職を成功させる3つのポイント
弁護士の転職成功には「事前準備」が重要です。
ここでは、法律事務所への転職を成功させるための重要な3つのポイントを解説します。
転職の目的にあった法律事務所を選ぶ
法律事務所への転職といっても、自分がどのような業務をしたいのかによって選ぶべき事務所が異なります。
「弁護士の主な転職先」の章で解説しているとおり、事務所によって担当する業務の幅や取扱案件も異なります。
転職先を選ぶ際には、事務所の規模や業務内容が自身のキャリア目標と一致しているかをしっかり確認することが、転職成功の鍵となります。
好印象を与える面接対策
法律事務所への転職を成功させるには、面接などの選考対策も重要です。
特に経歴が浅い弁護士の場合は、アピールできる実績が少ないため、面接で今後の伸びしろややる気をしっかりアピールすることが求められます。
具体的には、転職理由や志望動機をポジティブに伝えることが大切です。
たとえ現職に不満があったとしても、ネガティブな表現は避け、「新しい挑戦ができる環境で成長したい」といった前向きな理由に言い換えましょう。
また、面接の場では論理的に話すことを心がけ、弁護士としての資質をアピールすることもポイントです。
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徹底した法律事務所の情報収集
上記の2つのポイントを押さえるためにも、応募する法律事務所について十分に情報収集しておくことが必要です。
業務内容以外にも、事務所の雰囲気や働きやすさを知ることができれば、事務所選びに役立つだけでなく、面接での咄嗟の質問にも対応しやすくなります。
ただし、個人で行う情報収集には限界があり、事務所のホームページや募集要項だけでは、実際の雰囲気や働いている人の様子を把握するのは難しい場合もあります。
そのため、法律事務所の情報収集をより深く、より効率的に行いたい場合には、弁護士や法律事務所に精通した転職エージェントの活用も検討しましょう。
法律事務所での弁護士の役職・ポジション
法律事務所への転職を考えている方は、法律事務所内での弁護士の役職・ポジションについても把握しておくと良いでしょう。
ここでは、法律事務所での弁護士の役職であるアソシエイト弁護士とパートナー弁護士、またパートナー弁護士以外のキャリアパスであるオブカウンセルとナレッジローヤーについて解説します。
アソシエイト弁護士
アソシエイト弁護士とは、パートナー弁護士の業務を補助する弁護士のことです。
アソシエイトとはもともと仲間や一緒に働く人という意味の単語であり、その意味の通り、パートナーとして法律事務所の経営には関与していないものの、その法律事務所の看板を背負って、パートナー弁護士と一緒に働いている弁護士という意味です。
アソシエイト弁護士を複数名抱えるような中堅以上の法律事務所では、1つの案件が大型で、複数名の弁護士の力が必要なケースも多く、パートナー弁護士1,2名とアソシエイト弁護士2,3名程度でチームを組んで案件に取り組むことが多いです。(場合によっては1チームが10名以上のケースもあります)。
アソシエイト弁護士はパートナー弁護士の指導・監督のもと、案件の対応に必要な情報のリサーチや契約書等の書面のチェック・作成などを行います。
弁護士数が数十名以上の法律事務所の場合、所属するアソシエイト弁護士が多いため、「ジュニア・アソシエイト」と「シニア・アソシエイト」といった形で更に職位を分けるケースが多いです。
法律事務所によっても変わってきますが、おおむね弁護士経験5年ほどで「ジュニア・アソシエイト」から「シニア・アソシエイト」に昇格します。
パートナー弁護士
パートナー弁護士とは一般企業でいう役員に当たる立場であり、法律事務所の経営に関与している「経営弁護士」を指します。
法律事務所の場合はパートナー弁護士が案件を獲得するケースがほとんどのため、いわゆる営業も行う必要があります。
パートナーには弁護士としての経験や法律知識はもちろん、営業スキルや部下のマネジメントスキルも求められるため、弁護士として優秀なだけでなく、ビジネスマンとしての優秀さも必要です。
また、パートナー弁護士は自分の事務所に出資していることが一般的であり、弁護士業務としての売上以外に、出資金額に応じて、事務所の利益配分を受けることができます。
ただし、法律事務所の場合は必ずしもパートナー弁護士という役職を設ける必要はないため、複数の弁護士が共同経営している事務所でも、経営に関与している弁護士をパートナーと呼称しない場合もあります。(そもそも、パートナー制度を取り入れていない法律事務所もあります)。
上記の通り、パートナーというのは役職の名称のため、何名以上の法律事務所だとパートナーが必要などの決まりはありません。
傾向としては、数名の弁護士が所属する法律事務所の場合は、パートナー制度を導入しているケースはそこまで多くはなく、単純にトップの弁護士を代表弁護士(ボス弁)、それ以外の弁護士を所属弁護士といった風に呼び分けることが多いです。
逆に、十数名以上の弁護士が所属する中規模以上の法律事務所では、パートナー制度を取り入れているケースが多いです。
パートナーに昇格する年次は?
