2023年11月16日

予備試験と司法試験の違いは?難易度や合格率などを徹底解説!

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予備試験と司法試験の違いは?司法試験の合格を目指される方には、「予備試験ルート」をとるべきか、「法科大学院ルート」をとるべきか、迷われる方も多いでしょう。
司法試験の受験資格を得るための予備試験は、司法試験と共通するところもあります。
しかし違いも多くあり、司法試験はより総合的な能力が試されるといえます。

この記事では、予備試験と司法試験の違いや難易度についてご紹介します。

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予備試験とは司法試験を受けるための試験

最初に予備試験とはどのようなものなのか、および予備試験と司法試験の試験形式や出題傾向の違いについて見ていきましょう。

予備試験がスタートした経緯

予備試験とは司法試験を受けるための試験です。
司法試験はもともと単独で行われ、その合否によってのみ法曹になる資格が得られるか、得られないかが決まっていました。
しかし、1990年からスタートした司法改革で「法曹の数を増やす」との方針のもと、2004年に法科大学院がスタートし、法科大学院の修了が司法試験の受験資格となりました。
法科大学院で所定の科目を履修すれば、司法試験に合格するために必要な実力が無理なく得られるというわけです。

しかし、法科大学院へ進学するためには2年~3年の期間と学費、およびその期間中の生活費がかかります。
時間的・経済的な余裕がない人にとっては、司法試験の受験に法科大学院進学が義務付けられれば、法曹への道を閉ざされることになりかねません。
そこで、その救済措置として2010年から、法科大学院へ進学しなくても、法科大学院修了者と同等の実力を持っていれば司法試験が受験できるようになりました。
この「法科大学院修了者と同等の実力」を判定するための試験が司法試験予備試験です。

試験形式や出題傾向の違い

司法試験と予備試験は、試験の形式や出題傾向などについて共通するところも多くあります。
試験の形式については、司法試験が「短答式試験」と「論文式試験」から構成されるのに対し、予備試験でもやはり同様に短答式試験と論文式試験が行われます。

ただし、司法試験と予備試験の試験形式についての違いは、まず予備試験には「口述式試験」があることです。
口述式試験は人物像を見るためのもので、論文式試験で答案を作成する際の能力が答弁でも発揮できるかが確認されるといわれています。

また、試験の日程も違います。予備試験は、令和5年以降から短答式が7月、論文式が9月、そして口述式が1月と期間を空けて実施されます。
それに対して司法試験は、すべての試験が連続した4日間で実施されます。したがって、司法試験は予備試験と比べて高い集中力が要求されるといえるでしょう。
試験の出題傾向も、司法試験と予備試験とは共通するところが多くあります。
特に短答式試験については、約半数の問題は司法試験と予備試験で全く同じものが出題されます。 したがって、司法試験と予備試験の短答式試験は全く同じ日、同じ時間帯に実施されます。

ただし、司法試験と予備試験では問題の量が違います。
短答式試験では、予備試験の問題数が全部で40問、それに対して司法試験は76問程度です。
また、論文式試験の問題文の長さも違い、予備試験がA4用紙1~2ページであるところ、司法試験は多いときには10ページを超えることもあります。
司法試験の方が予備試験より、より総合的な能力を試されるといえるでしょう。


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令和5年度の司法試験、予備試験の日程

まずは、令和5年度の予備試験、司法試験の日程から紹介いたします。

司法試験予備試験の日程

短答式試験:令和5年7月16日(日)
短答式試験 合格発表:令和5年8月3日(木)

論文式試験:令和5年9月9日(土)、10日(日)
論文式試験 合格発表:令和5年12月21日(木)

口述試験:令和6年1月20日(土)、21日(日)
口述試験 合格発表:令和6年2月1日(木)

参照:法務省

司法試験の日程

論文式試験:令和5年7月12日(水)、13日(木)、15日(土)
短答式試験:16日(日)
司法試験 合格発表:令和5年11月8日(水)
参照:法務省

以上の日程で試験が行われます。


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予備試験の難易度

予備試験の難易度はどの程度なのでしょうか。 合格率や勉強時間などを見てみましょう。


短答式試験の合格率

年度受験者数合格者数合格率
平成23年度
6477133920.7%
平成24年度
7183
1711
23.8%
平成25年度
9224
2017
21.9%
平成26年度
10347
2018
19.5%
平成27年度
10334
2294
22.2%
平成28年度
10442
2426
23.2%
平成29年度
10743
2299
21.4%
平成30年度
11136
2661
23.9%
令和元年度
11780
2696
22.9%
令和2年度
10608
2529
23.8%
令和3年度
11717
2723
23.2%
令和4年度
13004
2829
21.7%

