2024年11月13日

人事異動を機に退職は可能!退職の進め方や、面接で伝える退職理由の例文など

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企業の一員として働いている以上、誰もが人事異動を避けることはできません。
しかし、これまで経験したことがない部署への異動や、地方への転勤を指示された場合、人事異動を拒否したいと考える人は少なくないでしょう。

人事異動を理由とした退職は認められるものの、退職後のことを考えて行動しなければ、次回の転職活動や面接で不利に働く可能性があります。 この記事では、人事異動を理由とした退職手続きの進め方や、面接時に困りがちな退職理由の伝え方について解説します。

人事異動は原則拒否できない

企業で働く以上、正社員は人事異動を拒否することができません。
企業には、労働組合から不当な要求を突き付けられたり、理不尽な譲歩を迫られたりしたときに主張できる「経営三権」というものがあります。

業務命令権 使用者が労働者に対し、業務に関する事項について命令できる権利
人事権 使用者が、労働者の人事につき処遇を決定できる権利
施設管理権 使用者が、社内の建物・設備を管理して、侵害されるのを排除する権利

上記の権利のうち、人事異動に関する権利は人事権に分類され、企業は労働者に対して懲戒や解雇・配置命令などの権利を持ちます。
パート・アルバイトスタッフの場合は、職域や勤務先が限定されることがほとんどですが、雇用契約書に人事異動がある旨が記載されている場合は、異動命令の拒否は難しくなります。

自分がどんなに望まない異動であっても、正当な理由がない中で拒否してしまうと、それは命令違反ということになります。
そのため、降格・減給のみならず、懲戒解雇という形で処分されるおそれがあります。

懲戒解雇となる大きなリスクとして、次回の転職が難しくなること・失業手当の受給が不利になったりすることなどがあげられます。
そのため、人事異動を拒否したい場合は、その人事異動が拒否できるものなのかどうか判断した上で、状況によっては自己都合退職も視野に入れる必要があるでしょう。

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拒否できる異動とは

自分が不本意な人事異動の対象となった場合は、いきなり退職を考えるのではなく、まずはその人事異動を「拒否」できないかどうか考えてみましょう。
以下にご紹介するケースに関しては、正当に人事異動を拒否できる可能性があるからです。

雇用契約書の内容に反した異動

雇用契約書を取り交わした際に、契約内容の中で職種や勤務エリアが限定されている場合、その範囲外で異動を命じるのは雇用契約違反です。
雇用契約書の中で人事異動に関する記載があったとしても、職種・勤務エリアに関する契約内容が優先されるため、その場合は異動を拒否する正当な理由になり得ます。

育児や介護が困難になる勤務地への異動

従業員に小さな子供がいたり、家族の中に親の介護が必要な人がいたりする場合は、その従業員の人事異動が育児・介護休業法第26条に抵触する可能性があります。
異動により従業員の受ける不利益が大きい場合で、企業に便宜を図る意思がないものと判断されれば、異動拒否もあり得るでしょう。

給与が減額される異動

従業員側に問題がないのに、異動を理由として給与が減額されることは、基本的にありません。
基本的には異動と同時に昇給・昇格となるケースが多く、例えば職種の変更・異動先の最低賃金といった都合では、従業員の賃金は下がりません。
よって、自社の賃金制度を確認した上で、給与が減額される理由が見当たらないようなら、異動拒否に問題はありません。

パワハラや嫌がらせなどによる異動

人事異動の中には、残念ながら従業員への嫌がらせを目的とした、パワハラ的異動も存在します。
実務経験がまったく活かせない部署への異動や、通勤に支障が出るほど遠方への異動に関しては、企業が合理的理由を説明できなければ不当な動機が疑われます。
このケースでは、異動拒否の他に慰謝料を請求できる場合もあります。

性別や妊娠などを理由とした異動

男女雇用機会均等法第9条において、女性労働者の結婚・妊娠・出産を理由とした退職は認められない旨が明示されています。
結婚・妊娠・出産した女性につき、直接的に退職させるのではなく、退職させる目的で異動を命じることも違法です。

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「納得できない人事異動」を理由に退職することは可能

先にご紹介した「拒否できる異動」の例に該当した場合以外、つまり正当な人事異動の対象となってしまった場合は、それを拒否することは難しいのでしょうか。
結論から言えば、自分が納得できない人事異動を理由として、退職すること自体は可能です。

ここで重要になるのが、自分がどうしても受け入れられない・納得できない異動に関しては、自己都合退職になるケースがほとんどだということです。
自己都合退職は、会社都合退職に比べて退職の理由を柔軟に検討できるメリットがある反面、失業給付金を受け取れるタイミングが遅くなってしまうなどのデメリットもあります。

自己都合退職は、退職金の減額にもつながるため、すべての人におすすめできる選択肢とは言い切れません。
納得できない人事異動を理由に退職する場合は、自己都合退職にともなうデメリットを理解した上で、最終的な判断を下す必要があります。