多くの法律事務所では、弁護士経験10年前後を目安にパートナーに昇格することが一般的です。
しかし、法律事務所によっては弁護士経験6~7年程度でパートナーに昇格するケースもあります。
比較的早い年次でパートナーに昇格できる事務所では、早期からクライアントとの直接のやり取りを経験できるため、弁護士として迅速にスキルアップできるというメリットがあります。
一方で、パートナーとして責任範囲も広くなるため、それだけのプレッシャーがかかる点も留意が必要です。
また、すべてのパートナーが必ずしも事務所に出資しているわけではなく、事務所によっては、昇格して間もないパートナーが「ノンエクイティ・パートナー」という出資を伴わない立場であるケースもあります。
その場合、出資を行い、事務所の経営にも関与しているパートナーを「エクイティ・パートナー」と呼ぶことが一般的です。
さらに、「ジュニア・パートナー」「シニア・パートナー」「マネージング・パートナー」の3段階に分かれている事務所も多く、ジュニア・パートナーとして経験を積み、シニア・パートナーに昇格し、その後さらに経験を深めてマネージング・パートナーに昇格する流れが一般的です。
このように、パートナー制度は事務所ごとに運用方法が異なります。
そのため、転職する際には、①パートナー制度の有無、②昇格までの年次の目安、③パートナーに求められる責務などを確認することで、入所後のキャリアを具体的にイメージしやすくなるでしょう。
オブカウンセル
オブカウンセルは、事務所によって立場が異なります。
法律事務所の特別顧問のようなポジションのケースもあれば、パートナーでもアソシエイトでもない所属弁護士を指すこともあります。
後者の一例としては、例えば家庭を持っている弁護士などで、時間的制約があるものの、弁護士としては一流の人がいるとします。
そうなると、他のパートナーと同水準で売り上げることは難しいため、パートナーに昇格させるには昇格基準に満たないが、その人が退所すると事務所としては痛手になるという、板挟みの状況が発生します。
その際に、オブカウンセルというポジションに就任してもらい、お互いがWin-Winな関係でいられる配慮をすることがあるのです。
この場合、業務上はパートナーの案件にアソシエイトと一緒にアサインされるケースが多いですが、パートナーとしてはチームにオブカウンセルがいてくれると非常に心強いです。
ナレッジローヤー
ナレッジローヤーとは、その名の通り事務所の知識管理を担当する弁護士です。
主な役割は、法律情報を整理し、アクセスしやすくすることで、事務所全体の効率を高めることにあります。また、新しい法律や規制の変更についていち早くキャッチアップし、事務所のスタッフを教育するという重要な役割も担っています。
日本ではまだあまり普及していないポジションではありますが、外資系の法律事務所を中心に広がりつつあります。
時に法律事務所では、法律以外のノウハウが必要なケースもあります。
例えば、M&Aのスキームを構築する際に、過去に似たような事例を取り扱っていれば、ゼロからスタートするよりも効率的に対応できます。
そういった文書化されることなかったノウハウを整理・蓄積し、法律事務所にノウハウ・知識の番人として存在するポジションが、ナレッジローヤーです。
【弁護士×法律事務所】の求人情報
アジア最大手の外資系法律事務所
仕事内容 |
アソシエイト~パートナー候補 ・M&A ・バンキング・ファイナンス ・証券/キャピタルマーケット ・プライベートエクイティファンド ・コーポレート/競争法 ・コンプライアンス ・クロスボーダー投資 ・事業再生/倒産 ・不動産 ・人事・労務 ・競争・貿易・各種規制 ・紛争解決と訴訟 、国際仲裁 など |
