【簿記の基本情報まとめ】試験内容や合格率、勉強時間、合格後のキャリアなど
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こちらの記事では、簿記とはどんな資格なのかという基本的な内容から、簿記試験の難易度や合格率、取得のメリットなどを紹介します。
簿記の取得を考えている人だけでなく、簿記の活用方法に迷っている人も、今後のキャリアを考える参考にしていただければと思います。
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そもそも簿記とは?
簿記とは、企業における日々の取引、金銭や資産の動きを帳簿に記載し、その内容をもとに収支状況や財政状態を報告書にまとめるスキルのことです。
企業規模や業種を問わず、商品の仕入れや販売の際にはお金のやり取りが発生します。つまり、企業が事業活動を行う上で、簿記は必要不可欠だと言えるでしょう。
簿記が扱う代表的な書類に、貸借対照表と損益計算書があります。
貸借対照表は、資産・負債・純資産で構成される企業の財政状態、資金調達方法を確認できる報告書です。
一方、損益計算書は売上、費用、利益で構成される企業の収支状況を確認できる報告書です。
どちらも1会計年度(1年)ごとに作成しますが、年度中に発生した取引やお金・資産の動きを継続して正確に把握できるように、日次決算、月次決算を日常業務として行います。それらの決算内容を整理してまとめ、年次決算の報告書として貸借対照表や損益計算書を作成します。
貸借対照表と損益計算書は、現金の流れを記録するキャッシュフロー計算書と合わせて「財務三表」と呼ばれ、企業の経理・会計部門が作成に携わります。
意外と知らない3種類の簿記
簿記には日商、全経、全商の3種類があり、基本情報、受験資格、合格基準は以下の通りです。
全経は専門学校生、全商は高校生が主な受験者であり、ビジネスパーソンや大学生が取得を目指す場合は、日商簿記が一般的です。
日商簿記 | 全経簿記 | 全商簿記 | |
---|---|---|---|
基本情報 | 日本商工会議所と各地商工会議所が主催。 簿記の王道で、一般的に簿記資格というと、日商簿記を指す。 1級合格者は税理士試験の受験資格を取得可能。 |
全国経理教育協会が主催。 主に経理専門学校の学生が受験。 上級合格者は税理士試験の受験資格を取得可能。 |
全国商業高等学校協会が主催。 商業高校の学生が主な対象。 |
資格区分 | 簿記初級、原価計算初級、3級、2級、1級 | 基礎簿記会計、3級、2級、1級、上級 | 3級、2級、1級 |
受験資格 | 制限なし | 制限なし(受験者の多くは専門学校生) | 制限なし(受験者の多くは高校生) |
合格基準 | 正解率70%以上(ただし1級は全科目40%以上の得点を取得する必要あり) | 正解率70%以上 | 正解率70%以上 |
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日商簿記3級・2級・1級の合格率や難易度
日商簿記3級の合格率の推移(統一試験)
回 | 日程 | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
167回 | 2024年6月9日 | 20,927名 | 8,520名 | 40.7% |
166回 | 2024年2月25日 | 23,977名 | 8,706名 | 36.3% |
165回 | 2023年11月19日 | 25,727名 | 8,653名 | 33.6% |
164回 | 2023年6月11日 | 26,757名 | 9,107名 | 34.0% |
163回 | 2023年2月26日 | 31,556名 | 11,516名 | 36.5% |
試験会場に受験生が集まって実施される「統一試験」では、過去5回分の日商簿記3級試験の平均合格率は約36%です。若干ばらつきはありますが、合格率は30%~40%台が目安と考えていいでしょう。
日商簿記3級の合格率の推移(ネット試験)
受験期間 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年4月~2024年3月 | 238,155名 | 88,264名 | 37.1% |
2022年4月~2023年3月 | 207,423名 | 85,378名 | 41.2% |
