税理士試験はどの科目を受けるべき?試験概要や取得するメリット

税理士
会計事務所・税務スタッフ
2020/07/22

税理士試験はどの科目を受けるべき?試験概要や取得するメリット

税理士試験

税理士資格は、取得すれば転職や独立も容易となり、生涯にわたって活かせる資格です。税理士試験を受けるにあたり、
「簿記とはどう違うのか」
「どの科目を受けるべきか」
と気になる方もいらっしゃいます。そこでこの記事では、税理士資格を取得する上で知っておく必要がある税理士試験の概要や簿記との違い、キャリアと科目選択などについて、基本的なことを解説します。


税理士試験の概要

最初に、税理士試験の試験科目や日程などの概要を見ていきましょう。

税理士になる流れ

税理士になるためには、まず税理士試験に合格しなくてはなりません。税理士試験は、後述する必修科目、選択必修科目および選択科目全11科目のなかから5科目の合格が必要です。

科目の合格は生涯にわたって有効です。したがって多くの税理士試験受験者は、毎年1~2科目を受験しながら数年をかけて5科目合格を目指します。
税理士試験に合格したら、税理士事務所所在地の税理士会に入会金と会費を支払い、登録申請を行います。日本税理士会連合会の名簿に登録されれば、税理士としての業務を行うことができます。

税理士試験の試験科目

税理士試験の試験科目を見てみましょう。

税理士試験の必修科目は、
・簿記論
・財務諸表論
の2科目です。税理士試験に合格するには、これら2つは必ず合格しなくてはなりません。

選択必修科目は、
・所得税法
・法人税法
の2科目です。どちらかの合格が必要です。

選択科目は、
・消費税法または酒税法(どちらか1科目のみの選択)
・相続税法
・固定資産税
・国税徴収法
・住民税または事業税(どちらか1科目のみの選択)
の7科目です。このうち3科目の合格が必要です。

試験日程

税理士試験は、例年8月上旬の3日間で実施されます。
試験日程は、2020年(令和2年)の場合には次のようになっています。

月日 時間 科目
8月18日(火) 9:00~11:00 簿記論
12:30~14:30 財務諸表論
15:30~17:30 消費税法または酒税法
8月19日(水) 9:00~11:00 法人税法
12:00~14:00 相続税法
15:00~17:00 所得税法
8月20日(木) 9:00~11:00 固定資産税
12:00~14:00 国税徴収法
15:00~17:00 住民税または事業税

※日程については変更される可能性があります。国税庁の公告はまめに確認しましょう。

受験料

受験料は、受験を申し込む科目数に応じて次のようになっています。

受験申込科目数 1科目 2科目 3科目 4科目 5科目
受験手数料 4,000円 5,500円 7,000円 8,500円 10,000円

受験地

税理士試験の受験地は、以下のうちから希望のものを選択します。

北海道、宮城県、埼玉県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、熊本県、および沖縄県

ただし、受験者数などの状況に応じて変更になることがあります。

税理士試験の受験資格

税理士資格の受験資格は「学識」「資格」「職歴」「認定」の4種類に分かれており、いずれか1つに当てはまることが必要です。

学識

・大学や短大、高等専門学校、専修学校で、法律学または経済学についての科目を1科目以上履修した者
・司法試験に合格した者
・公認会計士試験短答式試験合格者
など

資格

・日商簿記検定1級合格者
・全経簿記能力検定上級合格者
・会計士補
など

職歴

・弁理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、不動産鑑定士などの業務
・法人や個人事業での会計に関する実務
・税理士、弁護士、公認会計士などの補助の事務
・税務官公署における事務、またはその他の官公署における国税あるいは地方税に関する事務
・行政機関における会計検査などに関する事務
・銀行などにおける貸し付けなどに関する事務

「認定」に関する受験資格は「国税審議会により受験資格に関して個別認定を受けた者」となっています。

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税理士試験と簿記の比較

税理士試験の試験科目である「簿記論」は、日商簿記検定と重なる内容が多くあります。簿記検定の3級であれば30%が、2級であれば60%が、そして1級であれば90%が、簿記論の試験範囲と重なるといわれています。したがって、まず簿記検定を受験し、それから税理士試験を目指す人は多いです。

また、日商簿記検定1級の取得は、税理士試験の受験資格ともなっています。もし受験資格がほかに当てはまらない場合には、まず簿記1級を取得するのも良いでしょう。
ただし、簿記検定の試験範囲や出題傾向は、簿記論と違うところも多くあります。したがって、もし簿記1級を取得しなくても受験資格を満たす場合は、税理士試験を直接受験しても何も問題ありません。

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【関連記事】
税理士試験と簿記1級どちらを受けるべきか?

