【サンプル付き】弁護士向け履歴書・職務経歴書の作成のコツ
転職活動において、履歴書や職務経歴書の作成は、多くの方が不安に感じるポイントの一つです。
たとえ難関国家資格を持つ弁護士の方でも、特に初めての転職活動や未経験業界への転職活動の場合は、多くの方が悩み、実際に多くの弁護士の方から書類作成に関するご相談をいただきます。
そこで本記事では、1人で転職活動をしてきたけれど履歴書・職務経歴書の作成で悩んでいる弁護士の方向けに、基本的な書類の書き方から、書類選考で評価が上がるポイントまでを解説します。
弁護士の転職における履歴書・職務経歴書の重要性
弁護士という難関国家資格を持つからこそ、「履歴書や職務経歴書はそれほど重要ではない」と考えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、転職市場では、弁護士であっても書類の書き方一つで選考の合否が決まる可能性があります。
履歴書と職務経歴書の違い
転職活動において、履歴書と職務経歴書はどちらも欠かせない書類ですが、それぞれの役割には明確な違いがあります。
まずは、それぞれの役割を理解し、応募するポジションに最適な形で書き分けることが重要です。
履歴書の役割
履歴書は、応募者の基本的なプロフィールをまとめた書類です。
氏名や住所、学歴、職歴、保有する資格など、客観的な情報を記載することで、採用担当者に応募者の基本的な人物像を伝えます。
フォーマットは定型化されており、記入項目が決まっているため、簡潔で正確な情報を記載することが求められます。
職務経歴書の役割
一方、職務経歴書は、これまでの職務経験や実績を詳細に記載し、自己PRするための書類です。
職務経歴書には定型フォーマットがないため、自身の強みや実績を自由にアピールできる一方で、アピール内容に一貫性や具体性が求められます。
職務経歴書を通じて、採用担当者は応募者が企業の求めるスキルや経験を持っているかどうかを判断します。
転職の競合も弁護士だからこそ履歴書で差別化を
弁護士という資格は、もちろん転職市場での大きな強みです。
しかし、弁護士同士が競合する場合、弁護士資格だけでは優位に立つことは難しくなります。同じ求人に応募する人たちも、当然ながら弁護士資格を有しており、専門的な知識や経験も豊富だからです。
そのため、採用担当者は「資格の有無」だけでなく、「どのような人物か」「どのような経験を積んできたか」という点で選考の合否を判断します。
履歴書や職務経歴書は、その重要な人物像を伝えるツールです。
あなたがどのような弁護士として活躍してきたのか、どんな強みや実績を持っているのか、さらには志望企業でどのように貢献できるのかを明確にアピールする必要があります。
弁護士資格を持つことは共通のスタート地点に過ぎず、その上で他の候補者とどう差別化できるかが、書類選考の成否を大きく左右するのです。
弁護士の「履歴書」作成のポイント
履歴書は採用担当者にあなたの基本的な情報を正確に伝えるための重要な書類です。
一般常識と感じる部分もあるかもしれませんが、履歴書の作成は一期一会ですので、基本的な項目ほど丁寧に作成し、自身のスキルや経験を適格に伝えられるようにしましょう。
写真
顔写真は、採用担当者がまず目にする部分です。
多くの企業ではキャリアを重視して採用が検討されますが、第一印象を重視する担当者もいるため、最低限「履歴書用の証明写真」で「スーツ姿」の写真を履歴書に貼り付けましょう。
写真を好印象に仕上げるには、できれば証明写真機ではなく、写真館での撮影をおすすめします。
プロによる適切なライティング(明るさの調整)やアングルでの撮影が期待でき、お気に入りのカットを選んだり、自然な修正をしてもらえるなどのメリットがあります。
学歴・職歴
学歴を記入する場合、高校から記載すると、その分だけ職歴欄を増やせます。飛び級で法科大学院に進学している場合は、次のように記載しましょう。
例:
○○大学 法学部 中退(▲▲法科大学院 飛び級合格のため)
また、司法修習については記載の義務はありませんが、記載する場合は、次のように職歴欄の最初に書きます。
例:
20××年 12月 司法研修所入所(第○○期)
20○○年 12月 司法修習終了
職歴欄については、転職回数に応じて記入する事務所や企業の数が変わります。
職務経歴書と照らし合わせて、同じ事務所や企業数を記載すれば問題ありません。
下書きの段階で職歴欄が余る場合は、それぞれの職場で担当した業務や役職について簡単に記述すると良いでしょう。
例:
20▲▲年 4月 ○○法律事務所入所
海外進出支援を中心に、M&A案件・渉外案件などを担当
免許・資格
弁護士として履歴書に免許・資格を記入する際は、必ず正式名称で記載しましょう。
弁護士の転職においては、司法試験や修習期に関する情報が重要視されるため、以下の内容を明確に記載することが推奨されます。
・司法試験予備試験や司法試験の合格年度
・司法修習生の期数(例:第○○期)
また、事務所側や企業が求めるスキルに応じて、ビジネスや法律に関連する資格があれば記載しましょう。
