日商簿記1級は「食いっぱぐれない」って本当?活かせる仕事などもご紹介!
日商簿記1級には「食いっぱぐれない」というポジティブな通説があるようです。簿記1級を取得し、仕事に活かすことで生計を立てることができるという解釈ですが、実際のところどうなのでしょうか。
当記事では、日商簿記1級で生活できる理由を明らかにした上で、資格が活かせる仕事や転職事例についても取り上げていきます。
日商簿記1級で安定した収入とキャリアを目指したい方は、ぜひご参考ください。
日商簿記1級の概要や合格率、勉強時間は?
日商簿記1級は、高度な簿記の専門知識とスキルを証明する資格です。
そのレベルは、企業会計に関する法規を理解し、経営の分析・管理が行えるほどの能力が求められます。
試験は毎年6月と11月に実施され、商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目から出題され、合格率は毎回10%台という低い水準で推移し、非常に難易度の高い試験です。
その分、合格すると税理士試験の受験資格を得ることができ、公認会計士や税理士などの国家資格への登竜門とされています。
また、日商簿記3級、2級の試験と比較しても格段に難しいことから、合格するためには相当な努力が不可欠です。
日商簿記1級の試験勉強に要する時間は、個人差がありますが、一般的には最低でも500時間は必要とされています。
これは2級までの受験経験がある場合の目安であり、初学者の場合はそれ以上の時間がかかる可能性があります。
高い計算能力だけでなく理論的な思考力を養うことや、科目ごとにバランスよく点数を取得することが合格への道筋になります。
日商簿記1級が 「食いっぱぐれない」と言われる理由は?
日商簿記1級を取得すると「食いっぱぐれない」、つまり「生計が立てられる」と言われることには、それなりの根拠があるようです。
以下に、その主な理由を見ていきましょう。
年収が高い
まず、年収の面でのメリットが挙げられます。
2022年4月から2023年3月にかけて、MS-Japan経由で転職が決まった方々の平均決定年収を見ると、日商簿記2級取得者が466万円である一方、日商簿記1級取得者は574万円となっており、その差には100万円以上の開きがあります。
これは、日商簿記1級の高度なスキルと専門知識を持つことによる価値が、経済的な報酬として反映されていることの表れです。
この数字からも明らかなように、日商簿記1級取得者は高い年収に期待できるため、安定感のある生計が立てやすくなります。
転職に有利
日商簿記1級取得者は転職市場においても有利な立場にあります。
企業は、経理や財務において高度なスキルを持つ人材を求めており、その中でも日商簿記1級は代表的な資格の一つです。
特に大企業の経理職などでは、日商簿記1級取得者は「会計のスペシャリスト」として扱われ、信頼性のある経理担当者として評価されます。
転職活動において、日商簿記1級を持つことは大きなアドバンテージとなり、選考の際に他の候補者よりも採用を得やすくなります。
上位資格を目指せばキャリアアップと収入アップが見込める
将来的な生計の安定を見通す上でさらなるキャリアアップを目指すなら、日商簿記1級の取得は重要な一歩です。
この資格を持っていることが、他の上位資格である税理士や公認会計士を目指すためのステップとなるからです。
これらの上位資格を取得することで、より高度なスキルや専門知識が身につき、それに伴って職務の幅が広がり、収入もアップする可能性が高まります。
資格手当を得られやすい
資格手当が得られやすいことも日商簿記1級取得者にとって経済的な魅力の一つです。
日商簿記1級取得者の専門知識が企業にとって付加価値をもたらすと認識され、資格手当を支給する企業は少なくありません。
資格手当だけで大幅に年収を上げることは難しいかもしれませんが、資格手当という形で会社からの評価が目に見えるものになると嬉しいですよね。
上記の理由から見ても、日商簿記1級は単なる資格ではなく、取得することによってさまざまなメリットが収入やキャリアに結びついています。
食いっぱぐれない生計を築くための資格であることには間違いがないようです。
日商簿記1級を活かせる仕事をご紹介
「転職に有利」な日商簿記1級取得者は、具体的にどのようなキャリアを目指せるのでしょうか。
ここでは、日商簿記1級の資格を活かせる主な仕事先を取り上げてみます。
大手企業の経理
大手企業の経理部門では、会計処理や連結決算において、高度な簿記の知識とスキルが求められるため、日商簿記1級の資格を持つことで、企業の財務データを正確に分析し、適切な帳簿管理に活かすことができます。
大手企業を選択肢にするメリットは、給与や福利厚生などの待遇面にも期待できる点です。
多くの企業では、日商簿記2級以上を応募資格としているため、日商簿記1級であれば選考において大きなアピールポイントになるでしょう。
会計事務所
公認会計士や税理士が所属する会計事務所は、日商簿記1級取得者も有力な採用候補となります。
日商簿記1級の強みとして、複数のクライアントの決算書や税務申告などの業務をサポートすることが可能だからです。
会計や税務の上位資格所有者を身近にしながら、効率的にスキルを向上させられるため、将来的に税理士資格を目指す上でも、実務経験の機会が得られる会計事務所は絶好の職場です。
コンサルティングファーム
日商簿記1級の資格は、コンサルティングファームでのキャリア形成でも活かすことが可能です。
