弁護士になるには?弁護士への道のりや必要な学歴、2023年の試験制度変更などを解説!
最近では弁護士を題材にしたテレビドラマなども多く放送されているため、『法律に興味があって弁護士になりたい!』と、弁護士に憧れを持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、実際に弁護士になるために必要な道のりと学歴・学力などを紹介します。
弁護士になるための道のり
弁護士になるには、司法試験に合格し、司法修習修了・司法修習考査合格を経て弁護士登録する必要があります。
そもそも司法試験を受けるためには、まず受験資格を満たさなければいけません。
司法試験の受験資格を得るためには、「司法予備試験に合格する」と「法科大学院を修了する(または修了見込みとする)」の2つの方法があります。
難易度的には予備試験の方が高いですが、法科大学院は、大卒であることに加え、高額な学費が必要です。
司法試験予備試験は受験資格が設定されていないため、誰でも受けられます。
法科大学院に進む予定のない人は、基本的にこの予備試験を経由して、司法試験を受験することになります。
司法試験合格後は、「司法修習」を実施します。司法修習とは、法律に関する実務を学ぶための研修のようなものです。
実務スキルや法曹としての倫理観などを、約1年かけて学びます。
司法修習のカリキュラムが終了した後に、「司法修習生考試(二回試験)」を受け、それに合格すれば法曹資格(弁護士・検察官・裁判官)を取得できます。
弁護士会に登録すると、弁護士としてのキャリアがスタートします。
法科大学院は何年通うもの?
弁護士になるには、法科大学院がおすすめとされています。
法科大学院はいわゆる専門職大学院であり、弁護士や検察官、裁判官にとって必要な知識を養うための学校です。
理論的な部分だけでなく、少人数制の教育を通した実務スキルも向上させ、法曹界で活躍する人物を輩出することが大きな意義となっています。
一般的な大学院(修士)であれば、2年が通学期間の目安となります。
しかし法科大学院の場合は、様々なコースが設定されており、どれを選ぶかによって通学期間が若干異なります。
具体的には「3年コース」「2年コース」「夜間コース」「法曹コース」があります。
3年コース
社会人などで法学を修習していない人を対象としたコース。
法学部以外の学部を卒業した人向けのコースですが、出身学部は入学要件とはなってないので、法学部を卒業した人でも入学できます。
入学後は法学を基礎から学習するため、修了までの期間は3年と長いです。
2年コース
法科大学院の入学前に法律の学習をしている人を対象とするコースです。
入学試験時に「法律科目試験」を受ける必要があります。
法学部を卒業した人向けのコースといえますが、出身学部は入学要件とはなっていません。
そのため法学部を卒業していなくても、独学で法律を勉強して入学試験に合格すれば入学できます。
一般的な大学院の修士と同じような扱いで、修了までの期間は2年がスタンダードです。
夜間コース
夜間に学ぶ社会人を対象としたコース。
法学をすでに修めている人であれば3年、そうでなければ4年での卒業がスタンダードです。
法曹コース
法曹コースでは、将来的に法科大学院に入学することを前提に、法学部を3年で卒業することができます。
さらに、法科大学院の在学中から司法試験に受験できるようになります。修了までの期間は2年がスタンダードです。
「最短6年」法曹コース新設の背景
法科大学院は司法制度改革を目的として2004年度からスタートしましたが、入学志願者数は年々減少し、制度開始当初である2004年の入学志願者は7万2,800人(入学試験の競争倍率は4.44倍)でしたが、2022年度には1万564人(同2.55倍)にまで減りました。
法科大学院離れが進んだ要因として指摘されているのが、法曹になるまでの長さです。
法科大学院を経由すると最短でも8年弱もかかり、その間の学費、学習費用の負担は決して小さくありません。
さらに2011年には、法科大学院を修了していなくても、合格により司法試験の受験資格を得られる「予備試験」の制度が導入され、法科大学院への入学希望者の減少に拍車がかかりました。
入学者が減っていくにつれて、国内では閉校に追い込まれる法科大学院が続出しました。
制度開始の15年後である2019年度の春期には、学生を募集した大学院は半数以下となる36校にとどまっています。
そうした中で2019年6月、国会で新たに可決された新制度が、冒頭で紹介した「法曹コース」です。
法曹コースでは、将来的に法科大学院に入学することを前提に、法学部を3年で卒業することができ、さらに法科大学院の在学中から司法試験に受験できるようになります。
そのため、現行制度では法曹資格取得まで最短で8年弱かかっていましたが、法曹コースでは最短約6年で済むのです。
さらに、2022年10月1日より司法試験法に一部改正がありました。
法科大学院に在学していて,所定科目単位を修得済み、かつ司法試験が行われる日の属する年の4月1日から1年以内に当該法科大学院を修了見込みの方も、司法試験を受験可能となりました。が
つまり、在学中であっても大学院が定めた学力に到達している方は、1年前倒しで司法試験を受験することが出来るようになったということです。(適用は2023年度司法試験より)
法曹を志す人の経済的、時間的負担を軽くすることにより、法科大学院離れに歯止めをかけたいという狙いが、新制度導入の背景にあります。
独学で弁護士になるには?
「大学院」「予備校」などを使わずに、独学で弁護士になることはできるのでしょうか?
