2024年02月08日

税理士科目合格は1科目でも転職市場価値が高い!特に評価されやすい科目は?

管理部門・士業の転職

税理士資格を取得するには、税理士試験の各科目に合格しなければなりません。それぞれの科目は個別で受験できるため、1科目からでも合格が可能です

本記事では、税理士資格取得前の科目合格の状態が転職にどう影響するかをまとめています。税理士科目合格者の転職時の市場価値や、評価が高い科目に関しても解説します。

税理士科目合格者とは?

資格試験によっては、一回の試験ですべての科目の合計が合格基準点を超えていない限り、最初からやり直しになる流れが一般的です。司法試験などがそれにあたります。
一方で、一回の試験ですべて合格しなくても、科目ごとに一定の基準を超えていれば、その科目に関しては合格と判定され、次回以降にはその科目の受験が免除される試験もあります。その代表的な資格試験が、税理士試験です。

税理士科目は、以下の通りです。

<会計学>(必修2科目)

・簿記論
・財務諸表論

<税法>(選択3科目)

・所得税法
・法人税法
・相続税法
・消費税法
・酒税法
・国税徴収法
・住民税
・事業税
・固定資産税
(ただし、法人税法か所得税法は、必ずどちらか1科目を受験しなければならない、選択必修科目となります。)

税理士試験では、一回の試験で5科目すべてに合格しなければならないわけではなく、「税理士科目別合格」が適用されます。一度合格すれば、5つの税理士科目に最終合格するまで、生涯にわたって、その税理士科目は合格として扱われます。
他の試験のように、総合点で不合格になれば、また最初からやり直しというようにはなりません。
社会人が働きながらでも、数年かけて着実に合格を目指していけるのが税理士試験の最大の特長であり、魅力でもあります。

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税理士試験科目合格は、就職・転職で有利になるのか?

税理士科目5科目すべてに合格し、税理士資格を確保できていれば、それに越したことはありません。
しかし、税理士資格に満たないとしても、1〜2科目に合格しているなら、就職や転職時に採用担当者へのアピールが可能です

税理士や公認会計士が開業している会計事務所・税理士事務所や、一般企業の経理部などでは、経理や会計コンサルティングを任せられるだけの知識や能力を身につけている人材(身に着けていけるポテンシャルがある人材)を求めています。
税理士試験の科目は全部で11科目あり、どれも合格率が低い難関試験です。
たとえ1科目であっても、合格には専門的な知識や計算力、論理的な思考力が欠かせません
つまり、合格者は税務・会計に関する知識や能力が十分に備わっている人材として高く評価されます。

企業の採用試験に応募する際に、税理士試験の科目合格者である旨を履歴書に記載すれば、所有資格の面でアピールできるため、有利に就職活動を進められます
企業にとって即戦力になり得る有望な人材と判断されるケースが多いことから、必ずしも税理士科目5科目すべてに受かっている必要はありません

税理士試験は、一度ですべての科目に受かるより、数年かけて複数の科目に合格する人が多い試験です。
求人に応募した時点で合格科目が少なくても、ほかの科目試験も勉強中であることを採用担当者に対してアピールしましょう。

求人で必要資格に「税理士試験科目合格者」と記載されている場合は、基本的に1科目だけでも合格していれば、応募資格を満たしています
近年では、税理士などの人材不足もあり、採用に苦戦する企業が少なくありません。
そのため、税理士資格保有者だけに限らず、科目合格者や未経験者を採用して育成するケースも増加している状況です

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科目合格者が評価される転職先は?