必要な経験・能力 |
弁護士 |
想定年収 |
800万円 ~ 2,000万円 |
医療分野に強みを持つ法律事務所
仕事内容 |
・医療事故事案処理 ・医療機関からの各種相談 ・損保会社からの各種紹介案件処理等 ※個人受任可 |
必要な経験・能力 |
・弁護士(70期以降を想定) ※インハウス経験のみの方もご応募下さい |
想定年収 |
650万円 ~ 750万円 |
法律事務所への転職成功事例
ブティック系法律事務所から五大法律事務所への転職成功事例
- Kさん(20代/男性)資格:弁護士
- 転職前:ブティック系法律事務所
- 転職後:国内大手法律事務所
Kさんは、ブティック系法律事務所で金融法務を担当していましたが、将来のキャリアを見据え、より幅広いスキルを身につけたいという思いから転職を決意しました。
年収を維持しながら新しい環境での成長を目指し、当社に相談にいらっしゃいました。
転職活動では、経験を活かせる国内大手法律事務所のポジションに絞り、金融法務の専門性が評価されて順調に内定を獲得しました。
年収アップとスキルの幅を広げるという目標を達成されました。
総合型法律事務所からブティック系事務所へ転職
- Xさん(30代/男性)資格:弁護士
- 転職前:総合型法律事務所
- 転職後:ブティック系事務所
総合型法律事務所で一般民事から企業法務まで幅広く経験を積んできたXさん。
弁護士としてのキャリアを重ねる中で、専門領域を確立していきたいと考え、転職活動を開始しました。
Xさんは労働法を自分の専門分野にしたいという強い意志を持っており、所長先生も労働法領域で著名な事務所をご紹介いたしました。
他にも法律事務所への転職成功事例は「弁護士の転職成功事例」をご確認ください。
一般企業(インハウスローヤー)への転職成功のポイント
一般企業(インハウスローヤー)への転職には、法律事務所とは異なる視点が求められます。
当事者意識が重要
インハウスローヤーとして企業で働く場合、法律事務所の弁護士が企業を見る視点とは異なり、企業の一員として経営方針や事業目標にコミットする姿勢が求められます。
単に法律相談を行うだけでなく、リスク管理やビジネスの成功に貢献する「当事者意識」を持って業務に取り組む姿勢が重要です。企業の一員として主体的に関わる姿勢をアピールすることで、企業側の評価を得やすくなります。
年収にこだわりすぎない
インハウスローヤーの転職では、必ずしも法律事務所と同水準の年収が期待できるわけではありません。
一般的に、企業側の年収は法律事務所よりも低めのケースが多いため、年収面だけにこだわらず、働きやすさやキャリアの幅を広げることに重点を置くことも大切です。
企業内での安定した働き方やキャリアの成長を視野に入れ、年収以外のメリットも考慮して転職先を選ぶことが成功のポイントです。
応募企業に合わせた履歴書・職務経歴書
インハウスローヤーへの転職では、応募書類の内容も企業向けに工夫が必要です。
企業の採用担当者は必ずしも法律の専門家ではないため、履歴書や職務経歴書には、簡潔かつ分かりやすい表現で自分の経験を伝えることが大切です。
特に職務経歴書では、応募企業の業務内容に関連する経験を中心に記載し、企業法務の経験を強調すると評価されやすくなります。
また、担当してきたクライアントの企業規模や業種に触れつつ、具体的な業務内容を明確にすることで、企業との親和性をアピールできます。
【弁護士×一般企業(インハウスローヤー)】の求人情報