税理士資格を取得するメリット

税理士資格を取得するメリットを見てみましょう。

独立開業できる

税理士資格を取得すれば、税理士として独立開業ができます。「一国一城の主」を目指す人にとっては、税理士は大きな選択肢だといえるでしょう。

生涯働ける

税理士として独立すれば、定年はありません。自分が働きたいときまで、生涯にわたって働くこともできます。

転職しやすい

税理士資格取得者の転職市場におけるニーズは高いです。したがって、転職しやすいことも税理士資格取得のメリットです。引っ越しなどで、どのような地域へ行っても転職先を見つけることができるでしょう。

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科目別の合格率・難易度

11科目ある税士試験の平成30年度と令和元年度における合格率は次の通りです。

科目 受験者数 合格者数 合格率 前年度合格率
簿記論 11,784 2,052 17.4 14.8
財務諸表論 9,268 1,753 18.9 13.4
所得税法 1,659 212 12.8 12.3
法人税法 4,260 627 14.7 11.6
相続税法 2,897 338 11.7 11.8
消費税法 7,451 884 11.9 10.6
酒税法 492 61 12.4 12.8
国税徴収法 1,677 213 12.7 10.7
住民税 410 78 19.0 13.5
事業税 392 58 14.8 11
固定資産税 868 119 13.7 14.9
合計(延人員) 41,158 6,395 15.5 12.8

全科目とも2年連続で合格率の平均値は10%台となっており、ひと桁台あるいは20%台である科目はありません。
ただ、平成30年度試験の合格率は全科目が10%台前半でしたが、令和元年度試験では簿記論、財務諸表論、住民税の合格率が大きく上昇して10%台後半となりました。一方、所得税法や相続税法、酒税法などは、直近の2年間では合格率に特別大きな変化は見られません。
ばらつきのある合格率からは、科目ごとの難易度は同一ではなく、やや差があることが見て取れます。特に、簿記論、財務諸表論、住民税などは合格率が2年連続で全体平均を上回っており、最近の試験では比較的難易度が低めであったといえるでしょう。

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評価される税理士試験科目は?

ここでは評価されやすい試験科目をご紹介します。

法人税法

法人税は国税収入額の中でも2番目に多く、どの会計事務所でも法人税関連の知識は必要とされ、実務で使う機会が多いことから重要視される科目です。

所得税法

国税収入額トップであり、個人の一年間の所得に対して課される国税で、実務でも使われる大変重要な科目です。

消費税法

消費税法は、法人を主要顧客とする会計事務所や、相続を専門とする特化型の事務所でも評価される科目です。法人税法、所得税法と同じく、実務に活かせる科目として評価されます。

簿記論・財務諸表論・法人税法・消費税法・所得税法は、評価される王道の科目で長年会計業界から支持されてきました。これらの科目に加えて、近年人気上昇中の科目として、相続税法、固定資産税が挙げられます。少子高齢化にともない、これらは注目される試験科目となっています。

相続税

相続税特化型の事務所で高く評価される科目です。また、相続税関連業務が増加する中で、特化型以外でも実務で使う機会が増えてきており、評価する事務所も増えてきました。

固定資産税

相続関連業務のニーズの高まりに伴い、評価が高まってきた科目です。地主の相続・不動産オーナーの財産承継等、固定資産税に関して知らなければならない案件も増えてきているため注目は高まっています。

「税理士になる」ことが第一で、科目合格だけを優先するならば、ボリュームも多く、人気のある相続税は不向きかもしれません。但し、相続税は実務に直結する科目であり、これからも注目度の高い科目の一つであることは間違いありません。特に将来的に独立を考えているのであれば、尚更おすすめの科目であるといえます。


(※こちらもご参考ください⇒税理士試験、モテる科目はこれだ!)

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キャリア別の評価される科目

税理士科目は、就職先や、歩みたいキャリアによっておすすめの組み合わせや科目は異なります。

法人向けサービスを展開する会計事務所

日本の全企業数のうち、99.7%が中小企業です。つまり、会計事務所が取り扱うマーケットが一番大きいのも中小企業支援であると言えます。その分野は、簿記論・財務諸表論といった会計科目の基礎的な知見が必要です。また、規模が大きくなるにつれ、特に上場企業を含む大企業向けの支援には、法人税の深い知見が必要となってきます。そういったことから、法人向けの支援をしている会計事務所では、簿記論・財務諸表論・法人税法がおすすめ科目といえるでしょう。

相続税に強い会計事務所

相続対策・申告に強い会計事務所での就職となると、実務で相続税や固定資産税の知識が不可欠となります。近年、相続税のニーズが高まるにつれ、一般法人の支援をサービスとして取り扱わない相続税特化型の事務所も創業されてきています。このような特化型の事務所では、法人税よりも相続税・固定資産税の税理士試験科目合格者がモテるでしょう。

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まとめ

税理士試験を5科目合格するためには、大変努力が必要です。5科目同時に一発合格するということは不可能に近いといわるほど難しい内容で、ここ数十年の間でも同時合格者は数えるほどしか出ていないようです。それだけ難しい試験だからこそ、計画性を持って、あなたのキャリアに必要な科目合格に全力を尽くしていただきたいと思います。必ずしも、上記のような科目を受験しなければならないということではありませんが、今後の受験計画を立てていく上でご参考にしていただけますと幸いです。

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