2021年4月~2022年3月 | 206,149名 | 84,504名 | 41.0% |
2020年12月~2021年3月 | 58,700名 | 24,043名 | 41.0% |
日商簿記2級と3級については、コロナ禍が発生した2020年12月以降、ネット試験が実施されています。ネット試験の最大のメリットは、毎週、毎月といった頻度で実施されているため、随時受験できる点にあります。試験の難易度・出題範囲は、統一試験と同じです。
ネット試験には自宅からでも申し込める「インターネット申込方式」と、試験会場に直接申し込む「会場問い合わせ方式」の2種類があります。試験会場はインターネット申込方式に対応する会場が全国140超、会場問い合わせ方式に対応する会場が全国120超あります。
3級の傾向を見ると、2020~2022年度にかけて、全体的に統一試験よりネット試験の方が、合格率が高い傾向にありました。しかし2023年度はネット試験の合格率は落ちており、ネット試験の方が合格しやすいとは言い切れません。
日商簿記2級の合格率の推移(統一試験)
回 | 日程 | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
167回 | 2024年6月9日 | 6,310名 | 1,442名 | 22.9% |
166回 | 2024年2月25日 | 8,728名 | 1,356名 | 15.5% |
165回 | 2023年11月19日 | 9,511名 | 1,133名 | 11.9% |
164回 | 2023年6月11日 | 8,454名 | 1,788名 | 21.1% |
163回 | 2023年2月26日 | 12,033名 | 2,983名 | 24.8% |
過去5回分の日商簿記2級試験の平均合格率は約19%です。3級と比較して約17%低くなり、難易度が大きく上がることが分かります。
日商簿記2級の合格率の推移(ネット試験)
受験期間 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年4月~2024年3月 | 119,036名 | 41,912名 | 35.2% |
2022年4月~2023年3月 | 105,289名 | 39,076名 | 37.1% |
2021年4月~2022年3月 | 106,833名 | 40,713名 | 38.1% |
2020年12月~2021年3月 | 29,043名 | 13,525名 | 46.6% |
2級では、ネット試験の合格率が統一試験よりもかなり高い傾向です。
しかし、統一試験とネット試験の間で難易度・出題範囲に違いはないため、合格する実力・自信のある受験者の多くがネット試験を受験している可能性もあります。
日商簿記1級の合格率の推移(統一試験)
回 | 日程 | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
165回 | 2023年11月19日 | 10,251名 | 1,722名 | 16.8% |
164回 | 2023年6月11日 | 9,295名 | 1,164名 | 12.5% |
162回 | 2022年11月20日 | 9,828名 | 1,027名 | 10.4% |
161回 | 2022年6月12日 | 8,918名 | 902名 | 10.1% |
159回 | 2021年11月21日 | 9,194名 | 935名 | 10.2% |
過去5回分の1級の平均合格率は約12%です。直近の165回試験ではやや合格率が高まっています。
3級と2級は、試験を年3回実施しますが、1級は年2回です。また、1級はネット試験がなく、統一試験のみ実施しています。
日商簿記を取得する3つのメリット
日商簿記の取得には以下のようなメリットが考えられます。
細かい数字の確認・管理能力を養える
簿記資格は本番の試験でも電卓を持ち込めるため、計算や暗算が苦手な人でも、そのことが理由で「簿記に向いていない」とはなりません。ただし、細かい数値を扱うのは事実で、問題を解くには高い集中力が求められます。
そのため簿記の勉強を重ねると、自然と細かい数字を確認し管理する能力が養われます。このスキルは経理・会計部門はもちろんのこと、数値データを扱う他部署でも有用です。
企業の経営状態を把握できる
