未経験で税理士事務所に転職できる?税理士補助の仕事内容や年収など
「未経験でも会計事務所に転職できるのか」と考える人は多いのではないでしょうか。
近年、会計事務所は人手不足になっているため、未経験者を採用対象とする求人が増えてきています。
この記事では、未経験で税務に関する業界に転職するために必要な資格やスキル、探し方、今できることなどについて解説します。
そもそも、税理士事務所と税理士法人の違いってなに?
会計事務所の求人を探している方のなかには、「税理士事務所と税理士法人の違いは何?」と気になっている場合もあるでしょう。両者は組織形態が大きく異なり、それによって担当する業務内容にも細かな違いがみられます。
税理士事務所とは
まず、税理士事務所は「税理士が個人事業主として運営している事務所」です。
比較的小規模であることから、経営の意思決定が早い、アットホームな雰囲気の中で仕事ができるなどのメリットがあります。
また、税理士事務所の場合は中小企業あるいは個人事業主などの小規模な事業者がクライアントであることが多く、記帳代行や決算業務、コンサルティングといった多彩な業務を経験できる点も大きな魅力です。
税理士法人とは
一方で、税理士法人とは「2人以上の税理士が社員として所属し、法人登録されている事務所」のことを言います。かつて税理士法人は存在しませんでしたが、2001年に施行された税理士法改正によって設立が可能となりました。
税理士法人は比較的規模感の大きな組織形態であり、大手企業のクライアントを対象に専門性の高い業務を行うケースが多くみられます。税法の細かな知識が身につくほか、最先端の税務や会計を学べることも注目したい魅力です。
ただし、税理士法人では1つのクライアントに対して複数人でチームを組む形で対応することが多く、税理士事務所のように幅広い業務を経験できない可能性もある点に注意しましょう。
未経験でも会計事務所への転職は可能です!
冒頭でもお伝えした通り、近年の人手不足の影響により、未経験でも会計事務所に転職することは可能です。
中でも「税理士補助」は、未経験者でも採用される可能性が高いためおすすめです。
税理士補助とは、税理士資格がなくてもできる「付随業務」を担当するポジションを指します。
小規模な会計事務所の場合には、代表税理士のみが税理士資格を取得していて、他の事務所員は税理士補助であるケースも多くあります。
また、大規模および中堅の会計事務所でも人手不足が深刻化し、税理士補助の求人を出すようになりました。
税理士補助として会計事務所に入所すれば、働きながら税理士試験の勉強ができるため、 税理士としてのキャリアを本格的に考える場合の入り口になるでしょう。
必要な資格・スキル・年齢制限は?
未経験から会計事務所で働くためにはどうすればよいかを見てみましょう。
必要な資格は?
未経験から会計事務所で働くためには、資格を取得することがおすすめです。資格を取得することにより、会計処理を行う能力があることを証明できます。
未経験者におすすめの資格は「日商簿記2級」です。 日商簿記2級を取得していれば、会計事務所の基本的な業務をこなすことができると評価されるでしょう。
ただし、日商簿記2級のみでは、求人への応募数が多い場合は採用されづらいこともあります。 日商簿記1級や全経簿記上級など、より上位の資格を取得すれば間違いないと言えるでしょう。
必要なスキルは?
会計事務所での経験がない場合、事業会社の経理業務経験や決算書に関する業務の経験を実務経験として評価されるでしょう。ほかにもコミュニケーション力が必要な仕事でもあるため、営業職の経験がある方も好まれる傾向があります。
また、税理士への道を本格的に歩もうとするのなら、税理士試験の科目合格を目指すことがおすすめです。 1科目でも合格していれば「この人は腰を据えて頑張ろうとしている」と評価されることになります。
年齢制限は?
未経験から税理士補助になろうとする場合には、年齢は若い方が有利です。
20代後半までならポテンシャル採用が十分あり得るといえるでしょう。
ただし、それ以上の年齢になっていても「絶対無理」ではありません。資格を強化するなどして対策すれば、未経験でも十分可能です。
30代/40代が未経験から税理士補助になるには?