平均残業20Hスタンダード上場の法務
仕事内容 |
・契約書作成 ・コーポレート法務 ・コンプライアンス対応 ・株主総会対応 ・リーガルリスクマネジメント ・戦略法務 ほか |
必要な経験・能力 |
弁護士資格 ※司法修習生や、一般民事経験のみの方も歓迎 |
想定年収 |
530万円 ~ 910万円 |
SaaS系スタートアップベンチャーの法務
仕事内容 |
・新規ビジネス立ち上げ支援 ・パートナーシップ締結の支援 ・投資家からの資金調達における法的観点での支援 ・契約書レビュー(業務委託契約・NDA等) ・コーポレートガバナンスの構築/運用 ・社内規程のドラフト/レビュー ・従業員向けのコンプライアンス教育 など |
必要な経験・能力 |
弁護士資格 ※以下いずれか必須 (法律事務所での法務経験・事業会社での法務経験) |
想定年収 |
1,000万円 ~ 1,200万円 |
一般企業(インハウスローヤー)への転職成功事例
一般民事系事務所から一般企業への転職成功事例
- Oさん(30代/男性)資格:弁護士
- 転職前:民事系法律事務所
- 転職後:業界大手メーカー
Oさんは、地方の民事系法律事務所で幅広い法律案件を経験していましたが、知見を広げるために首都圏でのインハウスローヤーを志望し、転職を決意しました。
当初、企業法務の経験不足が課題となりましたが、転職への情熱と事業理解への努力が評価され、業界大手メーカーから内定を獲得しました。
年収も120万円アップと大幅に増加し、新たな環境でのキャリアをスタートされています。
企業法務系事務所から一般企業への転職成功事例
- Aさん(40代後半/男性)
- 転職前:企業法務系法律事務所(パートナー)
- 転職後:東証スタンダード上場企業
Aさんは、企業法務系法律事務所のパートナーとして幅広い業務に携わっていましたが、案件の波による仕事と収入の不安定さから、安定した環境を求めてインハウスローヤーへの転職を決意しました。
転職活動の末、安定した業績と手厚い福利厚生のある東証スタンダード上場企業でありながら、副業もできる企業に入社を決めました。
転職活動では、優先順位を明確にし、継続性と収入の安定を実現できる企業法務のポジションを見事に獲得されています。
他にも一般企業への転職成功事例は「弁護士の転職成功事例」をご確認ください。
【年代別】弁護士の転職成功のポイント
大学在学中に予備試験に受かるケースなどを除くと、弁護士になる資格を取得できる頃には20代半ばを過ぎている人が大半です。
では、弁護士の就職・転職に年齢はどのような影響を与えるのでしょうか。
20代は「ポテンシャル」重視!
上述の通り、そもそも弁護士資格を取得できるのは早くて20代半ばの人が多いため、20代に関しては就職・転職で年齢がネックになることはまずありません。
法律事務所が採用を検討する場合、年齢よりもポテンシャルを重視します。
このポテンシャルという点で何を見るかは事務所によって様々であり、司法試験の合格順位や学歴を基準にするケースもあれば、そういったところは関係なく、コミュニケーション能力や向上心などを重視する事務所もあります。
また、20代の場合は転職理由も重要です。弁護士になってから数年程度で転職活動をするため、採用する事務所側はなぜ転職したいのかを掘り下げて確認します。
その際に、明確な転職理由を答えられない、現職(前職)の不満ばかりを言ってしまうといったミスをしないよう、転職理由は事前にしっかりと整理して、転職エージェント等の第三者からアドバイスを受けることも重要です。
30代は「実務経験」をアピール!
