2023年11月30日

【速報】令和5年度(第73回)税理士試験合格発表!受験資格緩和による合格者数・合格率の変動は?

管理部門・士業の転職

2023年11月30日、令和5年度税理士試験の合格発表がありました。合格された方々、本当におめでとうございます。残念ながら今回合格に至らなかった方も、来年度の合格に向けて頑張ってください。心より応援しています。

本年度の試験は、受験者数32,893人、一部科目合格者数7,125人、合格率21.7%でした。

この記事では、令和5年度税理士試験結果の詳細や税理士試験後の就職・転職活動情報、採用情報を解説いたします。

※本記事の税理士試験結果は国税庁より引用しております。(2023年11月30日に利用)
国税庁『税理士試験』

税理士試験の受験者及び合格者数推移

令和5年度の税理士試験合計合格者数は7,125人、合格率は21.7%でした
令和5年度の税理士試験受験者数、合格者数、合格率は下記の通りです。

  • 受験者数:32,893人
  • 合格者数:7,125人(官報合格者数:600人、一部科目合格者数:6,525人)
  • 合格率:21.7%

今年の試験からは受験資格が緩和されたこともあり、昨年の受験者数28,853人から実に4,040人増の32,893人が受験しています

受験者数が増加した上に、合格率も昨年の19.5%から21.7%に上昇しているため、合格者数は7,125人と、昨年の合格者数5,626人から1,499人増の結果となりました。
受験資格の緩和によって税理士試験受験者・合格者数を増やそうという試みは成功したと言えるでしょう。


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過去5年間の受験者と合格者の推移

以下は過去5年間の受験者と合格者数の推移をまとめた表です。

第69回
令和元(2019)年度
第70回
令和2(2020)年度
第71回
令和3(2021)年度
第72回
令和4(2022)年度
第73回
令和5(2023)年度
受験者数 29,779 26,673 27,299 28,853 32,893
一部科目合格者数 4,639 4,754 4,554 5,006 6,525
官報合格者数 749 648 585 620 600
合格者合計 5,388 5,402 5,139 5,626 7,125
合格率(%) 18.1 20.3 18.8 19.5 21.7

受験者と合格者の推移上記の表・グラフを見てわかる通り、2020年試験で一度落ち込んだ受験者数もここ4年で回復傾向を示しており、今回の試験で2019年試験の受験者数を上回る結果となりました
また、合格率はここ5年ではおおよそ20%弱で推移しておりましたが、今回試験は合格率21.7%と、ここ5年で最も高く、5,500人前後で横ばいだった合格者数が7,125人まで一気に跳ね上がっています

ここ5年の試験の中では、合格率・合格者数ともに最高値をマークした、税理士業界にとって非常に好ましい結果となりました。


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年齢別の合格者数と合格率

以下の表は、年齢別の受験者数、合格者数の比較です。

受験者数 令和5(2023)年度 令和4(2022)年度
25歳以下 7,023 4,929
26~30歳 4,916 4,131
31~35歳 4,973 4,581
36~40歳 4,619 4,407
41歳以上 11,362 10,805

合格者数 令和5(2023)年度 令和4(2022)年度
25歳以下 2,175 1,524
26~30歳 1,332 993
31~35歳 1,168 1,015
36~40歳 962 855
41歳以上 1,488 1,239

年齢別の合格者数昨年対比で、年齢別の受験者数の増加を確認してみましょう。

25歳以下:2,094人増(+42.48%)
26~30歳:785人増(+19.00%)
31~35歳:329人増(+8.56%)
36~40歳:212人増(+4.81%)
41歳以上:557人増(+5.16%)

上記の通り、すべての年代において受験者数が増加しており、特に若い年代ほど受験者数の増加が顕著であることが見て取れます。
これは税理士試験の簿記論・財務諸表論の受験資格が実質的に撤廃されたことによる効果が大きいと思料されます。

次に、昨年対比で合格者数の増加を確認してみましょう。

25歳以下:651人増(+42.72%)
26~30歳:339人増(+34.14%)
31~35歳:153人増(+15.07%)
36~40歳:107人増(+12.51%)
41歳以上:249人増(+20.10%)

こちらもすべての年代において合格者数の増加がみられました。
また、受験者数の増加率と比較してみると、25歳以下の初受験者が多いであろう年代では、受験者増加率と合格者増加率が近似値であることから、受験者数の増加がそのまま合格者数の増加につながっていると見て取れます

一方、26歳以上の年代においては、すべての年代において、受験者の増加率を上回る合格者の増加率を見せました。受験者数が顕著に増加したわけではない年代の受験者たちがしっかりと合格を勝ち取ったことで、今回の税理士試験の全体合格率が大きく上昇したことにつながっているとも、見て取ることができます。


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科目別の受験者数・合計合格者数・合格率

以下は科目別に受験者数・合計合格者数・合格率をまとめた表です。

科目 受験者数 合格者数 合格率 前年度合格率
簿記論 16,093 2,794 17.4 23.0
財務諸表論 13,260 3,726 28.1 14.8
所得税法 1,202 166 13.8 14.1
法人税法 3,550 497 14.0 12.3
相続税法 2,428 282 11.6 14.2
消費税法 6,756 802 11.9 11.4
酒税法 463 59 12.7 13.2
国税徴収法 1,646 228 13.9 13.8
住民税 462 68 14.7 17.2
事業税 250 41 16.4 14.1
固定資産税 846 146 17.3 18.4
合計(延人員) 46,956 8,809 18.8 16.7

合計(延人数)の合格率を見てみると、昨年の16.7%から2.1ポイント増の18.8%となっております。
しかしながら、科目別に合格率を確認していくと、税法科目に関しては昨年とさほど変わらない合格率である科目も多く、むしろ税法科目だけに限って言えば、平均の合格率は昨年より少し減少していることがわかります。
今回の科目別の合格率の上昇の背景には、財務諸表論の顕著な合格率増加があると見て取れるでしょう。


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受験資格要件の緩和による影響は?