もし30代/40代で未経験から税理士補助を目指す場合は、ぜひ下記でご紹介するポイントを意識しながら転職活動を行ってみてください。
30代が未経験から税理士補助になるポイント
30代で未経験から税理士補助を目指す方は、「強い志望動機」を示すことが重要です。
採用する側としては30代の志望者には「長期間勤務してくれるかどうか」を求める傾向があり、明確な熱意やビジョンを持つ人のほうが採用されやすいためです。
まずは志望先の情報をしっかりと集めたうえで、魅力的で説得力のある志望動機を熟考しましょう。
40代が未経験から税理士補助になるポイント
40代で未経験から税理士補助を目指す方は、「税務に関連する実務経験を持っていること」をアピールしましょう。
40代ではまったくの未経験で採用されることは難しいですが、経理や会計業務の経験を活かして税理士補助に携わりたい旨を先方へしっかりと伝えることで「近い将来に戦力となる可能性がありそう」といったポジティブな印象を与えられ、採用に繋がる可能性があります。
実際にMS-Japanのサポートによって一般事業会社から会計事務所への転職を成功させたBさん(41歳女性)のケースをご紹介します。
経理職としてキャリアを積んだ後に「会計業務の専門性を高めたい」といった理由で税理士資格取得に挑戦し、会計事務所への転職。
税理士補助としての実務経験がなかったことから活動当初は苦戦していたものの、未経験とはいえ事業会社における経理業務の経験がある点や、税理士資格取得を目指して猛勉強しているといった熱意をアピールしたことによって見事内定を獲得されました。
なお40代未経験者が税理士補助としての転職を目指す場合は、40代以上の所長が運営する事務所に応募することをおすすめします。
30代など若手の所長のなかには年上の未経験者の採用に抵抗を感じる方も多く、所長やスタッフの平均年齢が高い事務所のほうが採用されやすい印象です。
税理士補助に向いている人の性格とは?
税理士補助の仕事は、以下のような方に向いています。
学習意欲が高く、変化に対して柔軟に対応できる人
税理士補助の業務を行うためには、税務や会計に関する専門的な知識が必要です。
また、税法や会計のルールは頻繁に変わることから、常にアンテナを張って最新情報を入手することも重要です。
そのため、税理士補助には学習意欲が高く、変化に対して柔軟に対応できる人が適しています。
几帳面で根気強い人
税理士補助においては数字や書類を取り扱う作業が中心となるため、几帳面さが求められます。
たとえば申告書に誤った数字や桁数を記してしまったり、書類を紛失してしまったりするとクライアントからの信用を失うことになるため、ひとつひとつの数字や書類を丁寧に、かつスピーディーに取り扱える方が向いているでしょう。
また、確定申告等の繁忙期においては膨大な作業に集中して取り組まなければならず、ひとつのことを最後までやり遂げる根気強さも必要です。
コミュニケーション能力が高い人
税理士補助、というと淡々と事務作業を行うイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、実際はクライアントへの電話・接客対応も重要な業務です。
また、税理士や他のスタッフとのやり取りも多々発生するため、コミュニケーション能力が高い人のほうが向いています。
税理士補助や未経験者が受け持つ仕事内容とは
会計事務所では、月次決算などの会計業務や記帳・給与計算・年末調整の代行、税務申告書の作成、コンサルティングなど様々な業務があります。
その中で未経験者が受け持つ業務は、「仕分の記帳代行」がメインとなるでしょう。簿記や法律の知識をもとに、日々の取引を会計ソフトに入力する作業です。
また、一般的な税理士補助は、税理士の補助業務として下記の仕事を受け持ちます。
- ・クライアント企業の領収書などのチェック
- ・会計ソフトを使用しての会計処理
- ・書類のファイリング業務
- ・クライアント企業の給与計算や勤怠管理、社会保険の手続き
- ・クライアント企業のオフィス訪問
税理士補助が、税理士の補助であるため税務に関する業務に限定されます。
「監査」「M&A」「企業会計」など、税務以外の業務は担当できないため、注意しましょう。
税理士補助として働いた場合の年収は?
税理士補助の年収は未経験者か経験者か、税理士試験の科目合格をしているかどうかによって変わってきます。
・未経験者…年収300万円~400万円
・経験者…年収400万円~600万円
・科目合格者(実務未経験)…年収350万円~500万円
未経験でBIG4税理士法人に転職できる?
