弁護士になるには?弁護士への道のりや必要な学歴、資格取得後のキャリアなどを解説!

最近では弁護士を題材にしたテレビドラマなども多く放送されているため、『法律に興味があって弁護士になりたい!』と、弁護士に憧れを持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、実際に弁護士になるために必要な道のりと学歴・学力などを紹介します。
弁護士になるための道のり
弁護士になるには、司法試験に合格し、司法修習を経て弁護士登録する必要があります。
ここでは弁護士登録までの道のりを3つのステップに分けて解説します。
①司法試験受験資格を満たす
司法試験の受験資格を得るためには、「司法試験予備試験に合格する」または「法科大学院を修了する(または修了見込みである)」の2つの方法があります。
司法試験予備試験は、受験資格の制限がなく、誰でも受験できます。
しかし、その分、難易度が非常に高い試験です。
法務省の発表によると、令和5年度の最終結果では、受験者数が13,372人に対し、合格者はわずか479人で、合格率は3.58%にとどまりました。
一方で、法科大学院を受験するためには、四年制大学の卒業、または卒業見込みであることが条件となります。
さらに、国立大学の場合、学費は入学金が28万2,000円、授業料が年間80万4,000円と高額であるため、金銭的な負担を感じる人も多いでしょう。
なお、法科大学院には「3年間の法学未修者コース」と「2年間の法学既修者コース」があります。
特に3年間のコースでは、法律の基礎に関する学習内容が1年間分多く含まれており、基礎知識をしっかりと学ぶことができます。
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②司法試験に合格する
司法試験は、毎年7月に短答式試験(1日)と論文式試験(3日間)の合計4日間の日程で実施されます。
その後、例年では8月に短答式試験の合格発表が行われ、11月に最終的な合格発表があります。
令和6年度の司法試験では、受験者数が3,779人、最終合格者数が1,592人で、合格率は42.1%となりました。
一見すると合格率が高く、難易度が低いように感じられるかもしれません。
しかし、司法試験の受験には難易度の高い受験資格が必要なため、司法試験も依然として非常に難易度の高い試験といえます。
司法修習を1年間受ける
司法試験合格後は、「司法修習」を受けます。
司法修習とは、法律に関する実務を学ぶための研修のようなもので、実務スキルや法曹としての倫理観などを、約1年かけて学びます。
司法修習のカリキュラムが終了した後に、「司法修習生考試(二回試験)」を受け、それに合格すれば法曹資格(弁護士・検察官・裁判官)を取得できます。
弁護士会に登録すると、弁護士としてのキャリアがスタートします。
法科大学院は何年通うもの?
前章でも紹介したように、司法試験の受験資格の1つとして「法科大学院の修了」という選択肢があります。
法科大学院はいわゆる専門職大学院であり、弁護士や検察官、裁判官にとって必要な知識を養うための学校です。
理論的な部分だけでなく、少人数制の教育を通した実務スキルも向上させ、法曹界で活躍する人物を輩出することが大きな意義となっています。
一般的な大学院(修士)であれば、2年が通学期間の目安となります。
しかし、法科大学院の場合は、様々なコースが設定されており、どれを選ぶかによって通学期間が若干異なります。
具体的には、「3年コース」「2年コース」「夜間コース」「法曹コース」があります。
3年コース
3年コースは、社会人などで法学を修習していない人を対象としたコースです。
法学部以外の学部を卒業した人向けのコースですが、出身学部は入学要件とはなってないので、法学部を卒業した人でも入学できます。
入学後は法学を基礎から学習するため、修了までの期間は3年と長いです。
2年コース
2年コースは、法科大学院の入学前に法律の学習をしている人を対象とするコースです。
そのため、入学試験時に「法律科目試験」を受ける必要があります。
法学部を卒業した人向けのコースといえますが、出身学部は入学要件とはなっていないため、独学で法律を勉強して入学試験に合格すれば入学できます。
一般的な大学院の修士と同じような扱いで、修了までの期間は2年がスタンダードです。
夜間コース
夜間コースは、主に日中仕事をしている社会人を対象としたコースです。
法学をすでに修めている人であれば3年、そうでなければ4年での卒業がスタンダードです。
法曹コース
2020年に新設された法曹コースでは、将来的に法科大学院に入学することを前提に、法学部を早期卒業(3年間で卒業)することができます。
令和5年試験からは法科大学院の在学中から司法試験に受験できるようになったため、法曹になることを決めている人にとっては最も近道といえます。
法曹コース新設の背景については「最短6年」法曹コース新設の背景の章をご確認下さい。
法科大学院ルートと予備試験ルートのメリットとデメリットは?
