2024年09月27日

企業内弁護士(インハウスローヤー)に転職する際に知っておきたいこと 法律事務所勤務の弁護士と比較!

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給与を得て安定的に働くことができる立場の弁護士として、企業内弁護士(インハウスローヤー)と、法律事務所の勤務弁護士(アソシエイトローヤー)があります。この記事では企業内弁護士(インハウスローヤー)の情報を中心に解説しつつ、両者の違いや共通点などもお伝えいたします。弁護士のあなたはどちらに向いているか、考える際の参考になればと思います。

企業内弁護士(インハウスローヤー)とは?

企業内弁護士(インハウスローヤー)とは、企業の社員として雇用される弁護士のことです。尚、一般企業に限らず、公的機関や公的法人など、法律事務所以外の組織に属している弁護士を含めて組織内弁護士とし、こちらも同様にインハウスローヤーと呼ばれます。会社員(職員)として勤務し、法務を中心とした業務及び、法務部門の統括・訴訟対応などを行うことが主な業務内容です。会社によって業務内容は様々で、法務部の機能の延長線上にインハウスローヤーの業務がある場合や、紛争・訴訟対応など弁護士のみが対応できる業務を任せているケースがあります。
以下は、一般的なインハウスローヤーの業務内容です。

書類関連業務

契約書や規約のレビュー・作成、およびこれらの書類管理業務は一般企業の法務部の重要な業務内容です。大手の企業では日々数件~数十件に及ぶ書類関連業務が発生するため、インハウスローヤーが社内でチェックすることで外部に委託するよりもスピーディーにビジネスを展開できます。
現在はAIによる契約書レビューソフトを導入している事例も増えましたが、正確性や信頼性の観点から弁護士のレビューを必要とするケースはいまだ多いです。

コーポレート業務

法務として株主総会や取締役会など各種会社法上の手続が要求される場面での業務にも対応します。
上記に限らず、経営管理全般において法務が必要な場面ではインハウスローヤーが活躍するケースが多く、こういった業務経験は一般の法務部員(弁護士以外)にとってはなかなか経験することがないため、法律事務所で一般企業の顧問をした経験がある弁護士が重宝される分野です。

危機管理(クライシスマネジメント)

昨今のコーポレートガバナンスやコンプライアンスの引き締め、大手企業の不祥事により、注目・需要が高まっている分野です。日々の業務上でのリスクマネジメント・コントロールはもちろん、不祥事が発生した際の聞き取り調査や外部の弁護士との連携、第三者委員会の設置やとりまとめなどを行います。

M&A

M&Aにおける法務DDはインハウス弁護士の腕の見せ所の一つです。また、昨今はM&Aの需要も高まっているため、法律事務所でM&A案件を取り扱った経験のある弁護士は非常にニーズが高く、法務DDのみならずタスクフォースの初期から参画し、M&Aスキームの検討などから関与するケースも少なくありません。
インハウス弁護士ならではと言えるのは、買収対象の選定といった上流工程からM&Aの戦略・実行まで一貫して関われる点であり、外部弁護士とはまた違った面白味が感じられるでしょう。

新規事業

新規事業の適法性についての検証・助言もインハウス弁護士の重要な役割です。これは社内の事業といった単位に限らず、合弁会社の設立等、新しく始める事業全般に対しての法的助言も含まれます。

事業部門とのコミュニケーションが必要な場面も多く、場合によってはロビーイングなども行うケースがあるため、コミュニケーション能力や折衝力が必要な分野です。

紛争解決

社内の弁護士のみで対応するケースは多くありませんが、企業間紛争やクレーム等が紛争に発展した場合には、社内の担当者として外部の法律事務所との窓口を行うケースもあります。一般の法務部員の場合、紛争や訴訟関連の業務に関わる機会はあまりないため、訴訟の流れ、紛争解決のノウハウを持っている弁護士が窓口として法律事務所とやり取りを行うことで、スムーズな問題解決へとつながります。

上記以外にもインハウスローヤーの行う業務は様々ありますが、これらが企業がインハウス弁護士に求める代表的な業務例になります。

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弁護士が企業内弁護士(インハウスローヤー)に転職する方法

