2025年06月02日

経営企画の仕事内容は? 事業企画との違いや求められるスキル、キャリアなど

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企業の管理部門と聞くと、経理や人事、法務などをイメージする方も多いのではないでしょうか。
実はそれらメジャーな職種とは別に、経営企画と呼ばれる部門もあります。
特に規模の大きな企業に多く、経営戦略の策定といった重要な役割を担うため、やりがいの大きな職種です。

そこでこの記事では、経営企画の仕事内容や求められるスキル、キャリアについて詳しく解説します。

経営企画の仕事内容

経営企画とは、企業の将来の方向性を定め、目標達成のための戦略を策定するのが基本業務です。
企業の成長や利益最大化を実現するために、"経営陣をサポートする役割"を果たしつつ、各事業部をまとめる役割も担います。

具体的な業務内容としては、以下が挙げられます。
なお、経営企画の仕事は企業ごとに異なるため、主な業務のみを取り上げます。

予算策定

会社全体の予算を立案し、次年度の利益目標を決めます。
企業が事業を行う上での大まかな見通しを立て、財務状況に加えて、市場変動や市場ニーズを見据えた戦略的な計画の立案が求められます。
上場企業であれば、公開した予算策定の内容に合わせて投資家が投資先を検討する場合もあるため、影響力が大きく、責任の重い業務です。

各部門は少しでも良い業績を出すべく、大きな予算を求める傾向があります。
一方で経営陣はできるだけコストカットして利益を確保したいため、可能な限り予算は少なく見積もりたいと考えます。
そのような中で経営企画部門は、各部署と経営陣の間の仲介役となり、両者が納得できるような予算編成を考える必要があります。

業績評価

当初の予算に対して、各部署から提出された業績を評価します。
業績が予算とかけ離れた場合でも、その原因が企業の外部要因なのか、内部要因なのかを分析する必要があります。
予実分析の結果を踏まえつつ、経理部門と共同して業績評価を行います。

市場調査~経営戦略立案

市場の動向、競合他社の行動を分析して、自社の強みと弱みを明らかにするためのデータを集めます。
集められた情報をもとに、今後の市場ニーズやトレンドを予測して、経営戦略を立案します。

経営計画の落とし込み・実行

経営戦略を反映させる形で作られた経営計画を実行に移します。
計画が効果的に実施されるように各部門が連携を図る必要があり、経営企画は調整役となって遂行をサポートしていきます。

経営計画の進捗管理・改善

経営計画の実行後は、その進捗状況を定期的に確認する必要があります。
進捗が早すぎたり遅すぎたりすると、その都度、経営企画部門が必要なアドバイスをしながら、計画通りに進行できるようサポートします。

経営会議の運営

経営会議とは、経営方針や経営戦略、各事業の進捗、予算と実績などについて、意思決定や改善を行う会議です。
戦略や事業展開に関して幅広く議論が行われる場であり、経営企画部門が運営を担います。

その他にも企業によっては、コーポレート・ガバナンス対応、IR対応を行うケースもあるので、それぞれ簡単に業務内容を紹介します。

コーポレート・ガバナンス対応

コーポレート・ガバナンスとは、企業経営のあり方として透明性や公正性を維持できるように、監視・監督する仕組みを指します。
経営企画はガバナンス体制の運用と整備を任され、法令遵守リスク管理を周知します。
取締役会や監査役会とも連携しながら、健全な経営を実現していきます。

IR対応

IRとは、Investor Relationsの頭文字を取った言葉で、株主・投資家に対して、投資の判断となるような財務状況・経営戦略に関する情報を提供することです。
定期的に説明会などを実施して、株主・投資家と信頼関係を築いていきます。
また投資家からの意見を経営戦略などへフィードバックすることで、企業価値の向上にもつながります。

経営企画の仕事内容を企業規模別に比較

経営企画部門のあり方は企業規模によって変わってきます。
規模別にその特徴を以下でご紹介しましょう。

大手企業

大手企業の場合、経営企画部門では戦略策定をはじめ、M&Aアライアンス案件への対応、その他にもESG経営、SDGsなどの企画立案、幅広い経営課題に対する解決に向けた提案などを担います。
グループ企業の経営に携わる可能性もあり、やりがいが大きいです。
海外展開している企業が多いため、英語力を求められることが多くなります。

IPO準備企業

IPO準備段階の企業における経営企画では、予算の策定、管理、予算実績差異分析など、予算統制に関する実務スキルが求められます。
また中長期経営計画の策定と運用も、経営企画部門が担う業務となります。

企業規模が小さいIPO準備企業では、CFOや管理部長が経営企画部門の統括を兼任している場合もあります。
具体的な業務内容としては、資料作成、データ分析、経営陣や部門長クラスとの会議・打ち合わせ、IPO準備から上場後まで支援してくれる主幹事証券会社との調整役も担います。

