2024年09月04日

会計事務所・税理士事務所・税理士法人の違いって?業界構造や特徴、転職・就職活動のポイントなど

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税理士として転職を考えている人や、税理士の資格取得を検討している人の中には、「会計事務所」と「税理士事務所」、「税理士法人」の違いを知らない人もいるのではないでしょうか。
この記事では、会計事務所・税理士事務所・税理士法人について、違いや業界構造、各職場の働き方などを詳しく解説します。

会計事務所・税理士事務所とは?

前提として、「会計事務所」と「税理士事務所」は全く同じものを意味します。
税理士法第40条2項において、「税理士が設けなければならない事務所は、税理士事務所と称する」 と定められています。そのため、税理士が設けるすべての事務所は「税理士事務所」が正式名称です。

つまり、会計事務所は、正式名称ではなく、世間一般で多く使われる俗称だと言えます。
では、なぜ税理士事務所でありながら、会計事務所と名乗る事務所が多いのでしょうか。

なぜ2種類の呼び方があるのか?

正式名称である税理士事務所ではなく、会計事務所と名乗る理由は、「税務以外の業務にも対応していることを強調するため」と言われています。

税金に関する業務以外に、中小企業や個人事業主の会計処理や決算書の作成、会計・経営のコンサルティングなどを請け負っている税理士事務所は少なくありません。
こうした事務所では、会計に関する幅広い業務ができることをアピールするために、あえて会計事務所と名乗っているのです。

会計士事務所と会計事務所は違う

会計事務所とよく似た名称に会計士事務所があります。
会計士事務所の代表者は「公認会計士」であるため、会計士事務所・税理士事務所とは別物です。

しかし、会計士事務所が便宜上、会計事務所という名称を使用しているケースもあります。
そのため、ごく一部の会計事務所は会計士事務所である可能性もありますが、「基本的に会計事務所と税理士事務所は同じである」という認識で問題ないでしょう。

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税理士法人とは?

税理士法人は、2人以上の税理士が所属する「法人」です。
2001年に改正された税理士法において、税理士法人は、「税理士業務を組織的に行うことを目的として、税理士が共同して設立した法人をいう」と定義されています。

税理士法人に所属する社員税理士は、全員が法人の代表権限を有し、業務における無限責任者です。
税理士法人は、個人事業主の税理士が集まり、個々が行ってきた税理業務を法人でも対応できるようにした組織だと言えるでしょう。
そのため、代表者が不在になった場合でも、組織運営を継続することが可能です。
ただし、社員税理士となれる税理士法人は1つです。複数の税理士法人で社員税理士として兼務することは禁止されています。

また、税理士法人は、法人として支店を展開することが可能です。
全国展開する大手企業のクライアントを持つ場合、税理士法人も支店展開することで、大手企業の支店を一括して担当できます。企業にとっても税理士にとってもメリットが大きいと言えるでしょう。

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税理士法人と税理士事務所(会計事務所)の違い

税理士法人と税理士事務所(会計事務所)の大きな違いは組織形態です。
税理士法人は複数人の社員税理士が運営する法人であるのに対し、税理士事務所(会計事務所)は1人の税理士が個人事業主として運営しています。

また、前述した支店展開や代表者不在時の運営継続などは、税理士法人の特権であり、税理士事務所(会計事務所)には適用されません。
そのため、一般的に税理士事務所(会計事務所)は、税理士法人と比較して事業が小規模であり、クライアントや案件の規模も小さい傾向にあります。

さらに、税理士事務所(会計事務所)は、税理士法人と比較して、業務内容や規則、事務所内の雰囲気など、多くの事柄が代表者の価値観や人柄によって左右される傾向が強いと言えるでしょう。
税理士事務所(会計事務所)で働く場合は、業務内容に加えて、「代表者の価値観に共感できるか」や「代表者と馬が合うか」なども重要な要素となります。

