2023年07月14日

税理士試験科目免除制度とは?メリットとデメリットや廃止の可能性などを解説

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税理士試験科目免除制度とは?

税理士試験は会計科目2科目と税法9科目で構成され、税理士になるには会計科目は2科目とも、税法科目については9科目中3科目の合格が必要です。

しかし、これはあくまで本ルートであり、条件を満たせば一部試験の免除を受けることができます。近年、受験負担が軽くなるとの理由で、免除制度を利用して税理士を目指す人が増えているようです。

今回は、税理士試験の試験科目を免除するための条件と免除することのメリット・デメリット、今後の廃止の可能性などについて詳しく解説します。

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免除制度の利用者が増えている

日本税理士会連合会の「第6回税理士実態調査報告書」によると、免除制度を利用して税理士に登録した人数は、1994年が16.7%、2004年が25.3%、2014年が37.2%、2020年が53.4%となっています。2020年までの26年間で、30ポイント近くも増加しているのです。

免除制度の利用者が増加している要因の一つとして、税理士試験の難易度が上がっていることを挙げることができます。
その影響により、何度も難関試験に挑戦して不合格を繰り返すよりも、免除制度を利用して少しでも早く資格を取り、実務経験を積んだ方が合理的と考える人が増えています。

また、大学側が学生を確保するために、税理士を目指しやすい専門コースを設けるケースが増えていることも、免除制度の利用者増の要因として指摘できます。

かつての制度では、所定の単位を取って大学院修士号を取得すれば、無試験で税理士資格を得ることができました。そのため、税理士業界の中では免除者は勉強・努力不足という印象があり、試験免除者を嫌う傾向もあったようです。
しかし現在では免除制度が見直され、最低でも2科目以上の試験合格が必要となりました。

この改正により、免除制度を利用しても一定の勉強・努力を積み重ねなければならず、以前のような試験免除者に対する業界内での風当たりはありません。

このことが免除制度を利用しやすくする風潮を強め、免除者増につながったと考えられます。

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税法科目の免除の条件とは?

試験科目の免除の条件は次の3つです。

学位授与の研究による試験の免除

税法科目、会計学科目のそれぞれで1科目以上の合格をした一部合格者のうち、大学院で自己の修士の学位等取得にかかる研究について国税審議会の認定を受け、認定が下りた場合に税法科目であれば残り2科目、会計学科目であれば残りの1科目にも合格したことになります。

※2002年4月の税理士法の改定がありました。改正前は会計学に属する科目または税法に属する科目のどちらか一方の1科目を合格すれば、試験科目の免除の申請ができていましたが、改正後は両科目で1科目ずつ合格しなければならなくなりました。

一方で、「法律学または財政学の研究科にて学位(修士号)を取得した者」と定められていた部分は、「税法に属する科目(その他財務省令で定めるもの)にて学位(修士号)を取得した者」と変更され、出身の研究科の縛りがなくなりました。これによって、理系出身者にも試験科目の免除の道が開かれたことになります。

特定資格による試験の免除

弁護士や公認会計士は、全ての試験科目が免除されます。

国税従事による試験の免除

10年または15年以上税務署に勤務した国税従事者は、税法系の科目が免除されます。23年または28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者は、会計系の科目が免除されます。

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科目免除のメリット

1.期間を短縮できる

税理士試験の科目合格者は毎年10人中1・2人の割合であるため、1年で1科目の合格を目指したとしても、2年目に2科目を合格することはかなり厳しい目標だと言えるでしょう。

試験科目の免除があれば、大学院に2年通ったとしても一度に2科目以上を突破できるので、税理士試験に合格するまで何年もかかる先の読めない不安から解放されます。

税理士試験は科目数が多く、最低でも2年間はしっかり勉強する必要があります。しかし、大学院で会計学に属する科目、税法に属する科目のそれぞれ1科目ずつ合格すれば、試験科目の免除の申請ができ、試験勉強の負担はぐっと減ります。

2.試験勉強の負担が減る

税理士試験は科目数が多く、最低でも2年間はしっかり勉強する必要があります。しかし、大学院で会計学に属する科目、税法に属する科目のそれぞれ1科目ずつ合格すれば、試験科目の免除の申請ができ、試験勉強の負担はぐっと減ります。

3.社会人でも働きながら夜間制や通信制の大学院に通学できる

科目免除は、社会人が税理士を目指す上で非常に有用な制度です。夜間制や通信制の大学院があるため、自身のスケジュールやライフスタイルに合わせて、働きながら資格取得を目指すことができます。

また、大学院の学位取得は専門性を高めるだけでなく、キャリアの幅を広げる可能性もあります。

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科目免除のデメリット

科目免除の デメリット

1.大学院に進学したからといって試験科目が免除されるわけではない

試験科目の免除も目的に大学院に進学した場合、研究について国税審議会からの認定が下りなければ、試験科目の免除となりません。

2.実力がないまま試験科目が免除されてしまうと、税理士になってから困る

税理士試験を受験した人たちとの実力の差が後々出る可能性があります。しかし、この点においては個人の努力でカバーできるデメリットと言えるでしょう。

3.大学院に行くのはコストがかかる

大学院に進学するとかなりの費用がかかります。目的が税理士試験の試験科目の免除でないのならそこまで気にする必要がないかもしれませんが、独学で参考書などを買って地道に合格を勝ち取った人に比べてコストがかかるのは覚悟しなければならないでしょう。

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科目免除制度が廃止される可能性は?

科目免除制度の廃止については、現時点では未定です。これは、国税庁が過去に試験科目の免除制度を見直した経緯からも明らかです。

過去の制度見直しでは、受験資格の要件緩和や、試験科目免除制度の免除範囲に該当する学問領域が限定されました。これにより、専門知識を持つ人々が税理士として活躍するための道が広がりました。その一方で、免除制度の廃止についての議論はないため、現時点で廃止の予定はないと推測できます。

以上の事から、現在のところ「大学院の学位による科目免除」が廃止されることは考えにくいでしょう。しかし、税理士試験やその制度は常に見直しが行われており、今後の法改正により状況が変わる可能性もあるため、最新の情報を常にチェックすることが重要です。

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まとめ

税理士試験は難関ですので、勉強にかかる時間・負担を減らすためには、免除制度を利用するのが有効です。
免除を受ける方法には、資格による免除、学位取得による免除、国税従事による免除の3種類があります。

ただし、免除科目については試験合格に向けた勉強をしていないので、その科目を合格した人に比べると法知識が浅くなることも多いです。苦手意識を持たないように、しっかりと自分なりに学習しておくことが望まれます。

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<参考>
国税庁「試験科目の免除について」

この記事を監修したキャリアアドバイザー

齊藤 仁美

大学卒業後、幸せに働く人を増やしたいという想いから新卒でMS-Japanに入社。
上場企業を中心とした求人開拓から管理部門全般のマッチングを行い、2021年1月より専門性の高いJ事業部に異動。
主に会計事務所、監査法人、社労士事務所の担当を持ちながら士業領域での転職を検討している方のカウンセリングから案件紹介を両面で行う。

会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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