企業内弁護士(インハウスローヤー)の年収は?年収を下げずに転職する方法や求人例など



法律事務所での激務に限界を感じ、企業内弁護士(インハウスローヤー)への転職を検討する弁護士は一定数存在しています。
しかし、企業内弁護士への転職において、「年収」を不安視する方も多いでしょう。
この記事では、企業内弁護士の年収に焦点を当て、年収を下げずに転職する方法や求人例などをご紹介します。
弁護士全体の平均年収は918万円
2023年6月~2024年5月において、士業・管理部門特化型転職エージェント「MS Agent」に登録している弁護士のデータから算出した、弁護士全体の平均年収は918万円です。
同データにおける、年齢別の年収の平均値・中央値は以下の通りです。
年齢 | 平均値 | 中央値 |
---|---|---|
~29歳 | 783万円 | 720万円 |
30~34歳 | 822万円 | 775万円 |
35~39歳 | 907万円 | 830万円 |
40~44歳 | 1,035万円 | 1,000万円 |
45歳~ | 1,172万円 | 1,030万円 |
全体 | 918万円 | 840万円 |
企業内弁護士の平均年収は933万円
日本組織内弁護士協会のデータから見る企業内弁護士の年収
まず、日本組織内弁護士協会のデータから、企業内弁護士の年収について紐解いていきましょう。
「組織内弁護士の男女別年収アンケート集計結果(2024年8月実施)」によると、企業内弁護士の年収分布は、以下の通りです。
年収 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
500万円未満 | 4人 | 1.3% |
500万円~ 750万円未満 |
35人 | 11.3% |
750万円~1,000万円未満 | 68人 | 21.9% |
1,000万円~1,250万円未満 | 70人 | 22.5% |
1,250万円~1,500万円未満 | 46人 | 14.8% |
1,500万円~2,000万円未満 | 43人 | 13.8% |
2,000万円~3,000万円未満 | 23人 | 7.4% |
3,000万円~5,000万円未満 | 15人 | 4.8% |
5,000万円以上 | 7人 | 2.3% |
合計 | 311人 |
また、年代別にもっとも多い年収ゾーンの割合は、それぞれ次の通りです。
年代 | 年収 | 割合 |
---|---|---|
20代・30代 | 750万円~ 1,000万円未満 |
男性32.9% 女性40.6% |
40代 | 1,000万円~ 1,250万円未満 |
男性36.6% 女性30% |
50代以上 |
1,250万円~ 1,500万円未満 (男性) 1,500万円~ 2,000万円未満 (女性) |
男性27.8% 女性34.6% |
上記の結果から、企業内弁護士は、総じて経験年数に応じて年収が増えていることが分かります。
また、別のデータ「企業内弁護士に関するアンケート集計結果(2024年3月実施)」では、勤務先の業種や1日の平均的な勤務時間の割合が、以下の通り公表されています。
勤務先の業種
業種 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
メーカー (家電、自動車、化学、医薬品、機械等) |
102人 | 36.8% |
金融 (銀行、証券、保険等) |
43人 | 15.5% |
IT (情報通信、ネットワークサービス等) |
43人 | 15.5% |
その他 | 89人 | 32.1% |
1日の平均的な勤務時間
勤務時間 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
8時間未満 | 38人 | 13.7% |
8時間~9時間未満 | 110人 | 39.7% |
9時間~10時間未満 | 82人 | 29.6% |
10時間~12時間未満 | 37人 | 13.4% |
12時間~14時間未満 | 9人 | 3.2% |
14時間以上 | 1人 | 0.4% |
上記の結果から、「メーカー勤務の企業内弁護士が多いこと」、「平均的な勤務時間もそれほど長くない中で高収入を実現していること」が分かります。
【参考URL】
・
日本組織内弁護士協会 ダイバーシティ研究会『組織内弁護士の男女別年収アンケート集計結果(2024年8月実施)』
・
日本組織内弁護士協会『企業内弁護士に関するアンケート集計結果(2024年3月実施)』
「MS Agent」のデータから見る企業内弁護士の年収
次に、「MS Agent」のデータから企業内弁護士の年収を見ていきましょう。
「MS Agent」の調査データによると、企業内弁護士の平均年収は「933万円」です。
法律事務所の平均年収である「895万円」と比較して40万円弱の差が見られます。
また、中央値においても、企業内弁護士が900万円、法律事務所は800万円と、100万円もの差がついています。
企業内弁護士の年収が高い一因として、企業内弁護士として働く弁護士の年齢層が挙げられます。
同データの年齢別業種割合を見ると、「29歳以下」と「30~34歳」においては過半数が法律事務所で働いていますが、「35~39歳」以降は企業内弁護士の割合が逆転しています。
法律事務所で得た実績と知識を元に、一般企業へ転職し、高年収を得ている企業内弁護士の存在が平均年収を押し上げていると考えられるでしょう。
企業内弁護士と法律事務所の弁護士はどっちが良い?
