全商簿記ってどんな試験?日商簿記や全経簿記との違いも解説
簿記検定には様々な種類があり、有名なものには日商簿記・全経簿記・全商簿記などがあげられます。
しかし、社会人の中には「全商簿記」と聞いて、どんな試験なのか首をかしげる人も多いかもしれません。
これから簿記検定試験を受験しようと考えているなら、簿記検定にはどのような種類があるのか、一通り確認しておいた方がよいでしょう。
この記事では、全商簿記の概要について、日商簿記や全経簿記との違いに触れつつ解説します。
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目次
- まずは経理・会計事務所の求人をご確認したい方はこちら
- 全商簿記の正式名称とは?歴史と現在の形態について
- 全商簿記と日商簿記と全経簿記の違いについて
- 初学者必見!全商簿記3級を取得するための勉強法と合格のコツ
- 全商簿記2級の内容と難易度について解説
- 全商簿記検定1級の内容と難易度について解説
- 全商簿記の試験情報はこちら
- 就職・転職に有利な簿記は日商簿記
- 簿記取得で有利な求人事例
- 全商簿記過去問で合格を目指す方法と注意点
- まとめ
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全商簿記の正式名称とは?歴史と現在の形態について
全商簿記は、正式名称を「簿記実務検定試験」といい、公益財団法人の全国商業高等学校協会が主催する簿記検定のことです。
受験者は商業科や商業高校の高校生が多く、学校で日々学習してきた簿記に関する知識を問う側面を持っています。
大学受験と違い、全商簿記は力試しの側面がある試験です。
しかし、上級の試験に合格することで、進路決定や就職・転職にも役立ちます。
現在学生の人は、真剣に勉強して結果を出せば、進路相談や就職試験で有利に働くでしょう。
全商簿記は1級・2級・3級のランクに分かれており、大学の推薦入試では1級取得を推薦基準としている大学・短大も見られます。
ただし、全商簿記に合格したからといって、その後の上級試験・国家試験の受験資格とすることはできません。
全商簿記は、社会人がキャリアアップを目的に取得するタイプの試験ではない点に注意しましょう。
全商簿記と日商簿記と全経簿記の違いについて
全商簿記は、主に高校生向けの試験内容ですが、日商簿記・全経簿記は企業の実務に即した内容も含まれている試験で、上級になるほど難易度も高くなります。
以下、全商簿記・日商簿記・全経簿記の違いについて、試験内容や対象受験者などに触れつつご紹介します。
全商簿記
全商簿記の受験対象者は、商業高校や商業に関する学科を設置している高校で学ぶ高校生です。
そのため、試験内容に関しては、基本的に商業高校で採用された教科書に沿った内容と考えてよいでしょう。
全商簿記1級の難易度は、商業簿記・工業簿記の知識を要する「日商簿記2級」レベルとも言われます。
日商簿記2級は、転職市場でも一定の評価を受けられる資格ですから、高校生が簿記の能力をアピールするには必要十分でしょう。
日商簿記
日商簿記の受験対象者は、特に条件が指定されているわけではないため、年齢・性別・学歴・国籍の制限なく受験することができます。
その分認知度も高く、日商簿記2級以上については、合格者の評価も高めです。
日商簿記は、1級・2級・3級に分かれていますが、順番に受験する必要はありません。
なお、それぞれの級における試験範囲は以下の通りです。
1級 | 商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算 |
2級 | 商業簿記・工業簿記 |
3級 | 商業簿記 |
3級で問われる内容は、簿記の基本原理・各種取引の処理方法・決算書類作成などです。
小規模の株式会社で働くケースを想定した試験内容となっており、これから簿記について学びたいと考えている人にとっては取り組みやすいレベルです。
2級で問われる内容は、商業簿記に加えて工業簿記が試験範囲に含まれ、原価計算の知識も求められます。
試験範囲が広くなる分、ある程度まとまった勉強時間をとらないと、合格は難しいでしょう。