昨年の予備試験短答式試験の受験者数は1,3004人と過去最多の人数となりました。令和2年度は、新型コロナウイルスの影響により、受験者数が若干減少しましたが、その後2年間で受験者数は回復しております。
合格率は、20%~24%と推移しており、短答式試験ではありますが試験難易度は高いため、決して侮れる試験ではありません。

論文式試験の合格率

年度受験者数合格者数合格率
平成23年度
13011239.5%
平成24年度
1643
233
14.2%
平成25年度
1932
381
19.7%
平成26年度
1913
392
20.5%
平成27年度
2209
428
19.4%
平成28年度
2427
429
17.7%
平成29年度
2185
469
21.5%
平成30年度
2551
459
18.0%
令和元年度
2580
494
19.1%
令和2年度
2439
464
19.0%
令和3年度
2633
479
18.2%
令和4年度
2695
481
17.8%

昨年の予備試験論文式試験の合格率は17.8%と例年に比べて若干合格率が低いことが分かります。
論文式試験は長文の問題文を読んだうえで、1,500字程度で論述をする問題形式です。短答式試験とは異なり、法律に関する知識に合わせて、文章を構成する力や時間内に書き終える力が必要な為、非常に難しい試験だと言えます。

口述試験の合格率

年度受験者数合格者数合格率
平成23年度
12211695.1%
平成24年度
233
219
94.0%
平成25年度
379351
92.6%
平成26年度
391
356
91.1%
平成27年度
427
394
92.3%
平成28年度
429
405
94.4%
平成29年度
469
444
94.7%
平成30年度
456
433
95.0%
令和元年度
494
476
96.4%
令和2年度
462
442
95.7%
令和3年度
476
467
98.1%
令和4年度
481
472
98.1%

予備試験口述試験は合格率が非常に高く、例年合格率は90%後半です。特段、成績が低くない限りは不合格となることはありませんが、口述試験は面接式の試験のため、予備校などで面接式試験の対策を行っておくことが重要です。

予備試験の最終合格率

年度出願者数受験者数最終合格者数最終合格率
平成23年度
89716477116
1.8%
平成24年度
9118
7183
219
3.1%
平成25年度
11255
9224
351
3.8%
平成26年度
12622
10347
356
3.4%
平成27年度
12543
10334
394
3.8%
平成28年度
12767
10442
405
3.9%
平成29年度
13178
10743
444
4.1%
平成30年度
13746
11136
433
3.9%
令和元年度
14494
11780
476
4.0%
令和2年度
15318
10608
442
4.2%
令和3年度
14317
11717
467
4.0%
令和4年度
16145
13004
472
3.6%

令和4年度の予備試験の合格率は3.6%と、非常に難易度の高い試験となっています。特に、短答式試験と論文式試験が山場となっていますので、この2つの試験を乗り越えることが予備試験では重要となります。


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司法試験予備試験にも受験資格はあるの?

司法試験の受験資格である予備試験ですが、もともと法科大学院に進学する経済的、時間的な余裕がない人のために設定されたルートのため、予備試験には受験資格はありません。
しかし、予備試験の中の各形式には受験資格があり、論文式試験は当該年度の短答式試験の合格者、口述試験は当該年度の論文式試験の合格者が受験資格となっています。
そのため、上記で説明している論文式試験と口述試験の合格率は、あくまで受験資格となる試験の合格者が対象であると言えますので、合格率は数字で見るよりも低いことが想定されます。

司法試験の難易度

司法試験の合格率や勉強時間などを見てみましょう。 司法試験の合格率は下の表の通りとなります。

短答式試験の合格率

年度受験者数合格者数合格率
平成23年度
8,7655,65464.5%
平成24年度
8,3875,33963.7%
平成25年度
7,6535,25968.7%
平成26年度
8,0155,08063.4%
平成27年度
8,0165,30866.2%
平成28年度
6,8994,62167.0%
平成29年度
5,9673,93766.0%
平成30年度
5,2383,66970.0%
令和元年度
4,4663,28773.6%
令和2年度
3,7032,79375.4%
令和3年度
3,424
2,67278.0%
令和4年度
3,082
2,49480.9%