中小企業

中小企業の場合、経営企画部門という独立の部署はない場合がほとんどです。
設置されている場合は個人または少人数で、社長の参謀役を務め、短期的に対応が必要な案件から中長期的な戦略策定に至るまで、幅広く業務を担当するのが通例です。

経営戦略の立案から予算の策定まで一人で行うケースも珍しくありません。
裁量が大きいため柔軟な対応力が不可欠であり、幅広いスキルを身に付けられます。

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経営企画と事業企画の仕事内容を比較

端的に言うと、経営企画企業全体に関わる戦略の立案・実施を担うのに対して、事業企画はあくまで事業単位の戦略を立案し、実施します。
上下関係で見ると、経営企画のもとで事業企画は立案・実施される形となります。
事業企画はあくまでその事業に特化した内容であるため、企業全体を俯瞰して見るというより、事業としての成果をいかに出すかに集中します。

事業企画の場合、個別の事業に取り組むことになるため、担当する事業に関する専門知識、さらには事業現場の実情に即した計画策定のスキルが求められます。
また事業企画では社内の他部門に協力を仰ぐ場面もあり、高いリーダーシップ、コミュニケーション力も必要です。

一方で経営企画は、企業全体のあり方を考えながら、将来的にどのような企業となるべきかという経営理念のもと、中長期的(3~5年程度)な経営計画を策定し、運用していきます。
事業企画よりも経営陣に近いため、プレゼンテーション能力やデータの分析力、経営管理に関する知識まで、幅広い能力が求められます。

なお、実際に事業企画と経営企画とで明確に部署が違うのは大企業のみで、中小企業をはじめとする大半の日本企業では、経営企画が事業企画を兼ねるケースが多いです。
大企業は複数の事業を展開している一方、中小企業では1つの事業範囲のみで活動していることが多くあるためです。
また中小企業の中でも、組織規模が小さいスタートアップやベンチャー、小規模企業では、そもそも経営企画部門がない場合も少なくありません。

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経営企画に求められるスキル

経営企画部門で働く場合、求められるスキルとしては以下が考えられます。

財務・会計知識

管理会計や決算会計の経験、財務データにもとづいた予算の編成と管理ができる能力が求められます。
経営企画が立案する戦略は、最終的に利益を生めるものである必要があり、その利益を計算するには財務・会計の知識が欠かせません。

少なくとも貸借対照表損益計算書の内容に通じ、各種利益率の計算ができることは、経営企画に携わる上で必須事項ともいえます。

論理的思考力・分析力

経営企画は企業の頭脳を担う存在であり、社内外のデータを正確に読み取り、論理的思考にもとづいて最適な答えを導き出すことが求められます。
また分析結果や立案した計画は、経営陣や従業員に対して説明する必要もあります。
その際、説得力のある報告をするには、論理的に考えられる思考力が必要です。

コミュニケーション能力

経営企画の業務は社内外の関係者とやり取りする機会が多く、関係者とスムーズに連携できる調整力が求められます。
経営陣や各事業部門、企業の各種利害関係者(ステークホルダー)とのやり取りの中で、経営企画としての意見を伝えつつ、相手側の意向も汲み取れるようなスキルが必要です。

また自分が立案した戦略・企画について説明する際、自社をどのように成長させていくのかについて、具体的なビジョンを示してアピールすることも大切になります。
人を引き付けるような話し方、熱意を伝えられるような話し方のスキルも重要です。

さらに企業によっては語学力も不可欠になります。
海外進出をしている企業、もしくはこれから進出しようとする企業の場合、コミュニケーションを取る相手は、日本人だけとは限りません。
現地の取引相手と話す機会もあるため、ビジネス上の取引ができるレベルでの語学力も必要になってきます。
その場合、やはり基本となるのは英語力で、交渉できるほどの英会話能力があれば、経営企画の専門家として大きな武器となります。

問題解決能力

事業が進行する中では、突発的にさまざまな問題が生じる可能性があります。
問題が発生したときに、原因分析を行い、問題を解決に導く能力が必要です。

問題解決スキルを身につけることで、経営企画における業務も効率的に進められ、表層的な問題のみならず、今後起こり得る潜在的な課題も発見できることが望ましいです。

行動力

経営企画部門では、立案した戦略・計画を実行できるだけの行動力が求められます。
目標達成に向けて組織をリードするために、積極的に自らリーダーシップが取れる人が、経営企画部門では求められます。

