2024年11月21日

弁護士の初任給はいくら?経験年収別・勤務先別の年収や年収アップの方法など

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弁護士は高い専門性・社会的地位をもつ職業のため、給料は高いイメージがあります。
しかし、弁護士になったばかりの1年目の弁護士の場合、その初任給・年収はどのくらいになるのでしょうか。

以下では、弁護士の初任給の実態について、勤務先による違いも含めて詳しく解説します。
また年収アップの方法にも触れているので、これから弁護士を目指す方はぜひ参考にしてください。

弁護士の初任給

収入データを見る前に

収入について調べる場合、まず、「収入」と「所得」、そして「平均値」と「中央値」を混同せず、別に分けて考える必要があります。
収入は、事業によって得られた金銭すべてであり、所得は収入から必要経費を差し引いた額で、所得税などの課税の基礎となります。

また、平均値は対象となる額を足し合わせて人数で割ったもので、中央値は対象となる額を並べて中央に来る値を指します。
平均値の場合、極端に高い収入・所得の人に引きずられて上がることがあり、全体の傾向・実態を捉えるには中央値を用いた方がよいと考えられています。

弁護士の初任給はいくら?

弁護士の初任給のデータについては、司法修習65期から67期までの全弁護士を対象に実施された、法務省・最高裁判所・日本弁護士連合会が合同で行った給与調査(2016年7月集計)が参考になります。
少し古い情報ですが1年目の弁護士の給与額が直接調べられています(2024年現在、同調査は実施または公表されていません)。

調査結果によると、弁護士1年目の年収および年間所得の平均値、中央値は以下の通りです。2013~2015年にかけて、3年間の流れを比較してみます。
なお2013年(65期)については、旧司法試験合格組と新司法試験合格組の平均値です(旧司法試験は2013年で完全に廃止)。

2013年
(65期)
2014年
(66期)
2015年
(67期)
収入
(平均値)
614万円
(新)
577万円 568万円
607万円
(旧)
収入
(中央値)
583万円
(新)
530万円 543万円
575万円
(旧)
所得
(平均値)
354万円
(新)
330万円 327万円
288万円
(旧)
所得
(中央値)
328万円
(新)
301万円 317万円
303万円
(旧)

弁護士1年目の収入を見ると、年を追うごとにやや減少傾向が見られます。
中央値については2014年から2015年にかけて少し上昇していますが、2年前の2013年よりは40万円ほど低下しています。

とはいえ、もし大学在学中または法科大学院の卒業に合わせて司法試験に合格し、新卒として働く場合を考慮すると、一般企業・官公庁などに普通に就職した場合よりも収入は圧倒的に多くなるでしょう。
表と同時期の厚生労働省の「平成27年賃金構造基本統計調査(初任給)の概況」によると、就職後1年目の年収は大卒の月給が約20万円、大学院修了が約23万円です。
賞与などが支給されたと考えても、弁護士の初任給の方が明らかに高い数値となるでしょう。

所得についても同様の状況です。弁護士にとっての必要経費は、個別の事件処理でかかった費用の実費に加え、日弁連や所属弁護士会に納める会費、独立開業している場合だと事務所の家賃や人件費、社会保険料なども加わってきます。
また、ここからさらに国税や地方税を差し引き、場合によっては奨学金の返済や司法修習における給与の貸与分の返済もあるため、手取りはこれ以下になります。

それでも一般企業・官公庁で働いても同様に年収と所得には差が出ることを踏まえると、学生であれば大学卒、大学院修了で普通に就職する場合よりも、弁護士になる方がかなり高額になるのは間違いありません。

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【経験年数別】弁護士の年収

続いて参考として、経験年数別の弁護士の年収、所得についても見ていきましょう。こちらは中央値のみを一覧として示します。

法務省・最高裁判所・日本弁護士連合会の調査によると、2013~2015年の3年間における収入の中央値は以下の通りです。
こちらも65期以前の期については、旧司法試験合格組と新司法試験合格組の平均値となっています。

2013年 2014年 2015年
1年目 579万円 530万円 543万円
2年目 729万円 744万円 654万円
3年目 900万円 839万円 831万円
4年目 1,040万円 999万円 946万円
5年目 1,128万円 1,115万円 1,108万円
6年目 1,318万円 1,215万円 1,226万円
7年目 1,490万円 1,400万円 1,303万円
8年目 1,786万円 1,575万円 1,472万円
9年目 1,810万円 1,783万円 1,605万円
10年目 1,968万円 1,842万円 1,796万円
11年目 1,911万円 1,985万円 1,926万円
12年目 2,014万円 1,856万円 2,076万円
13年目 2,227万円 2,076万円 1,986万円

所得の中央については以下の通りです。

2013年 2014年 2015年
1年目 316万円 301万円 317万円
2年目 406万円 409万円 391万円
3年目 492万円 451万円 444万円
4年目 540万円 562万円 472万円
5年目 562万円 581万円 582万円
6年目 662万円 613万円 614万円
7年目 692万円 671万円 624万円
8年目 740万円 693万円 721万円
9年目 780万円 759万円 732万円
10年目 900万円 823万円 739万円
11年目 878万円 935万円 816万円
12年目 757万円 782万円 884万円
13年目 982万円 769万円 832万円

収入、所得ともに2013~2015年にかけて、全体的にやや減少傾向が見られます。
新人時代から10年目頃まで、収入・所得が一気に増えていきますが、10年目を過ぎると、収入の伸び率はいったん落ち着き、それ以降は本人の能力、努力、実績によって収入額が変わってくるとも考えられます。
10年目頃までに、どれだけのスキルや経験を身に付けられるかが、その後の収入に影響してくるのではないでしょうか。