企業内弁護士(インハウスローヤー)に転職したい際は、下記のとおり、紹介またはエージェントから勤務先を探すことになるでしょう。

企業内弁護士(インハウスローヤー)からの紹介

→企業内弁護士(インハウスローヤー)を雇っている大手企業では、人材増加を目的に、紹介制で社員を募集している企業もあります。

紹介のメリットとしては、時間をかけずに内定につながる可能性がある点です。

条件が合い仕事を任すことができそうだと判断されれば、募集のタイミングで声をかけてもらえる可能性があるのでエージェントを活用することに比べると内定まで時間を要さないケースが多いです。

転職エージェントを活用する

→もうひとつは、弁護士の転職に特化した転職エージェントを活用することです。

転職エージェントを活用するメリットとして、転職活動開始から内定まで、サポートを受けれることはもちろん、契約上などのトラブルを防ぐことができる点も大きなメリットです。弁護士の場合、直接応募や紹介などで勤務先を決定する場合もありますが、勤務条件や今後のキャリアプランについて各個人との口約束になる場合もあるので、トラブルを未然に防ぐためにも転職エージェントを通すことが安全です。

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もちろん、求人サイトで直接応募する方法や、スカウトを受ける方法などもありますが、弁護士がインハウスに転職する際にはあまりおすすめとは言えないでしょう。
理由としては、弁護士業務の理解度は企業によって異なるためです。すでに社内に弁護士がいる場合は問題ありませんが、初めて弁護士を採用する場合や新しく法務部門を立ち上げる場合には、弁護士の業務についてあまり詳しくない採用担当者が面接や選考を行う場合が一般的です。
選考段階のコミュニケーションミスによって、入社後の条件相違や希望業務とのギャップが生まれてしまう可能性があるため、弁護士がインハウスローヤーに転職する際には弁護士業務について詳しい知人(すでにインハウスで勤務している弁護士)や専門のエージェントを介すことをおすすめします。

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企業内弁護士(インハウスローヤー)の需要が高まっている背景

近年、企業内弁護士(インハウスローヤー)の需要は高まってきています

理由としては以下が挙げられます。

・コンプライアンス意識の強化

→昨今、世間的にもコンプライアンス意識が高まってきており、法務リスクに対応するために企業法務のスキルが求められています。

・企業のグローバル展開

→国際的な取引や海外進出の際に、海外基準の法的ルールに基づき対応する必要があるため、企業内で迅速に対応できる能力の高い企業弁護士が求められています。

・国際競争力が高まっている

→企業の国際競争力が高まっているので、高いレベルで国際業務をこなせる人材が求められています。海外弁護士資格を有する人材は高いニーズがあり、大手企業では留学支援制度なども整備している場合があります。

・新しい技術を使ったビジネスを展開している企業が増えてきている(NFT関連など)

→自社商材の保護をしなければいけないため、体系的に法律を学んできた弁護士を自社で雇用して、何かがあったときに速やかかつ確実な回答に導きたい企業が増えています。

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企業内弁護士(インハウスローヤー)と法律事務所勤め弁護士(アソシエイトローヤー)との違いは?

給与の支給元の違い

企業内弁護士(インハウスローヤー)と法律事務所勤め弁護士(アソシエイトローヤー)の違いのひとつは、給与の支給元です。

企業内弁護士(インハウスローヤー)は、会社から仕事をいただき、会社から給与をいただきます。仕事の出所と報酬の支払い元が一致しています。仕事内容が大きく変化することもありませんが、その分、安定した職場環境に恵まれます。

一方で、法律事務所の弁護士は、多種多様な人々から法律相談を受けたり、さまざまな個人・法人のクライアントから依頼を受けたりすることで、法律的業務を遂行します。
クライアントから直接仕事を受ける場合もありますが、アソシエイトローヤーの場合はパートナーがクライアントから受けた仕事を手伝うことで、パートナーから業務委託報酬を得るケースが一般的です。

つまり、勤務弁護士は法律事務所の外部、もしくはパートナーから仕事をいただき、依頼元から業務委託報酬をいただく立場です。様々な立場のクライアント・パートナーから、様々な案件が持ちかけられるため、業務内容は変化に富んでいます。たとえ、その法律事務所が専門分野を持っていて、依頼内容や相談内容がある程度絞り込まれたとしても、業務内容には多様性があります。

業務内容の違い

また、業務内容も企業内弁護士と法律事務所勤め弁護士では異なります。

企業内弁護士(インハウスローヤー)は、所属する企業が抱えている法課題を解決することに専念できますが、法律事務所勤務の弁護士(アソシエイトローヤー)は、多種多様な案件に関わることができることが特徴です。
よって、一つの企業で専念して働きたいと思う方は、企業内弁護士(インハウスローヤー)として勤務する方は向いているといえます。一方で様々な人・案件に関わって働きたいと思う方は法律事務所に勤める方が向いているでしょう。