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税理士法人と税理士事務所(会計事務所)の仕事内容

税理士法人と税理士事務所(会計事務所)は、組織形態や支店展開の可否などに違いがありますが、仕事内容は基本的に同じです。 主には税理士の独占業務である税務代理を行っており、税務代理以外にどのようなサービスを提供しているかは、税理士法人・税理士事務所(会計事務所)という組織形態の違いではなく、代表やパートナー税理士が何を得意としているかによって変わる傾向があります。

ここでは、税理士法人と税理士事務所(会計事務所)の仕事内容として、ほとんどの事務所が共通して行っている代表的な業務を解説します。

記帳代行

税理士法人と税理士事務所(会計事務所)の基本的な仕事が、記帳代行です。
企業は、日々の取引を記帳し、税務署への提出書類を作成する必要がありますが、記帳には複式簿記などの会計に関する知識が求められます。

そこで、税理士法人・税理士事務所(会計事務所)では、クライアント企業からの依頼を受け、送付してもらった領収書や請求書の控えを使って、記帳をしていきます。
昨今では会計ソフトが主流のため、基本的にはソフトへ数値を入力し、記帳を進めていくことになります。

決算・申告・巡回監査

税理士法人と税理士事務所(会計事務所)は、決算・申告・巡回監査も行います。
特に「決算業務」は、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作成し、税務署に提出するために欠かせない作業です。

会計事務所が申告書を作成する際は、所属している税理士の氏名を、代理人として明記します。
クライアント企業に税務調査が入った場合は、税理士が立ち会いをし、申告や不服申し立てに対応するケースもあります。
また、巡回監査では、税理士が定期的にクライアントを訪問し、会計資料などの監査を行います。

相談・コンサルティング

税理士法人と税理士事務所(会計事務所)は、税務に関する相談・アドバイスを行っています。

法人のクライアントの場合は、国際税部や節税対策、経営コンサルなどを行います。クライアント企業の事業や業界動向に関する知識が必要です。
個人のクライアントの場合は資産税などの相続に関わる税務コンサルティングが挙げられます。
会計や税務の枠を超え、さまざまなノウハウやコミュニケーションスキル・プレゼンテーションスキルが必要です。

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税理士事務所(会計事務所)と税理士法人どちらを選ぶべきか?

以上の違いを踏まえて、税理士事務所(会計事務所)と税理士法人のどちらを選ぶべきなのでしょうか。
それぞれの働くメリットを比較してみましょう。

税理士事務所(会計事務所)で働くメリット

税理士事務所(会計事務所)は、比較的小規模な事務所です。
そのため、意思決定のスピードの速さアットホームな雰囲気など、個人経営ならではのメリットがあります。

また、税理士事務所(会計事務所)のクライアントは、中小企業や個人事業主などの小規模な事業体が一般的です。
クライアントごとに業務を担当するため、記帳代行から決算、さらにはコンサルティングまで、会計や税務に関する幅広い業務を一通り経験することができます。
業務全体を見据え、幅広いスキルを見つけたい方は税理士事務所(会計事務所)がおすすめです。

税理士法人で働くメリット

税理士法人は、「企業」のような組織的な運営が行われるため、意思決定のスピードは税理士事務所(会計事務所)に劣る場合もあります。
しかし、5人以下の税理士事務所(会計事務所)は、社会保険を完備していない場合もありますが、税理士法人は社会保険が完備されています。
就業規則や福利厚生も整っている場合が多く、安心して働くことができるでしょう。

税理士法人といっても様々ですが、個人の会計事務所よりも上場企業や大手企業をクライアントにしている場合が多く、連結納税や組織再編、M&Aなどの複雑な税務・会計知識を必要とする業務も発生しやすいため、スキルアップも期待できるでしょう。
しかし、税理士法人ではクライアントごとにチームで取り組み、チーム内でもが分業化されている場合が少なくないため、業務の全体像は掴みにくい傾向です。
担当業務の専門性を深めることはできますが、将来的に独立開業を考える場合には、経験値が偏る可能性があります。