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経営企画のキャリア

経営企画のキャリア

経営企画部門のスタッフとして配属される人は、基本的には経理や人事など他の管理部門で経験や実績を積んだ後、経営企画に異動します。
経営企画は経営戦略策定を担う部署であり、特定の分野にとどまらず、幅広い分野の知識と実績をもつ人材を必要としているからです。

経営企画で経験を積み、キャリアを重ねていけば、将来的にCXO(企業内の特定分野を統括する最高責任者のことでXには、EやFなど役職に応じてさまざまなアルファベットが入る)の役職に就くことも可能になります。
またそうした役職は自社のみならず、前職での経営企画での経験・実績が評価され、転職を通して就任できるケースも少なくありません。

ほかにもコンサルティングファームに転職して、企業経営に関する助言をする業務に就く道も考えられます。
業界内での高い評価・知名度と、顧客となってくれる企業との個人的なコネクションがあり、中小企業診断士の資格があれば、自ら起業することも可能です。

どんな人が経営企画に配属される?

経営企画は企業経営の方針を策定し、データにもとづいて戦略を立案するポジションです。
経済や市場動向に関する知識をもち、各種データから予測できる事態を分析し、論理的な思考によって物事を見極める能力が求められます。
さらにプレゼンテーション力も必要です。

また幅広い業務を同時にこなす必要があるため、マルチタスクが得意な人も経営企画が求める人材像です。
視野が広く、経営者と同じ視点から多様な業務をこなせる人が、経営企画に向いています。

さらに経営企画に関連する資格をもっている人も配属されやすいです。
例として中小企業診断士MBA、日商簿記などが挙げられます。
この点は他社の経営企画部門へ転職活動をする際も同様で、これらの資格をもっていると採用担当者からの評価につながります。

経営企画として経験を積んだ後のキャリアは?

経営企画部門で培った実績は、そのまま企業経営の現場で活用することが可能です。
そのため経営企画で活躍した後、取締役や最高経営責任者(CEO)、最高執行責任者(COO)、最高財務責任者(CFO)などに就任する人もいます。
コンサルティングファームなどで、企業経営の助言を行う仕事への転職も十分に可能です。

ほかにも、企業経営のノウハウを身に付けていることから、自らベンチャー企業を立ち上げるケースも珍しくないようです。

経営企画の求人例

管理部門に特化した転職エージェント「MS-Japan」が扱っている経営企画の求人をご紹介します。

経営企画/イノベーション支援のベンチャー企業

仕事内容
・M&A戦略の立案 /M&A案件のソーシング
・M&Aの検討、実行
・経営管理/財務分析/係数管理
・事業計画策定
必要な経験・能力
・経営企画のご経験
・コンサルティングファーム出身者
・M&Aの実施経験
想定年収
600万円 ~ 1,000万円

経営企画/スタンダード上場

仕事内容
・年次予算とりまとめ
・業績・予実管理、分析
・各事業セグメントの状況分析
必要な経験・能力
・経理業務のご経験(目安3年以上)
・経営企画業務の経験(目安1年以上)
想定年収
650万円 ~ 800万円

経営企画/部長候補

仕事内容
・中期経営計画策定、推進
・グループの成長戦略立案・事業ポートフォリオの検討
・国内外M&A/投資の推進および支援
必要な経験・能力
・上場事業会社での経営企画のご経験
・金融機関やフィンテック領域の知見
・実務での英語使用経験
想定年収
1,000万円 ~ 1,500万円

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経営企画部門の求人数は、他の職種と比べて少なめです。
また専門的なスキルを必要とする部門であるため、一般的な転職サイトに登録しても、自身の希望に沿った求人を見つけることが難しいケースもあります。

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まとめ

経営企画部門の業務内容は幅広く、企業全体の舵取りにも関わるため責任も大きいです。
経営陣と協力して中長期の経営戦略を策定したり、そこから落とし込んだ事業計画の実行管理を担ったりもします。
企業内外の幅広い人と関わることになるため、高度なコミュニケーション能力、プロジェクトの管理能力が必須です。

また、企業や業界によっては、IR関連の業務を担う場合もあり、転職活動の際は、応募先の企業で経営企画がどのような役割を担っているのか、十分確認しておく必要もあるでしょう。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

圓鍔 忍

大学卒業後、旅行代理店にて法人営業を約3年。20代でMS‐Japanへ入社。
企業の採用支援(リクルーティングアドバイザー)を約8年、求職者の転職支援(キャリアアドバイザー)を約5年経験。
両ポジションでチームマネジメントを経験し、キャリアアドバイザーとしては複数回にわたり支援実績数NO1を獲得。リクルーティングアドバイザーにおいても入社1年半後にチームマネジメントを経験させていただきました。現在は子育てと両立しながら、常に社内でトップ10以内の採用支援実績を維持。

経理・財務 ・ 法務 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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