令和4年税理士法改正により、今回の税理士試験から受験資格要件が大幅に緩和され、受験資格の学識の要件が広くなりました。以下の表をご参照ください。

簿記論・財務諸表論

【従来】
高校生や大学1・2年生が受験するには
簿記1級合格等の受験資格要件を満たす必要あり

矢印 矢印

【令和5年度から】
受験資格要件が撤廃
(誰でも受験可能)


税法科目

【従来】
「法律学又は経済学」に属する科目を少なくとも
1科目は履修

矢印 矢印

【令和5年度から】
「社会科学」に属する科目を少なくとも
1科目は履修


簿記論と財務諸表論については、これまでは日商簿記1級等の資格がない場合、大学や専門学校等で特定の学識要件を満たす必要がありましたが、今回の試験から受験資格は撤廃となったため、どなたでも受験が可能になりました

税法科目については、「社会科学」に属する科目を少なくとも1科目履修していれば受験が可能になったため、文学部や理工学部の大学生・卒業生の方にも受験の可能性が広がっています。

※「社会学科」に属する科目とは、「法律学又は経済学に属する科目」に該当していた科目のほか、社会学、政治学、行政学、政策学、ビジネス学、コミュニケーション学、教育学、福祉学、心理学、統計学等の科目が該当します。

次に、受験資格の緩和によって税理士試験の受験者数や合格率がどのように変動したのかを解説します。

簿記論・財務諸表論

簿記論の受験者数は16,093人で、昨年の受験者数対比で124.9%
財務諸表論の受験者数は13,260人で、こちらは昨年の受験者数対比で131.1%
となっております。
やはり、受験資格が実質的に撤廃されたことによって、受験へのハードルが下がった会計学科目に関しては、大きな受験者数の増加が見て取れました

次に合格率に関してですが、簿記論は昨年の23%から5.6ポイント減少した17.4%となった一方で、財務諸表論は昨年の14.8%から13.3ポイントも上昇し、合格率28.1%と非常に高い合格率をマークしています。

簿記論はすべて計算問題であり、限られた時間内で正確な計算を求められるため、どうしても計算の練度が問われます。初受験者も増加したであろう今回試験では、簿記論合格に至るまでの計算力を身に着ける時間が足りなかった受験者も多かったのではないでしょうか。そういった背景から、簿記論の合格率は減少してしまったものと思料します。

一方、合格率が大きく上昇した財務諸表論ですが、こちらは計算ではなく財務諸表の作成方法やその考え方、ルールを学ぶ科目になるため、しっかりと対策を行い、理論を理解していれば合格を勝ち取れる科目です。そういった簿記論・財務諸表論の特性の違いもあり、今回の試験ではこの2科目に顕著な合格率の差が生まれたのではないでしょうか。

税法科目

税法科目に関しては、昨年と比較して受験者数、合格者数、合格率すべてにおいてさほど大きな変動は見て取れませんでした
やはり、税理士試験を受験する人は簿記論・財務諸表論から受験をする方が圧倒的に多いため、今回受験資格が緩和されて受けやすくなった税法科目ではありますが、こちらに関しては大きな影響は受けなかったのでしょう。

しかしながら、今回簿記論・財務諸表論に合格した人の中には、これまで税法科目の受験資格を有していなかった人も存在しているでしょうから、来年以降の試験では、税法科目に関しても受験者・合格者が増加することが期待できるのではないでしょうか。


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税理士試験合格発表後の就職活動について

税理士試験の合格発表後は、多くの候補者が就職活動されることを見越して、 会計事務所の採用活動が活発化するため、税理士試験実施後(8月~9月)に続いて、求人数が多い時期です

この時期に転職活動をするライバルも多く、人気の事務所にはすぐに候補者が集まるため、就職活動は早く始めるに越したことはりません。合格発表後に転職を考えている方は、できるだけ早く履歴書・職務経歴書のブラッシュアップや応募先の選定を進めておき、 発表後はすぐに転職活動を開始できる準備をしておきましょう。

ほとんどの会計事務所は年末年始~確定申告修了(3月中旬)まで繁忙期のため、 入社が決まってからすぐに来てほしいと内定先の事務所からお願いされたり、逆に3月までは受け入れが難しいから待ってほしいと言われるケースもあります。ご自身の入社が可能な時期を考慮しながら、転職・就職活動を進め、せっかく内定になったのに入社時期が折り合わずに内定辞退となってしまわないように注意しましょう。

また、今回残念ながら合格に至らなかった方も、一度転職を検討してみてもいいでしょう。税理士科目を持っていなくても勉強中の方なら歓迎!という事務所も多くありますし、必ずしも複数科目に合格していないと大手事務所の選考に合格できないといったことはありませんので、情報収集だけでもできるうちに初めておくことが、転職成功のポイントです。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

佐藤 颯馬

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。

会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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