結論は、独学で弁護士になるのはとても難しいといえます。
司法試験予備試験は、法律に関する専門知識が問われる、非常に難易度の高い試験です。
合格するためには長時間の勉強が必要であり、高いモチベーション管理・スケジュール管理の能力が求められます。
さらに予備試験は、短答式・論文式だけでなく、口述式の試験もあります。
解答が明確になっている短答式と比較すると、自分の答えを客観的に見る必要がある論文式、正解を探しつつ「問いに答える姿勢」を見られる口述式は非常に難しいです。
法科大学院や予備校であれば、第三者から客観的な意見がもらえるため、成長スピードの面でかなり有利になるでしょう。
もちろん理論上は、独学だけでも司法試験に合格できますが、上記の理由から非常にハードルが高いといえます。
ただし独学の場合は、大学院や予備校の高額な費用を抑えられるため、金銭的な面には大きなメリットがあるといえるでしょう。
法科大学院は、比較的安価な国立大学であっても、初年度納入金が100万円程度かかります。
予備校も同様で、数十万円から数百万円が必要です。
一方で独学の場合は、書籍の購入代だけで済みます。
さらに余計なコミュニケーションが発生せず、自分のペースで勉強ができるため、「人から何か言われるのが嫌」「自分のやりたいように勉強を進めたい」という方にも向いています。
メリットとデメリットを比較したうえで、自分に合った方法を選ぶと良いでしょう。
弁護士になるための学歴・学力
弁護士になるために必要な「学歴」と「学力」について考えてみましょう。
「学歴」、弁護士になるには特に必要な要件ありません。
司法試験予備試験に受験資格の定めがなく、誰でも受験できます。極端な話をすれば、高校を卒業していなかったとしても、予備試験を受けられます。
確かに、高学歴の方が学問的には優れており、さまざまな知識を持っていると考えられます。
そうした意味では、学歴があった方が「有利」とは考えられますが、学歴が試験の合否に直結するわけではありません。
学歴はあくまでも一つの要素として考えておくとよいでしょう。
次に「学力」に関してですが、司法試験に合格するためには、「文系科目から理系科目まで幅広い分野に精通している」ことは求められません。
司法試験は、あくまでも法曹の試験であり、必要となるのは法律の専門知識です。
そのため、一般的にいわれているような「学力」は、必要ではないといえるでしょう。
ただしその分、法律に関する深い専門知識が求められるため、一般的な学力テストよりも遥かにハードルが高い試験内容になります。
論文式の試験もあるため、単に知識があるだけではなく、自分の考えを言語化して簡潔に伝えられる能力も必要です。
弁護士資格取得後のキャリア
ここでは弁護士資格取得後のキャリアについて解説します。
弁護士事務所の弁護士
弁護士資格取得後の、最も一般的な働き方です。
「西村あさひ法律事務所」「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」「長島・大野・常松法律事務所」「森・濱田松本法律事務所」の4大事務所を筆頭とした企業法務系事務所、企業法務と民事・刑事幅広く取り扱う総合系事務所、民事のみ取り扱う民事系事務所など様々な就職先があります。
国家資格者の弁護士として、自身のスキルを武器にクライアントのサポートを行えることが最大の魅力です。
裁量もあり、業務委託でもあるため、組織に縛られない働き方も可能です。独立開業することで、さらにその魅力の点は大きくなるでしょう。
一般企業の弁護士(インハウスローヤー)
インハウスローヤーとして転職するキャリアもあります。
企業法務系の法律事務所に比べて給与水準は落ちる可能性がありますが、会社の一員として、ビジネスに当事者として主体的に関われること、ワークライフバランスや福利厚生面の手厚さにより長期就業が見込めること、就業する中で着実なスキルアップを目指せること、チームプレーを重視する働き方ができることなど、企業勤務ならではのメリットも見逃せません。
裁判官
司法試験合格後に裁判官を選ぶだけでなく、一度弁護士として経験を積んだ後に、「弁護士任官」として裁判官になる道もあります。
ただし裁判官は様々な地域に転勤しなければならないこともあるため、腰を据えて働きたい人にはあまり向いていないでしょう。
検察官
裁判官と同様、司法試験合格後に検察官になる方法と、弁護士としての経験を積んでから試験を受ける方法があります。
こちらも転勤を繰り返すキャリアにはなりますが、検察官にのみ認められている権限など、司法の中心として活躍できる喜びがあります。
まとめ
弁護士になるには、予備試験もしくは法科大学院を経由して、司法試験に合格しなければなりません。
法科大学院は学費がかかることから、入学希望者は減少傾向にありました。
しかし、2020年から新設された「法曹コース」、2022年10月施行の受験対象者拡大の法改正により、時間的・経済な負担を軽減できるようになりました。
弁護士資格を取得した後は、弁護士事務所やインハウスローヤー、一般企業の法務部などさまざまなキャリアが考えられます。また弁護士としての経験を活かして、裁判官や検察官に転職する方法もあります。
難関資格であることは間違いないものの、取得後はキャリアの自由度も高く魅力的な資格であるといえるでしょう。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。企業側を支援するリクルーティングアドバイザーとして約6年間IPO準備企業~大手企業まで計1,000社以上をご支援。
女性リクルーティングアドバイザーとして最年少ユニットリーダーを経験の後、2019年には【転職する際相談したいRAランキング】で全社2位獲得。
2021年~キャリアアドバイザーへ異動し、現在はチーフキャリアアドバイザーとして約400名以上ご支援実績がございます。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 法律・特許事務所 ・ 役員・その他 ・ 社会保険労務士事務所 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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