2025年01月10日

経理とは?仕事内容一覧とやりがい、年収など詳しく解説!

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経理は企業の取引やお金の流れを管理するだけでなく、経営者や利害関係者に対する会計状況の報告など、非常に重要な仕事を担っています。
企業規模や業界を問わず、企業には経理機能が必要なため、転職市場において安定して需要のある職種です。

本記事では、経理の基本的な仕事内容やキャリア形成についてまとめて解説いたします。
経理職経験者の方や経理への転職に興味がある方はぜひご参考ください。

経理ってどんな仕事?

経理とは、企業・組織における取引金銭の動きを記録する職種です。記録されたデータは経営者・利害関係者への報告のために利用されます。

具体的な業務としては、日々の売上、売掛金の処理、仕入れや原価の計算、給与額の計算、保険料の支払いの処理、交通費の精算、資産の購入・売却の処理などです。
月ごと、年度ごとに行う決算業務も担います。

会計との違い

会計には経営者・経営トップ層といった企業内部向けに会計情報をまとめる「管理会計」と、株主や金融機関、債権者といった企業外部向けに会計情報をまとめる「財務会計」の2種類があります。

管理会計、財務会計ともに決算書に基づいて報告を行いますが、どちらも日々経理がまとめる帳簿データを使用します。そのため、経理は会計の中に含まれる業務の一つと言えるでしょう。

会計と経理は、言葉を明確に分けずに使用されることも多いですが、厳密には異なる意味を持つため、注意が必要です。
とくに転職市場では、「会計部門の実務経験」と「経理部門の実務経験」では、意味合いが異なるため、正確に使い分けましょう。

財務との違い

財務と経理は大きく異なります。財務は、金融機関からの銀行融資や株式発行などの手段による資金調達予算管理、M&Aなどによる資金の運用などが主な業務内容です。

中小企業などの場合、財務部門を設置せず、経営層が直接行うこともあります。
財務活動を実施するにあたって、経理がまとめた帳簿データが重要になるため、経理との関係性は深いと言えるでしょう。

簿記との違い

簿記と経理は一見似ていますが、その役割には明確な違いがあります。簿記は、企業取引の記録が主な目的であり、簿記という名前通り「帳簿」に「記録」する業務を指します。
一方、経理は帳簿の記録をもとに、予算管理や資金繰り、決算の取りまとめなど、企業の財務全体を管理する幅広い業務を担当します。

簿記「記録」のプロセスに重きを置くのに対し、経理「管理」と「戦略」も担います。そのため、経営の意思決定にも影響を与える役割を果たしていると言えるでしょう。

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経理の仕事内容一覧

企業はすべて、原則として1年を事業年度として設定し、年度末に決算処理をして財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書など)を作成します。
経理の業務は、正確な財務諸表を作成するために行われるといっても過言ではなく、複式簿記により取引情報を記録して、日次、月次、年次単位で処理を行います。

具体的にはどんな業務があるのか、以下で紹介します。

日次業務

業務 概要
現金預金の管理 ・入出金記録の確認
・残高照合
伝票処理 ・伝票作成と帳簿へ記録
経費精算 ・社員の経費精算
・仮払金の精算
雑務 ・メールチェック
・ファイリング作業

月次業務

業務 概要
買掛金・売掛金の管理 ・買掛金の支払い
・売掛金の入金の確認
領収書・請求書の発行 ・取引先へ請求書や領収書の発行
給与計算 ・勤怠管理
・給与の計算
在庫管理 ・材料や在庫商品の管理(棚卸)
社会保険料納付 ・源泉徴収税や住民税、社会保険料の支払い

年次業務

業務 概要
年末調整 ・扶養控除申請書の用意
・社員の所得税申告書類作成
償却資産調査 ・減価償却の申告
決算書・確定申告 ・財務諸表や決算書の作成
・税務申告に係る書類作成
税金の納付 ・法人税、法人事業税、法人地方税、消費税の納付

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経理の年間スケジュール

3月決算の会社を例に、経理業務の年間スケジュールをご紹介いたします。

決算では、会社のコスト利益を計算し、財政状況や業績など会社の成績をまとめた決算書を作成します。
経理にとって決算の翌月、翌々月は決算書の作成と報告の時期があるため特に業務量が多く、重要な時期でもあります。

経理の仕事 社会保険・年末調整の仕事
4月 ・決算作業
・株主総会の招集開催(4〜5月)
・固定資産税都市計画税第1期の納付
5月 ・法人税、法人地方税、法人事業税の確定申告と納付
・消費税等の確定申告と納付
・自動車税の納付
6月 ・住民税の納付(12月〜5月)
7月 ・固定資産税都市計画税第2期の納付 ・労働保険の年度更新(6月〜7月)
・月額算定基礎届の提出
・源泉所得税の納付(1月〜6月分)
・労働保険の年度更新
8月
9月
10月
11月 ・法人税、法人地方税、法人事業税の中間申告と納付
・消費税等の中間申告と納付
12月 ・固定資産税都市計画税第3期の納付 ・年末調整
・住民税納付(6〜11月分)
1月 ・償却資産の申告 ・法定調書等の提出
・総括表の提出
・源泉所得税の納付(7月〜12月分)
2月 ・固定資産税都市計画税第4期の納付
3月 ・棚卸し
※会計業務の締切

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経理の仕事のやりがいは?