企業の収支状況・財政状態は、損益計算書や貸借対照表を読み解けばすぐに分かります。これら決算書は簿記の知識に基づいて作成されているため、簿記の資格取得のための勉強をすれば、必然的に損益計算書や貸借対照表の内容を理解できるようになります。
決算書から会社の経営状況を読み解ける力は他社の評価・分析を行う上でも重要であり、簿記の能力は業種業態を問わず、あらゆるビジネスシーンで活用できます。
他の資格を取得に役立つ
簿記で学ぶ内容は、税理士や公認会計士、中小企業診断士、ファイナンシャルプランナーなどの試験範囲と大きく重なります。
簿記は、これらの難関資格の土台となる資格であり、簿記で学んだ会計の基本知識を活かして他の資格へステップアップすることができるでしょう。
日商簿記3級・2級・1級取得者の年収
日商簿記資格の各級における平均年収は以下の通りです。
管理部門・士業特化型転職エージェント「MS Agent」の登録者のうち、簿記資格保有者を対象として調査しました。
年代 | 1級 | 2級 | 3級 |
---|---|---|---|
29歳以下 | 383万円 | 362万円 | 365万円 |
30~34歳 | 479万円 | 451万円 | 431万円 |
35~39歳 | 593万円 | 497万円 | 457万円 |
40~44歳 | 630万円 | 542万円 | 499万円 |
45歳以上 | 777万円 | 630万円 | 602万円 |
3級、2級、1級と取得級が上がるにつれて、年収もアップしています。
注目すべきは、20代では1級取得と3級取得者との年収差は20万円程度であるのに対し、30代後半になると100万円以上もの差がある点です。
取得級の違いによる年収差は、年齢が上がるほど大きくなる傾向がみられます。
ただし、1級取得者になると、税理士など他の上位資格も保有している可能性が高く、その点での年収差も考慮する必要があるでしょう。
また、3級取得者が45歳以上で一気に年収が増えていますが、この点も簿記資格の影響より、管理職になっているなど職位の上昇による収入アップによるものとも考えられます。
日商簿記は何級から受験すればいい?
日商簿記検定は全級に受験資格がないため、いきなり1級を受けることも可能です。
しかし、1級を合格するには2級合格レベルの理解度、2級を合格するには3級合格レベルの簿記知識・スキルが「最低限」必須です。そのため簿記初学者の場合、段階を踏んでまずは3級合格を目指すのが着実な方法と言えます。
なお、日商簿記には3級より簡単な「簿記初級」「原価計算初級」の資格もありますが、こちらは企業研修で取り組むような簡単な内容で、就職・転職市場でも高評価は期待できません。
自分の意志でしっかりと簿記の勉強を始めるなら、3級受験からスタートするのが定石です。3級取得に向けた勉強では、簿記の基礎知識から学べるため、これまで経理や決算業務に携わったことのない人でも問題なく内容を理解していけるでしょう。
ただし、すでに全経簿記や全商簿記の資格を持っている人であれば、日商簿記の2級、1級からの受験はおすすめです。学ぶ内容は全経、全商ともに重なっているため、社会人になってから日商簿記を改めて取得するのは得策といえます。
ビジネスの場では、全経、全商よりも日商簿記の方が知名度・認知度が高い傾向です。
日商簿記3級・2級・1級の勉強時間
簿記の中でも最も人気の日商簿記、各階級の難易度や資格取得に必要な勉強時間の目安をまとめています。
資格の必要性と難易度を参考に、どの階級まで資格を取得するのかを確認してください。
日商簿記3級の勉強時間
試験合格率:30~50%
勉強時間:合計100時間程度
勉強時間が1日に3~4時間であれば1カ月程度で学べる範囲です。
日商簿記2級の勉強時間
試験合格率:20~30%
勉強時間:独学なら250~350時間程度、通学・通信講座で150~250時間程度
2級からは工業簿記が科目に追加されるため、3級と比較して難易度が上がります。
期間は4~6カ月程度必要となり、簿記3級よりもしっかりと勉強にとりかかる必要があります。
日商簿記1級の勉強時間
試験合格率:10%程度
勉強時間:独学なら1,000~2,000時間、通学・通信講座でも500~800時間程度
1級は会計学や原価計算が追加されるため、難易度がさらに上がります。
期間は10カ月以上が必要となり、勉強を始めた翌年の試験を受験すると良いでしょう。
日商簿記を独学で勉強するメリット・デメリット
