2025年05月27日

「法務を辞めたい」と考える理由は?対処法や転職のポイントなど

法務は、企業のガバナンス体制の整備やコンプライアンス構築、事業・契約内容のチェックなど、法律に基づいて企業を守る重要な役割を担っています。
法務としての誇りをもって仕事に取り組んでいる人も多いでしょう。
しかし、多忙な職場環境や人間関係などを理由に転職を考える人も少なくありません。

この記事では、「法務を辞めたい」と考える理由対処法について解説します。
仕事にお悩みの法務担当者はぜひ参考にしてください。

法務を辞めたい理由とは?

1.法改正などにより常に勉強が求められる

企業によって法務が携わる法令は異なりますが、多くの法令で定期的に改正が行われます。
その都度、新たな知識を習得する必要があり、また、改正がなぜ行われたのかその背景についても理解しなくてはなりません。
そのため、法務担当者は、法改正の動きや業界の動向を日頃からチェックし、常に学び続けることが求められます。

2.法務内外との人間関係に疲れた

企業が様々な法令に対応するためには、事業に関連する部門との連携が必要不可欠ですが、法令への理解度には部門間で差があるため、まずは関連部門の理解を促すことが必要です。
そのため、法務はまず関連部門の法令理解促進から始める必要があります。
しかし、法令順守に積極的でない部門との関係が悪化するなど、人間関係に悩む法務担当者も多く見受けられます。
また、専門性の高い法務部では、人員の流動性が少なく、人間関係も固定的になりやすいため、息苦しさを感じることもあるようです。

3.評価がされにくくモチベーションが上がらない

法務は、法律によって会社を正しい道に導く重要な役割を担いながらも、成果が見えにくい部署といえるでしょう。
例えば、営業や販売は売上を上げることで業務の成果を数値化できますが、法律を守ることが目的である法務は成果を数値化できる業務が少ない傾向があります。
また、定められたルールにそって資料を作成したり管理したりする単調な仕事にやりがいを得られず、ストレスを感じる人もいるでしょう。

4.多忙でワークライフバランスを整えたい

企業活動に伴う組織法務や契約法務などの法律に関わる案件は、法務部門だけの業務であり、他の部署で代行することはできません。
そのため、限られた人員で膨大な業務を担う必要があり、職場環境は非常に負荷が高いと言えます。
特に決算後は株主総会を控え、決算や経営についての状況を法的に精査し報告するための準備に追われます。

また、この時期は複数の契約案件が重なることが多く、株主総会準備と通常業務を並行して進めるため、残業や休日出勤が必要になることもあるでしょう。
過労による心身のストレスや生活リズムの乱れ、家庭への影響などを考慮し、ワークライフバランス改善を目的に転職を考える人も少なくありません。

5.仕事に対して給料が低く不満を感じる

法務の年収は他職種と比較して高めの水準にある傾向ですが、業務の専門性や責任の大きさを考慮すれば妥当な水準といえます。
しかし、大手企業や上場企業では法務部門として独立している体制が一般的ですが、中小企業では法務と総務が兼任している場合もあり、法務以外にも総務の雑用を任されることもあります。
膨大かつ多岐にわたる業務に対して、給料が見合わないと感じる法務担当者も多いようです。

法務のための転職支援を受ける

法務を辞めたいときの対処法

現職のやりがいを再認識する

法務業務がつまらなくて辞めたいと感じている場合は、業務のやりがいや楽しみ方を見直すことで、法務としてのキャリアを継続できる可能性が高まります。

MS-Japanが現役法務担当者を対象に実施した「法務のやりがい」に関するアンケートでは、以下のような回答がありました。

  • ・法務の仕事で特にやりがいを感じたのは、複雑な契約交渉を通して会社に有利な条件を引き出した時です。
    大型プロジェクトの契約書を交渉する際、多数のリスクを事前に緩和し、予期せぬトラブルを防ぐことができました。
  • ・やりがいを感じたのは、取引先の代金回収が滞っていた際、私が関与したことで回収が進んだ時です。
    内容証明やその先の手段を検討しつつ、取引先と交渉する担当者にも交渉内容を助言することで、大部分を回収できました。
    その担当者からは、単なる法手的手続きだけではなく、交渉内容を含めてアドバイスしたことに感謝をされました。
  • ・契約書の修正提案が採用され、会社に有利な条件で締結できた時は達成感があります。
    特にリスクを回避しつつ、相手方とも円満に合意できた際は、法務の役割の重要性を実感し、「法務で良かった」と思います。