特に英語力が重視されるポジションでは、TOEICや他の英語関連の資格を取得していれば、それも記載してください。TOEICスコアは800点以上だと好印象を与えることが多いです。
例:
20××年 9月 司法試験合格(選択科目:○○法)
20○○年 12月 弁護士登録(第○○期)
20○○年 3月 TOEIC公開テスト 800点取得
趣味・特技
趣味・特技は、法律に関連する内容でも、それ以外の内容でも構いません。
重要なのは、採用担当者に自分の性格や人柄を伝えることです。趣味や特技がどの程度得意であるかや、具体的な活動内容を書くことで、より印象に残るアピールができます。
ただし、ギャンブルなど採用担当者に悪い印象を与える可能性がある内容は避けましょう。
趣味・特技欄を通して、応募者の人柄や価値観が見られることが多いので、慎重に選んで記載することが大切です。
趣味が面接での話題につながることもあるため、採用担当者が共感しやすい内容や、弁護士業務にプラスに働く特技をアピールするのも良い方法です。
志望動機
志望動機は、採用担当者に対して「なぜその職場を選んだのか」を伝える重要な部分です。
法律事務所や企業、官公庁など、応募先によって動機は異なるため、応募先の特徴や役割に応じた具体的な理由を記載しましょう。
例えば、ある法律事務所が取り扱う案件やその事務所の業務方針に共感した場合は、その点を強調すると良いでしょう。
志望動機は、自分のこれまでの経験やスキルと実務を絡めることで、より説得力が増します。
自分がどのようにその職場で貢献できるのかを具体的に説明し、採用担当者に「この人材が我が社にマッチする」と感じてもらうことが理想です。
弁護士の「職務経歴書」作成のポイント
職務経歴書は、これまでの経験やスキルをアピールするための重要な書類です。
弁護士としてのキャリアを最大限に活かし、応募先に応じた適切な職務経歴書を作成することが、選考の鍵となります。
職務要約
職務要約は、これまでのキャリアを簡単かつ明確にまとめ、採用担当者に一目であなたの経験や強みを伝えるための重要な部分です。
具体的には、3〜5行程度で、応募先の職務に関連するスキルや実績を中心に記載しましょう。すべての職歴を網羅する必要はなく、応募先にとって魅力的に感じてもらえるポイントに絞ることが大切です。
例えば、企業法務や一般民事の案件に対応してきた弁護士であれば、応募先に合わせて特定分野の経験を強調することで、選考を有利に進めることができます。
短いながらも、あなたが弁護士としてどのような価値を提供できるのかを示す要約にしましょう。
職務経歴
職務経歴の項目では、これまでのキャリアで担当した具体的な業務や実績を詳しく記載し、応募先に関連性の高い経験をアピールすることが重要です。
時系列で記載することが一般的ですが、最新の職務を優先的に詳細に書くことで、あなたが現在どのようなスキルを持っているのかが伝わりやすくなります。
特に、担当した案件の規模や業種、役割など具体的な情報を記載することで、採用担当者があなたのスキルを把握しやすくなります。
例えば、企業法務であれば、M&Aの支援や契約書のレビュー、国際取引案件など、取り扱った業務の詳細とその成果を明記しましょう。可能であれば、数字を用いて成果を示すと、さらに効果的です。
例:
・20××年4月〜20××年3月 ○○法律事務所にて勤務
企業法務部門で、年間約50件の契約書レビューを担当
大手製造業のM&A案件において法務サポートを実施し、プロジェクトを成功に導く
一般民事案件において、年間10件の訴訟を担当し、○○%の勝訴率を達成
このように、具体的な内容を簡潔にまとめることで、採用担当者にとって読みやすく、応募先に合ったスキルや実績を効果的にアピールすることができます。
自己PR
自己PRは、これまでの経験やスキルを通じて、あなたがどのような強みを持っているかをアピールする部分です。
弁護士としての技術や知識だけでなく、仕事に対する姿勢や人間的な側面も伝えることで、他の候補者との差別化を図りましょう。
採用担当者にとって、単にスキルが高いだけでなく、職場でどのように貢献できるか、チームで働く能力なども重要視されるポイントです。
自己PRを書く際は、具体的なエピソードを用いて、自分の強みを裏付けるようにしましょう。
例えば、困難な案件を解決した際の工夫やリーダーシップを発揮した経験を紹介し、それが応募先でどのように役立つかを示すことが効果的です。
また、応募するポジションや組織に合ったアピールポイントに絞ることも重要です。
例:
「企業法務案件において、複雑な国際取引の法務サポートを行い、無事にプロジェクトを完了させた経験があります。この経験を通じて、法的なリスク管理と多様な文化間でのコミュニケーション能力を磨きました。
貴社においても、同様のスキルを活かして、契約書レビューや法務リスク管理の向上に貢献できると考えています。」
このように、具体的な強みを明確に示し、応募先における貢献を伝えることが、効果的な自己PRのポイントです。
