【簿記1級を活かした転職方法】転職先や年収、年代別の転職成功のポイントを解説!

簿記1級は、高度な会計スキルを証明する資格であり、キャリアアップや専門性の向上のために取得を目指している方が多くいます。
しかし、簿記1級を活かした転職を成功させるためには、どのような企業や職種でより高く評価され、具体的にどのようにアピールすべきかを知っておくことが重要です。
この記事では、簿記1級が転職市場でどのように評価されているのかや、簿記1級を活かせる転職先など、実際の転職活動に役立つ情報を管理部門特化の転職エージェントならではの視点で解説します。
簿記1級を活かせる転職求人事例
まずは、簿記1級を活かせる実際の求人情報から、どのような求人で簿記1級の知識やスキルが求められているのかを確認しましょう。
ここでは、管理部門・士業特化型転職エージェント「MS Agent」で紹介可能な簿記1級を活かせる求人をご紹介します。
簿記1級を活かせる求人は他にも豊富にありますので、求人紹介を受けたい方は是非ご登録ください。
連結決算担当/日本大手の自動車メーカー
仕事内容 |
・財務会計制度に則った連結決算 ・決算開示書類の作成 など |
必要な経験・能力 |
・連結決算業務経験 ・USCPA、会計士資格、簿記1級 |
想定年収 |
600万円~780万円 |
税務コンサルタント/会計事務所
仕事内容 |
・クライアントの税務・会計のコンサルティング ・決算書や税務申告書の作成 ・開業の支援 |
必要な経験・能力 |
・会計事務所経験1年以上 ・税理士科目合格者、日商簿記1級 |
想定年収 |
550万円~800万円 |
財務管理職/外資系メーカー
仕事内容 |
・財務関連業務 ・IT関連業務 ・法務関連業務 |
必要な経験・能力 |
・簿記1級もしくは同等の他資格 ・財務関連業務の実務経験 ・予算管理・業績予測業務の知識 |
想定年収 |
800万円~1,000万円 |
簿記1級が転職に有利な理由
実際の求人情報からも分かるように、簿記1級は特にハイクラスの経理・会計業界の転職市場において、需要の高い資格です。
では、簿記1級が転職活動において有利である具体的な理由について、以下の3点から掘り下げてみましょう。
会計士、税理士に次ぐ高度な会計系資格
簿記1級は税理士試験の受験資格も兼ねており、公認会計士や税理士といった難関国家資格に次いで高度な会計系資格です。
企業の経理部門で活かせる知識を身に付けられるため、転職市場では高く評価されています。
特に大企業や上場企業では、複雑な経理処理や会計判断を正確に行える人材として、簿記1級保有者が重宝されるでしょう。
経営管理や経営分析に関する能力
簿記1級で身につく能力には、財務諸表規則や会社法などの企業会計に関する法規が含まれています。
そのため、経理・会計領域だけでなく、経営管理や経営分析といった経営に関わる部署へのキャリアアップも視野に入ります。
例えば、経営企画部、事業戦略部など、企業の成長を支える戦略的なポジションを目指すことも可能です。
求人の応募条件は簿記2級以上が多い
簿記資格を応募条件とする求人の多くは「簿記2級以上」を掲げているため、企業が求めているレベル以上の知識をアピールすることができます。
難易度の高い簿記1級は、選考の際にインパクトを与え、他の応募者との差別化につながります。
また、簿記の中で最も上位の1級を持つことで、転職先の選択肢が広がります。
簿記1級を活かせる転職先は?
簿記1級は転職に有利な資格だからこそ、その強みを活かせる転職先が豊富です。
代表的な転職先として、一般企業、IPO準備企業、会計事務所・税理士法人、コンサルティングファームを紹介します。
一般企業
簿記1級の知識やスキルは一般企業の経理や財務、経営企画などの部門で活かすことができます。
経理部門
経理部門では、日々の取引の記帳や決算業務、税務申告など、企業の財務状況を正確に把握するための業務を担当します。
簿記1級の知識があることで、複雑な仕訳や高度な会計処理も迅速かつ正確に行えるため、企業の財務管理に大いに貢献できるでしょう。
特に簿記1級で学ぶ範囲を考慮すると上場企業の経理業務に活かせる知識が身についています。
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経理に簿記1級は必要なのか?簿記1級の評価ポイントや転職先について
財務部門
財務部門では、資金の調達・運用、財務戦略の立案などに携わります。
簿記1級の資格は、企業の資金管理を効率的に行うことも学ぶため、資金繰りや投資計画の策定など、財務の知見が求められる業務に役立ちます。
経営企画部門
経営企画部門では、企業全体の戦略立案や業績分析などを行います。
簿記1級では、財務データをもとにした経営分析や予算管理、事業計画の基本も学ぶため、経営判断を支える重要な役割を担う経営企画へのキャリアアップも視野に入ります。
IPO準備企業
簿記1級は、上場を目指すIPO準備企業の経理部門でも活かすことができます。
IPO準備企業の経理部門では、上場基準を満たすための財務報告の整備や内部統制の構築など、専門的な知識とスキルが求められます。
簿記1級を持っていることで、これらの高度な業務に対応でき、企業の上場準備をスムーズに進めることが可能です。
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IPO準備中企業に転職するメリットは?
会計事務所・税理士法人
会計事務所や税理士法人では、クライアント企業の会計・税務業務をサポートする役割を担います。
簿記1級の知識は、企業の財務諸表の作成や税務申告の正確な処理において非常に重要です。
また、税理士試験の受験資格を有しているため、さらなるキャリアアップを目指すこともできます。
会計系コンサル
会計系コンサルティングファームでは、クライアント企業の財務改善や内部統制の強化、会計システムの導入支援などを行います。
簿記1級の知識を活かして、財務諸表の分析やコスト削減策の提案など、具体的な解決策を提供できるでしょう。
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【年代別】簿記1級を活かした転職のポイント
ここまで簿記1級が転職市場において様々な業界からの需要があり、転職に有利な資格であることを紹介しました。
しかし、簿記1級を取得しているだけでは、必ずしもスムーズに転職できるというわけではありません。
資格を活かした転職活動では、特に年齢・年代に合わせたアピール方法が重要になります。
20代
20代で簿記1級を保有している場合、業界や業種の経験がなくても転職できる可能性が高いです。
この年代では、チャレンジ精神や成長意欲が評価されることが多く、資格を持っているだけでも大きなアドバンテージになります。
面接では、簿記1級取得の理由やこれからやりたいこととの一貫性をしっかりと伝えることがポイントです。
30代
30代の簿記1級保有者は、宝の持ち腐れにならないよう、募集要項に「簿記1級」と記載されている求人・転職先に的を絞ることがおすすめです。
具体的には、簿記1級で学習する範囲の連結決算に知識が必要とされる上場企業の経理が、簿記1級を活かせる転職先になります。
さらに一定の実務経験を積んでいれば、比較的ハイクラスの求人を選べるようになるでしょう。
ただし、経理以外の職種や連結決算の知識が必要ない中小企業の経理や会計事務所では、オーバースペックと見なされる場合があり、希望する年収に届かない可能性があります。
そのため、求められるスキルや経験に合った求人を選ぶことが重要です。
40代
40代の場合は、簿記1級だけに頼らず、これまでの経験やスキルもアピールすることが大切です。
資格を持っていることだけではなく、資格をどのように活かしてきたかを具体的に示すことで、企業に対してより強い印象を与えることができます。
簿記1級の知識を活かした経験や実績を詳しく伝えることで、即戦力としての評価が高まるでしょう。
50代
50代になると、簿記1級という肩書よりも経歴やマネジメント経験のほうが重要になります。
簿記1級はそれらの裏付けとして提示し、管理職としての素養や経営陣に近い立場としてのスキルを強調しましょう。

