2023年11月15日

「日商簿記2級」を徹底解説!難易度や勉強時間、簿記2級取得者の年収や転職先は?

管理部門・士業の転職

2023年11月19日(日)に日商簿記2級の試験が実施されます。
日商簿記は、全てのビジネスパーソンに人気の資格の1つですが、中でも2級は、経理や会計業界への転職活動で有利とされています。
本記事では、日商簿記2級の試験概要や難易度、勉強時間など試験に関する内容に加えて、簿記2級取得者の年収事情や転職先など、日商簿記2級取得者のキャリアについても徹底解説します。

日商簿記2級試験の日程と申し込み方法

日商簿記2級の試験は年に3回実施されます。以下、2023年の試験日程です。

  • ・第163回:2023年2月26日(日)※終了
  • ・第164回:2023年6月11日(日)※終了
  • ・第165回:2023年11月19日(日)※申し込み終了

また、第166回試験は2024年2月25日(日)に行われます。

日商簿記2級試験の申し込みや受付時間は、申し込む商工会議所によって異なります。
試験日の約2か月前に、受験される地域の商工会議所にお問い合わせが必要です。

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日商簿記2級の試験内容を解説!

日商簿記2級の試験は、商業簿記工業簿記の2科目で構成されており、試験時間は90分です。合格基準は70%以上で、合格率は20〜30%ですが、回によっては合格率が1桁台だったり、40%を超えたりと振れ幅が非常に大きいため、難易度は回によって異なります。

具体的な試験科目と科目内容は以下の通りです。

商業簿記(配点60点)

商業簿記とは、企業が外部との取引(商業活動)を記録・管理することです。
ビジネスの場で特に使用されている簿記であり、商業活動に関連する全ての金銭取引を正確に記録することが求められます。
日商簿記2級では、基本的な会計原則や取引の記録、財務諸表の作成に関する知識を理解する必要があり、単純な取引から複雑な取引まで、多岐にわたる会計処理を行う技能が求められます。

工業簿記(配点40点)

工業簿記とは、主に製造業における原材料の購入や在庫管理、生産コストの計算など製品の製造活動を記録・管理することです。
工業簿記は2級から試験科目になるため、日商簿記2級では、製造業の原価計算全体の流れの基本を理解し、製造業での会計実務やコスト管理に関する知識と技能が必要です。

日商簿記2級は、3級の試験範囲を十分に理解したことを前提とした試験になっています。2級からの受験を考えている場合でも、試験勉強は3級の範囲から行うことをおすすめします。
また、2021年6月以前の日商簿記2級は試験時間が120分と現在の試験時間よりも30分長く設定されていました。しかし、試験時間変更前後で問題数は変更されていないため、現在は問題を解く正確性とスピードどちらも重視されていると考えられます。

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日商簿記2級の合格率は21.8%!

日商簿記2級の合格率とレベルは?

日商簿記2級の合格率は20〜30%と比較的難易度の高い試験です。
同じ日商簿記の1級は合格率が8〜10%、3級は40〜50%と、階級が上がるごとに難易度が高くなっていることがうかがえます。

以下、過去3年間の日商簿記2級試験における合格率と平均合格率です。

試験年月日 合格率
164 2023年6月11日 24.8%
163 2023年2月26日 21.1%
162 2022年11月20日 20.9%
161 2022年6月12日 26.9%
160 2022年2月27日 17.5%
159 2021年11月21日 30.6%
158 2021年6月13日 24.0%
157 2021年2月28日 8.6%
平均 21.8%

なお、日商簿記検定試験を主催する日本商工会議所によると日商簿記2級のレベルは、「高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル。」と定義されています。
未経験者歓迎の経理の求人の多くで、日商簿記2級を応募条件にしていることからも分かるように、簿記の中でも最も経理の実務に近い知識と技能のレベルであると考えられます。

経理や会計に関する他資格と試験難易度を比較

ここでは、日商簿記2級と経理会計に関する他の資格の難易度を比較します。

ビジネス会計検定

ビジネス会計検定とは、大阪商工会議所が主催している検定の一つで、財務諸表に関する知識や分析手法について問う検定です。簿記は財務諸表を作成するところまでが試験内容ですが、ビジネス会計検定では作成された財務諸表を利用して分析するところが試験内容になっています。
ビジネス会計検定にも1〜3級まで階級があり、それぞれ簿記と同程度の難易度です。

給与計算検定

給与計算検定とは、一般財団法人職業技能振興会と一般社団法人実務能力開発支援協会で実施している検定で、企業の給与計算業務の知識と実務能力を認定する検定です。
給与計算検定は1級と2級があり、合格率は1級が約50%、2級が約75%と日商簿記よりも比較的難易度の低い試験です。

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日商簿記2級試験に必要な勉強時間は?