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人事異動による退職の進め方

拒否できる異動に該当しない形で人事異動が決まり、その内容に納得できない場合は、自分で退職届を出して退職の意向を伝える方法があります。
しかし、いきなり退職してしまうと周囲に迷惑をかけてしまう恐れがありますから、職場に配慮したスケジュールを立てることが大切です。

以下、退職時の基本的なステップをご紹介します。

退職に向けたスケジュールを立てる

退職することを決めたら、まずは現在の職場で退職しやすいタイミングを検討し、転職予定日を設定します。
その上で、大まかな退社時期と転職活動期間を決めます。

転職活動にかける時間は、1ヶ月~2ヶ月を想定しておき、短期決戦で臨むようにしましょう。
転職活動への時間がかかってしまうと、なかなか決まらない焦りから、判断力が落ちてしまうおそれがあるため注意してください。

転職エージェントに登録し、転職活動のスタートを切る

スケジュールを立てたら、転職エージェントに登録します。
仕事をしながら自力で転職に関する情報を集めようとすると、かなり時間がかかってしまうため、転職エージェントのサポートを受けつつ案件を探すのが効率的です。

退職の意思を直属の上司に伝える

退職したいと思ったら、まず直属の上司に伝えます。
直属の上司が話を聞いてくれない場合は、さらに上の役職者や人事に連絡する方法もありますが、トラブルに発展するリスクもあるため注意が必要です。

ポイントは、上司が理由なのではなく、人事異動が問題であったことを冷静に伝えることです。
愚痴に近い表現を聞かされると、あまり良い顔をされないのは当然ですから、伝え方を工夫しましょう。

退職届けを提出後、承認を得て退職日を決める

企業にもよりますが、退職届けは退職が正式に認められてから提出するのが一般的です。
退職の1ヶ月~2週間前を目途に、直属の上司に手渡しします。

書式はパソコン・手書きのいずれでも構いませんが、手書きの修正は基本的に認められないので、会社のフォーマットを使ってパソコンで作成するのがよいでしょう。
理由は「一身上の理由により」で構いません。

業務引継ぎを行い退職する

引継ぎを進める際は、進捗状況・後任者・業務フローなどを資料としてまとめておくと、後任者に親切です。
欲を言えば、関係先の情報・トラブルになったケースなどをリスト化しておくと、後任者はこれから携わる仕事について理解を深められます。

周囲へのあいさつが必要な場合もありますから、段取りは早めに決めておくことをおすすめします。
その後、退職日を迎えたら、ロッカーや机などをチェックして忘れ物がないようにします。

貸与品は、後日郵送する場合と、退職日にまとめて引き取ってもらう場合があります。
あらかじめ、貸与品のリストなどを人事等からもらい、自宅にあるものも含め準備しておきましょう。

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【例文】面接で退職理由を伝える時はどう説明したらいい?

面接の場で、自分が前職を退職した理由を伝える際、どう説明すればよいのか悩んでしまう人も多いでしょう。
その際は、自分の立場で考えるよりも、応募先の担当者が何を考えているのかにフォーカスして表現を工夫することが大切です。

転勤・異動に対応できない場合

転勤・異動に対応できない場合は、その機会をポジティブにとらえた回答を心がけましょう。
家族がいる場合は、家庭の事情にからめながら説明します。

<例文1(会計事務所への転職)>
前職では東京の本社で経理を担当していましたが、北海道エリアで営業担当としての勤務が決まったことをきっかけに、自分のキャリアをあらためて見直しました。自分自身、日商簿記1級に合格したタイミングでもあったことから、思い切って会計の分野を究めようと考え、貴所を志望いたしました。

<例文2(家庭の事情)>
前職で転勤が決まったタイミングで、母がくも膜下出血により倒れてしまい、転勤に対応するのが現実的でない状況となりました。母の体調が改善するまで転勤そのものは見送りというお話でしたが、この件を機に転勤のない職場で勤務したいと考えるようになり、今回応募いたしました。

<例文3(キャリア構築)>
前職ではIoT開発を担当していましたが、経営方針が変わってローカル5Gのチームに加入することが決まり、異動を機に今後のキャリアを考えた結果、やはりIoT開発の分野で働きたいという気持ちが強まりました。

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まとめ

人事異動そのものは、正社員として基本的に拒否できるものではありませんが、自らの意思で退職・転職することは可能です。
また、契約内容に違反しているなどの理不尽な理由であれば、正当に拒否できる場合もあります。

退職することを決めた後は、転職エージェントに登録して、転職活動を並行して進めることも大切です。
周囲とスケジュールをすり合わせながら、退職後に間を置かず転職できるよう準備しましょう。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

町田 梓

大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。企業側を支援するリクルーティングアドバイザーとして約6年間IPO準備企業~大手企業まで計1,000社以上をご支援。
女性リクルーティングアドバイザーとして最年少ユニットリーダーを経験の後、2019年には【転職する際相談したいRAランキング】で全社2位獲得。
2021年~キャリアアドバイザーへ異動し、現在はチーフキャリアアドバイザーとして約400名以上ご支援実績がございます。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 法律・特許事務所 ・ 役員・その他 ・ 社会保険労務士事務所 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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