会計事務所から経理に転職は難しい?志望動機・自己PRの注意点や求人例、転職事例など
昨今、会計事務所経験者が、事業会社の経理への転職を目指すキャリアパスが増えています。
この記事では、会計事務所と経理に詳しい現役キャリアアドバイザー監修のもと、会計事務所から経理に転職するための準備や志望動機・アピールポイントの注意点を解説します。
また、会計事務所経験者歓迎の求人例や会計事務所から経理に転職した事例も併せてご紹介するので、転職を考えている方はぜひ参考にしてください。
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会計事務所と経理を比較
まず、会計事務所と事業会社の経理では、具体的に何が異なるのかを比較して見ていきましょう。
会計事務所 | 事業会社の経理 | |
---|---|---|
業務内容 | クライアントの経理・税務業務を代行する 【税理士】 税務代理・税務書類作成、税務相談など 【事務スタッフ】 記帳(経理事務)代行、巡回監査、総務経理など |
自社の経理・税務業務を行う ・現金預金の管理 ・伝票作成・帳簿記録 ・経費精算 ・給与計算 ・年末調整 ・決算書作成など |
福利厚生 | Big4などの大手税理士法人以外では手薄な事務所が多い | 企業によるが一般的な会計事務所よりは手厚い傾向 |
キャリアパス | ・経理 ・会計事務所 ・コンサルティングファーム ・監査アシスタント ・独立開業(税理士のみ) |
・経理 ・経営企画 ・内部監査 ・金融業界 ・監査アシスタント |
平均年収 | 約429万円 | 約524万円 |
業務内容における最も大きな違いは、会計事務所はクライアント企業の経理・税務業務の代行をするクライアントワークであるのに対し、事業会社の経理は自社の経理・税務業務を担います。そのため、会計事務所では対クライアント、経理では対従業員や経営陣とのやりとりが発生します。
福利厚生を比較すると、一般的に会計事務所よりも経理の方が整っている傾向です。しかし、Big4のような大手税理士法人では、企業に近いレベルの福利厚生がある場合もあります。
キャリアパスでは、事業会社の経理は、経理だけでなく、他の管理部門にも転職しやすい傾向ですが、会計事務所の税理士であれば独立開業するというキャリアパスもあります。
2022年度に、弊社MS-Japanの転職エージェント「MS Agent」を利用して転職決定された方の平均決定年収をもとに平均年収を比較すると、会計事務所が約429万円、事業会社の経理は約524万円という結果になりました。
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「会計事務所から経理に転職は難しい?」現役キャリアアドバイザーが解説
前述の通り、会計事務所と経理には様々な違いがあるため、「会計事務所から経理に転職は難しいのではないか?」と思う方も多いでしょう。
しかし、会計事務所から経理への転職は、一般的な選択肢であると言えるでしょう。
弊社「MS Agent」に掲載している求人でも、「会計事務所経験者歓迎」の経理求人も多く取り扱っています。また、「MS Agent」を利用して、実際に会計事務所から経理へ転職成功した方も多数いらっしゃいます。
ただし、会計事務所と事業会社では事業形態が異なるため、未経験でのキャリアチェンジと見なされた場合、若手人材の方が採用されやすい傾向です。ミドル世代の場合は、会計事務所で移転価格や連結納税、タックスヘイブンなどの経験があれば評価されるでしょう。
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MS Agentによく寄せられる質問
会計事務所からの転職にはどのようなキャリアパスがありますか?
40代の税理士です。会計事務所から事業会社への転職可能性はあるのでしょうか?
会計事務所から経理に転職するための準備
続いて、会計事務所から経理に転職するための準備として、3つのポイントをご紹介します。
転職の目的を明確にする
まず、最も重要な準備が、転職の目的を明確にすることです。
転職を通して実現したいことを具体的に言語化することで、応募先を迷いなく選定できるようになります。複数社から内定を獲得できた際も、転職の目的に立ち返ることで、入社先を選びやすくなるでしょう。
譲れる条件・譲れない条件を決める
転職の目的を叶えるために、譲れる条件と譲れない条件を決めましょう。
すべての希望条件を満たす転職先は、希少で競争率も高い傾向があります。そのため、転職先に求める条件の中で優先順位を決めることが重要です。
転職の目的がスキルアップであれば、必ず従事したい業務や裁量権の範囲、ワークライフバランスの改善であれば、許容できる残業時間数などを具体的に決めましょう。
士業と経理に詳しい転職エージェントを利用する
会計事務所から経理へ転職する際は、転職エージェントの利用がおすすめです。
特に事業会社での経験がない場合は、業界・職種の違いをよく理解する必要があります。士業と経理のどちらも詳しい転職エージェントであれば、転職活動に役立つ情報を提供してもらうことができるでしょう。
また、転職エージェントでは、専門のキャリアアドバイザーとのカウンセリングによるキャリアの棚卸しからアピールポイントの洗い出し、応募書類の添削、面接対策など、全て無料で提供しています。
会計事務所経験者のアピールポイントとは