キャリアアドバイザー出口 翔真
簿記1級を活かした転職を成功させるためには、上記のように年代ごとのポイントを押さえることが重要です。
より具体的な転職のポイントを知りたい場合は、会計業界に強い転職エージェントに相談してみましょう!
簿記1級保有者の年収事情
ハイレベルな会計スキルが必要とされる簿記1級は、取得することで高年収が期待できます。
ここでは簿記1級取得者の平均年収と転職時オファー年収※の2つを、簿記2級と比較しながら見てみましょう。
簿記1級保有者の平均年収
簿記1級 | 簿記2級 | |
---|---|---|
平均年収 | 647万円 | 456万円 |
2022年10月~2023年9月のMS Agent登録者データによると、簿記1級保有者の平均年収は647万円、簿記2級保有者の平均年収は456万円となっています。
簿記2級と比べて簿記1級は、191万円も高い年収であることがわかります。
簿記1級の資格は、その取得難易度の高さから、より高度な知識を持つ証明とされるため、年収にも大きな差が生まれるようです。
簿記1級保有者の転職時オファー年収
簿記1級 | 簿記2級 | |
---|---|---|
オファー年収 | 637万円 | 488万円 |
2023年4月〜2024年3月におけるMS Agent経由での転職時オファー年収は、簿記1級保有者が平均637万円、簿記2級保有者が488万円でした。
平均年収だけでなく、転職時のオファー年収においても、簿記2級保有者と比べて100万円以上高い結果となっています。
企業規模や業種・業界によって年収レンジは異なるものの、簿記1級保有者の年収は転職決定時から簿記2級保有者とは大きな差があることが分かります。
※転職時オファー年収とは、転職決定時における月額給与および定期的に支給される賞与の合計額のことです。
簿記1級を活かした転職成功事例
簿記1級を活かしたキャリアアップ転職事例

