弁護士の「年齢」と「転職・就職」の関係は? 年齢別にポイントを解説



日本の転職市場では、年齢が上がるほど転職の選択肢が狭まると一般的に言われていますが、弁護士の転職でも同じ傾向があるのでしょうか。
弁護士は難関国家資格を持つ専門職ですが、転職・就職において年齢はどのような影響を与えるのか、気になる方も多いはずです。
この記事では、弁護士の転職・就職における年齢の影響や、年代ごとの転職のポイントを詳しく解説します。
弁護士の転職・就職で年齢は重視される?
「35歳限界説」は弁護士の転職市場には適用されない
結論から言うと、弁護士の転職・就職市場では年齢は重視されません。
一般企業では35歳を超えると転職が難しくなる「35歳限界説」が一般的ですが、弁護士の転職市場にはこの考え方は当てはまりません。
その理由の一つが、弁護士になるまでのキャリアステップにあります。
一般企業では、新卒入社のタイミングが20代前半であることが通例です。
しかし、司法試験の合格者の平均年齢は20代後半であり、その後、司法修習や実務経験を積んでいくと、自然と30代半ばに差し掛かります。
そのため、弁護士業界では35歳でも若手とみなされ、転職市場においてもニーズが高いのが現状です。
むしろ弁護士の場合、「35歳は限界」どころか、30代後半も売り手市場だと言えるでしょう。
司法試験合格者の平均年齢自体が高い
弁護士の転職市場で年齢が問題になりにくいもう一つの理由は、司法試験合格者の平均年齢が高めであることです。
以下は、直近5年間の司法試験合格者の平均年齢です。
試験年度 | 合格者平均年齢 |
---|---|
2024年 | 26.9歳 |
2023年 | 26.6歳 |
2022年 | 28.3歳 |
2021年 | 28.3歳 |
2020年 | 28.4歳 |
このデータを見ると、弁護士としてキャリアを開始する年齢は、一般的に新卒として就職する年齢よりも高いことがわかります。
そのため、弁護士業界において「年齢が高い=転職が不利」という概念は成り立ちにくいのです。
年齢の高さが武器になる場合も
一般的な転職市場では、若さが将来性として評価されやすい傾向にあります。
しかし、弁護士業界では年齢を重ねることで培われた経験や知識が強みとなり、むしろ市場価値が高まるケースが多くあります。
弁護士としての転職市場で年齢がプラスに働く理由として、以下の2つが挙げられます。
経験値の高い弁護士が評価される
弁護士の転職市場では、年齢を重ね、実務経験を積むほど評価が高まる傾向にあります。
法律知識だけでなく、これまでの案件で培った交渉力や対応力が強みとなり、即戦力としての価値が上がるからです。
さらに、弁護士としての経験に加え、社会人としての経験も重要な評価ポイントになります。
クライアントの立場や心情に寄り添うためには、法律知識だけでなく、幅広い社会経験を通じて培ったコミュニケーション力が求められるからです。
年齢とともに増す「貫禄」
弁護士は、クライアントにとってトラブルの相談相手であり、解決を託す存在です。
そのため、ビジネスの場では第一印象が大きな影響を与えることも少なくありません。
クライアントの視点から見ると、若手弁護士よりも、ある程度年齢を重ねた弁護士のほうが経験豊富で頼りになる存在と映ることが多いでしょう。
外見に貫禄があり、実績を積んだ弁護士は、クライアントに安心感を与え、信頼を勝ち取りやすいのです。
【年齢別】弁護士の転職・就職のポイント
弁護士の転職・就職において、求められるスキルやキャリア戦略は年代ごとに異なります。
ここでは、年代別に転職成功のポイントを解説します。
20代弁護士の転職
20代で弁護士として活動している人は、短期間で司法試験に合格しており、それ自体が優秀な証明となります。
そのため、転職市場でも高いニーズがありますが、実務経験や社会人経験の少なさが課題となることもあります。
面接などでは、短期間で合格したポテンシャルや、弁護士としての成長意欲・熱意をアピールすることが重要です。
また、人柄や柔軟性など、弁護士としての適性を示すポイントも積極的に伝えましょう。
30代弁護士の転職
30代の弁護士は、転職市場の中心的存在ともいえます。
30代弁護士はニーズが高く転職先の選択肢の幅は広いため、将来的にどのようなキャリアを積みたいのかを考え、自分に合った転職・就職先を選ぶ必要があります。
「専門的な経験・スキルを得るためにブティック型法律事務所に転職する」「法律事務所から企業内弁護士へと働き方を変える」など、様々な選択肢に恵まれる年代ですが、今後のキャリアプランを見据えた上で転職活動を進めましょう。