会計事務所経験者が事業会社の経理を目指す場合、どのような経験・スキルがアピールポイントになるのでしょうか。
ここでは、税理士資格保有者と、税理士試験科目合格者、事務員・税理士秘書など(無資格)に分けて、アピールポイントを解説します。
税理士資格保有者
税理士資格は、事業会社の経理でも高い評価を得ることができるでしょう。しかし、選考では、資格だけでなく経験・実績と人柄も重視されます。
自己アピールでは、税理士として培った経験実績を応募先に合わせて伝えることが重要です。
大手上場企業などは税務部門が独立していることが多いため、税務業務の経験実績を中心にアピールすると良いでしょう。
一方で中規模以下の企業は税務だけでなく、決算業務や管理会計などより幅広い知識・経験が評価されます。給与計算や帳簿の作成、会計ソフト導入などの経験があれば積極的にアピールすることが重要です。
特に、IPO準備企業などのベンチャー企業は、経理部門の組織構築や業務効率化などのフェーズにあるケースが多いため、同等の支援実績がある場合は大きなアピールポイントになります。
応募先の企業フェーズや募集ポジションで求められている能力に合わせて、自分の実績を上手く重ねるようにしましょう。
また事業会社ではコミュニケーション能力も重視するため、事務所内やクライアントと信頼関係を構築していたことなどを、具体的に伝えてください。
税理士科目合格者
税理士の資格を持っていなくても、税理士科目に合格していれば、転職では大いにアピールポイントになります。
応募書類には、合格した科目と合格した時期を明記しましょう。
取得科目が会計事務所における実務でどのように役立っているのか、応募先企業ではどのように活かせるのかをアピールすることが重要です。
事業会社の経理で特に評価されるのは、「簿記論」と「財務諸表論」です。これらは経理のベースとなるため、実務でも十分に活かせるでしょう。企業規模が大きくなるほど会計処理が複雑になるため、高度な簿記の知識を持っていることはアピールポイントになります。
また、企業規模を問わず法人税の申告業務が発生するため、「法人税」の合格も高い評価を得ることができるでしょう。
税理士科目合格者の転職活動では、「税理士を諦めたから転職活動をしている」と認識されてしまうと、印象の悪化につながる可能性があります。税理士ではなく経理を目指す理由を、ポジティブな内容で伝えることができれば、自己アピールにもつながるでしょう。
事務員・税理士秘書など(無資格)
税理士資格や科目合格などのアピールポイントがない場合も、会計事務所で働いていた実績は評価されます。
ただし、どのような経験を、どの程度まで積んできたのかを明確にし、経理の即戦力としてアピールすることが重要です。
経理の転職市場は実務経験が最も優先されますが、税理士資格保有者や科目合格者と比べると、不利になる可能性は否定できません。そのため、チームで成し遂げた実績やコミュニケーション能力など、実務とは別の切り口のアピールポイントも準備しましょう。
応募先企業の社風や組織風土と自身の人柄が合致していることもアピールポイントになります。コミュニケーション能力や人柄をアピールする場合、「真面目にコツコツと」「几帳面な性格で」などの抽象的な表現になりやすいため、具体的なエピソードを交えて伝えると良いでしょう。
会計事務所から経理への志望動機を作成する注意点とは
会計事務所から経理への志望動機は、「経理」を志望した動機と「応募先企業」を志望した動機に分けて考えることが重要です。
なぜ会計事務所ではなく経理を目指すのか、なぜ他企業ではなく応募先企業で働きたいのかを言語化しましょう。
そこで重要になるのが、自己分析と業界研究・企業研究です。
クライアントワークではなく、企業の一員として所属企業に貢献したい、応募先企業の事業に興味があり、経験を活かして経理の立場から携わりたいなど、具体的に伝えることで評価につながります。
「会計事務所経験者歓迎」の経理求人例
ここで、「MS Agent」で取り扱っている会計事務所経験者歓迎の経理求人の一部をご紹介します。
ご興味のある方はお問い合わせください。また、この他の非公開求人は無料の会員登録でご紹介可能です。
上場グループの国際総合物流企業より税務担当者求人
仕事内容 |
・単体税務申告(法人税、消費税、事業所税等) ・移転価格税制対応、BEPS2.0(グローバルミニマム課税)対応 ・税務調査立ち合い、税務相談等 ※経理部門では8つのチームでジョブローテーションを実施しており、幅広いキャリアアップを促進しております。 |
必要な経験・能力 |
<学歴> ・短大・大卒以上 (会計/簿記専門学校) <必須> ・事業会社または会計事務所・税理士法人での税務業務経験 ・事業会社または会計事務所・税理士法人で経理経験(税務未経験OK) <歓迎> ・日商簿記検定2級以上の資格 |
想定年収 |
500万円 ~ 1000万円 |
外資/生命保険会社、決算・税務ポジション
仕事内容 |
担当マネージャーの指示・サポートのもと、JGAAP決算業務および税務業務を主体的に遂行する職務です。 ・決算整理仕訳の作成 ・決算開示資料等の作成 ・税額計算・税務申告(法人税、消費税等) |
必要な経験・能力 |
<必須> ・経理実務経験もしくは監査法人、税理士法人での勤務経験3年以上 <歓迎> ・保険会社での経理実務経験があれば尚可 ・公認会計士・USCPA・税理士の資格の保有があれば尚可 |
想定年収 |
600万円 ~ 800万円 |