日商簿記2級を取得するまでの勉強時間

簿記2級に合格する為に必要な勉強時間は、250〜400時間と言われています。1日2時間勉強をするとしても3〜6か月程度になります。
簿記2級の試験は年に3回実施されますので、勉強スケジュールに合わせて受験するタイミングを選びましょう。

簿記初学者が日商簿記2級を取得するまでの勉強時間

簿記初学者や簿記3級合格から長期間経過している場合は、350〜500時間程の勉強時間が必要と言われています。1日2時間勉強をする場合、6〜8か月程度となります。
簿記初学者の場合は、たとえ2級から受験するとしても勉強は3級の範囲から行いましょう。簿記2級の試験内容は、3級の内容を理解していることが前提となっているため、基本を理解しないまま2級の勉強を進めてしまうと途中でつまずいてしまう可能性があります。

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簿記2級におすすめなのは独学?通信講座?

日商簿記2級の勉強をするにあたって、独学で勉強をするか、通信講座で勉強するか悩むケースがあります。
特に簿記初学者は、3級の範囲から勉強を行う必要があるため、2級合格までには半年以上の期間がかかります。分からない時に誰かに質問出来る環境だけでなく、半年以上勉強に対するモチベーションを保つためにも通信講座を利用する方が少なくありません。
改めて独学と通信講座のメリット・デメリットを紹介します。

日商簿記2級を独学で勉強するメリット

  • ・参考書やテキスト代以外の費用が掛からない
  • ・隙間時間で勉強ができる

様々な種類の参考書やテキストが販売されているため、自分にあったものを選ぶことが重要です。また、最近では無料で視聴できる解説動画などもあるため、独学で勉強される方も多くいます。

日商簿記2級を通信講座で勉強するメリット

  • ・学習効率が上がる
  • ・分からないところを質問することができる
  • ・モチベーションの維持がしやすい

簿記2級の通信講座にも様々な種類があり、2,3万円程の比較的安価な講座もあります。自分のレベルや学習スピード、予算に合わせて通信講座を選びましょう。

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日商簿記2級取得のメリットとは?

日商簿記2級取得のメリットとは?

日商簿記2級は、取得までに長ければ半年以上かかる可能性のある資格ですが、取得することでたくさんのメリットがある資格です。主なメリットを3つ紹介します。

経理や会計事務所への転職がしやすくなる

多くの経理の求人で、日商簿記2級以上の資格が応募条件になっています。特に上場企業では、年に4回の決算業務があるため、一定の知識がある人材を採用したいと考え、簿記2級を応募条件としているケースが多々あります。
また実務未経験者の場合は、日商簿記2級以上を取得しておくことで経験者と同等の知識があると評価されるため、経理業界に転職を考えている場合は取得しておくべき資格と言えます。

資格手当や給与アップで年収が上がる

企業によっては日商簿記2級取得者に対して資格手当を支給している場合があります。また、資格手当がない場合でも簿記2級で身につけた知識や技能は昇給や昇格に役立つ可能性があるため、年収アップも期待できます。

企業の経営判断・財務状況が確認できる

日商簿記2級では、経営状態や財務状況を理解する上で重要な財務諸表に関する知識を身につけることができるため、経営判断にも役に立つ資格です。

日商簿記2級取得者の年収は?