30代の場合は弁護士になった年齢によって、経験年数は様々ですが、同期の弁護士と比較されることが増えてきます。
30代前半~半ばであれば、転職先の事務所で即戦力として活躍できる必要は必ずしもありませんが、30代後半になってくると、一般民事事務所から企業法務事務所に転職するなど、キャリアの路線を大きく変えるハードルは高くなってきます。
キャリアの方針を変更するのであれば、できるだけ30代の早いうちに自らの興味・関心のある分野を固めて、その方向でキャリア構築をしていくことがおすすめです。
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40代は「自分だけの強み」で差別化!
40代の弁護士で、実務経験を重ねてきた人であれば、自らの経験を活かし、活躍できるフィールドを選ぶことは難しくないでしょう。
しかし、法律事務所は一般の企業と違ってその内情があまり世間に知られていないことも多々あります。
採用面接時に聞いていた話と違う、といった事態を防ぐためには、転職エージェントなどの法律事務所に詳しい人に相談してみると、リスクを低下させることができるでしょう。
それでは、40代で、実務経験が2~3年ほどしかない場合はどうでしょう。
弁護士としての業務経験ではアピールできる要素が少ないので、転職を成功させるには、経験以外の要素でも勝負しなければなりません。
では、40代の弁護士は「新米」ではいけないのか?というと、そのこと自体はまったく問題ないです。
かつて2004年に法科大学院制度を日本に導入した本来の目的は、法律ジャンル以外の学問を修得し、別の領域で社会人経験を重ねた人々を法律実務家として積極的に登用していき、多様な視点やスキルを持つ法曹を育てていくことであるからということが挙げられます。
そのため、異業種から法科大学院を目指し、司法試験に挑戦して、見事高い壁をクリアした方はむしろ誇るべきであると言えます。
40代で法律分野での実務経験が少ない弁護士の場合、転職活動時には、法学部からストレートに法科大学院へ進んだタイプの弁護士にはない、別のフィールドでキャリアを積んできた強みやアピールポイントを的確に伝えることが大切です。
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ここまでご紹介した通り、弁護士の転職では「何歳までにすべきか」という年齢制限はないと言えるでしょう。
近年は人手不足が深刻化し、転職市場全体的に転職者が有利な売り手であり、弁護士だけでなく、一般的な職業においても、ミドル・シニア層の転職が増えています。
しかし、年齢が上がるに伴って保有知識、経験などを厳しく評価されるため、年齢に相応するスキルを身に着けましょう。
転職で年収アップを狙うには
弁護士が転職を考える際に、年収は重要な要素です。 ここでは、転職による年収アップの可能性について解説します。
転職で年収を上げるには、条件の良い法律事務所や企業の求人を狙う必要があります。
一般的に、大手や外資系の法律事務所は高い報酬を提供しているケースが多く、また大規模案件を扱う経験からスキルも磨かれ、年収アップが期待できます。
転職の際には、自分の専門性を活かせる職場や待遇の良い勤務先を見つけるために、転職エージェントを活用して入念な企業研究を行うこともポイントです。
弁護士の転職におすすめの時期はある?
法律事務所の場合
法律事務所の弁護士の転職時期を「シーズン(季節)」という視点で見るのであれば、基本的に求人が特別に増減する時期があるわけではありません。
特にすでにキャリアを重ねている弁護士については、各法律事務所などが案件の増加や欠員の補充などを理由に求人を出しており、通年で求人を出しているか、欠員のタイミングだけ求人を出すケースがほとんどだからです。
その一方、弁護士の転職時期を、準備に要する「タイミング(期間)」という視点で検討すると、転職予定の時期から3〜4か月前ぐらいから準備を進める必要があるとされます。
利害関係の多い仕事柄、思い立ったときにそれほど自由に職場を離れるわけにはいきませんし、弁護士の面接官はパートナークラスの弁護士が担当するケースが多いので、面接日程の調整にも時間を要する可能性が高いからです。
インハウス弁護士(企業内弁護士)の場合
インハウス弁護士の転職時期を「シーズン(季節)」という視点で見た場合、3月から4月にかけて求人が増える傾向はありますが、他の月と比較して、そう大きく求人数に差はないため、インハウス弁護士の転職においても、季節要因はあまり考慮しなくてもいいでしょう。
準備に要する「タイミング(期間)」という視点では、インハウス弁護士の場合は選考回数が複数回設けられることが多いため、一次面接から内定まで1カ月前後の時間を要する場合も少なくありません。
また、インハウス弁護士は、訴訟などの利害関係がある業務を扱っていない場合もありますが、企業にとっては弁護士が退職することは大きな痛手になるため、条件交渉や部署異動を提案され、引き止められるケースもあります。
これらの事情を考慮すると、インハウス弁護士の場合も転職予定の時期から、3〜4か月前ぐらいから準備を進める必要があるでしょう。
いずれにしても、計画的に余裕を持って転職活動を行うことが重要です。
- ・転職のための求人を含む情報収集
- ・内定を得るための転職活動
- ・今の職場での引き継ぎ活動
この3段階を適切に進めるためにも、焦らず丁寧に準備を進める必要があります。
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弁護士の転職に学歴は影響する?