一般的に言われているBIG4税理士法人とは、以下の4法人を指します。(括弧内は提携先の会計事務所)
・デロイト トーマツ税理士法人(Deloitte Touche Tohmatsu)
・EY税理士法人(Ernst & Young)
・KPMG税理士法人(KPMG)
・PwC税理士法人(PricewaterhouseCoopers)
BIG4税理士法人はいわば業界最大手であり、入所により高度なスキル・知識を身に付けられるのはもちろん、年収アップやキャリアアップにもつながります。
世界的に見ても人気が高い税理士法人となるため、転職は容易ではありませんが、転職の門が完全に閉ざされているわけではなく、それは未経験者の場合も同様です。
未経験者の場合、税理士試験に合格済みで、税理士資格を保持しているとBIG4税理士法人への転職の道が近づきます。税理士資格を取得していなくても、科目合格数が2科目に達していれば、面接時に一定の評価を得られるでしょう。
また、入職後に活かせる経歴・スキルがあると高評価につながります。
特にBIG4税理士法人では国際税務も扱っているため、外資系企業など英語を多用する職場での実務経験があり、TOEIC700点以上程度の英語力があると有利です。
未経験だからこそ、資格や語学力など税務経験に依存しない評価ポイントを多く持つことが重要になります。
未経験者の志望動機およびアピールポイント
未経験者の場合、この世には様々な仕事がある中で、なぜ会計業界を志望したのか、そもそも会計事務所がどういう仕事をしているかを理解しているのかと、採用担当者が疑問を持つ可能性があります。
そのため、「なぜ会計業界を選んだのか」、「会計事務所の仕事のどこに魅力を感じているのか」などの業界への志望動機を伝えましょう。業界研究をしっかりと行うことで、モチベーションの高さをアピールできます。
また、志望する事務所独自の強みや専門分野をよく調べ、「なぜこの事務所を選んだのか」、「この事務所でどういう経験をしたいのか」など、事務所への志望動機も併せて伝えることが重要です。
会計事務所で活かすことのできる前職の経験や簿記資格、経理知識なども加えることで、自己アピールにもつながります。
税理士資格取得を目指している方であれば、現在何の科目の勉強をしているのか、いつ試験を受け、いつ頃に取得予定なのか、どういう方法で取得するのか(大学院に通うのか(一部科目免除)、官報合格を目指すのか(5科目合格))など、資格取得に向けての具体的な行動、スケジュール間を伝えることができると、資格取得を明確に目指しているというアピールになります。
未経験可の税理士事務所・会計事務所の探し方
未経験可の会計事務所を探すためには以下の方法があります。
アルバイトやパートで経験を積む
アルバイトやパートは正社員と比較して採用基準が低くなるケースが多く、未経験でも採用されやすい傾向にあります。
真面目に働き、仕事ぶりを認められれば、正社員として登用される可能性もでてくるでしょう。
求人媒体に登録する
求人媒体に登録し、掲載されている求人広告に応募することも、転職活動方法の一つです。
求人媒体にはネット媒体と紙媒体の2種類があります。 近年ではネット媒体が主流ですが、地方では紙媒体が強いケースもあります。
ネット媒体では、希望の条件で絞り込みができるため「未経験可」の税理士事務所・会計事務所を効率的に探し出すことができます。
転職エージェントを利用する
会計事務所を探すための方法として最後にあげられるのは、弊社MS-Japanのような転職エージェントを利用することです。
転職エージェントを利用すると、下記のサポートをすべて無料で受けることができます。
- ・自分に合った就職・転職先の選定
- ・履歴書や職務経歴書などの応募書類の作成支援
- ・面接対策支援
- ・面接の日程調整
また、求人媒体には載っていない未公開求人に応募できるのも大きな魅力です。職務経歴や資格、スキル、希望の条件を踏まえ、最適な求人情報をご紹介します。
弊社MS-Japanは、士業に特化した転職エージェントであり、税理士事務所・会計事務所の求人を数多く揃えているため、希望の働き方に沿った求人をご紹介させていただきます。
「MS Agentって他のエージェントと何が違うの?」と疑問に思われた方は、 完全無料の転職サポート「MS Agent」のメリットをご確認ください。
未経験税理士補助の求人事例を紹介!
ここでは、MS Agentにおける未経験税理士補助の求人事例をいくつかご紹介します。
未経験でも応募可能な税理士補助の求人はどのような内容なのか、ぜひチェックしてみてください。
【資格支援&未経験応募可】会計事務所の税務会計スタッフ求人
仕事内容 |
・税理士補助業務 ・巡回監査(約20件程度) ・M&Aコンサルティング ・事業承継支援 ・相続対策 |
必要な経験・能力 |
<必須> ・税理士業界でキャリアを築きたい方 <歓迎> ・税理士有資格者、科目合格者 ・税理士を目指されている方 |
想定年収 |
300万円 ~ 600万円 |
【資格や知識があれば未経験歓迎】税理士補助スタッフ求人
仕事内容 |
・日常業務 ・月次・年次決算 ・税務申告書作成業務 ・相続税申告書作成業務 |
必要な経験・能力 |
<必須> ・日商簿記2級以上、もしくは相当の知識を有する方 ・PCスキル |
想定年収 |
300万円 ~ 450万円 |
【福利厚生充実】簿記と英語を活かした税務スタッフ求人
仕事内容 |
・記帳代行 ・決算業務 ・支払業務 ・給与計算 |
必要な経験・能力 |
<必須> ・日商簿記3級以上、かつTOEIC650点以上の方 |
想定年収 |
336万円 ~ 450万円 |
まとめ
最後に、会計事務所へ転職するために今できることとしては、日商簿記2級を取得するなど様々な要素がありますが、一番大切なことは、「未経験だからと諦めず、一歩踏み出し、チャレンジすること」です。自分は未経験だからといってできないと考えるのではなく、チャレンジする気持ちを持ってください。
弊社MS-Japanには長年にわたって培ってきた業界情報、さらに多数の転職成功事例があり、利用により志望にあった転職先を見つけることができるため、是非一度ご相談ください。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
主に会計事務所、社労士事務所等の法人側担当として採用支援に従事。現在は法人側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当しております。
会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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