前述の通り、日商簿記2級の取得により年収アップが期待できます。

2022年4月〜2023年3月にMS-Japanを利用して転職決定された簿記2級取得者の平均転職決定年収は約466万円でした。同じく簿記3級取得者の平均決定年収が約454万円のため、簿記3級取得者より12万円高い結果となっています。
このことから日商簿記は転職に有利な資格ではありますが、転職決定時の年収には大きく関係はしないと考えられます。

しかし、日商簿記2級以上を応募条件としている大手企業の経理の平均年収は約615万円と厚生労働所が発表する経理の平均年収453万円よりも100万円以上差があります。転職決定時は年収に大きな差はありませんが、キャリアを重ねていくと年収に大きな差が生まれるため、簿記2級を取得することで将来の年収が上がると期待できます。

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日商簿記2級を活かした就職・転職先!

簿記2級を取得することで、就職・転職先の幅が広がります。
主な就職・転職先は、大手企業の経理、中小企業の経理、企業の財務部門、会計事務所などです。

大手企業の経理

大手企業の経理は業務が細分化されている事が多く、経理担当がそれぞれを専門で担当する方法をとっています。また、グループ企業として子会社を持っている場合は、通常の決算業務に加えて連結決算など複雑な業務が必要になるため、経理のスペシャリストなど優秀な人材が重宝されます。
日商簿記2級以上を取得することで、実務未経験でも転職できる可能性があります。

中小企業の経理

中小企業の経理は、大手企業とは異なり少ない人員で広範囲な業務を担当しています。また、企業によっては経理以外の業務を任されることもあるため、幅広い業務経験を積むことができます。将来、ゼネラリストや管理部門全体のマネージャー職などを目指している場合は、中小企業の経理に転職することがおすすめです。

企業の財務部

大手企業では、経理とは別に財務部が設置されている事があります。財務部では、銀行融資や株式発行などの資金調達や予算管理業務を行っています。財務部の業務にも会計知識は必須のため、簿記2級を活かすことができます。

会計事務所

会計事務所では、業務の1つとして企業の経理代行を担っています。将来、簿記2級はあるが実務経験を積みたいという場合は、複数の企業の経理業務を経験することのできる会計事務所を選ぶとよいかもしれません。

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日商簿記2級が活かせるおすすめ求人例3選!

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・経理や財務の実務経験をお持ちの方
・日商簿記2級以上
想定年収
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日商簿記2級保有者の転職成功事例!

日商簿記2級で未経験から経理にキャリアチェンジ!

Zさん、20代後半/男性
転職前:フィールドエンジニア (年収:400万円)
転職後:上場子会社経理(年収:420万円)
資格:日商簿記2級

Zさんは、大学卒業後、エンジニアとして活躍されてきましたが、新型コロナウイルスの影響を受けて経理へのキャリアチェンジを決心されました。未経験でも評価されやすい日商簿記2級を武器に内定を獲得し、未経験ですが前職よりも高い年収を得ることができました。

子育てママさんの働きやすさ重視の経理転職!

Kさん 30代前半/女性
転職前:上場グループの事業会社 (年収:490万円)
転職後:非上場の事業会社(年収:520万円)
資格:日商簿記2級

Kさんは、前職で産休育休後に職場復帰しフルタイム勤務されていましたが、仕事と育児の両立が難しく残業時間が短く、リモート勤務が可能な職場に転職されました。これまでの経理経験や簿記2級を高く評価され、複数社から内定を獲得したため、自分にあった職場環境を選択することができました。

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まとめ

簿記2級は、簿記の中でも業務レベルに近い資格として経理や会計業界において人気の資格のため、取得することで転職に有利になり、将来的な年収アップにも繋がります。
しかし、簿記2級試験の合格率は20〜30%と簡単な試験ではなく、取得までに半年以上かかるケースもあります。簿記2級の資格取得を考えている場合は、中長期的な計画を立てて勉強をしましょう。
また、MS-Japanでは簿記2級を応募条件とする経理や会計事務所などの求人を多数扱っています。簿記2級を活かした転職をお考えの方は、一度ご相談下さい。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

椿 大樹

大学卒業後、外資系小売り業に就職、セールスマネジメントや採用、教育研修を経験。
人がいかに業績を左右するかについて認識し、現職のMS-Japanに転職する事を決断。
入社以来、東海エリアのキャリアアドバイザーとして、キャリアチェンジやスキルアップを目的とした若年層の支援を中心に担当しております。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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