学歴に関しては、基本的にはそこまで影響は大きくありませんが、一部の法律事務所ではみられるポイントです。
例えば、五大法律事務所のような大手法律事務所では出身大学やロースクールも少なからず選考要素になるでしょう。
また、同様に受験回数や試験成績は選考要素として影響しない事務所もありますが、人気の高い企業法務系事務所などでは、明言はしていませんが事務所独自の選考基準があることも否定できない事実です。
こういった情報はもちろんホームページなどには記載されていないため、事務所の内情に詳しい転職エージェントも活用しながら、自分が合格できる可能性のある法律事務所に応募していくという戦略も必要です。
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検察官から弁護士として転職することは可能?
年次によって求められる経験や資質は違いますが、検察官が法律事務所に転職し、弁護士になることは十分に可能です。
「弁護士白書2023」を見ると、直近では検察官・裁判官がそれぞれ40~60名程度登録していることが分かります。
具体的には、元検察官は以下の強みを法律事務所から評価されることが多いです。
紛争案件に強い
ヤメ検は元検察官として、検察の動きや裁判所の意向を熟知していることが一番の強みです。
検察官が不利になるような弁護活動も身をもって理解しているだけに、逆にさまざまな場面で有利な状況をつくり出しやすいでしょう。
また、訴訟のプロセスそのものに精通している点も強みになります。
例えば企業法務を中心に扱っている大手事務所では、訴訟経験があまりない弁護士も意外と多いです。
そういった事務所では、訴訟・紛争案件に慣れている元検察官の要点を抑えた訴訟対応ができる能力は非常に心強いのです。
安心感、ポテンシャルの高さ
検察官は、超難関の司法試験に上位の成績で合格した人が多い傾向です。
ヤメ検はそのような優秀さと希少性を兼ね備えており、公的機関での経歴も含めて、依頼人からの信用を得やすいことも特徴です。
また、若手の弁護士を採用する際に、法律事務所は司法試験成績を参考にするケースも少なくないので、司法試験の成績が高いほど高いポテンシャルを秘めていると評価され、転職時は有利になります。
裁判官から弁護士として転職することは可能?
裁判官になるためには、難関の司法試験に合格すること、成績が優秀であることの2点が重要です。
特に後者については、裁判官の仕事は読み書きがメインであり、起案能力などは非常に高い水準が求められることから、裁判官においては成績が重視される傾向があります。
このような背景より、法律事務所がアソシエイトを募集する際には、その事務所で取り扱っている特定の案件の経験がない、もしくは少ない応募者であっても、元裁判官のキャリアを持つ人材はポテンシャルを持った人材であると評価され、転職に成功する可能性は十分にあるといえます。
ただし、裁判官は評価が高い一方で、転職がうまくいかない場合もあります。
その理由としてまず挙げられるのが、裁判官対象の求人そのものが少ない点です。
司法試験の合格者の中で裁判官になる人は極めて少なく、その数は全体の数パーセントに過ぎません。
そのため、法律事務所側が元裁判官からの応募をあまり想定しておらず、求人として顕在化しずらいという状況が生じています。
裁判官向けの求人は少なく、転職難易度が高いため、検討する際は転職エージェントを利用するといいでしょう。
転職エージェントは法律事務所とのネットワークを持っており、その事務所の求める人材を理解しているため、例え裁判官出身者が応募条件にない事務所でも、エージェントから事務所に逆提案することも可能です。
弁護士の転職におすすめの転職エージェントの選び方は?
