2024年07月17日

簿記1級と税理士試験の簿記論はどちらが難しい?

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簿記1級と簿記論は、難易度は同程度で、試験範囲は8~9割が重なるといわれており、どちらを受ければいいのか迷われる方もいるのではないでしょうか。 どちらを選ぶべきかは、将来そういうキャリアを歩むかによって、決まってきます。
この記事では簿記1級と簿記論の違いをみて、どちらを狙うべきかを詳しく解説していきます。

簿記1級と税理士試験の簿記論の関係性

最初に、簿記1級と税理士試験の簿記論の関係性を見ていきます。

簿記1級は、日本商工会議所・各地商工会議所が行う検定試験です。
簿記1級のレベルは「極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル」とされ、簿記・会計に関する試験の中で最高峰のものの一つといえます。

それに対して簿記論は税理士試験のうちの1科目です。税理士試験に合格するためには5科目の合格が必要となりますが、簿記論は財務諸表論とともに必須科目となっています。

2022年度の税理士試験までは簿記論にはいくつかの受験資格が設けられており、その一つが日商簿記1級合格者というものだったため、高校生が大学1,2年生など学識による受験資格を満たせない受験者は、簿記1級を取得することで税理士試験の受験資格を得るということが王道のルートの1つでしたが、2023年度試験からは税理士試験の簿記論・財務諸表論の受験資格が撤廃されたため、簿記1級を受験せずにいきなり税理士試験に挑戦する人も増えていくのではないでしょうか。

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簿記1級と税理士試験の簿記論どちらが難しいか?

簿記1級と税理士試験の簿記論のどちらが難しいかを、合格率と勉強時間の違いから見てみましょう。

合格率の違い

簿記1級と簿記論の過去5回分の合格率を比較してみましょう。

簿記1級合格率 簿記論合格率
2023年11月 16.8% 2023年度 17.4%
2023年6月 12.5% 2022年度 23.0%
2022年11月 10.4% 2021年度 16.5%
2022年6月 10.1% 2020年度 22.6%
2021年11月 10.2% 2019年度 17.4%
2021年6月 9.8% 2018年度 14.8%
平均 12.0% 平均 19.4%

出典:商工会議所『1級受験者データ』、国税庁『税理士試験』

上の表を見ると、5回分の合格率平均が、簿記1級は12.0%、簿記論は19.4%と簿記1級の方が低くなっています。
しかし、このことをもって「簿記1級の方が難しい」という判断はできません。 簿記1級と簿記論では受験者のレベルが異なるからです。

簿記1級の受験資格がなく、年齢や学年・経歴などを問わず誰でも受験することができます。対して、税理士試験の簿記論は2022年度まで受験資格が設定されていました。(※)
前述の通り「簿記1級の取得」も簿記論の受験資格の一つです。したがって、簿記論の方が簿記1級より受験者のレベルが高いと考えられます。
※2023年度から税理士試験の会計科目(簿記論・財務諸表論)の受験資格が撤廃されました。

勉強時間の違い

勉強時間については、簿記1級も簿記論も「500時間~1,000時間」といわれており、勉強時間の面から比較すると「難易度は同じくらい」だといえるでしょう。
ただし、簿記1級を取得者が簿記論を受験する場合には、勉強時間は「450時間」程度に短縮するといわれます。簿記1級と簿記論の出題範囲は、8~9割程度は重なるからです。

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簿記1級と税理士試験の簿記論出題範囲の違いは?

上で簿記1級と簿記論は「出題範囲は8~9割が重なり、難易度は同じくらい」と述べましたが、出題範囲の違いもあります。 そのことにより、人によっては簿記1級あるいは簿記論の方が「難しい」と感じる人もいます。

簿記1級の出題範囲の特徴は、工業簿記や原価計算が含まれることです。簿記論の出題範囲にも工業簿記は含まれますが、出題数はそれほど多くありません。
さらに、簿記1級の工業簿記の問題はつかみどころがなく、「ひらめき」が必要といわれることもあります。 したがって、簿記1級の合格は、工業簿記の準備をどれだけできたかに掛かってくるといえるでしょう。

商業簿記については、簿記論の方が「はるかに難しい」といわれます
しかも、出題数が多く、全問に回答することが難しいため、「捨て問」を見切る取捨選択能力も必要です。簿記論は簿記1級と比較して「クセの強い試験」といわれることもあります。

以上のように、簿記1級と簿記論では出題範囲と出題傾向が違います。それぞれに応じた準備が必要となるでしょう。

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簿記1級と税理士試験の簿記論キャリアにどう役に立つ?

簿記1級と税理士試験の簿記論は、キャリアにどう役立つのでしょうか?

事業会社の経理を志望する場合には、簿記1級の取得がおすすめです。 簿記1級取得者は「経理業務のプロフェッショナル」とみなされることになるからです。
それに対して、会計事務所を志望する場合には簿記論の取得がよいでしょう。 会計事務所への就職・転職に際しては、税理士試験5科目のうち簿記論のみの取得であっても大きく評価されることになります。 会計事務所に入社してからも勉強を継続し、5科目の合格を目指すことも可能でしょう。

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まとめ

簿記1級と簿記論は、難易度は同程度で出題範囲も8~9割が重なります。 両方取得を目指すという手もありますが、将来歩みたいキャリアを考えたうえで、優先順位をつけて取り組んでいきましょう。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

佐藤 颯馬

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。

会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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