先述の通り、司法試験を受験し弁護士になるためには「法科大学院ルート」か「予備試験ルート」の2つの選択肢があります。
それぞれにどんなメリットとデメリットがあるのかをまとめました。
予備試験ルートは最短での弁護士登録が可能
短期で予備試験に合格できれば、法科大学院ルートよりも短い年数で司法試験の受験資格を得られる可能性もあります。
例えば、法科大学院ルートは大学入学から法科大学院修了までに通常6年(学部4年+既修者コース2年)かかりますが、年齢に関係なく受験できる予備試験ルートは、稀ではありますが、大学1〜2年生で合格し、学部卒業前に司法試験に合格するケースもあります。
また、予備試験合格者は法科大学院出身者よりも司法試験の合格率が高い傾向にあります。
令和元年(2019年)以降の司法試験の合格率を見てみると、法科大学院出身者が30〜40%程度であるのに対し、予備試験合格者は80%以上で、圧倒的な差をつけています。
ただし合格率が高いといっても、予備試験は合格率が4%前後の狭き門です。
そのため、予備試験の合格するのに2年以上かかり、「これなら法科大学院行った方が早かったのではないか」という場合も少なくないでしょう。
法科大学院ルートは修了すれば確実に受験資格を得られる
弁護士になるために法科大学院を利用する場合は、弁護士資格を取得するまでに最短でも6年(法曹コース3年+法科大学院2年+司法修習1年)はかかります。
法科大学院に進学するメリットとして、修了もしくは修了見込みとなれば司法試験の受験資格が確実に得られることが挙げられます。
夜間部を設けている法科大学院もあるため、社会人でも通えることも法科大学院のメリットだといえるでしょう。
ただし費用が発生し、国立大学の場合でも、入学金が約30万円、学費は約80万円となります。
加えて、法科大学院を修了した場合の司法試験合格率が低いことも、法科大学院に進学するデメリットだといえるでしょう。
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「最短6年」法曹コース新設の背景
法科大学院は司法制度改革を目的として2004年度からスタートしましたが、入学志願者数は年々減少し、制度開始当初である2004年度の入学志願者は7万2,800人でしたが、2024年度には1万3,513人にまで減りました。
法科大学院離れが進んだ要因として指摘されているのが、法曹になるまでの長さです。
以前までは法科大学院を経由すると最短でも8年弱もかかり、その間の学費、学習費用の負担は決して小さくありません。
さらに2011年には、「予備試験」の制度が導入され、法科大学院への入学希望者の減少に拍車がかかりました。
入学者が減っていくにつれて、国内では閉校に追い込まれる法科大学院が続出しました。
そうした中で2019年6月、国会で新たに可決された新制度が「法曹コース」です。
法曹コースでは、将来的に法科大学院に入学することを前提に、法学部を3年で卒業することができ、さらに法科大学院の在学中から司法試験に受験できるようになります。
そのため、現行制度では法曹資格取得まで最短で8年弱かかっていましたが、法曹コースでは最短約6年で済むのです。
さらに、2022年10月1日より司法試験法に一部改正がありました。
法科大学院に在学していて,所定科目単位を修得済み、かつ司法試験が行われる日の属する年の4月1日から1年以内に当該法科大学院を修了見込みの方も、司法試験を受験可能となりました。
つまり、在学中であっても大学院が定めた学力に到達している方は、1年前倒しで司法試験を受験することが出来るようになったということです。(適用は2023年度司法試験より)。
法曹を志す人の経済的、時間的負担を軽くすることにより、法科大学院離れに歯止めをかけたいという狙いが、新制度導入の背景にあります。
弁護士になるための学歴・学力
弁護士になるために必要な「学歴」と「学力」について考えてみましょう。
弁護士になるために必要な「学歴」
結論、弁護士になるに「学歴」は必要ありません。
司法試験予備試験に受験資格の定めがないため、極端な話をすれば、高校を卒業していなかったとしても、予備試験を受けられます。
確かに、高学歴の方が学問的には優れており、さまざまな知識を持っていると考えられます。
そうした意味では、学歴があった方が「有利」とは考えられますが、学歴が試験の合否に直結するわけではありません。
学歴はあくまでも一つの要素として考えておくとよいでしょう。
弁護士になるために必要な「学力」
次に「学力」に関してですが、司法試験に合格するためには、「文系科目から理系科目まで幅広い分野に精通している」ことは求められません。
司法試験は、あくまでも法曹の試験であり、必要となるのは法律の専門知識です。
そのため、一般的にいわれているような「学力」は、必要ではないといえるでしょう。
ただし、法律に関する深い専門知識が求められるため、一般的な学力テストよりも遥かにハードルが高い試験内容になります。
論文式の試験もあるため、単に知識があるだけではなく、自分の考えを言語化して簡潔に伝えられる能力も必要です。
独学で弁護士になるのは可能?