備考欄
備考欄は、職務経歴書の他の項目ではカバーしきれない情報や、採用担当者に事前に伝えておくべき重要な事項を補足するためのスペースです。
具体的には、短期間での転職歴や、職歴にブランクがある場合、その理由を簡潔に説明するのに適しています。
また、病気や介護、育児などの事情があった場合も、この欄に記載することで、面接時に不安を解消できる可能性があります。
ただし、備考欄は必ずしも記載が必要な項目ではありません。特に特記すべき事項がない場合は、空欄のままにして問題ありません。
逆に、転職回数が多い場合や、短期間での退職がある場合など、選考に不利となり得る情報を丁寧に説明することで、採用担当者に対する印象を改善できることもあります。
例:
「○○年〜○○年の間、家族の介護に専念していたため、職歴にブランクがございます。現在は状況が落ち着き、フルタイムでの勤務が可能です。」
このように、備考欄は採用担当者に誤解を与えないために活用することが重要です。
簡潔で具体的な説明を心がけ、選考に不利とならないような書き方を意識しましょう。
履歴書・職務経歴書の相談はMS Agentへ
履歴書や職務経歴書は、転職活動における最初の関門です。
これまで解説してきたポイントを意識して作成した書類であっても、自分だけで確認するだけでは、誤字脱字や細かいミスに気づかないことがよくあります。
また、内容が応募先の企業や事務所のニーズに合っているかどうか、客観的な評価を受けることも重要です。
そのため、転職エージェントを活用して書類の作成や添削をサポートしてもらうことが、選考を通過するための大きな助けとなります。
MS Agentでは、弁護士に特化したキャリアアドバイザーが在籍しており、弁護士・法務分野の専門知識を活かした履歴書や職務経歴書の作成サポートや添削が可能です。
弁護士としてのキャリアを最大限にアピールできるよう、業界特有の強調すべきポイントを的確に指摘し、応募先企業や法律事務所に合った書類に仕上げるお手伝いをいたします。
履歴書や職務経歴書の作成に不安がある方や、客観的なアドバイスを求めている方は、ぜひMS Agentにご相談ください。
法律事務所と一般企業で書類の書き方は変えるべき?
法律事務所と一般企業では、求められるスキルや役割が異なるため、履歴書や職務経歴書の書き方も変えるべきです。
法律事務所では、主に個別案件の処理能力や専門分野での実績が重視される傾向があり、応募先の事務所が取り扱う案件に応じて、自分の経験を強調することが重要です。
例えば、民事や刑事の経験が豊富であれば、その具体的な案件や成果を中心にアピールする必要があります。
一方で、企業内弁護士(インハウスローヤー)のポジションを希望する場合は、企業法務に関連するスキルや経験を強調することが求められます。
M&Aや契約書のレビュー、リスク管理の経験がある場合は、それらを中心に記載し、企業のニーズに合ったアピールを行いましょう。
また、ビジネス全体の流れを理解し、法的リスクを事前に予防する能力をアピールすることも効果的です。
さらに、応募先が法律事務所か一般企業かに関わらず、志望動機の使い回しは避け、応募先ごとの特徴やニーズを理解し、それに合わせた志望動機を作成しましょう。
事務所や企業のウェブサイトやSNSの情報を参考に、採用担当者が求める人物像に合致するアピールを心がけることで、選考で好印象を与えることができます。
まとめ
弁護士の転職において、履歴書や職務経歴書は、同じ弁護士同士が競い合う中で差別化を図るための重要な要素です。
特に応募する企業や事務所が求める理想の人物像に合致するアピールができているかどうかが評価の軸になりますが、それを自己判断するのは難しい場合があります。
ここで重要なのは、専門的なサポートを受けることです。
MS Agentでは、弁護士業界に精通したキャリアアドバイザーが、応募先に合わせた書類作成のサポートや添削を行っています。
一般的な書類作成方法の案内だけでなく、あなた独自の強みを引き出し、それを最大限に活かした書類を作成するためのアドバイスを受けることが可能です。
弁護士としての転職活動を成功させるために、ぜひMS Agentのサポートをご活用ください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、ウェディングプランナー、業界大手で求人広告の企画提案営業を経て、MS-Japanへ入社。
企業担当のリクルーティングアドバイザーを経験した後、現在は転職を考えられている方のキャリアアドバイザーとして、若手ポテンシャル層~シニアベテラン層まで多くの方の転職活動のサポートをしています。
人材業界での経験も長くなり、いつまでも誰かの記憶に残る仕事をしていたいと思っています。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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