日商簿記は、通信講座(オンラインスクール)なども多く提供されていますが、独学でも対策可能です。ここでは独学のメリット・デメリットを解説します。
独学で学ぶメリット
学習費用を安く抑えられる
独学で学ぶ一番のメリットは学習費用を抑えられるという点です。
独学で学ぶ際にかかる費用は、テキスト代、問題集代程度で、またYouTubeなどで無料の講座動画を公開している場合もあります。
簿記3級であれば独学でも資格取得できる可能性が高いです。
好きなペースで学習することができる
簿記取得を考えている方の中には、日によって確保できる勉強時間が異なるという方もいるかと思います。
独学での学習であれば、忙しい日は10分程度、時間が確保できる日は1日中など、ライフバランスに合わせて学習を進められるため、自分のペースで勉強したいという方には独学がおすすめです。
独学で学ぶデメリット
モチベーション維持が難しい
簿記を独学で取得するには、簿記3級でも1カ月程度、2級や1級では半年、1年など長い期間がかかります。学生や社会人であれば、普段の日常生活や仕事に加えて、自分自身で学習を進めていかなくてはならないため、途中でモチベーションが下がってしまい、資格取得を断念してしまう方も多くいらっしゃいます。
モチベーション維持が苦手な方や他の資格取得を途中で断念したことがある方には、独学での学習はおすすめしません。
学習効率が悪い
簿記の学習内容には複雑な内容も含まれており、独学では理解できない、理解するのに時間がかかるケースがあります。
とくに簿記2級や1級を取得するためには、下の級の学習内容をしっかりと理解する必要があるため、間違った知識で覚えてしまうと大きなロスとなってしまいます。
もしも、内容をしっかりと理解したい、効率よく学習したいという場合は独学での勉強をおすすめしません。
日商簿記を通信講座で勉強するメリット・デメリット
次に、通信講座で勉強するメリット・デメリットを解説します。
通信講座で学ぶメリット
質問、学習相談などをサポートしてもらえる
勉強している中で分からない箇所や学習スケジュールなど、プロの視点からアドバイスをもらうことができます。
また、一人で勉強している感覚ではなくなるため、モチベーションの管理にもつながります。
短期間で効率よく学習ができる
通信講座では、プロの講師が学習をサポートしてくれるため、独学よりも効率よく学習を進めることができます。
分からない箇所を一人で考え続けるということが少なくなるため、短期間での簿記資格取得を望んでいる場合は、通信講座の利用をおすすめしています。
自宅や通勤・通学中でも学習ができる
最近の通信講座は、タブレットやスマートフォンでも受講が可能となっており、自宅だけでなく、通学、通勤時間に電車やバスの中でも受講ができるため、時間や場所を選ばずに学習ができる可能性が高くなっています。
通信講座で学ぶデメリット
独学と比較して費用がかかる
独学での費用はテキスト代のみですが、通信講座を受講するには数万円の出費が必要となります。
また、サポート体制が充実している講座ほど費用が高くなる傾向にあるため、通信講座を利用したいけど費用は抑えたい場合は、通信講座を選ぶ際に注意が必要です。
自分にあった通信講座を選択する必要がある
様々な会社が簿記の通信講座を出しているため、費用と講師、講座内容などから自分に合った通信講座を選択する必要があります。
講座の説明会やホームページ、口コミなどを参考に優良な講座を選ぶ必要があるため、学習を始めるまでに少し期間がかかる可能性があります。
日商簿記取得時によくある失敗パターン
簿記学習ではよくある失敗ケースがいくつかあります。
土日など休日のみに学習を行うケース
簿記の学習には暗記と応用の実践の2つが必要です。
休日のみの学習だと期間が空いてしまい、覚えたことが定着しないという問題に陥ります。
短時間でもよいので平日も含めて毎日簿記の学習を行うようにしましょう。
安い電卓を使ってしまうケース
簿記の試験には電卓の持ち込みが許可されています。
そのため、学習の段階から電卓を使って問題を解く練習が必要になりますが、使いにくい電卓を利用してしまうと、問題の解くスピードが落ちてしまう可能性が高まります。少し値段が張っても使いやすい電卓を利用するようにしましょう。
また、関数電卓などの多機能な電卓は試験場への持ち込みが禁止されています。
使いやすく、シンプルな機能の電卓を利用することをおすすめします。
日商簿記3級・2級・1級それぞれの合格後はどうする?