会計事務所・税理士法人

会計事務所・税理士法人は、税理士資格保有者しか行えない、税務代理や税務書類作成代理などの業務を取り扱う事務所もしくは法人です。
税理士試験科目合格者は、高度な会計・税務知識を活かして、税理士補助の業務に取り組めると見なされるので、採用担当者から高く評価されます

会計事務所・税理士法人は、法人によって契約しているクライアントの規模や提供するサービスの種類などが異なります。
一般的に、中小企業や個人事業主を取引先とする事務所が多数派です。ほかにも、上場企業やグローバルな企業を取引先とする大手税理士法人、新興企業やベンチャー企業を取引先とする国内独立系大手~中堅税理士法人などに分類されます。
それぞれ実務や求められる知識が異なるため、実務で役立つ科目を保有しているとなお有利です。

大手税理士法人への転職を目指す場合は、1科目でも可応募は可能ですが、2~3科目合格していると有利でしょう
応募時の年齢が高くなると、合格科目数の多さも重視される点に注意しましょう。
会計事務所や税理士法人での勤務は、将来税理士を目指すにあたって、保有していない科目を勉強しながら税理士の実務を学べるなどのメリットがあります。

特化型の事務所

特化型の事務所とは、特定の分野を取り扱う会計事務所や税理士法人のことです。
医療や飲食業、建設業、資産税など、専門の分野・業種に関する会計・税務サービスを提供します。
ほかの会計・税理士事務所と異なるのは、特定の分野に関するノウハウを有し、一定の業種に対する充実したサービスを提供している点です。

特化型事務所の場合は、実務で使用する税務知識が限定されるケースもあるので、業務に関係する科目の知識を備えていることが重要で
たとえば、資産税特化型の事務所の場合、「法人税法」よりも「相続税法」の科目保有者の方が採用時にアピールしやすく、有利に就職活動を行えます。

一般企業

一般企業の経理部門における経理・税務などの業務に応募する際にも、税理士試験科目に合格していると有利です。
特に会計に関する科目に合格している場合、会計処理に関する知識を企業の経理・会計業務に活用できるため、採用担当者から評価されやすくなります

税務関連の担当者を募集している企業への応募では、各税法に合格していると、税金に関する知識が実務で活かせることを面接でアピールできます。
ただし、税務関連の業務を顧問税理士に依頼している企業などでは、簿記などの資格や実務経験を持つ人材を求めており、科目合格が重視されないケースもあります

コンサルティング会社

コンサルティング会社は、企業の経営戦略・事業戦略・財務戦略の策定、M&A支援、企業組織の変更支援、株式公開支援など、企業の経営に関するさまざまな課題解決のサポートを行う会社です。税理士資格保有者が評価されるのは、経営系、会計・税務系、戦略系などのコンサルティング会社です

科目保有者は、財務会計や税務などの高度な知識が認められるため、企業の経営課題解決を行うコンサルティング会社への就職に有利です。会計・税務の知識のほかに、論理的思考力や課題解決力、コミュニケーション能力なども求められます。コンサルティング会社にはIT系などの分野もあり、取り扱っている内容によっては、科目合格が有利にならないケースもあります。求人情報は、企業の事業内容を確認して判断しましょう。

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どの税理士科目に合格していれば、転職に有利か

たとえば、会計実務学である「簿記論」「財務諸表論」の2科目に合格していると、会計事務所や経理業界の転職市場では即戦力とみなされる場合があります。
また、確定申告の代行業務を多く引き受けている会計事務所では、「所得税法」か「法人税法」に合格している人材が重宝されやすいと考えられます。
できれば、「簿記論」「財務諸表論」を含めて3科目合格をしていると、転職時に高い評価を期待できます。
「消費税法」にも合格していれば、転職をする際になお有利となり、年収アップも期待できます。

不動産や株式などの資産管理や成年後見を行う会計事務所への転職を目指すのであれば、「相続税法」を選択したうえで、合格しておくと有利でしょう。
所得税法・法人税法・消費税法・相続税法は、現場の実務で活かせるため、税理士科目合格者は転職でも有利になります。しかし、その分合格難度が高くなるともいわれています。

難易度の低い税理士科目を選択して、税理士試験の最終合格を目指すか。
または、実務につながる税理士科目を選択して最終合格を目指すか。
どちらを選ぶかは個人の価値観に委ねられますが、いずれにしても立派な受験戦略だといえます。

なお、「簿記論」「財務諸表論」には、人によって適性に差があります。税法は得意なのに、計算力が求められる会計学の必修2科目になかなか合格できない人もいるのです。
先に会計学の合格を狙い、どうしてもダメなら税法は時間をかけて取得していくというのも良いかもしれません。