企業内弁護士として働くべきか、それとも法律事務所で働くべきかを判断するためには、年収以外の複数の要素を比較検討することが大切です。
具体的には、次の要素を比較検討してから、転職を決断することをおすすめします。
比較項目 | 企業内弁護士 | 法律事務所 |
---|---|---|
年収 | 安定した給与額、および昇給が見込める半面、努力に応じて一気に年収を増やすような働き方は難しい。 | 自らのスキル・経験、こなす案件数によって、早期の年収アップが期待できる一方、激務になることも少なくない。 |
働き方 | 定時、または1日1〜2時間ほどの残業で業務が終わる傾向にあり、プライベートの時間を確保しやすい。 | クライアントを優先するスタンスで仕事をすることから、長時間勤務・休日出勤も珍しくない。 |
福利厚生 | 総じて福利厚生は手厚い傾向にあり、インセンティブ・ストックオプションといった形で報酬が得られるケースも。 | 大手法律事務所を除いては最低限といったところだが、報酬に上限がないことを魅力に感じる弁護士もいる。 |
キャリアパス | 法務部の役職者を目指したり、他の管理部門や経営に携わるポジションを狙ったりできる。 | 大手法律事務所はパートナーを目指すことができる。小規模事務所は、明確な基準がないケースや一定以上から弁護士仲間や独立採算制へ移行するケースなど、代表の方針によって異なる。 |
上記について大まかにまとめると、ワークライフバランスや福利厚生を重視するなら企業内弁護士を、収入を追いかけるなら法律事務所を選ぶイメージになるでしょう。
年収を下げずに企業内弁護士に転職する方法
法律事務所での勤務は、自分の努力次第で年収が青天井だと言えるでしょう。
対して企業内弁護士は、年収水準は高いものの、昇給の幅が決まっている傾向です。そのため、法律事務所に勤務するよりも生涯年収が下がってしまうのではないかと、不安に思う人も多いはずです。
年収を下げずに企業内弁護士に転職したい場合は、次の方法を試してみることをおすすめします。
管理職・管理職候補の求人に応募する
弁護士資格を保有し、企業法務の実務経験がある人材を採用するにあたり、多くの企業はハイクラス人材にふさわしいポストを用意しています。
企業内弁護士を採用するポストは、管理職や管理職候補に集中している傾向にあるため、マネジメントスキルをアピールすると良いでしょう。
これまでの経験が活かせる分野を選ぶ
いくら高年収の求人だったとしても、これまで自分が培ってきた経験を活かせない求人に応募していた場合、内定獲得に至ることは難しいでしょう。
これまでの経験や培ってきたノウハウが活かせる分野の企業を探し、その中から法律事務所で働いていた頃の年収に近い条件の求人に応募するのがよいでしょう。
特化型転職エージェントを利用する
弁護士が仕事を抱えながら転職活動を行うことは、決して簡単なことではありません。転職したいと考えていても、転職活動に時間と労力を割けない弁護士も多いでしょう。
激務の中でも、納得のいく転職先を見つけるためには、転職エージェントのサポートを受けることがおすすめです。
弁護士などの「士業」と、法務などの「管理部門」に特化した転職エージェントであれば、企業内弁護士の転職市場に精通したキャリアアドバイザーが在籍しています。最新の転職市場動向について情報収集ができるだけでなく、希望条件に合った求人の紹介や応募書類の添削、面接対策など、さまざまな転職サポートを無料で受けることが可能です。
面接日程の調整や内定後の条件交渉まで代行してもらえるため、効率的に転職活動を進めることができるでしょう。
高年収を期待できる企業内弁護士の求人事例
ここでは、弊社MS-Japanが運営する士業・管理部門特化型転職エージェント「MS Agent」で取り扱う企業内弁護士の求人例をご紹介します。
知名度◎な不動産・建築企業の不動産・建築
仕事内容 |
・法務相談対応 ・訴訟法務対応 ・訴状・申立書、支払督促書類などの作成、手続き ・人事/労務トラブルの法的支援、管理 など |
必要な経験・能力 |
・弁護士資格 |
想定年収 |
1,000万円 ~ 1,800万円 |
IPO準備中美容系企業の企業内弁護士
仕事内容 |
・契約書・広告レビュー ・反社チェック ・リスク・コンプライアンス委員会(定期) ・IPOにおける証券会社対応 ・新規事業の起案段階における法務整理 など |
必要な経験・能力 |
・日本法弁護士資格(弁護士費用は会社負担) |
想定年収 |
800万円 ~ 1,500万円 |
東証プライム日本大手信販会社の社内弁護士
仕事内容 |
・契約書等のリーガルチェック(基本的に和文) ・社内の各種法律相談への対応 ・新規事業の適法性チェック ・訴訟対応(社外弁護士と共同) ・法令改正等への対応 など |