1級で問われる内容は、商業簿記・工業簿記のほか、会計学と原価計算が新たな科目として加わります。
会計学は、企業会計原則・財務分析に関する知識が問われ、暗記科目としての性質を持ちます。
原価計算では、最初の問題をミスしていると、その後の問題もすべて間違える可能性があります。
簿記に対する深い理解度が問われる分、合格者の評価も高く、日商簿記1級合格者は税理士試験の受験資格を得られます。
全経簿記
全経簿記とは、公益社団法人の全国経理教育協会が主催している「簿記能力検定試験」の略で、経理・会計専門学校に通う学生向けの資格です
。
1級~3級の難易度は、日商簿記と比較して易しいと言われますが、上級の難易度は別格です。
全経簿記の上級に合格すると、税理士の受験資格を得られます。
日商簿記1級の勉強が芳しくないと感じた人の中には、全経簿記の上級にシフトする人もいるようです。
初学者必見!全商簿記3級を取得するための勉強法と合格のコツ
これまで簿記を勉強したことがなく、簿記の基礎を学びたいと考えている人は、全商簿記3級の合格を目標にするとよいでしょう。
全商簿記3級で想定されるレベルは、商品売買業を営む個人企業の基礎・基本となる会計処理なので、基本的な知識を押さえれば合格は難しくありません。
合格の可能性を高めるコツは、過去問をしっかり勉強することです。
全国商業高等学校協会が公表している第95回の過去問を見ると、それぞれの設問で以下のような内容が問われています。
①仕訳
②伝票への記入(入金・出金・振替)
③取引の記帳
④会計知識の基本
⑤貸借対照表・損益計算書の作成
仕訳や記帳のルールが理解できていれば、その延長線上にある貸借対照表・損益計算書の作成ができるようになります。
回答と照らし合わせながら、どうして正解がその数字になっているのか手を動かすうちに、理解が深まっていくはずです。
どうしても分からない部分は、日商簿記3級レベルのテキストや、個人商店向け経理のレクチャー本を読むとよいでしょう。
職場で経理を担当している人に時間をもらい、質問してみるのも一手です。
全商簿記2級の内容と難易度について解説
全商簿記2級の出題範囲は、商品売買業を営む個人企業の発展的な会計処理に加えて、株式会社の基本的な会計処理が対象となります。
試験範囲が広がり、日商簿記の3級レベルを想定した難易度となります。
合格率はおよそ60%ですが、問題の7割が解けていないと合格にならないので、弱点は作らない方がよいでしょう。
仕訳処理の難易度も上がり、本支店会計の概念も登場するので、こちらも過去問を解きながら理解を深めるのが得策です。
なお、3級でも類似問題が出ていますが、会計用語の英語表記について問われる問題があります。
例えば、損益計算書は英語で「Balance Sheet(B/S)」ですが、他にも英語表記が問われることを想定して、勘定科目の英語表記を覚えておくとよいかもしれません。
全商簿記検定1級の内容と難易度について解説
全商簿記1級では、出題範囲が会計・原価計算の2種類に分かれ、それぞれ合格率は約40%・45%となっています。
実際の試験レベルとしては、日商簿記2級を想定しておくとよいでしょう。
会計の内容は、2級からさらにレベルが上がり、会計法規について問う問題が登場します。
また、企業の資料をもとに業績測定を行う、売上高経常利益率や自己資本利益率の計算が必要な問題もあります。
原価計算では、工業簿記の仕訳や原価計算が必要な問題が出題されます。
会計も含め、万一公式を忘れてしまった場合は、自分が計算した数字を当てはめて推測することもできますが、やはり公式を覚えておいた方がスムーズに計算できるでしょう
全商簿記の試験情報はこちら
令和5年~6年の全商簿記は、以下の日程で行われます。
第96回 | 実施日:令和5年6月25日(日) 申込期間:4月10日(月)~4月21日(金) |
第97回 | 実施日:令和6年1月28日(日) 申込期間:10月26日(木)~11月10日(金) |
全商簿記は、試験回数が限られている分、勉強に時間をかけることができます。