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科目合格者の転職成功事例

科目合格者の転職成功事例科目合格者の転職成功事例を見てみましょう。

個人税理士事務所

簿記論、財務諸表論、法人税論、および消費税論の4科目合格者である25歳女性のTさんは、勤務していた税理士法人の業務量が多いため、試験勉強との両立が難しくなっていました。
そこで、勉強が両立できる職場への転職を決意。弊社MS-Japanを活用し、しっかりと情報収集を行った結果、試験勉強に理解があり、優良顧客が多いため質の高い業務に従事することも期待できる個人税理士事務所に転職することができました。
勉強も両立させて、最後の1科目に合格したい!4科目合格の税務スタッフの事例

資産税特化型

簿記論と財務諸表論の2科目に合格し、中堅税理士法人に勤務していた30歳男性のFさんは、30歳になるのを機に、将来の独立も射程に入れ相続税の経験を積みたいと考えました。
しかし、勤務していた税理士法人に相続税の案件に関わらせてほしいと打診をしても、希望が受け入れられません。
そこで、Fさんは転職を決意。早々に4件の内定を獲得し、そのなかから、相続税の経験が積め事務所経営のイロハも学べる、資産税特化型の個人事務所を選びました。
4社内定、迷った末に本来の転職動機に立ち返った30代・男性税理士の成功事例!

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税理士科目合格者向けの求人例

中堅税理士法人の資産税部にて、資産税務スタッフの募集!

仕事内容
・税相続申告業務
・お客様の資産管理会社に係る法人業務 ・確定申告業務
必要な経験・能力

【必須】
・税理士もしくは税理士科目合格2科目以上の方
・会計事務所経験3年以上(法人顧問経験があれば尚可)

【歓迎】
・一般事業会社経験

想定年収
400万円 ~ 800万円

柔軟な働き方が可能/通常期残業ほぼなし/少数精鋭の会計事務所よりスタッフの募集です!

仕事内容
・決算書の作成業務、指導業務(クラウド会計を積極的に採用)
・税務申告書(相続含む)の作成業務
・会計や税務に関する相談業務
・経営に関する資金調達や投資等に関する相談業務
・事業承継に関する株価評価
必要な経験・能力
【必須】
・会計事務所での実務経験がある方
・税理士有資格者または科目合格者の方
想定年収
440万円 ~ 600万円

ある分野の国内最大手企業/経理スペシャリスト募集

仕事内容
・日常経理、事業部門、関連会社との調整及び相談への対応
・単体決算、連結決算
・計算書類、有価証券報告書の作成、監査対応
・税務相談、税務申告、税務調査対応
必要な経験・能力
【必須】
※下記いずれかに該当する方
・会計士(科目合格者含む)の有資格者
・税理士(科目合格者含む)の有資格者
想定年収
600万円 ~ 1,000万円

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税理士試験科目合格者向けの求人をご確認したい方はこちら

税理士科目合格の求人情報

税理士科目合格の求人情報

税理士試験科目合格者を対象とした求人情報を掲載。 仕事と試験勉強を両立できる事務所やサポートがある事務所・企業など数多く掲載しております。
サイト上で公開されている求人はごく一部です。そのほかの求人情報は会員登録することでご確認いただけます。

まとめ

税理士試験は科目ごとに受験できる試験です。一度合格した科目は生涯にわたり、合格科目として認められます。税理士資格が認められる5科目以上の合格に満たない場合でも、各科目の合格者は税務・会計の高度な知識が認められるため、転職の際に高く評価されます。

税理士科目は、会計と税務における全11種類です。すでに保有している科目が、応募する企業の業務に関係している場合、さらに採用担当者にアピールできるので、有利に転職活動を行えるでしょう。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

窪塚 勝則

大学卒業後、大手出版系企業を経て現職へ入社。
主に大手・新興上場企業を対象とする法人営業職を4年、キャリアアドバイザーとして10年以上に及ぶ。

会計事務所・監査法人・公認会計士・税理士・税理士科目合格・USCPAを専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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