弁護士が転職エージェントを選ぶ際のポイントを紹介します。
特化型エージェントか総合型エージェントか
弁護士業界に精通した「特化型エージェント」は、業界知識や専用の求人情報を提供するため、弁護士向けのサポートに優れています。
一方、業種を問わず幅広い求人を扱う「総合型エージェント」では、より多様な転職先を検討することが可能です。
弁護士向けの求人数が豊富か
求人数が多いほど希望に合う求人に出会えるチャンスが広がります。
特に弁護士に特化したエージェントでは、弁護士向け求人が充実しているため、希望に合った求人を見つけやすくなります。
サポートの充実度とスカウト機能
転職活動に不安がある場合は、職務経歴書の作成サポートやキャリア相談会など、充実したサポートを提供するエージェントを選びましょう。
また、スカウトサービスが利用できるエージェントでは、企業からの直接オファーも期待でき、効率的に転職活動を進められます。
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【弁護士×転職】のよくある質問
法律事務所で、個人受任をした場合の経費負担はどのくらいですか?
経費負担の割合は、事務所規模や考え方によって異なりますが、2~3割が一般的です。
面接では、経費負担の割合に加えて、設定された根拠も確認することをお勧めします。
経費負担の割合が低い事務所は、個人受任を奨励するところが多く、割合が高い事務所は、事務所の案件に積極的に取り組んで欲しいと考えているケースが多い印象です。
インハウスへの転向を考えていますが、業界による業務の違いがあれば教えてください
大きく、金融機関とその他の業界では差異があります。
金融機関では、法務部のみならず、フロントやミドルの部門に弁護士が在籍し、商品設計や審査部門、投資銀行部門などで活躍しています。
その他の業界では、ほとんどの企業内弁護士が法務部門に所属し、契約法務や訴訟、コンプライアンス業務等を取り扱っています。
また、事業内容によっては日々関わる法律にも差異があります。
メーカーであれば下請法やPL法等がメインですが、サービス業等ではあまり目にすることはないでしょう。
司法試験に向けた勉強との親和性を考えれば、不動産や建設等は割と親しみやすいかもしれません。
司法試験の合格順位は、就職活動でどの程度影響するのでしょうか?
司法試験の合格順位の選考上の影響度は、法律事務所と一般企業によって異なります。
法律事務所では、複数の弁護士を比較検討して採用するため、司法試験の合格順位の影響は少なからずあります。
特に比較対象の候補者が多い、大手法律事務所や人気の法律事務所は、より合格順位が高いほど選考上で有利に働く可能性が高いです。
一方で企業の場合は、必ずしも複数の弁護士を比較検討するわけではないので、司法試験の合格順位よりも、語学力や人物面の相性などの要素を重視する傾向があります。
まとめ
当記事ではMS-Japanの転職エージェントサービス「MS Agent」をご利用いただいた弁護士の方にご相談いただくことが多いトピックを中心にまとめました。
転職の悩みは人それぞれであり、自身の価値観や現状、将来設計に基づいたキャリアプランを考えることが重要です。
弁護士のように専門性の高い職業についている方は、転職活動時はもちろん、転職を本格的に考えていない時であっても、今後のキャリア形成についてしっかりと考えておく必要があります。
MS Agentには弁護士の転職に精通したアドバイザーが在籍しており、当記事では紹介しきれなかったような転職活動の悩みに対しても、しっかりとお話を聞かせていただき、今後のキャリアプランを一緒に考えさせていただいています。
どのような転職状況においても、弁護士の方に対して無料のキャリアカウンセリングを実施しておりますので、お気軽に今後のキャリアについてご相談ください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。
会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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