共通点としては、企業内弁護士と法律事務所に勤める弁護士は、いずれも毎月安定的な給与を得ることができる立場であり、経営からは距離を置いて仕事を行うことができる面があります。

どちらも働くメリット・デメリット、個人の向き・不向きがありますので、両方の特徴を理解し、適正に合った勤務先を探していきましょう。

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企業内弁護士(インハウスローヤー)と法律事務所勤め(アソシエイトローヤー)のメリット・デメリットの比較

<企業内弁護士(インハウスローヤー)のメリット>

・腰を据えて働くことができる
・インハウスローヤーは少ないので、出世して役員待遇となる可能性もある

<企業内弁護士(インハウスローヤー)のデメリット>

・仕事内容が代わり映えしない

企業内弁護士(インハウスローヤー)の場合は、ほとんどの場合は法務部を設置しているような大企業に勤務することになるでしょう。よって、給与も比較的高い水準で安定して受け取れますし、福利厚生が充実しており、ワークライフバランスも保ちやすい傾向があります。これらの理由から、腰を据えて働くことができる点が企業で働くメリットです。

まだまだ一般企業に勤める弁護士は少ないので、出世して役員待遇となる可能性もあることも特徴のひとつです。CLO(最高法務責任者)などの主要ポストに抜擢されることもありえます。

企業内弁護士(インハウスローヤー)は、仕事内容があまり代わり映えしない可能性もあります。それは人によっては、仕事が覚えやすくて感情の起伏が起こりにくく、メリットだと感じる人もいます。ただ、変化に乏しくて退屈に感じたり、自己成長の機会が少ないと感じたりするためデメリットとして受け止める人もいるでしょう。

<法律事務所勤め弁護士(アソシエイトローヤー)のメリット>

・給与水準が高い
・リーガル案件に集中して取り組める環境が整っている

<法律事務所勤め弁護士のデメリット>

・クライアントの属性が様々である

法律事務所の勤務弁護士も、給与水準が高い場合が多いでしょう。また、法律事務所の経営に直接関わるわけではなく、クライアント獲得にそれほど躍起になる必要もない立場であることが大半でしょうから、案件に集中して取り組める環境が整っています

他方で、さまざまな背景を持つ複数のクライアントを並行して抱えることになります。いろんな立場の人々の見方となり、さまざまな相手と対峙します。生活困窮者の代理人をしたかと思えば、1時間後には大富豪の主張を代弁していることもあるでしょう。そのような業務内容の多様性を楽しめる弁護士にとってはメリットですが、立場や主張の切り替えが難しい人にとっては、デメリットかもしれません

企業内弁護士と、法律事務所勤務弁護士、いずれも社会から求められる需要は高まっています。常に自己研鑽を怠らず、他に替えの利かない存在になれれば、将来にわたっても仕事に困ることはないでしょう。

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あなたに合った働き方は、どっち?

あなたに合った働き方は、どっち?企業内弁護士(インハウスローヤー)は、ある特定の組織に愛着があり、その組織の利益のために邁進できる人が向いています。所属する組織の利益になるよう、法的な構成を考え、もし法的に不利であれば、その組織に向けて積極的に改善のアドバイスをおくれる存在になることができます。組織に所属しながらも、その組織を客観的な立場から見つめる視点も必要です。

法律事務所の勤務弁護士(アソシエイトローヤー)は、従来型の弁護士のイメージに近いですが、将来にわたって社会的な需要があることは間違いありません。さまざまな人々から相談や依頼を持ちかけられても、それを面倒だと思わずに、むしろ多様な立場を楽しめる人が向いています。人生の壁にぶつかって精神的に追い詰められている依頼人を救って、直接感謝の言葉をもらえることも醍醐味です。

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まとめ

企業内弁護士(インハウスローヤー)と法律事務所勤務弁護士(アソシエイトローヤー)は、いずれも安定的な給与や待遇を得ながら仕事を行えますが、その仕事の獲得状況や進め方などは大きく異なります。それぞれに求められる適性はありますが、向いていなければお互いに転身することが可能ですので、まずは思うがままに、いずれかの世界へ飛び込んでみましょう。

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