日商簿記3級合格後
日商簿記3級に合格したら、ぜひ2級を目指しましょう。簿記3級では基本的な会計知識が身に付きますが、就職・転職市場において「簿記の資格」を強みにしたいなら、日商簿記2級の取得が望まれるからです。
企業が出す求人でも、簿記の知識を持つ人を募集する場合、ほとんどの場合は「日商簿記2級以上」との要件が出されています。3級の段階では、必ずしもアピールポイントにはなりません。
しかし、日商簿記の勉強はあくまで決算書の基本知識を知りたいことが目的で、ビジネスパーソンとして簿記の教養を身に付けられたらそれでOKという場合もあるでしょう。
その場合は、簿記に続いてビジネスの場で役立つ資格として、TOEICやMOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)、FP(ファイナンシャルプランナー)などの取得に挑戦してみるのもおすすめです。
日商簿記2級合格後
日商簿記2級に合格し、その後さらに専門能力を身に付けていきたい場合、方向性としては「簿記1級に挑戦する」「税理士試験に挑戦する」の2つがあります。
さらに経理や財務のスペシャリストとして活躍したいと考えているなら、さらに簿記・会計の勉強を重ねて1級取得を目指しましょう。
1級合格に向けた勉強では、損益計算書だけでなく、キャッシュフロー計算書の知識も学べます。就職・転職市場においても、1級合格者は希少であるため、基本的に2級取得者よりも高評価です。
一方、もし将来的に税理士になりたいなどの目標があるなら、簿記の範囲を超えて、税理士の科目試験合格に向けた勉強を開始してもいいでしょう。
ただし、税理士試験のうち、税法科目においては「学識(学歴)による受験資格」「職歴による受験資格」「資格による受験資格」のいずれかの要件を満たさないと、受験はできません。
2級合格後、「学識による受験資格」か「職歴による受験資格」のいずれかを満たしているなら、すぐに税理士試験の勉強を開始できます。もし学識、職歴での要件を満たせない場合、「資格による受験資格」として日商簿記1級が指定されているため、1級を取得してから税理士試験に挑戦するプロセスを経る必要があります。
日商簿記1級合格後
難関である日商簿記1級に合格した人は、やはり次の段階として税理士、公認会計士の取得が現実味を帯びてきます。税理士と公認会計士とはどちらも簿記・会計を学ぶ必要のある資格ですが、仕事の内容や試験制度は大きく異なります。今後目指したいキャリアを見据えて、適切な選択をする必要があります。
一方、簿記・会計の知識は十分に身に付けたため、経理部門以外の管理部門で役に立つ知識・資格を目指す、というのも1つの方法です。
社会保険労務士、司法書士、中小企業診断士、ビジネス実務法務検定などを取得すると、さらに専門能力の幅を広げられます。
簿記試験後のキャリアに迷ったら
日商簿記の資格を取得したものの、今後のキャリアをどう積んでいけばよいのか迷っている方は、転職エージェントを活用してまずは情報収集から始めましょう。
MS-Japanでは、すぐに転職を検討していない方向けにも個別相談会を実施していますので、お気軽にご相談ください。
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関連記事
簿記から始める税理士試験!~簿記1級と簿記論の比較~
日商簿記3級・2級・1級は転職に有利?
