経理になるには?~求められるスキルや資格~
企業活動におけるお金の流れを管理する経理の仕事は、経営陣が課題を見つけるのに必要な情報を浮き彫りにする、重要な職務です。
中途採用市場では、実務経験が重視されますが、未経験を採用するケースも多いです。少しでも採用の可能性を高めるには、自分自身のスキル向上のため日々努力する姿勢と、アピールできる具体的な成果物が必要です。
この記事では、未経験者が経理職として働くために必要なスキル・一般的な経理職の年収目安・取得しておくと採用に有利な資格などについてご紹介します。
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経理になるために必要なスキル
経理として働くために必要なスキルとしては、以下のようなものがあげられます。
パソコンスキル
経理職に限った話ではありませんが、パソコンの操作感に乏しい人材は、オフィスワークにおいて業務を円滑に進めることが難しいでしょう。
仕訳を切るにしても会計ソフトやクラウドサービスを利用することが一般的であり、簿記の知識があっても会計ソフトの使い方が分からなければ作業が進みません。
また、表計算ソフトのスキルも財務諸表や会計資料の分析などに必要なため、最低限数式を応用する程度の知識は頭に入れておかなければなりません。
真面目で細かい業務ができる
すべての業務でそうだとは言いませんが、経理職は再現性の高い業務を続ける職種です。
毎日・毎月・毎年、基本的には簿記というルールにのっとって、さらには社内ルールを踏襲して、同じような処理を繰り返すのが仕事です。
逆に、クリエイティブを発揮して、自分のやりたいように・思う通りに仕事を進めようとすると、他の部署に多大な迷惑がかかる可能性があります。
周囲に配慮して、真面目に、細やかな仕事ができる人が、経理職として重宝されるのです。
勉強が好き
日々の業務において再現性が求められる経理の現場ですが、その根底にある知識・ルールは年々変わっていきます。
代表的なものが税法で、消費税率や投資促進税制など、毎年何らかの形で税制は変更されています。会計ルールが変わることもあり、一例をあげると「収益認識に関する会計基準」のように、新基準を適用することで今までの売上のタイミングが変わってしまうこともあります。
経理として第一線で活躍し続けるためには、こうした変化を速やかに理解して、実務に落とし込んでいけるだけの努力が必要です。
経理になるために役立つ資格
具体的な経理スキルをアピールできない未経験者にとって、自分を積極的にアピールできるものの一つに「資格」があげられます。
以下に、経理として転職する際に役立つ資格をいくつかご紹介します。
日商簿記検定
経理部門のみならず、実社会で一定の評価を得られる資格として、日商簿記検定があげられます。
簿記検定の種類は他にもいくつかありますが、国内においては日商簿記検定がもっとも知名度が高いものと考えてよいでしょう。
試験の難易度は1~3級に分かれており、取得すれば履歴書に書くことは可能です。ただ、中途採用を想定した場合、2級以上が評価の対象となる傾向にあります。
簿記3級は簿記の基礎知識を問う問題がほとんどで、主に事業規模の小さい中小企業・個人商店などを対象としています。
簿記2級では、工業簿記が試験範囲に加わり、財務諸表の分析に必要な分野も学びますから、一般企業で十分通用する内容と言えます。
簿記1級になると、原価計算・会計学の分野も試験範囲に含まれ、企業会計の高度な知識やスピーディーな計算スキルが問われます。
また、1級に合格した場合、税理士試験にチャレンジする資格が得られるため、税理士試験を狙う人の登竜門の一つとなっています。
ビジネス会計検定
日商簿記検定が「財務諸表を作る能力」を問う検定だとするならば、ビジネス会計検定は「財務諸表を読む能力」を問う検定と言えます。
財務諸表を分析して、企業の現況を把握することを目的とした試験内容となっており、将来的に役職者になることを想定しているなら受験しておきたい資格検定の一つです。
こちらも日商簿記検定同様に、難易度は1~3級に分かれており、数字が小さいほど難しくなっていきます。
リーダー・マネージャークラスを志している人は、日商簿記検定と並行して学習を進めたいところです。
FASS検定
経済産業省が開発した「経理・財務サービス・スキルスタンダード普及促進モデル」にもとづいて、経理職における定型業務として標準化された業務の習熟度をはかります。