社会人の場合、他の簿記検定と並行して勉強することで、効率的に資格取得に向けたスケジュールを立てられるでしょう。
就職・転職に有利な簿記は日商簿記
全商簿記は、高校生の進学や就職で有利に働く一面があります。
しかし、社会人の就職・転職を想定した場合は、日商簿記を取得した方がベターです。
簿記の有資格者は、経理・財務の企業担当者からの評価につながりやすく、経理職・財務職への転職に有利に働きます。
資格のレベルとしては、日商簿記3級よりも2級の方が高く評価されるでしょう。
会計事務所クラスになると、日商簿記1級取得が最低条件のところもあります。
日商簿記は、難易度・知名度ともに他の簿記検定よりも高めなので、簿記の基礎が理解できている人は日商簿記からチャレンジしてもよいでしょう。
とはいえ、全商簿記に合格していれば、簿記の知識を有していることに違いはありません。
よって、履歴書に記載することは問題ありません。
簿記取得で有利な求人事例
東証プライム上場/不動産企業最大手/経理
【業務内容】
<主な業務内容>
・各種伝票入力
…日々の入出金の内容の入力等
・決算業務(月次/四半期/年次)
…会社の業績を取りまとめるための様々な決算業務
・適時開示業務補助
…上場会社として会社の業績を社会に発表する業務の補助
<チャレンジできること>
・チームマネージメント
…チームの業務管理/部下育成
【必須経験】
・経理経験1年以上
もしくは、簿記2級以上
【リモート・フレックス導入!7H勤務】SPCや国際税務に強みを持つ会計事務所
【業務内容】
・記帳(会計入力)
・日々のクライアントからの会計・税務相談対応
・決算対応及び各種税務申告書の作成補助
最終的には、複数の案件の担当を持っていただき、税務会計業務の全般をお任せします。
相続・事業コンサルティングや会計監査業務など、他の領域での経験をご希望の方は、
積極的に手を挙げて頂ければ、経験やスキル等を考慮の上、それらの業務もお任せ致します。
【必須】
いずれかに当てはまる方
・簿記2級以上をお持ちの方
・会計事務所経験者又は経理業務経験者
全商簿記過去問で合格を目指す方法と注意点
全商簿記に合格するためには、まずは商業高校の教科書に目を通し、その内容を理解することが大切です。
その上で、市販されている問題集を解いてみて、分かるまで解き直すと実力がつきます。
しかし、もっとも実力がつくのは過去問の攻略で、解き続けることで傾向が見えてきます。
過去問は全国商業高等学校協会の公式サイトで公開されているので、高校・大学等の受験勉強と同様に、過去問をすべて解けるようにするのが実力向上への近道です。
注意点として、全商簿記は級ごとに難易度が違うため、例えば2級の過去問を解いてみて難しいと感じたら、3級のレベルから学び直すことも大切です。
申込みを検討する段階で、どのレベルの問題を解けているのかによって、受験する級を決めるのがよいでしょう。
まとめ
全商簿記は、商業系の高校や商業科に通う高校生が、実力をアピールするための検定試験です。
1級クラスになると、大学への推薦や就職に有利になるため、社会人であっても取得する価値は十分あります。
しかし、社会人が就職・転職のため資格を取得する場合は、日商簿記の方が知名度・難易度は上です。
税理士試験の受験を視野に入れるのであれば、全経簿記の上級を目指す方法もあります。
自分が構築したいキャリア・目指す職場に応じて、どの簿記検定試験を受験するのか決めることが、将来の戦略を立てる上で重要です。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、外資系小売り業に就職、セールスマネジメントや採用、教育研修を経験。
人がいかに業績を左右するかについて認識し、現職のMS-Japanに転職する事を決断。
入社以来、東海エリアのキャリアアドバイザーとして、キャリアチェンジやスキルアップを目的とした若年層の支援を中心に担当しております。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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