日商簿記を取得していると有利になる転職先について、級ごとにご紹介しましょう。
日商簿記3級が役立つ転職先
日商簿記3級は商業簿記の基本部分が出題範囲です。合格に向けた勉強を通して、経理の日常業務をこなすための知識やスキルを身に付けられます。
3級取得者がその資格を活かして就職・転職先を探す場合、候補となるのは補助的な業務を任せられる人材を募集している企業の経理部門、および会計事務所・税理士事務所です。
経理部門は企業のお金の流れを管理する役割を果たし、日常業務として現金・預金の管理、伝票の記入、帳簿の整理、経費計算などが発生します。また毎月の従業員の給料計算、売掛金・買掛金の管理、税金の申告、決算書の作成なども行います。
3級取得者はこのうち、日々発生する単純な業務をこなす役割を任されるケースが多いです。繰り返しの作業が多いものの、簿記の基本知識があると業務をスムーズに進められます。
採用する側もその点を踏まえて、無資格者よりも3級取得者を高く評価して採用を行います。経理部門での実務経験があれば、決算書作成などより複雑な仕事も任されます。
会計事務所・税理士事務所も、「無資格者よりも知識がある」との判断で3級取得者を採用します。その場合は、基本的な入力業務やチェック業務がメインとなります。より複雑で責任のある業務をこなしたい場合は、日業業務の中で経験を積みつつ、2級取得を目指して勉強を進めるといいでしょう。
日商簿記2級が役立つ転職先
日商簿記2級は、3級に比べて転職市場におけるニーズが各段に高まります。簿記3級は「無資格者よりは知識がある」といった評価ですが、2級になると経理・会計の即戦力として期待されます。
実務経験の内容にもよりますが、重要な役割も任されるようになります。多くの企業や会計事務所が、「経理実務経験あり、もしくは日商簿記2級取得者」といった条件で各種媒体に求人を出しています。
日商簿記2級取得者が転職活動時に有利となるのはやはり企業の経理部門、会計事務所・税理士事務所ですが、3級取得を条件とする求人に比べて、業務内容はより高度で、かつ年収も高くなるのが通例です。
また企業側としては、2級取得者には繁忙な決算期に即戦力として活躍してもらいたいと考えるため、求人が増えるのは決算時期の2カ月ほど前です。3月決算の企業であれば1~2月頃にピークを迎えるため、その時期だと売り手市場での転職活動になりやすいです。
日商簿記1級が役立つ転職先
日商簿記1級の取得者は、ビジネスシーンでは会計の専門家としての評価を受けるため、日常的な帳簿業務にとどまらない活躍が期待されます。
1級取得者が有利になる転職先としては、会計事務所、コンサルティングファーム、企業の経営企画などが挙げられます。
会計事務所では簿記の最高位である1級取得者は高く評価されますが、実際に事務所を動かすのは税理士・公認会計士の有資格者であるため、それら士業に比べると年収は安めです。
ただ日商簿記1級取得者が税理士や公認会計士へとキャリアアップを図りたい場合、「会計事務所で働きながら勉強する」のは検討に値する選択肢です。
会計事務所側としても、将来重要な戦力になる税理士候補・公認会計士候補を雇用できるため、その意味でも転職しやすい面があります。
一方、コンサルティングファームは高年収を狙える職種で、それまでの実務経験の内容にもよりますが、年収1,000万円以上になるケースも珍しくありません。
日商簿記1級取得者であれば、企業価値の評価、リスク評価を必要とするM&Aで重要な役割を果たすことができ、上場を目指すIPO準備中企業でも力を発揮できます。
また、日商簿記1級取得者は企業の経営企画部門においてもニーズが高く、とくに投資家や株主といったステークホルダー(利害関係者)に、経営・財務状況を報告するIR業務での活躍の場は広いです。
会計の専門家として、中長期的な視点での財務戦略の立案、新たなビジネスの創出などの役割も期待されます。
簿記取得者向けの求人例
MS-Japanは、管理部門・士業特化型転職エージェント「MS Agent」を展開しています。 以下に、「MS Agent」で取り扱っている日商簿記取得者向けの求人例をご紹介します。
シェアリング型統合マーケティング事業/IPO準備中企業より経理求人
仕事内容 |