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税理士事務所(会計事務所)・税理士法人の業界構造

会計事務所業界はピラミッド型の構造になっています。

規模 事務所例
Big4
税理士法人
EY税理士法人・
デロイトトーマツ税理士法人・
KPMG税理士法人・
PwC税理士法人
国内大手
会計事務所
辻・本郷税理士法人・
税理士法人山田&パートナーズ・
その他50名~500名規模の
準大手・中堅税理士法人
中小
会計事務所
その他

国内に約29,000社ある税理士事務所(会計事務所)・税理士法人の内、従業員50名を超える会計事務所は、85社ほどです。つまり、ほとんどが従業員50名未満の会計事務所であるとわかります。
このように会計事務所業界は、明確なピラミッド構造に分かれ、事務所規模ごとに求められる人物像も異なります。

まず、Big4税理士法人では、税理士科目合格が必須で、20代の人材が採用されやすい傾向です。
国内大手事務所の場合、未経験であれば税理士科目2科目以上合格していることが望ましく、年齢は30代前半くらいまでの人材が採用されやすい傾向があります。
中小会計事務所は、簿記2級以上で応募可能な事務所が多く、中小企業の社長と直接やりとりを行うことが多いため、金融機関出身者営業経験がある方も好まれる傾向です。

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税理士事務所(会計事務所)・税理士法人で働くには?転職・就職のポイント

税理士事務所(会計事務所)・税理士法人で働くには?

税理士事務所(会計事務所)・税理士法人への転職・就職を目指す場合、まず税理士資格公認会計士資格の有無が問われます。
税理士事務所(会計事務所)では、必ずしも税理士資格の保有が必須ではなく、資格取得を目指して勉強中であれば、評価対象となるケースもあるでしょう。

資格以外にも、税理士事務所(会計事務所)・税理士法人への転職・就職活動では、いくつかのポイントを意識する必要があります。
ここでは、転職や就職のポイントについて詳しく解説します。

これまでの経験をアピールする

会計事務所業界に限った話ではないですが、転職・就職活動では、これまでの経験を効果的にアピールすることが重要です

「税理士事務所(会計事務所)・税理士法人の業界構造」でも解説した通り、中小会計事務所では、会計事務所経験が無い場合でも金融機関出身者や営業経験がある人であれば、採用される可能性が高まります。
これまでの経験の中から、会計事務所で活かせる経験を具体的に伝えることが重要です。

会計事務所経験者の場合は、どのような分野でどのようなクライアントをどれくらい持ち、どこまでの業務を担当していたのか、数字やエピソードを交えて具体的に伝えましょう。
大手から中堅にかけては、税理士試験の科目合格が必須です。

関連資格を取得する

税理士事務所(会計事務所)への転職・就職で、最も重視される評価軸は税理士資格公認会計士資格です。
税理士資格は、2科目以上に合格していれば評価される可能性があります。

税理士資格や公認会計士資格を保有していない場合は、日商簿記などの会計関連資格を取得しましょう。日商簿記は最低でも簿記2級が必須だと考えられます。1級を持っていると、より評価されやすいでしょう。

また、グローバル案件を抱えている会計事務所を目指す場合は、TOEICのスコアで英語スキルを可視化しておくことをおすすめします。
一般的に、800点以上で大手税理士法人が選択肢に入ってくると言えるでしょう。

まとめ

今回は、税理士事務所・会計事務所・税理士法人の違いについて詳しく解説しました。
税理士事務所と会計事務所に実質的な違いはありませんが、税理士事務所(会計事務所)と税理士法人は組織形態が異なります。

転職・就職を考える場合は、税理士事務所(会計事務所)と税理士法人のどちらにするか、自分の個性と志望するキャリアに応じてしっかりと検討する必要があるでしょう。

弊社MS-Japanが運営する「MS Agent」は、税理士を始めとする士業と管理部門に特化した転職エージェントです。
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税理士事務所(会計事務所)や税理士法人への転職・就職をご検討されている方は、お気軽にご相談ください。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

佐藤 颯馬

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。

会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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