コンサルティングファームでは、クライアント企業の経営課題や業績向上に関する提案が求められます。
日商簿記1級取得者は、会計領域だけでなく経営に関する知識も有しているため、コンサルティング業務においても重宝され、会計基準や会社法などの法規を踏まえて、的確なアドバイスを提供するなど、課題解決に導く働きに期待が寄せられます。
金融機関
金融機関では、銀行や証券会社でのポジションが考えられます。
特に、融資や投資の業務では、貸借対照表の見方と有価証券の仕訳に精通した日商簿記1級の知識が大いに役立ちます。
リスク評価や資産運用のサポートなど、信頼性のあるデータを提供できる能力も、金融機関でのキャリアに適しています。
日商簿記1級を取得する際の注意点
「食いっぱぐれない」とは言え、日商簿記1級を取得する際にはいくつかの留意すべきポイントもあります。
簿記1級が必要な理由を考える
経理職への転職を目指す場合、必ずしも1級を取得する必要はありません。
多くの企業では、一般的な経理の業務をこなす上で、2級を持っていれば簿記の基本的な知識やスキルが評価されます。
資格を取得する際は、その資格をどのように活かしていくのかを明確にすることが重要です。
転職ではオーバースペックになる可能性が⁉
中小企業やベンチャー企業の経理ポジションでは、日商簿記1級はある種のオーバースペックと見なされることがあります。
企業側としては、そこまでの能力は求めていないにもかかわらず割高な年収を考慮する必要があるため、往々にして敬遠されがちなのです。
むしろ、実務経験や実践的なスキル、コミュニケーション能力などを求める企業のほうが少なくないため、企業のニーズや求められるスキルに合わせて、資格取得と同時に実務経験やスキルを積んでいくことが大切です。
転職活動をする際には、資格だけに頼らず幅広い視野を持つことが肝要です。
確かに資格は一定のスキルや知識を証明するものですが、実際の仕事はそれだけで評価されるわけではありません。
経験や実績、人間性、協調性なども組織においては重要なポイントです。
転職にあたっては、資格だけでなくビジネスパーソンとしてのスキルや自己成長にも注力し、自己PRを豊かにするように心がけましょう。
日商簿記1級を取得する際には、資格の価値や必要性を正しく把握し、目指すキャリアに合わせて活かすことを意識しましょう。
簿記1級ではなく簿記2級を持っていれば多くの求人に応募することができます。
日商簿記2級を活かして経理や会計業界に転職する方法などはコチラをご覧ください。
日商簿記1級を取得している方の転職事例
以下に、日商簿記1級を取得された方の転職成功事例を紹介します。
中小企業から上場企業へキャリアアップ転職!
Hさん(20代・男性)資格:簿記1級/TOEIC800点
中小企業の経理
大手上場企業の経理
Hさんは中小企業で経理スタッフを務め、月次・年次決算を担当していましたが、経験を積む中で上場企業の会計に携わりたい気持ちが強まり、給与の伸びしろとキャリアの展望を求め、転職を決意されました。
東証プライム上場企業を目指し、簿記1級・TOEIC800点の資格を活かしながら、非上場での業務経験でも応募可能な求人に応募されました。
結果、上場大手企業への転職を叶えることとなり、それまでに複数の面接を受けた経験が今回の転職活動で役立ちました。
非上場企業から上場企業への転職は、30代以降少し難易度が高くなるため、20代のうちに将来のキャリアを考え、行動に移すことが重要です。
簿記1級を活かしてコンサルティングファームに転職!
Sさん(30代・男性)資格:簿記1級
上場企業の経理
会計系コンサルティングファーム
上場企業の経理部で働きながらも、コンサルタントとして活躍したいという想いがあったSさんは、30代に入ったことをきっかけに今後のキャリアを改めて考え、キャリアチェンジを決意されました。
転職活動では、コミュニケーション能力や優れた思考力が評価され、簿記1級が応募条件の会計コンサルティングファームに入社が決まります。
転職の成功のポイントは、「積極的な情報収集」でした。
キャリア相談会に参加し、企業の内情や風土を把握することで、面接もスムーズにこなすことができました。
現在は公認会計士と肩を並べながら会計コンサルタントとして活躍されています。
まとめ
事業活動では必ずお金のやり取りを伴うため、高度な会計知識とスキルを持つ日商簿記1級取得者は多くの職場で歓迎されます。
一方、経理業務は1級でなくても2級で十分という企業も少なくありません。
日商簿記1級が「食いっぱぐれない」資格であることは明らかですが、実際に生計を立てていくためには、その資格をどこでどのように活かすかがポイントになります。
資格を上手く活用しながらも、資格だけに頼らず自分磨きを怠らないことがキャリアの成功につながっていくでしょう。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、航空会社に新卒で入社し国内外各地へのフライト業務に従事。
その後キャリアアドバイザーとしてMS-Japanへ入社。
現在は主に経理財務や会計事務所などの会計転職希望の方を中心に担当。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 税理士科目合格 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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