簿記3級の試験日程や難易度・合格率は?勉強法やメリットも解説【2023年最新】
簿記3級の試験日程や難易度・合格率は?勉強法やメリットも解説【2023年最新】
「簿記3級」は認知度の高い資格の一つであり、取得したいと思っている人も多いのではないでしょうか。
簿記3級を取得すると、社会人としての一般常識が身につき、経理だけでなく様々な職種で役に立ちます。
今回は、簿記の中でも最も受験数の多い日商簿記3級について概要や難易度、メリットなどの情報をまとめました。
簿記3級に興味がある方や勉強中の方はぜひ参考にしてみてください。
日商簿記3級とは?
簿記とは、全ての業界・規模の企業における日々の経営活動を記録・計算をすることで、経営成績・財政の状態を明確にする技術を意味します。
その中で日商簿記3級は、「ビジネスパーソンが身につけておくべき基礎知識」として企業から評価されている資格です。
日商簿記3級を取得すると、商業簿記の基本を習得し、小規模の企業での経理処理を行えるレベルとされています。
【2023年最新】日商簿記3級の試験日や会場・問題形式は?
日商簿記3級の試験日・会場
<統一試験>
統一試験とは、各商工会議所が指定した会場で行うペーパーテスト方式のことです。
試験会場は、全国各地の商工会議所や学校などで受験票から確認できます。
試験は例年6月・11月・翌年2月と、1年で3回実施されており、2023年度のスケジュールは下記の通りです。
・第164回:2023年6月11日(日)
・第165回:2023年11月19日(日)
・第166回:2024年2月25日(日)
<ネット試験>
ネット試験とは、全国のテストセンターにてパソコンを利用して受験する方式のことです。CBT方式とも呼ばれています。
地域・都道府県、日程から絞り込み、その中で希望のテストセンターを選択することが可能です。
試験はテストセンターが定めた日程で随時実施されており、試験終了後に即日合否発表されます。
日商簿記3級の試験概要
日商簿記3級の試験概要は下記となっています。
受験資格 | どなたでも受験可能 |
---|---|
試験科目 | 商業簿記(3題以内) |
受験料 | 2,850円(税込み) |
試験時間 | 60分 |
合格ライン | 70点以上 |
日商簿記3級の合格率や難易度は?
日商簿記3級(統一試験)の過去5回分の合格率が下記となります。
回 | 日程 | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
164 | 2023年6月11日 | 26,757名 | 9,107名 | 34.0% |
163 | 2023年2月26日 | 31,556名 | 11,516名 | 36.5% |
162 | 2022年11月20日 | 32,422名 | 9,786名 | 30.2% |
161 | 2022年6月12日 | 36,654名 | 16,770名 | 45.8% |
160 | 2022年2月27日 | 44,218名 | 22,512名 | 50.9% |
回によってばらつきはありますが、過去5回の平均合格率は約39.4%です。
2級の平均合格率は約24%、1級は約10%のため、3級の難易度はそれらと比較すると低いことが分かります。
日商簿記3級の標準学習時間目安は約70時間、毎日2時間勉強した場合の勉強期間は1ヵ月程度を見込んでおくと良いでしょう。
日商簿記3級を取得するための教材は数多く出版されています。独学で取得を目指す人、スクールに通って勉強する人など勉強方法は様々です。
自分に合った方法を選ぶことが合格するためのポイントと言えます。
日商簿記3級に合格できる勉強法は?
日商簿記3級に合格するための勉強法をご紹介します。
ポイントは以下の3つです。
① スケジュールを立てる
まずは受験する試験日を設定してください。
先述の通り、日商簿記3級の統一試験は年3回(6月、11月、2月)実施され、ネット試験の試験日は各ネット試験会場が決定します。
受験予定日が決まれば、スケジュールを組みます。いつまでに何を習得する必要があるかをピックアップして、逆算をしていきます。前半はテキストを学び、後半以降は過去問にチャレンジすると良いでしょう。
2~3ヵ月じっくりと学習するよりも、1ヵ月で受験勉強をした方が効率的です。毎日2時間程度の時間を費やす予定で、学習プランを作りましょう。
また、土日・祝日に集中して勉強するのではなく、平日の出勤前や仕事終わりの時間で、毎日コツコツと継続できるスケジュールをおすすめします。
②テキストを熟読する
受験勉強は、テキストを読み込むところからスタートします。
最初からすべてを理解できなくても構いません。まずは全体像を理解してください。
テキスト学習では、詰め込み式で記憶するのではなく、簿記の仕組みや概念を理解することが重要です。
例えば、100以上ある勘定科目を短期的に覚えても意味がありません。それぞれの基本的な役割や扱い方を理解できるようになるまで、テキストを熟読しましょう。
特に力を入れたいのは仕訳です。仕訳では、取引の一つ一つをルールに沿って分類します。
この概念が理解できていないと、記憶に頼っていても正しい回答には辿り着けません。
③過去問を何回も解く
試験に合格する力を鍛えるために、過去問を解いてアウトプットすることが重要です。
直近の出題傾向をつかめるように、直近2~3年分の過去問を集中して解くことをおすすめします。
一度正解したから「もう大丈夫」と終了するのではなく、出題形式や回答に至るまでのプロセスに慣れるまで繰り返し解いてください。間違えた問題は、テキストを見て再学習しましょう。
答えを知ることは重要ではありません。なぜ間違えたのか、その原因を振り返り、次に活かすことが極めて重要です。この作業を積み重ねて、つまずくポイントを克服してきましょう。
数学や数字は苦手でも大丈夫!その理由は?
