BIG4税理士法人は何故こぞって社名変更したのか?
この数年間でBIG4税理士法人の社名変更が相次いでいますが、それは何故なのでしょうか。
また、社名変更を行うことで何かメリットがあるのでしょうか?今回の会計トピックスでは、BIG4税理士法人の社名変更とその背景について考えてみたいと思います。
相次ぐBIG4税理士法人の社名変更
上記の通り、BIG4税理士法人の中で最初に社名変更を行ったのが現在のEY税理士法人です。旧社名は新日本アーンストアンドヤング税理士法人ですが、2013年10月にアーンストアンドヤンググループがEYグループに名称変更を行ったことで、税理士法人もEYという名称を用いるようになりました。
次いで現在のPwC税理士法人ですが、こちらも以前のプライスウォーターハウスクーパースというブランドがPwCに統一されたことを契機に社名変更を行っています。
最後に現在のデロイトトーマツ税理士法人ですが、こちらもグローバルブランドであるデロイトを法人名に付け加えたことで現在の社名に変更になっています。
※因みにKPMG税理士法人は以前から現在の社名であり、今のところ社名変更の予定もありません。
≪BIG4の概要・特徴≫ ~世界四大会計事務所について知ろう~
BIG4と呼ばれる世界最大規模の会計事務所(会計ファーム)は、一体どのような存在なのでしょうか。まずは各ファームの概要や特徴について見てみましょう。
EY (アーンストアンドヤング)
【概要】
1849年にイギリス(ロンドン)で設立。
約150カ国に展開し212,000人以上のスタッフを有する世界最大規模の会計ファーム。
フォーブス誌が発表した2012年度の会計事務所ランキングにおいて第1位を獲得している。
日本では新日本有限責任監査法人、EY税理士法人、EYアドバイザリー株式会社などがEYグローバルネットワークに加盟しており、大規模会計ファームの代名詞的な存在となっている。特に会計監査の分野では日本及び海外を代表する大会社をクライアントにする一方、公益法人や独立行政法人、インフラ系企業などのパブリック領域にも強力なネットワークを有し、日本国内では最大規模を誇る会計ファームとなっている。
PwC (プライスウォーターハウスクーパース)
【概要】
1849年にイギリス(ロンドン)で設立。
世界157カ国に展開し208,000人以上のスタッフを有する世界最大規模の会計ファーム。
グローバルでの人気も高く、Vault社が発表した「2014 Best Accounting Firm」では第1位を獲得している。日本ではPwC Japan監査法人、PwC税理士法人、プライスウォーターハウスクーパース株式会社などがPwCグローバルネットワークに加盟している。また、日本国内においては税務やコンサルティングの分野において実績が豊富であり、特にコンサルティングの分野では旧べリングポイント(日本法人)を吸収、その後、国内系M&A特化のマーバルパートナーズを傘下にするなど、事業強化・拡大の動きが見て取れる。
KPMG (クリンヴェルド、ピート、マーウィック&ゲルデラー)
【概要】
1870年にイギリス(ロンドン)で設立された後、様々な合併の歴史を経て現在はオランダ
(アムステルダム)を本拠地としている。
世界155カ国に展開し約174,000名のスタッフを有し、世界最大規模の会計ファームとなっている。また、Universum社が調査した「世界で最も魅力的な企業」ランキングでは2010年、2011年、2012年と3年連続で第2位に選ばれており、M&Aを中心とした財務コンサルティング分野では世界レベルで非常に高い評価を得ている。尚、日本国内においては有限責任あずさ監査法人、KPMG税理士法人、株式会社KPMG FASなどがKPMGグローバルネットワークに加盟している。
Deloitte (デロイト・トウシュ・トーマツ)
【概要】
1845年にイギリス(ロンドン)で設立され、その後アメリカ(ニューヨーク)に進出し本部を構えている。世界150カ国に展開し約210,000名を超えるスタッフを有する世界最大規模の会計ファーム。因みにBIG4の中で“設立者”に日本人名が含まれているのはデロイトグループのみ。※トーマツの由来は等松農夫蔵氏
また、2009年にBusinessWeek誌が発表した「キャリアをスタートするのに最も良い企業」では全米1位を獲得している。尚、日本国内においては有限責任監査法人トーマツ、デロイトトーマツ税理士法人、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社などがデロイトグローバルネックワークに加盟しており、特に監査法人業界においてはIPO支援や非監査業務に強いTS(トータルサービス)部門などが有名。
BIG4が進めるブランド強化&統一の動き
現在、BIG4の戦略として「ブランド力強化」を進めていく方針のようです。というのも、各BIG4とも長い年月の中で多くの会計事務所が合併・再編して出来上がった背景があり、
各国のメンバーファームもEY、PwC、KPMG、Deloitteという冠は付いているものの、
実態としては独自に経営を行っている状態です。また、EYやKPMGなども日本国内においては“新日本監査法人”や“あずさ監査法人”といった和製ネームが付いていたりとブランドイメージに統一感がない状態が続いています。
一方で、世界経済はリーマンショック後の低迷期と比べると、非常に活発な状態になっていますし、会計や税務、コンサルティングの分野でも案件の受注状況は順調ですので、各BIG4としても出来ることならば今のうちに各国で市場シェアを獲得しておきたいというのが本音ではないでしょうか。いずれにしても、現在のように前向きな経済市場では、BIG4のメンバーファームも自身のブランド力を強化し、売上を伸ばしていきたいはずです。
そうした思惑が税理士法人の社名変更にも影響していると考えられます。
以上、BIG4税理士法人が社名変更した背景・理由についての考察です。
今後もBIG4税理士法人は拡大を続けていく見通しであり、業容拡大につき新規採用に関しても積極的に取り組んでいくことが予想されます。これからBIG4税理士法人でキャリアを積みたい方にとってはチャンス到来と言えるでしょう。
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