MS-Japanで働く経理担当のうち2名に、「経理の仕事におけるやりがい」を聞いてみました。

勉強した分だけ出来る業務が増えた時

Kさん:始めは日常や月次業務の理解で必死でした。そこから勉強していく中で法人税など申告書のポイントが分かって税理士と話せるようになったり、 税効果やキャッシュフローの作成などより専門性の高い業務が出来るようになったりして、段階的にステップアップしている実感が湧きます。

Nさん:経理になったのは、産休育休明けからです。それまで簿記の資格は取っていましたが、ほぼ経理経験なしでした。 派遣で様々な会社の経理部門で経験を積んで、一歩一歩ステップアップしてきました。自分の頑張り次第で、仕事の幅をどんどん広げられる職種だと思います。

業務の効率化や改善が出来た時

Kさん:Excelを活用して工数削減に繋げたり、ミス防止のために「なぜこの数字が正しいか」を色々な視点で証明できる仕組みを作れたりするとやりがいを感じます。

資金繰りを行っている時

Nさん:前職で資金繰りが厳しく、毎日のように売上と支払の調整を行っていた時は、毎月うまく乗り切れると自身の家の家計簿をやっているくらい嬉しい気持ちになります。

決算が締まった時

Nさん:特に四半期決算、本決算は決算締め→監査→開示→株主総会(本決算)とあり、正直気持ちが重い日々が続きます…。 その分無事に締め作業が終わった後は、自分を褒めてあげたいくらい達成感があります。

様々な部署・役割の人の役に立てた時

Nさん:他部署から経理の知識が必要な相談をされる時に、そこで役に立てるとモチベーションが上がります。 営業担当からは請求関連の相談がくることが多いのですが、営業活動以外のところでもサポートができていると思うとやりがいを感じます。

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経理に向いている人の特徴

経理担当者は、企業の財務を支える重要な役割を担い、単に数字を処理するだけではありません。
日々の取引の記録から始まり、月次や年次決算、税務申告など幅広い業務に携わります。正確な記録を保ちながら、経営層への報告や他部署との連携も求められるため、多様なスキルが必要です。

ここでは、経理に向いている人の特徴についてご紹介します。

几帳面で正確な仕事ができる人

経理の仕事には、細かい取引記録や決算書の作成など、正確さが求められる業務が多く含まれます。
ミスが許されない業務のため、几帳面で一つひとつの作業を丁寧に行える人が向いています。

また、細かい点に気を配りながらも全体を見通し、企業の財務状況を的確に把握し、経営に役立つ情報を提供できる正確性が求められます。

会計の専門知識がある人

経理業務には、簿記や会計に関する専門知識が必要です。特に未経験者の場合は、日商簿記検定を取得することで、体系的に経理知識を学習することができます。

また、経理業務に関連する税法や会社法律などは度々法改正が行われるため、常に最新の情報を習得する努力が必要です。業界によっては、国際会計基準(IFRS)などの専門知識も求められるでしょう。

数字や計算が得意な人

経理業務では、数字を扱う機会が多く、計算ミスは許されません。近年は経理システムの導入が一般的であり、手計算の必要はありませんが、経理システムExcelを使いこなし、効率的に計算処理を行う能力が重要です。数字や計算が得意な人は経理に向いているでしょう。

また、経理は財務諸表の数字から、企業の収益性や安全性、成長性などを分析し、経営改善に役立てる役割を担うため、数字から経営状況を読み解く分析力も求められます。

コミュニケーションが円滑に取れる人

経理は、様々な立ち位置の人と連携して仕事を進めるため、コミュニケーション能力も重要です。

営業部門や人事部門など、他部署の従業員との情報共有や、外部の顧問税理士や監査法人などとのやり取りも発生するため、相手に合わせたコミュニケーションが求められます。
また、ポジションによっては、経営層に財務状況を報告するためのプレゼンテーション能力も必要です。

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経理の平均年収とは?