事業や経営に参加する意識を持つ

法務業務がつまらないと感じる理由は、業務に取り組む姿勢に原因がある可能性があります。
与えられた業務だけを、ルールに沿って漫然と取り組んでいないでしょうか。
例えば契約法務で契約審査をする際は、その契約が締結された背景や、会社にとってのメリット・デメリットなど、考慮すべきことが多々あります。

事業成功のために法務として最善を尽くす「攻めの姿勢」を持つことで、自身のモチベーションが上がるだけでなく、関連部門との連帯感も生まれるはずです。
状況によっては事業を止める側になることもありますが、会社を守るための戦略であり、経営に大きく貢献したことになります。
法律知識を活かして会社やそのの利益を守る立場として「当事者意識」を持つことで、法務のやりがいを実感することができるでしょう。

頼れる人脈をつくる

法務業務を遂行する上で人脈は大きな武器となります。
例えば、契約内容に法的な問題がある場合など、担当部門と良好な関係を築いておけば、間違いを指摘しやすくなるだけでなく、理解を得られやすくなることでしょう。
他部門から敬遠されてしまうと、自身のモチベーション低下につながりますが、トラブルを予防してくれる存在として良い関係が築ければ、法務としての存在意義を見出すことができます。

法務以外の部署に異動する

法務を辞めたくても転職はしたくないという場合は、社内の別部門に異動することも解決策の1つです。
営業や経理など全く異なる部門に異動する場合も、法務としての知識やスキルを活かすことで、法令違反によるトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

しかし、部署移動は簡単ではなく、特にネガティブな理由での部署移動はあまり好まれません。
上司または人事に対して異動希望の理由を伝える際は、「やりがいを感じられない」「仕事に魅力を見出せない」などのネガティブな理由ではなく、「法務知識を持って異動先で貢献したい」などとポジティブな理由に変換することが重要です。

別企業の法務に転職する

法務自体を辞めたいわけではなく、今勤めている企業に問題がある場合は、別企業の法務に転職することをおすすめします。
昨今、企業のコンプライアンス意識が高まりに伴って、法務人材のニーズも高まっています。しかし、法務人材のニーズの高さに対して法務経験者の数が少ないため、法務の転職市場は転職者有利の売り手市場です。
業界や企業規模、企業フェーズが似ている企業では、即戦力人材として高く評価されるでしょう。

法務の経験を活かせる別職種に転職する

法務業務自体が合わない、法務以外の職種にチャレンジしたい場合は、法務経験を活かせる別職種へのキャリアチェンジもおすすめです。
ただし、未経験職種へのキャリアチェンジは、年齢や経験などの条件によっては、不利になるケースもあるため、できるだけ早くに転職活動を始めましょう。

法務のキャリアを相談する

【規模別】法務の特徴と転職のポイント

ここでは、別企業の法務に転職をお考えの方向けに、規模別法務担当の特徴と転職活動で押さえておきたいポイントについてご紹介します。

大手企業の法務

大手企業では、各業務の役割分担が徹底されており、担当の業務のスペシャリストになることが求められます。
担当業務だけに従事するため、ルーティーンワークが多いですが、取り扱う契約の規模が大きいため、スケールの大きい案件に携われるでしょう。

また、部内の人員も多いため、上司や先輩から知識やノウハウを得ることができます。
さらに、給与や休暇、福利厚生といった待遇面を重視したい人にとっても、経営が安定した大手企業は魅力的です。

一方で、求められる経験やスキルのレベルは比較的高い傾向があります。応募先企業の求人情報や公式サイトなどで細かく情報収集を行い、アピールできるポイントを見つけましょう。
より詳しい情報収集や効果的なアピール方法などは、転職エージェントに相談するのも一つの方法です。

大手企業に転職した法務経験者の事例

  • Nさん(30代前半/男性)
  • 転職前:非上場IT企業
  • 転職後:プライム上場IT企業

非上場のIT企業で法務を担当していたNさん。
今後のキャリアについて考えた時に、マネジメントを通じてキャリアアップをしたいと思い、転職活動を開始しました。

Nさんは、マネジメント・管理職ポジションは、経験者を対象にしている求人が多く、書類選考で苦戦していました。
そのため、弊社からはリーダー職からスタートし、近い将来でマネジメントにチャレンジできる求人も含めてご提案しました。
その結果、選考回数が増え、プライム上場企業での内定獲得につながりました。

MS-Japan
キャリアアドバイザー
小島 亜里紗

書類選考で苦戦した場合は、求人応募の際に少し目線を変えてみるのも手法の一つです。
特に初めての業界や規模、未経験の業務に挑戦したい場合は幅広く検討すると、かえって理想の転職先が早く見つかる場合もあります。

