2024年03月11日

司法試験に落ちたら? 就職してキャリアを歩める? 5回不合格になる前に…

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近年の司法試験は、2022年の合格率が45.5%と4割を超え、以前に比べると司法試験合格は超難関試験ではなくなったかように思われます。
それでも尚、司法試験を受験するための予備試験は、合格率が4%余りの高い壁であり、法科大学院に入学して卒業することも、相当な努力と知識の蓄積が必要であると考えられます。

では、一度法曹界を目指したものの、司法試験に合格できずに就職や転職を検討する場合、今までの努力は報われないのでしょうか?

そんなことはありません!
現在一般企業でも法律に関連する法務業務が増えたこともあり、法科大学院修了生の方も応募できる求人も見られるようになりました。
そこでこの記事では、もしも司法試験に合格できなかった場合、どのように就職活動に切り替えるべきかを解説します。

「令和6年司法試験合格発表速報!」はこちら

司法試験に5回不合格となってしまったら...

弁護士・裁判官・検察官を志望する人は、司法試験に合格し、司法修習を終えなければなりません。司法試験の受験資格を得るためには、法科大学院を修了するか、予備試験に合格することが条件です。
この司法試験は、毎年1回実施されますが、「5年間に5回まで」という受験回数制限があります。5回不合格になっても、もう一度、法科大学院を出るか、予備試験に合格すれば、再び司法試験を受験できるようにはなります。
しかし、それは本来の受験制限を設けた制度趣旨から逸れるものだと思われます。

司法試験を5回受けて不合格となってしまった場合は、その時点では法律家としての適性や知識が不十分であったと考えられます。そのため、不合格となってしまった人は別の道を選択する場合も多くあります。
受験回数制限をあえて設けているのも、そのほうが受験生自身の経験を社会で有効に活かすことができ、社会全体にとっても、難関を乗り越えて法律家を目指そうという意欲と知性のある人材を採用し、活躍してほしいという思いがあります。

司法試験には、かつては受験回数制限がありませんでした。何度でも納得するまでチャレンジできたのですが、その結果、優秀だったはずの人々が社会人として就職することが困難になってしまったのです。他の道へ進むことができずに、司法試験の不合格が続いた結果人生を棒に振ってしまい、精神疾患に追い込まれてしまう人も珍しくなく、社会問題となっていました。

受験回数制限は、使い切らないほうがいい

司法試験受験生には2つのパターンがあり、まずは働いて収入を確保しながら、終業後や始業前、休日に集中して受験勉強をする「兼業」の受験者の方もいらっしゃいます。

「兼業」をされている方は、司法試験から撤退する場合、現在の職場で働き続けることができます。
また、司法試験に使うことが出来る時間や労力が制約される代わりに、お金の心配をする必要が無く、撤退したときのリスクを最小限に抑えられるメリットがあります。

一方で、司法試験の勉強に集中する、あるいはパートやアルバイトで最低限の収入を確保しながら受験準備に臨む「専業」の受験者は、司法試験から撤退する場合、一から就職活動を始めなければなりません。

受験資格を得ることさえ大変な司法試験では、5回という受験回数を使い切らない状態で、撤退の決断をするのは大変残念でつらいことですが、そのタイミングで就職を決断する人が一定数いることも事実です。
この傾向は未就業の専業受験生に多く見られます。

就職に切り替える主な理由としては、「経済的な事情」「試験ではもう力を出し切った」「企業の中で法務の仕事がしたいので、試験にこだわる必要がなくなった」などが挙げられます。

5回の受験回数制限を使い切ってから、背水の陣で就職活動に臨むのも、覚悟の強さから良い結果につながるかもしれません。
しかし、受験回数を使い切らずに就職活動を始めると、5回受験し切った場合と比べて、年齢的・経済的な焦りが少なくなり、結果的に就職活動に余裕をもって臨める可能性もあります。

また、回数制限を使い切った後、司法試験に不合格となり追い詰められた状況で就職活動を始めるよりも、まだ受験回数の余地が残っている段階で就職活動を始めたほうが、法律家の道に対する未練を自ら断ち切り、新たなスタートを切るという前向きな気持ちの切り替えを、人事担当者にアピールすることもできます。

受験から撤退するタイミングは最終的には本人が決断することですが、就職についても受験と並行しながら、情報取集だけでもしておくことをおすすめします。


茨の道も、諦めなければ就職成功できる

 司法試験浪人をした場合は、履歴書の「職歴」欄に、空白の期間が生じているはずです。ここを気にする人事担当者は、思いのほか多いものです。会社員であることが社会人の標準であるとの認識・常識のもとでは、学校の卒業後に、会社員でない期間が存在することが理解されないのです。
「社会人のキャリアは、もっと多様なはずだ」「理解すべきだ」と、正論を述べたところで徒労に終わることでしょう。大切なのは、理解がある人事担当者と運命の出会いを果たすまで、諦めずに粘って面接を繰り返すことです。