経理の平均年収とは?2023年4月~2024年3月に、MS Agentを利用して転職された方のオファー年収(内定時の提示年収)は下記となります。

年代 平均年収 中央値
20代 408万円 394万円
30代 518万円 496万円
40代 641万円 600万円
50代 726万円 720万円
60代以上 638万円 601万円
全体 536万円 483万円

※オファー年収は月額給与及び定期的に支給される賞与の合計額であり、別途支給される時間外手当や決算賞与等の変動要素がある金額に関しては含まれておりません。

経理の年収は年代が上がるほどに上昇していくのが通例です。
理由として、知識・経験を積み重ねるほど評価が高まり、より重要な業務を任されることが考えられます。

ただし、年齢に応じた実績がないと年収アップは望めない点は注意が必要です。

転職で年収アップをかなえる

経理で役立つ資格は?キャリアアップや評価アップに繋がる資格9選

経理の仕事でスキルアップ年収アップを狙うのであれば、資格取得がオススメです。
職歴や実務経験も評価対象になりますが、客観的な指標となる資格を持っていた方が有利に働きます。

企業側が採用時の判断基準のひとつに日商簿記検定などの資格の保有を条件にする場合も多いため、年収アップやスキルアップを考えている方におすすめの資格9選をご紹介いたします。

資格 概要
日商簿記検定

・合格すると税理士試験の受験資格が得られる(1級)※1
・決算書や財務諸表が読めるようになり、企業から評価される(2級)
・経理業務の基礎知識が身に付く(3級)

【関連記事】
簿記の概要と各級の概要・合格率・合格後のキャリアなどを紹介!

TOEIC・TOEFL・IELTS

・外資系企業など、英語能力が必要な場合にあると評価されやすい

【関連記事】
英語力と経理スキルでキャリアアップ!英文経理に役立つ資格を紹介

公認会計士

・会計のプロフェッショナル、独立開業も可能な国家資格

【関連記事】
令和6年(2024年)公認会計士試験の日程 試験から合格後の流れ

税理士

・税務に関するスペシャリスト、独立開業も可能な国家資格※2

【関連記事】
税理士試験の科目別合格率&難易度は?キャリア別におすすめの科目も紹介

FASS検定

・経済産業省発案の経理財務の実力を測る検定

【関連記事】
FASS検定は経理の転職に有利に働くのか?

USCPA

・米国の公認会計士資格

【関連記事】
公認会計士とUSCPAの違いは?難易度や年収などを徹底比較!

給与計算検定 ・給与計算に特化した資格
ビジネス会計検定

・会計知識が身に付く資格

【関連記事】
第32回ビジネス会計検定試験が実施!取得のメリットや難易度を調査!

ファイナンシャルプランナー(FP) ・総合的な資金計画が立てられる実用的な資格

※1:2023年8月実施の税理士試験より受験資格要件が緩和され、会計学科目(簿記論・財務諸表論)は無条件で受けられるようになりました。
※2:科目合格でも転職では有利になる事が多いです。

経理のための転職支援を受ける

経理の仕事はなくなるって本当?

昨今、急速に普及したテレワークや書類のペーパーレス化、通称RPA(Robotic Process Automation)というデータ入力などの自動化ツールの導入により、将来、経理の仕事がAIに置換されるのではないかという不安がささやかれています。

システム上で情報を一括管理できればセキュリティの向上や、業務負担の軽減が期待できますが、まだまだ紙媒体で受発注をかけている企業も多いため、例外として人の手で処理する必要があります。
また交通費などの経費精算、税理士への確認書類、決算報告書なども紙で提出する慣習が強いため、完全なAI置換は難しいのが現状です。

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まとめ

経理職は現在、転職市場において売り手市場となっています。
その要因として、近年中小企業も含めてグローバル化が進み、国際会計基準への導入に携われる人材へのニーズが高まっていること、さらにはDX化会計システムの刷新により、対応できる人材が必要になっていることなどが挙げられるでしょう。

また、IPO準備企業においても経理部門の強化を図るべく、専門性の高い経理職を求める動きが強まっています。
ただ、経理職として求められる専門性は同じでも、任される業務は企業によって違っています。
たとえば中小企業の場合、人材数に限りがあるため、一人の経理職に経理だけでなく財務・会計に関する幅広い役割を任せることも多いです。

一方、大企業では担当業務が細分化され、特定の業務のみ集中して任されるのが通例といえます。
そのため、「経理職であればどこでも良い」という形で転職活動をしていると、なかなか自分に合った転職先が見つかないこともあります。

また仮に採用されても本来の自分の志望に合わず、転職後早々に再び転職活動を始めることになる可能性もあります。

自分がこれまで培ってきた経験やスキルに合致する転職先を見つけたいなら、求人企業の内情に詳しい転職エージェントを利用することがおすすめです。
担当のキャリアドバイザーが経験、スキル、価値観に合ったキャリアプランを提案してくれるので、理想に近い転職先を見つけ出せるでしょう。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

平瀬 美穂

大学卒業後、航空会社に新卒で入社し国内外各地へのフライト業務に従事。
その後キャリアアドバイザーとしてMS-Japanへ入社。
現在は主に経理財務や会計事務所などの会計転職希望の方を中心に担当。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 税理士科目合格 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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