必要な経験・能力 |
・弁護士資格 |
想定年収 |
800万円 ~ 1,300万円 |
ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。このほかの求人は下記ボタンから閲覧可能です。
また、無料会員登録により、条件を満たす方にのみ紹介できる非公開求人をご紹介できます。
企業内弁護士への転職成功事例
次に、「MS Agent」を利用して、企業内弁護士への転職を成功させた事例を2つご紹介します。
「即戦力が認められポジションアップで転職」Iさん(45歳・男性)
- 転職前:ベンチャー企業 年収1,000万円
- 転職後:証券会社 年収1,200万円
Iさんは不動産のベンチャー企業で企業内弁護士として活躍していましたが、業績の変動が大きい関係上、予定収入よりも下回る状況が続いていました。
そこで、現在の職場よりも安定している企業を目指して転職活動を始めました。
新しいことへのチャレンジを重視していたIさんですが、入社当初の年収がダウンする可能性が高く、入社後に多くの知識をキャッチアップする必要がありました。
そこで、弊社からはIさんの強みである金融商品取引法の知識を活かせる企業をおすすめしました。
チャレンジは非常に刺激的で良いことですが、40代以降の転職は、即戦力としてのスキル・知識が求められ、水準に達していなければ評価を得ることはできません。
最後の転職先を考えるにあたって、実力を発揮できる環境なのかをしっかりと見極めることが大切です。
最終的に、Iさんは中堅の証券会社の内定を獲得し、入社を決意されました。面接で金融商品取引法の知識と経験をアピールしたことで、募集ポジションよりも高い職位での採用となりました。
このように、マネジメント層にあたる40代の転職では、キャリアの棚卸を十分に行って自分の強みや専門性を理解し、企業が即戦力として魅力を感じられる形でアピールできるように準備しておくことが重要です。
「英語力を活かして年収130%アップ」Aさん(30代前半・女性)
- 転職前:小規模の法律事務所、年収:500万円
- 転職後:大手グローバル企業、年収:650万円
Aさんは2つの法律事務所で一般民事案件を担当していましたが、企業法務分野に携わりたいと考えていました。
しかし、実務では携わる機会が少なかったため、企業内部から業務に関われる企業内弁護士への転職を決意して転職活動を始めました。
Aさんが得意とする英語力を活かして、グローバル企業への転職を目指しました。
製造関係の企業に絞って転職活動をし、無事に大手グローバル企業から内定を獲得し、入社を決断されました。
転職活動当初のAさんは、法律事務所勤務の経験しかなく、企業法務の経験がないことに不安を感じていましたが、弊社からは弁護士の市場価値の高さをお伝えしたことで、新たなチャレンジに踏み切ることができました。
そのほかの転職成功事例は、下記リンクの弁護士の転職成功事例一覧からご覧ください。
【弁護士の転職成功事例】
弁護士の転職成功事例をカテゴリ別にチェック!
まとめ
企業内弁護士の年収は、MS Agentのデータにおいて、法律事務所で働く弁護士よりも高いという結果が出ています。
事業会社は、福利厚生などの待遇も整備されているため、ある程度年齢を重ねてから安定収入・昇給を目指す弁護士にとって、企業内弁護士という働き方はメリットが大きいと考えられるでしょう。
ただし、企業内弁護士は誰にとっても理想的な職場であるとは限りません。求めるキャリアや働き方、年収額によって最適な選択肢が異なります。
自分の未来に迷ったときは、弁護士の転職に精通したキャリアアドバイザーが在籍している「MS Agent」にご相談ください。
- #インハウス弁護士
- #インハウス弁護士の年収
- #インハウス弁護士と法律事務所勤務の違い


この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、新卒でITベンダーに入社し、営業としてエネルギー業界のお客様を担当。その後、損害保険会社で法務業務に従事。
キャリアアドバイザーとしてMS-Japanに入社後は、法務、弁護士、法科大学院修了生などリーガル領域を中心に担当。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 法律・特許事務所 ・ 役員・その他 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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