簿記に興味があっても、「数学ができないから勉強は難しいのでは?」「数字が苦手な人は合格できないのでは?」というお悩みを持つ人は少なくありません。
結論から言えば、数字が苦手でも日商簿記3級に合格した人は沢山います。
合格者の共通点は、過去問や例題の問題を解くなど、手を動かして学習したところです。
数字や数式を理解してから学び始めると、簿記の内容が難しく感じてしまい、挫折しやすくなります。
しかし、実践による訓練を積むことで、数学は苦手なままでも、簿記に強くなることは可能です。
また、日商簿記3級の試験では、電卓が使用可能です。
計算能力に自信がなくても問題ありませんし、足し算・引き算・掛け算・割り算がわかれば回答できます。高度な数学を理解する必要はありません。
日商簿記3級を取得するメリットは?
数字でビジネスが読める
日商簿記は基本的にどんな仕事にも役立てられる資格です。
日商簿記の知識を得ることで、ビジネスを数字で読むことができるようになります。
自分の仕事について数字を使って説得力のある提案をすることが可能です。特に会社経営には日商簿記の知識やスキルが必要不可欠と言えます。
経営者は必ずしも簿記を取得しているわけではありませんが、例え取得をしていなくても簿記の知識を理解していることが多いです。
身につけた知識を日々の業務に活用することで、キャリアアップを目指しやすくなります。
他の資格の取得にも役立つ
日商簿記3級は他の資格取得にも役立つ資格です。
例えば簿記3級の知識を活かすと日商簿記2級を取得しやすくなります。
他にも、FP、公認会計士、税理士、中小企業診断士などの取得に役立てることが可能です。IT系の資格とも相性が良いでしょう。
日商簿記3級の取得を足がかりにすると、より難しい資格にもチャレンジしやすくなるのです。
また、日商簿記3級を取得するために勉強習慣が身についていることも役に立ちます。他の資格を取得する時は、簿記3級と合わせると相乗効果を発揮することもあるので、おすすめです。
例えば日商簿記3級とFPを取得すればダブルライセンスとして強いアピール材料になります。
内容に類似性があるなら、同時受験ができないか検討してみるのも良いでしょう。
就職転職に役立つ
日商簿記3級を取得する大きなメリットは就職や転職に役立つことでしょう。
日商簿記の知識はビジネスに必要不可欠ですので、基本的な簿記を理解していることを、客観的に証明することができます。
また、資格を取得するために工夫したことなどを面接時に話すと、転職の際の自己PRに有効です。
特に社会人で働きながら日商簿記3級を取得したのであれば、どのように計画を立て、時間をやりくりして合格まで至ったのかをポイントを押さえて語ると良いでしょう。
向上心があること、計画性があること、実行力があることなどがアピールできます。
日商簿記3級は企業から評価されるって本当?