Hさん(20代/男性)資格:簿記1級
中小企業
経理部門


上場企業
経理・財務部門
年収50万円アップ
Hさんは、中小企業の経理部門で月次・年次決算を担当していましたが、2年間の経験を通じて上場企業での会計に携わりたいという思いが強まり、転職活動を始めました。
簿記1級を持っているHさんですが、一般的な求人サイトに掲載されている上場企業経理の求人募集要項には、「上場企業での経理経験が必須」と記載されていることが多く、求人探しに悩まれていました。
そこでキャリアアドバイザーから、20代で簿記1級を持っているというポテンシャルと非上場企業での経理経験を活かせる求人を紹介し、見事に売上高5兆円の上場企業への転職を成功させました。
こちらの転職成功のポイントは、20代のうちに簿記1級というポテンシャルを自身の強みとして活かせたことです。
資格を活かした転職活動では、将来のキャリアを見据え、早い段階で行動することがカギと言えるでしょう。
簿記1級×転職のよくある質問
Q.業界・業種未経験でも簿記1級があれば転職できますか?
A.20代で簿記1級を持っていれば、未経験でも転職できる可能性が高いでしょう
一方、30代以降になると、実務経験が求められることが多くなります。
資格だけでなく、これまでの経験やスキルも評価の対象となるため、実務経験を積むことが重要です。
Q.簿記1級を活かした転職で注意点はありますか?
A.求人によってはオーバースペックと判断されることがあります。
そのため、簿記1級の知識が求められるポジションを慎重に選ぶことが重要です。
場合によっては希望年収よりも低いオファー年収になることもあるため、自分のスキルと企業の求めるスキルが一致する求人を探しましょう。
Q.簿記1級と、会計士・税理士は、どちらが評価されますか?
A.進みたいキャリアによって評価の基準が異なります。
会計士と税理士には独占業務があるため、監査法人や会計事務所では会計士と税理士のほうが評価されやすいです。
一方、一般企業では簿記1級の資格も高く評価されることがあります。
まとめ
簿記1級は、その高度な専門知識から、転職市場で有利になりやすい資格です。
一般企業やIPO準備企業、会計事務所・税理士法人、コンサルなど、多岐にわたる転職先があり、年収も簿記2級保有者よりも高い傾向にあります。
年代によって転職へのアプローチは異なりますが、自身のスキルや経験をしっかりとアピールすることで、成功する可能性が高まります。
転職活動をより有利に進めるためには、簿記1級に強い転職エージェントを活用することも賢明な手段です。
ぜひ、簿記1級を活かして新たなキャリアへの一歩を踏み出してください。
- #簿記1級
- #日商簿記
- #簿記を活かせる仕事


この記事を監修したキャリアアドバイザー

横浜国立大学卒業後、電気系の総合商社に新卒で入社し法人営業に従事。
その後、キャリアアドバイザーとしてMS-Japanへ入社。現在は人事総務・経理領域担当として転職支援に従事しております。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 社会保険労務士事務所 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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