大手グループ安定企業。業界経験不問、将来的に有報作成・連結など専門性を高められる経理職
仕事内容 |
能力・ご経験に応じてご活躍頂きます。 ・当社の決算業務(月次・四半期・年次決算) ・ホールディングス向けの連結パッケージ作成 ・有価証券報告書の作成、持株会社の連結決算業務(海外連結含む) ・監査対応業務 ・その他 |
必要な経験・能力 |
<必須> ・上場会社等(金融機関以外も可)での決算業務経験3年以上又は、監査法人・税理士法人での業務経験3年以上 <歓迎> ・公認会計士資格保有者、簿記一級保有者、USCPA資格保有者 ・TOEIC730点以上 |
想定年収 |
450万円 ~ 1200万円 |
会計事務所から経理に転職した事例
次に、「MS Agent」を利用して、会計事務所から事業会社の経理へ転職した方の事例をご紹介します。
スキル向上と自己分析の準備で、会計事務所から大手企業経理に転職した事例
Aさん(20代男性)簿記2級
転職前:会計事務所(年収350万円)
転職後:大手上場企業経理(年収400万円)
会計事務所に4年ほど勤めていたAさんは、税務会計業務を一通り経験し、新しい挑戦をしたいと考えました。
このまま会計事務所業界でキャリアを積むか、事業会社の経理に進むか迷っていましたが、クライアント対応を通して、企業内部の会計の流れに興味を持ち、データ分析や業績評価に関する知識を深めたいと考えたことで、経理への転職を目指すようになりました。
転職決意後、スキル向上のためにオンラインの専門コースを受講し、Excelによるデータ分析や財務報告スキルを高める学習に取り組みました。
その後「MS Agent」経由で大手企業の経理部門へ応募し、面接では過去の実績や新たに身につけたスキルを具体的に示し、成長・貢献の意欲をアピールしたことで内定を獲得しました。
Aさんの転職成功のポイントは、徹底した自己分析です。会計事務所と経理の業務は類似点が多いものの、関わり方や進め方等が異なります。 そのためAさんは、経験業務と知識を洗い出し、そのスキルがどの経理業務で活かせるか、また足りない部分の補完方法などについて考えました。 その結果、ご自身に足りなかったExcelスキルを身につけ、今までの実績とともに成長意欲を的確にアピールすることができたのです。
子育てとの両立を条件に、成長企業への転職を叶えられた40代女性の事例
Kさん(40代前半女性)税理士、TOEIC860
転職前:個人の会計事務所:10名規模(年収430万円)
転職後:非上場企業の経理担当 :180名規模(年収440万円)
複数の会計事務所で個人・地元の中小企業を中心とした一連の会計・税務業務に従事していたKさんは、様々なクライアントを担当する中で事業会社の経理に興味を持ち始めました。しかし、保育園に通うお子さんがいたため、送迎の時間や残業対応などの制約があり、転職した場合に仕事と家庭の両立ができるのか不安もありました。
「MS Agent」では、過去にKさんと同じ境遇の方を紹介し内定に至った企業や、コロナ過で働き方を柔軟に変えていこうとしている企業など、様々な提案をさせていただきました。 事前に「MS Agent」から応募先企業へのフォローを入れる機会もありましたが、面接でKさんの人柄を知っていただき、Kさんからご自身の事情と希望を伝えたことで、働き方についての擦り合わせが出来ました。
最終的には、Kさんの前向きに自走して取り組まれる仕事ぶりが評価され、新規事業を展開する成長会社から内定を獲得し、入社を決断されました。
ライフイベントに変化があると、仕事と家庭との両立が難しくなることもありますが、「MS Agent」とともに擦り合わせを重ねることで、顕在化している企業側のニーズを探ることが出来ます。 子育てに理解のある企業の紹介や、希望に沿う働き方・自身のキャリアを諦めずにステップアップしていくことも可能です。
まとめ
昨今、事業会社で会計事務所経験者の認知度が上がっており、転職市場で重宝される人材といえるでしょう。
特有業務もありますが、会計事務所の業務と事業会社の経理業務は類似した業務も多く、会計事務所で得た経験やスキルを活かすことができるでしょう。
しかし、会計事務所と事業会社は“業界が違う”と考えられるケースもあるため、なぜ事業会社の経理を目指すのか、なぜ応募先企業を選んだのか明確化した上で、具体的な経験とスキルをアピールする必要があります。
転職活動における自己分析や企業研究、キャリアプランの構築などでお悩みの場合は、弊社MS-Japanの士業・管理部門特化型転職エージェント「「MS Agent」にご相談ください。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
カナダ州立大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。求人企業側の営業職を経験した後、2014年にキャリアアドバイザーへ異動。
2016年からは横浜支社にて神奈川県内の士業、管理部門全職種を担当し、現在は関東全域の士業、管理部門全職種を担当。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 外資・グローバル企業 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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