日商簿記3級は、転職・就職活動やキャリアアップ・キャリア形成において、企業から評価されやすい資格だと言われています。
もちろん日商簿記2級の方が言うまでもなく評価されやすい資格ではありますが、企業によっては日商簿記3級もしっかり評価されます。
その理由は、ビジネスシーンで必要とされる会計業務や経理業務に活かすことができる資格だからです。
基本的な仕訳や勘定科目、財務諸表の知識など、日商簿記3級の出題範囲・内容は、企業の経理部門における業務内容に基づいて出題されます。
つまり、すぐに実務で活用できる実用的な資格であるため、日商簿記3級は評価されやすいということです。
また、働き手は転職・就職活動において資格保有をアピールできます。
実務経験がなくても、日商簿記3級を取得していることを履歴書に記載すれば、書類選考で有利に働きやすくなることもあります。
特に会計・経理といったバックオフィス部門の採用選考で役立つこともあります。
ただし、帳簿記入の方法や経理関連書類の読み方など、日商簿記3級で学ぶ内容は初級レベルです。
個人商店や中小企業の最低限の実務レベルであれば問題ありませんが、中途採用で大手企業を目指す方などが評価されやすいのは、日商簿記2級以上になります。
経理として高い専門性を持ってスキルアップをしたいのであれば、日商簿記2級を取得することをお勧めします。
日商簿記3級が活かせる仕事とは?
経理
経理には簿記の知識が必要不可欠ですので、日商簿記3級を持っていることは業務を進める上で武器となるのです。
よりステップアップしたい方は日商簿記2級の取得を目指しましょう。
経理の仕事は大きく、日次業務、月次業務、年次業務の3つがあり、決算の時期は業務が多忙になることが特徴です。
専門性が高く、経験を積み重ねることでより評価されやすくなります。
なお、日商簿記3級を持たないまま経理に配属されることもあるでしょう。
しかし経理の場合、日商簿記3級レベルは当然知っている前提で仕事を振られることがありますので、最低でも日商簿記3級は取得しておいた方が良いです。
会計事務
会計事務の主な役割は、企業の財務状態を把握して報告することです。
日商簿記3級を活かすことができる仕事として知られています。基本的には会計に関わる仕事です。
ただし、一般事務を兼任する場合もあります。会計に関する知識やスキルが必要なことと合わせて、コミュニケーション能力も求められる仕事です。
税理士補助
その名の通り税理士を補助する仕事を指します。税理士の独占業務を行うことはできませんが、独占業務に抵触しない範囲でさまざまな仕事を補助することが可能です。
日商簿記3級の知識も役に立ちます。いずれはステップアップして税理士の取得を目指すという方法もあります。
日商簿記3級の転職成功事例
弊社MS-Japanは、経理をはじめとする管理部門と士業に特化した転職エージェント「MS Agent」を提供しています。
ここでは、「MS Agent」を利用者の内、簿記3級を取得して転職成功した方の事例をご紹介します。
Kさん(25歳男性・簿記3級合格)
転職前:非上場企業(施工管理業務)年収280万円
転職後:会計事務所(会計税務コンサルタント)年収300万円
専門性のあるキャリアを目指して会計業界へ!
高校卒業後、営業や施工管理など数社で働いていたKさんですが、30代に近づくにつれ、キャリアに対する不安が湧いてきました。
そんな中、高校で会計を学習していたことを思い出し、専門性のあるキャリアを目指したいと考えました。日商簿記3級を取得し、さらに日商簿記2級も学習を進めており、今後は税理士を目指していくそうです。
Kさんの前向きな姿勢とコミュニケーション力の高さも評価され、会計事務所へのキャリアチェンジ転職に成功しました。
転職成功のポイントは「資格取得の先を見据えたキャリアイメージ」
Kさんの転職成功のポイントは、資格を取得した後の「キャリアイメージ」をしっかりと持っていた点といえます。
現在の転職市場は求職者優位の売り手市場と言われていますが、未経験でのキャリアチェンジ転職は簡単なことではありません。
Kさんは資格取得だけでなく、その先のキャリアまでしっかりとイメージしたことで、会計事務所側もKさんが活躍する姿が想像でき、内定獲得に至りました。
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経理の求人情報
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まとめ
日商簿記3級の合格率は平均30~40%台です。学習スケジュールを組んで、受験勉強を行えば合格できる可能性が高い資格と言えます。
特に、経理や会計事務、税理士補助の職種を未経験から目指す場合は、日商簿記3級が最初のステップだと言えるでしょう。
日商簿記3級を取得して、転職に成功した実績は沢山ありますが、よりスキルアップを目指すのであれば、日商簿記2級の取得がおすすめです。
また、仕事以外でも、家計や資産形成などプライベートにも活かせる点も魅力だと言えます。
日商簿記3級の恩恵を受けるためにも、正しい学習方法で合格を目指しましょう。
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この記事を監修した人
その中で、実際に転職をされていく方などの生の声や気持ちの変化・実情などを知りたいと考え、MS-Japanに入社。
その後はキャリアアドバイザーとして、主に20代~30代の経理財務・会計事務所スタッフを中心に担当する。
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