「法科大学院や予備校を利用せず、独学だけで弁護士を目指すことは可能なのか?」
結論として、独学で弁護士になるのは非常に難しいと言えます。
特に、司法試験の受験資格を得るための「予備試験」は、難関試験のため、合格には長時間の勉強と高いモチベーション、緻密なスケジュール管理が求められます。
特に予備試験の論文式試験では自分の考えを整理し、論理的に表現する力が問われます。
また口述式試験も、正しい答えを見つけるだけでなく、「問いにどう答えるか」という姿勢やプレゼンテーション能力も評価されます。
このような試験内容を独学で全てクリアするのは、非常にハードルが高いでしょう。
ただし、独学で予備試験や司法試験に合格することが不可能だとは言えません。
各予備校が出版している参考書などを利用して独学で合格することができれば、金銭的な負担なく弁護士になることができます。
法科大学院や予備校を利用して弁護士を目指すか、時間がかかっても独学で弁護士を目指すかはそれぞれのメリット・デメリットを比較したうえで判断すると良いでしょう。
弁護士になった後のキャリア
最後に、弁護士登録後のキャリアについて解説します。
法律事務所(弁護士事務所)
法律事務所は、弁護士資格取得後の最も一般的なキャリアです。
法律事務所には、「西村あさひ法律事務所」「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」「長島・大野・常松法律事務所」「森・濱田松本法律事務所」の4大事務所を筆頭とした企業法務系事務所、企業法務と民事・刑事幅広く取り扱う総合型事務所、民事のみ取り扱う民事系事務所などの種類があります。
国家資格者の弁護士として、自身のスキルを武器にクライアントのサポートを行えることが最大の魅力です。
裁量もあり、業務委託でもあるため、組織に縛られない働き方も可能です。独立開業することで、さらにその魅力の点は大きくなるでしょう。
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一般企業(インハウスローヤー)
インハウスローヤーに転職するキャリアもあります。
法律事務所に比べて給与水準は落ちる可能性がありますが、「ビジネスに当事者として主体的に関われること」「ワークライフバランスや福利厚生面の手厚さにより長期就業が見込めること」「就業する中で着実なスキルアップを目指せること」「チームプレーを重視する働き方ができること」など、企業勤務ならではのメリットも見逃せません。
裁判官
司法試験合格後に裁判官になる方法と、一度弁護士として経験を積んだ後に、「弁護士任官」として裁判官になる道もあります。
ただし裁判官は様々な地域に転勤しなければならないため、腰を据えて働きたい人にはあまり向いていないでしょう。
検察官
裁判官と同様、司法試験合格後に検察官になる方法や、弁護士としての経験を積んでから試験を受ける方法があります。
こちらも転勤を繰り返すキャリアにはなりますが、検察官にのみ認められている権限など、司法の中心として活躍できる喜びがあります。
まとめ
この記事では、弁護士になるための道のりや具体的な方法について詳しく解説しました。
弁護士は、取得が難しい難関資格である一方で、資格取得後にはキャリアの選択肢が広がり、高い年収も期待できる非常に魅力的な資格です。
MS-Japanが運営する管理部門・士業特化型転職エージェント「MS Agent」では、弁護士や法科大学院修了生を対象に、就職や転職、キャリア形成に関するサポートを提供しています。
ぜひお気軽にご相談ください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。企業側を支援するリクルーティングアドバイザーとして約6年間IPO準備企業~大手企業まで計1,000社以上をご支援。
女性リクルーティングアドバイザーとして最年少ユニットリーダーを経験の後、2019年には【転職する際相談したいRAランキング】で全社2位獲得。
2021年~キャリアアドバイザーへ異動し、現在はチーフキャリアアドバイザーとして約400名以上ご支援実績がございます。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 法律・特許事務所 ・ 役員・その他 ・ 社会保険労務士事務所 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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