あなたが今まで歩んできた「司法試験受験」という道に、自信を持ちましょう。
確かに、社会人としての業務経験の少なさは弱点となり得ます。しかし、逆転の発想で、法律や判例に関する正確な知識、そして論理による応用力や、一般的な社会人とは比べものにならないほど高いクオリティのものを獲得しているという点は、あなたにとって強い武器となります。

一刻も早く職にありつきたいという思いを抑え、相手にとって「仕事仲間として歓迎したい人材」であることをアピールする姿勢を見せましょう。それは、司法試験の問題から「出題意図」を見抜いて解答するのと似ています。

司法試験に不合格となっても、大企業の法務部への就職を成功し、高収入を得て再出発するという"逆転者"もいます。法務部は企業にとって直接収益を挙げるセクションではないので、採用枠を抑えている企業もある一方で、昨今は企業法務の重要性が注目されていることから、法科大学院修了生や、司法試験受験経験のある人材の採用を積極的に行っている企業も増えつつあります。

法務部のスタッフに求められるのは、法律知識の豊富さもさることながら、それ以上に、その企業の利益に沿った考え方や行動を取れる人材であることが重要です。法律や裁判例のリサーチなどは外部の法律家に任せることが可能だとしても、利益相反などが原因で、クライアント企業の利益を完全には代弁できない場面がありえます。そうした場面でも法務部員なら企業利益を問題なく代弁できるため、重宝されることもあるでしょう。

また、逆転の例として挙げると、ベンチャー企業の法務担当者から、実力を買われてCFO(最高財務責任者)に就任し、異分野で活躍している人もいます。たとえ法律畑の出身だからといって、司法試験の挫折後までその経験を引きずってこだわりを見せると、就職活動には不利に作用するリスクがあります。
「不合格になってしまった」・「途中で諦めてしまった」という負の感情を引きずる必要はありません。気持ちを切り替えて社会人としてゼロから取り組んでいく覚悟を見せれば、より早く道は切り拓いていけるはずです。

法科大学院生の就職と求人事例

一般企業で法科大学院修了生を募集している会社もありますので、参考程度に求人をご紹介いたします。

上場企業のグループ(IT・通信事業)

ポジション:法務担当

業務内容:
・文書法務
・規程、規則管理
・契約書管理、稟議事務局業務 等
・事業支援法務
・事業推進時の各種法的相談
・各種契約書チェック・作成(契約書月40件程)、会議資料作成等
・経営法務
・コンプライアンス案件対応

必須条件:法科大学院修了生事業会社での法務経験のある方(特に契約書関連)

想定年収:370万円~460万円

銀行

ポジション:法務・コンプライアンス担当

業務内容:
・法律相談への対応
・契約書等のレビュー
・ドラフト
・訴訟その他紛争への対応
・外部弁護士との折衝
・法令調査
・情報発信業務
・社内重要会議の運営業務
・訴訟管理業務
・その他の法務部門の運営に係る諸業務

必須条件:法科大学院修了生

想定年収:350万円~500万円

東証一部上場企業(飲食事業)

ポジション:法務担当

業務内容:
・契約書の作成およびレビュー(現時点ではほぼ和文です。海外割合が増えているので今後は英文が増える可能性が高いです。)
・知的財産の取得、管理、運用・社内勉強会、研修の企画運営
・トラブル対応 ・コンプライアンス遵守 等

必須条件:
・法科大学院修了生の方
・事業会社で法務経験がある方(目安:1年以上)

想定年収:380万円~600万円

まとめ

司法試験に合格できなかったとしても、その後の将来を悲観する必要はありません。求人の中には、「法科大学院修了生歓迎」という項目を掲載して、法務における即戦力を求める企業も多くあります。

現在は多くの企業が、法的知識を備えた人材を探しており、司法試験を目指した経験が活かせる社会になったともいえます。

司法試験に落ちてしまったとしても、他のキャリアを開拓するチャンスは十分にあるので、エージェントを利用して前向きに就職活動を始めましょう。

5回受験を受け切っていないが、次回の受験を迷っているという方も、お悩みがあれば相談だけでもかまいませんので、お気軽にお問い合わせください。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

林 良樹

大学卒業後、カーディーラ・小売業を経験し、2008年からMS-Japanでリクルーティングアドバイザーとキャリアアドバイザーを兼務しております。

会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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