税理士登録に必要な費用(登録料・年会費)っていくらかかるの?
税理士資格の取得に向けて勉強していると、次第に勉強・試験合格そのものが目的になってしまい、将来のキャリアプランまでイメージできない人も少なくありません。
努力の甲斐あって税理士試験を突破しても、その後税理士となる資格を得て登録しなければ、税理士として会計業務に携わることはできません。
この記事では、税理士に合格した後、登録までの手続きや条件、かかる費用などをまとめています。
税理士として登録するための資格・条件とは
税理士になる方法としては、税理士試験に合格する以外にもいくつか条件があり、税理士登録ができるいずれかの資格を取得していれば、税理士名簿への登録ができます。
税理士法第3条によると、税理士となる資格を有する者として規定されているのは、以下のようなケースに限られます。
- ・税理士試験に合格した人
- ・大学院進学や税務署勤務の経験により、税理士試験を免除された人
- ・弁護士の人(弁護士となる資格を有する人も含む)
- ・公認会計士(公認会計士となる資格を有する人も含む)
また、税理士試験合格者・税理士試験免除者は、租税に関する事務または会計に関する事務で、政令で定めるものに従事した期間、つまり実務経験が通算して2年以上あることが条件となります。
試験組は、単純に税理士試験に合格するだけでは不十分で、合格した後に一定の条件が課せられている点に注意しなければなりません。
登録までのスケジュール
続いては、税理士登録を進める際、具体的にどのような流れで登録を行うのか、スケジュールについてご紹介します。
税理士となる資格を有する人が税理士になるためには、日本税理士会連合会に供える税理士名簿に、財務省令で定めるところにより、氏名、生年月日、事務所の名称及び所在地その他の事項の登録を受ける必要があります。
これは税理士法第18条で定められており、所定の登録申請書に必要事項を記入し、登録を受けようとする税理士事務所・または税理士法人の所属事務所の所在地を含む区域に設立されている税理士会を経由して、日本税理士会連合会に提出する流れとなります。
このとき、登録にあたっては有資格者それぞれの立場で用意する書類があり、登録申請書と一緒に提出しなければなりません。
開業するか社員税理士となるかによっても用意する書類が異なるため、自分が何を用意しておけばよいのか事前に確認が必要となります。
登録申請書が受理されると、税理士会の面接・調査が行われ、登録が適当であるとみなされれば税理士名簿に登録され、官報に公告されます。
スケジュール感としては、必要書類を全て揃えるのに1ヶ月・税理士登録完了まで3ケ月を想定しておきましょう。
実務期間に行う業務とは
税理士登録において問題となるのが、実務期間の換算と、実務に該当する業務の内容です。
税理士法基本通達によると、租税・会計に関する実務経験として換算される業務は、以下のように定められています。
租税に関する事務
税務官公署における事務のほか、その他の官公署及び会社等における税務に関する事務
会計に関する事務で政令で定めるもの
簿記の原則に従って会計帳簿等を記録し、その会計記録に基づいて決算を行い、財務諸表等を作成する過程において簿記会計に関する知識を必要とする事務
会計に関する実務についてはもう少し細かく記されており、経理業務で行われる一連の業務に携わっていれば、概ね会計面での条件は満たせるものと考えてよいでしょう。
具体的には、貸借対照表・損益計算書の作成、各種仕訳や転記、月次決算・年次決算手続、帳簿の入力内容チェックなど、会社の会計全般に責任者レベルで携わった経験があれば、実務経験として認められる可能性が高くなります。
逆に、簿記会計に関する知識に乏しい人でもできる単純な入出力業務に携わっているだけであれば、それが実務経験として評価される可能性は低いでしょう。
登録に必要な費用と登録後の年間費用
税理士名簿への登録は、必要な書類を揃えて提出するだけでは登録できません。
登録にあたり、日本税理士会連合会に登録手数料を、国税として登録免許税を支払わなければなりません。
登録手数料が5万円・登録免許税が6万円、これに加えて各地域の税理士会に入会金等・年会費を支払います。
入会金等は概ね5万円前後が相場となり、年会費は10万円程度を想定しておくとよいでしょう。
つまり、税理士として登録を維持する場合、毎年10万円をランニングコストとして考えておく必要があります。
さらに、新規登録時は研修費用を実費で支払う必要があり、概ね5千円程度の出費になります。
登録して維持するだけで、初年度は20万円以上かかるので、事前に予算をしっかり確保しておきましょう。
税理士資格取得後のキャリアプランとは
税理士資格を活かす、取得後のキャリアプランには、大きく分けて2つの選択肢があります。
開業税理士
最もイメージしやすいのが独立開業で、税理士法人などでの勤務経験がある人は、最終的に独立を想定して税理士事務所で働くケースも多いようです。
開業資金を貯めて事務所を確保できれば、その段階で開業すること自体は可能ですが、顧客を確保して安定収入を得るまでには時間がかかるケースが大半です。
勤務税理士
安定して高い年収が見込める大手会計事務所・税理士事務所で、勤務税理士として働く選択肢もあります。
幅広く業務を担当することになる中小事務所と違い、特定のジャンルに精通できる点に魅力を感じる人は多いようです。
また、試験に合格した実績を活かし、社員として一般企業で働くキャリアを選ぶケースも見られます。
このように、一口に税理士のキャリアプランと言っても選択肢は幅広いため、自分に合った形でキャリアアップを検討することが大切です。
まとめ
税理士として登録を行うためには、書類の準備、税理士会での面接、初期費用や年会費の支払いなどが求められます。
登録に際しお金や手間がかかるため、当面は独立を想定していないのなら、登録せずとも資格で得た知識を活かせる方向性で勤務先を見つけるのも一手です。
税理士試験に合格したからといって、それだけで独立できるわけではなく、所定の実務経験を通算2年以上積む必要があります。
合格後の一連の流れをイメージして試験に臨み、合格後のキャリアをスムーズに積み上げましょう。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。
会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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