要するに、実務レベルでどのくらい業務の知識・スキルがあるのかを問う検定であり、主に4つの分野から出題されます。具体的には、「売掛管理などの資産分野」「連結決算などの決算分野」「税効果計算などの税務分野」「貸付金管理などの資産分野」に分かれます。
TOEICのようなスコア式で評価され、スキルは5段階で評価されます。
BATIC
BATICは日本語で「国際会計検定」を意味します。
英語力と国際会計スキルが同時にチェックできる検定のため、外資系企業・海外勤務などを視野に入れている人は積極的に受験したい検定です。
こちらもスコア式の試験で、ハイスコアを取得すれば転職に有利となります。検定の中で簿記が用いられる分野もあることから、先に日商簿記検定に合格しておくと理解が早いでしょう。
他にも経理になるために役立つ資格は様々な種類があります。詳しくは下記記事をご覧ください。
未経験から経理になれるのか
どちらかというと経験者を優遇する経理の現場ですが、未経験者が経理職になること自体は不可能ではなく、企業・求人条件を選べば採用に至る可能性は十分あります。
ただ、年齢・スキル・職務経験を問わず歓迎されるわけではなく、求職者が「自社の経理部で働く必然性を持っているかどうか」という観点から経歴が問われます。
また、どうして経理職を志したのか、どのように自社に貢献していこうと思っているのかについても、過去の経歴から動機の一貫性と具体性をアピールしなければなりません。
そこまでできて初めて、経理職への応募が実を結ぶ可能性があることを押さえておきましょう。
年齢という観点では、未経験者は20代のうちに転職を希望した方がよいでしょう。
また、日商簿記2級を取得しておくと、企業側に熱意をアピールできます。
銀行など金融機関で融資を担当した経験があるなら、決算書のチェックにも携わっているはずですから、分析担当者として採用される可能性もあります。
経理と縁が深い職種で働いている・もしくはそれをきちんとアピールできるなら、未経験者にも門戸は開かれることでしょう。
経理で未経験可の求人を確認・応募してみよう
未経験者が経験者と同じ土俵に立って応募するのは、賢い選択とは言えません。
できるだけ、未経験可の求人に絞って求人情報をチェックすることをおすすめします。
未経験可ということは、少なくとも入社時点で実務経験は望んでいませんから、教育体制がある程度整っている会社なのだと期待できます。
また、即戦力として期待されていない分、じっくり実力を身に着けることができます。
未経験から経理職に転職を検討している場合は、採用に至る確率を少しでも高めるため、できるだけ未経験者可の求人に応募することを意識しましょう。
経理の目安年収
一般社団法人人材サービス産業協議会の「転職賃金相場2022」によると、首都圏における調査対象企業の募集時の最低年収額から割り出した中央値を比較した結果、経理財務職の最低年収中央値の範囲は250~625万円となっています。
また、調査対象企業の募集時の最高額上位15%を比較した結果、最高年収上位15%の範囲は350~1,225万円となっています。
年収額に幅があるのは、経理職で高年収を実現するためには何らかの役職に就く必要があり、相対的にチャンスが少ないことが一因と推察されます。
具体的なケースを見ていくと、年収1,000万円以上の人材が携わる案件としては、財務・リスク管理・IFRS・IRの責任者、役職では部長以上という求人がほとんどです。
以下、マネージャークラスで800万円以上、課長クラスで600万円以上、リーダー候補で400万円以上、役職なしで300万円以上というのが相場になります。
未経験者が経理職に採用された場合、スタートラインは概ね300万円前後の年収から始まるものと考えておいた方が賢明です。
【参考URL】
・転職賃金相場2022
まとめ
未経験者から経理職への転職を成功させることは、簡単ではないものの、決して不可能ではありません。
実力をつけてキャリアアップしていけば高収入も狙える職種ですから、日々の勉強が自分を高みに登らせてくれます。
難しい資格を取得すれば、その分だけ真剣度が評価されますし、将来の自分のためにもなります。経理を目指したい方は、まずは資格取得から始めていきましょう。
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