・日常の経理業務、稟議管理、月次決算締め ・四半期決算締め ・監査法人対応 ・管理会計、予実管理、取締役会資料の作成 |
必要な経験・能力 |
・簿記3級以上 ・基本的なPCスキル(主にExcelでの実務経験があると尚よし) ・幅広い業務に積極的に対応できる業務開拓能力、適応能力 |
想定年収 |
450万円 ~ 600万円 |
大手通信グループ会社の経理求人/リモート可
仕事内容 |
下記の財務会計部門のいずれか ・会計制度(グループ統一会計制度の設計・運用) ・単独決算(主要グループ会社、持株会社の単独決算) ・資産管理(固定資産決算、制度設計・運用) ・連結決算(連結決算業務、有価証券報告書・開示資料作成) ・シェアードビジネスサポート(グループ内外向けBPOサービス) |
必要な経験・能力 |
・会計の基礎スキル(日商簿記2級以上) |
想定年収 |
500万円 ~ 650万円 |
未経験可/勉強との両立◎/残業少なめ/税務・会計スタッフ
仕事内容 |
・決算書、税務申告書の作成 ・クライアントとの窓口として会計税務処理のアドバイス ・経理全般アウトソーシング業務 ・日本に進出する外資系企業へのバックオフィス業務 ・会社設立手続き、事業計画策定など |
必要な経験・能力 |
<必須> ・会計事務所へのキャリアチェンジを強く希望する方(未経験可) ・英語にアレルギーのない方 <歓迎> ・日商簿記1級合格者 ・税理士資格科目合格者 ・会計事務所での経験者 ・事業会社での経理経験者 |
想定年収 |
336万円 ~ 660万円 |
簿記取得後の転職成功事例
次に、「MS Agent」を利用して転職に成功した簿記取得者の事例をご紹介します。
簿記3級合格者の転職成功事例~未経験で会計事務所への転職~
Kさん(25歳・男性・簿記3級合格)
非上場企業
(施工管理業務)
年収280万円
会計事務所
(会計税務コンサルタント)
年収300万円
簿記2級合格者の転職成功事例~未経験で上場企業経理への転職~
Yさん(30歳・女性・簿記2級合格)
非上場企業
(営業事務)
年収250万円
jasdaq上場
(経理職)
年収350万円
簿記1級合格者の転職成功事例~未経験でコンサルティングファームへの転職~
Sさん(32歳・男性・簿記1級合格)
上場企業
(経理職)
年収550万円
コンサルティングファーム
(会計コンサルタント)
年収600万円
事例の詳細は下記記事で詳しく紹介しています。
【最新】日商簿記3級・2級・1級試験のスケジュール
商工会議所が実施する日商簿記検定、3級・2級は年3回、1級は年2回試験があります。
今後の試験日程は下記の通りです。
級 | 回 | 試験日程 |
---|---|---|
3級・2級 | 第168回 | 2024年11月17日 |
第169回 | 2025年2月23日 | |
1級 | 第169回 | 2025年2月23日 |
【参考】
日本商工会議所:日本商工会議所の検定試験
まとめ
簿記試験は級が上がるにつれて難易度が上昇し、とくに日商簿記1級は士業級の難関資格として知られています。これから簿記の勉強をしたいと考えている社会人は、段階を踏んでまずは日商簿記3級の取得から目指すといいでしょう。
ただ資格取得を目指す場合、勉強方法をどうするかを考える必要もあります。市販の参考書で独学するのか、通信講座を利用するのか、通学するのかなど複数の選択肢があるため、ご自分の就業状況やライフスタイルを踏まえ、合格までやり通せると確信できる方法を選びましょう。
MS-Japanでは、経理を含めた管理部門・士業の転職サポートを行っています。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、化粧品会社へ入社し美容部員として店舗販売業務に従事。
その後キャリアアドバイザーとしてMS-Japanに入社し、
主に経理財務や会計事務所などの会計転職希望の方を中心に担当。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 税理士科目合格 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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