令和4年の司法試験短答式試験の合格率は、80.9%と比較的高かったことが分かります。また、例年合格率は63%~80%を推移しており、年度によって合格率、難易度に差があると考えられます。直近5年間ほどは合格率が上がっているため、司法試験が簡単になっているとも考えられますが、あくまで法科大学院の卒業か予備試験の合格者のみが受験している試験ですので、油断は禁物です。

司法試験の最終合格率

年度受験者数合格者数合格率
平成23年度
8,7652,06323.5%
平成24年度
8,3872,10225.1%
平成25年度
7,6532,04926.8%
平成26年度
8,0151,81022.6%
平成27年度
8,0161,85023.1%
平成28年度
6,8991,58322.9%
平成29年度
5,9671,54325.9%
平成30年度
5,2381,52529.1%
令和元年度
4,4661,50233.6%
令和2年度
3,7031,45039.2%
令和3年度
3,424
1,42141.5%
令和4年度
3,082
1,40345.5%

令和4年司法試験自体の合格率も45.5%と高く、直近で合格率が高くなっていることが分かります。
また、予備試験の受験数は増加しているにも関わらず、司法試験の受験数が減少していることが分かります。この背景として、法曹人気が低迷しこと、法科大学院修了生の司法試験合格率が低下していることが考えられます。逆に予備試験の人気は高まっているので、現在、司法試験の受験資格のために法科大学院に入学するか、予備試験を受験するか迷われている方は、注目するべきポイントになります。

予備試験に合格することにより司法試験の受験資格を得る場合には、勉強時間は前述の通り3,000時間~8,000時間といわれています。
それに対して法科大学院を修了することにより受験資格を得る場合には、大学院での授業以外に既修者コースなら2,000時間、未修者コースなら3,000時間の勉強時間が必要だといわれています。


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司法試験予備試験は独学でも合格できる?

司法試験予備試験は、法科大学院に通う経済的、時間的な余裕がない方のために設定された司法試験受験の為のルートです。
しかし、予備試験受験のために予備校や通信講座を利用する際も30万~100万円程の費用が掛かってしまいます。
では、予備校なども使わずに独学で予備試験の勉強をして、合格することは可能なのでしょうか。

結論、予備試験を独学で合格することは難しいですが、不可能ではありません。
というのも、予備試験には受験資格がないので、独学でも試験で点数をとることができれば合格出来るからです。
しかし、予備校や通信講座を利用しても予備試験に合格することは難しく、実際に予備試験の合格者には大手の予備校生が多いことから、独学で予備試験に合格することは難しいと考えられます。
もし独学で勉強する際には以下の3つのポイント抑えることが重要となります。

予備校が出している予備試験の情報を手に入れる

予備校では、予備試験合格のための受験テクニックなどの情報を持っています。独学の場合、そのような情報が簡単に手に入らないため、予備校の講師が書いている参考書などで情報を手に入れる必要があります。

異なる3つの試験形式を対策する

予備試験では、短答式試験、論文式試験、口述試験の3つの形式の試験があります。3つすべてに合格しないと予備試験に合格できない為、タイトな試験間隔の中で対策する必要があります。

独学で予備試験に合格した人に話を聞く

予備試験に独学で合格された方が身近にいる場合は、どのような試験勉強をしたのかなどを聞いてみることをお勧めします。もしも、身近にいない場合はネットやSNSなどで聞いてみるのもよい方法です。


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司法試験と予備試験どちらの方が難しいかは一概にはいえない

上で見た通り予備試験の合格率は司法試験よりも低いものの、予備試験と司法試験は受験資格が異なるため、「予備試験の方が難易度は高い」と一概にいうことはできません。 予備試験も司法試験も、どちらも難関であるのは間違いがないことです。

ただし、司法試験は予備試験と比較して、
・問題数が多い
・問題文が長い
・連続した日程で集中的に行われる

などの特徴があります。
したがって、司法試験の方がより総合的な能力を試されるといえるでしょう。


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まとめ

予備試験は司法試験と共通したところがあるものの、違いも多くあります。
予備試験に合格したからと安心してしまえば、司法試験の思わぬ不合格につながりかねません。
予備試験に合格したら、それから司法試験までの半年間、過去問をしっかり解くなどの十分な対策が欠かせないといえるでしょう。

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