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【勤務先別】弁護士の年収

【勤務先別】弁護士の年収

弁護士の勤務先としては大きく分けて、大手法律事務所中小法律事務所事業会社(企業法務)の3つがあります。
弁護士の初任給・初年度年収に関する詳細なデータはありませんが、入所・就職後の最初のキャリアにおける収入から、初任給の年収についてある程度の推測はできるでしょう。

大手法律事務所

四大法律事務所のような大手法律事務所の場合、役職は通常、ジュニアアソシエイト→シニアアソシエイト→パートナーの順に昇格していきます。
弁護士として入所した場合、ジュニアアソシエイトからスタートし、一般的な平均年収は1,100万円~1,500万円といわれています。
かなりの高収入といえますが、入所は狭き門であり、かつ激務をこなすことが求められます。

中小法律事務所

中小法律事務所の場合だと大手よりも低めの年収となり、300万円程度からスタートすることもあります。
中堅クラスになれば700~800万円程度の年収も見込めますが、入所して間もない段階だと、一般的なサラリーマンと同水準の給与額となるのが通例です。

ただ地域差もあり、地方よりも東京など大都市で働く弁護士の方が、年収は高い傾向です。
ある程度中小法律事務所で経験を積んだあと、専門分野に特化した法律事務所、もしくはより大手の法律事務所に収入アップを見込んで転職するという選択肢も選べます。

事業会社

事業会社でいわゆる企業内弁護士(インハウスローヤー)として働く場合、法律事務所に勤務するよりも一般的には年収が低めといわれています。

それでも日本組織内弁護士協会が2024年3月に実施した「企業内弁護士によるアンケート調査集計結果」によると、企業内弁護士の半数以上が500万~1,250万円の年収であり、250万~500万円未満の年収となっているのは1.1%のみです。
全体として見れば、法律事務所勤務よりは低めとはいえ、一般的な給与所得者に比べると高い給料をもらっていると考えてよいでしょう。

また、法律事務所に比べると働きやすく、企業内弁護士はワークライフバランスや福利厚生の面で充実しているため、プライベートな時間を確保しやすいというメリットがあります。

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弁護士が年収を上げる方法

弁護士が年収を挙げる方法としては、以下が挙げられます。

パートナー弁護士を目指す

法律事務所に弁護士が就職すると、アソシエイト(ジュニアアソシエイト)の職位からスタートします。
アソシエイトの位置づけは事務所によっても異なりますが、基本的に上位のパートナーから仕事をお願いされ、その補助的な業務を行うのが基本です。

とくに大手の場合、アソシエイトは基本的に顧客の獲得などの営業に関わることはなく、ほぼすべての業務はパートナーから依頼された仕事です。
中小法律事務所ではアソシエイトが個人で仕事を引き受けることはありますが、働きはじめたばかりだと弁護士として事務所内で最も低い地位であるため、パラリーガルの支援も受けにくく、給与額がそれほど高額ではないのに激務になることも少なくありません。

こうした業務内容・地位の違いにより、アソシエイトとパートナーでは年収に大きな差があります。
アソシエイトの段階だとシニアアソシエイトも含めておおむね年収は600~700万円程度ですが、パートナーになると1,000万円以上、事務所によっては数千万円の水準になるケースもあります。
そのため弁護士が年収アップを図る方法としては、法律事務所のパートナーを目指すのが最もわかりやすい道筋といえます。

広告営業を行う

勤務先の法律事務所・企業にもよりますが、もし個人受任が可能な場合、弁護士が収入アップを図るには広告営業を行うことです。つまり自分を売り出すことが重要になります。
2000年に法改正が行われて以降、弁護士が広告営業することが可能になりました。
日弁連が定めた「業務広告に関する指針」に違反しない限り、広告は自由に行えます。

現在、多くの弁護士が利用しているのが、ネット上で弁護士や法律事務所を検索できるサイトです。
こうしたサイトに登録しておけば、全国各地から依頼・案件が発生し、個人受任を通して実績を上げられます。

より給与水準の高い勤務先へ転職する

弁護士が受け取る給与額は、個人としての能力・スキル・経験もさることながら、勤務先による違いが大きいです。
同様の実績であっても、有名法律事務所や企業法務をメインとする法律事務所、大手企業の法務部門などは、高年収が期待できます。

ここでのポイントは、弁護士になりたての段階では採用されなくても、現在の勤務先で経験・実績を積み上げていけば、将来的に年収アップにつながる転職が可能である点です。
近年は弁護士を対象とした転職エージェントも登場しているため、活用することをおすすめします。

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まとめ

弁護士1年目の年収、所得はやや減少しているようにも見受けられますが、キャリアプランをしっかりと立て、新人から中堅時代に経験・実績を積んでいけば、将来的な年収・所得アップは十分に見込めます。
現在の勤務先で昇格する方法もありますが、転職により収入アップが望める職場に移るのも有効な方法です。

管理部門・士業特化の転職エージェントである「MS Agent」では、経験豊富なキャリアアドバイザーが的確なアドバイスをし、転職をお手伝いします。
転職を検討する場合は、ぜひご活用ください。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

河本 俊範

大学卒業後、食品メーカー営業を経て2005年MS-Japan入社。企業側営業担当を1年半経験し、以降はカウンセラー業務を担当。若手中堅スタッフの方から、40~50代のマネージャー・シニア層の方まで、年齢層問わず年間500名以上をカウンセリングさせていただいています。
企業管理部門全般~会計事務所など士業界、会計士・税理士・弁護士資格者まで弊社の特化領域全般を担当しています。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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