また、20代と比べて社会人経験も積んでいるため、法務スキルに加え、ビジネス視点を持っていることをアピールできると、さらに評価が高まるでしょう。
40代弁護士の転職
40代の弁護士が転職する場合、30代以上に比べ、これまでの実績をアピールすることが重要です。
もちろん弁護士としての実務経験をアピールできることが望ましいですが、30代後半~40代になってから弁護士になった人の場合、弁護士になるまでの社会人経験も強みとなります。
今までの社会人経験が弁護士業務でどのように活かせるのか、また採用後にどのように貢献できるのかを、具体的に伝えましょう。
ただし、40代は中堅としての立場となるため、「組織を引っ張っていきたい」などの意気込みが強すぎると逆効果になることもあります。
採用側に、「他の弁護士と円滑に協力できるのか?」という不安を与えないよう、協調性を意識した発言や姿勢を心がけることが重要です。
50代弁護士の転職
一般企業において、50代の転職は大幅な年収ダウンを覚悟する必要があるでしょう。
しかし、弁護士業界では、自身の経験・実績が応募先のニーズと合致していれば、即戦力として年収アップの転職も期待できます。
転職活動では、自身の経験・実績を活かせる求人を見つけることが重要です。
また、経験豊富な弁護士は、社外取締役や非常勤監査役、個人受任など、働き方の選択肢が増える年代でもあります。
これまで付き合いのあった弁護士や取引先など、長年培ってきた広い人脈を生かして好条件での転職を目指す方法もあるでしょう。
【転職・就職先別】年齢よりも重視されるポイント
弁護士の転職・就職で重視されるポイントは、転職・就職先ごとに異なります。
ここでは、転職・就職先別に年齢よりも重視されるポイントをご紹介します。
法律事務所への転職・就職で重視されるポイント
法律事務所では、扱う案件の分野によって重視されるポイントが異なります。
企業をクライアントとする企業法務系法律事務所では、弁護士としての経験・実績だけでなく、業界知識も問われます。
外資系企業や海外に進出している企業が多い場合は、語学力も必要になるでしょう。
一方、個人を対象とする一般民事系法律事務所では、クライアントの心情に寄り添えるコミュニケーション力や人間性、社会人としての経験などが評価されます。
また、近年はIT分野での経験・知識が高く評価される傾向です。
企業法務系法律事務所では、システム開発に関連した契約・紛争やIT技術の知的財産権をめぐるトラブルなど、一般民事系法律事務所では、プライバシーの侵害やSNSの悪用によるトラブルなどの対応ニーズが高まっています。
こうした問題に対処できる弁護士へのニーズが高まっています。
インハウスローヤーへの転職・就職で重視されるポイント
弁護士がインハウスローヤーとして働く場合、企業に所属する従業員として勤務するため、協調性が求められます。
また、社内で他部門の従業員と連携する調整力や、社外で起きたトラブル処理で相手側企業の弁護士とやり取りをするための交渉力などは必須と言えるでしょう。
法律事務所ではクライアントである企業や個人の法的トラブルの対応がメインですが、インハウスローヤーの場合、自社の利益追求を第一に考えて業務に取り組みます。
特に法律事務所から転職する場合は、これらの点を意識して面接に臨みましょう。
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まとめ
弁護士の転職市場は、一般企業とは異なり、年齢そのものによる影響は少ない傾向にあります。
転職市場の通説である「35歳限界説」にも当てはまらず、40代・50代での転職も可能です。
ただし、転職・就職活動で抑えておきたいポイントは年代ごとに異なるため、今回ご紹介したポイントを参考にしてください。
転職・就職活動に不安がある方や希望条件に合う求人がなかなか見つからない方、現職が多忙で転職・就職活動に不安のある方は、ぜひ「MS Agent」にご相談ください。
- #弁護士転職
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、新卒で国内外の通信サービス事業の会社に入社し店舗運営・人材育成に従事。
MS-Japanに入社後は、キャリアアドバイザーとして企業の管理部門、会計事務所などの士業界への転職支援を担当
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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