ベンチャー企業の法務

大手企業と比較すると多忙で安定性も十分とはいえませんが、物事を切り拓いていく楽しさ、達成感はベンチャー企業ならではのものです。
また、ITやテクノロジーなどの最先端技術関連の企業が多いことから、法務が携わる法律は比較的新しく制定されたもので、変化も著しく、刺激的だと言えるでしょう。
法務部門の配置人数が少ないため、1人で様々な法務業務を担うことができるゼネラリストが求められます。
仕事にやりがいを求める人にとってはおすすめの転職先ですが、企業の資金力や将来性などを見極め、リスクのない選択を心がけましょう。

ベンチャー企業に転職した法務経験者の事例

  • Mさん(40代前半/女性)
  • 転職前:大手企業/法務メンバー
  • 転職後:ベンチャー企業/法務マネージャー

大手メーカーに勤めていたMさんは、柔軟性やスピード感に欠ける社風やマネジメント職につくことが狭き門であることに疑問を感じ、転職をすることにしました。

「裁量を持てる環境」「マネジメントスキルを身に付けられる環境」という点を軸に転職活動を進めていく中で、ベンチャー企業に絞ることにしました。
経験を活かせるメーカーをメインに選考を進め、最終的に100名規模のベンチャー企業にてマネージャーとして入社されることになりました。

MS-Japan
キャリアアドバイザー
小島 亜里紗

人によって理想の働き方は様々です。
安定してコツコツと経験を伸ばしていきたい場合は、大手上場企業が向いています。一方で、成長スピードを重視したい場合は、ベンチャー企業がおすすめです。
転職活動をする際には「どうスキルを上げていくか」を考えると、希望に合う企業を絞ることができるでしょう。

IPO準備企業の法務

IPO準備企業では、コーポレートガバナンスや体制の健全化など、企業の法体制を整えるフェーズであり、法務は重要な役割を担っています。
そのため業務も多忙ですが、株式上場という大きな目標にやりがいを感じるだけでなく、上場後の状況によっては、給与などの待遇面もアップする可能性があるでしょう。

また、IPO達成を経験した法務人材は貴重であり、企業からも高い評価を得られることでキャリアアップにもつながります。
ただし、注意すべき点は、「必ずしもIPOが実現できるわけではない」ということです。IPO準備企業に転職する際は、事業内容や資金力、IPOへの進捗状況などについて詳細に調べてから臨むようにしましょう。

IPO準備企業に転職した法務経験者の事例

  • Sさん(30代半ば/女性)
  • 転職前:大手上場企業
  • 転職後:IPO準備企業

Sさんは東証プライム上場企業で勤務していましたが、新しい環境でスキルアップをしたいと考えるようになりました。
また、リモートワークができる日数も減少し、働き方も不安に感じていました。

新しいことにチャレンジできる環境かつワークライフバランスの両立を軸に転職活動を進め、最終的にIPO準備企業へ転職することに決めました。
その企業は今までの経験を活かしつつキャリアアップが可能で、週の半分がリモートワークとSさんの理想の環境でした。

MS-Japan
キャリアアドバイザー
小島 亜里紗

近年はワークライフバランスの両立を叶えられるIPO準備企業が増えており、「忙しい」というイメージも払拭されつつあります。
IPO準備企業は20~40代が中心に活躍するベンチャー企業が多く、多様な働き方にも理解がある傾向です。
ご自身の可能性を広げるためにも、はじめは幅広い市場の求人を見てみると良いでしょう。

無料で法務キャリアを相談する

法務の求人例

法務の求人例

MS-Japanで取り扱っている法務の求人例をご紹介します。

東証プライム上場/国内No1エネルギーメーカー/リモート・フレックス制

仕事内容
・国内案件や日本法に関わる法務相談への対応
(法令相談、契約のレビュー・交渉支援、訴訟等の紛争処理、法的課題の発見・解決策提言 等)
・社内教育、社内意思決定プロセスの支援
必要な経験・能力
・企業法務の実務経験を5年以上(事業会社経験不問)
想定年収
700万円 ~ 1,200万円

モバイルゲーム・WEBサービス分野で増収増益を続けるベンチャー企業/法務マネージャー

仕事内容
・各種契約書の作成・審査・交渉・管理
・新規サービスの法的助言、各種サービスの利用規約の作成・改訂
・知的財産権における関連業務(著作権、商標、特許等)
・法規制への適宜対応(景品表示法、資金決済法、下請法等)
・M&Aに関する法律面からのサポート
・各種法務事務(法務相談、稟議承認など)
必要な経験・能力
・事業会社での法務実務経験3年以上
・メンバーマネジメント経験
想定年収
800万円 ~ 1,200万円

【IPO準備中】法務責任者(リモート/フルフレックス/働き方◎)

仕事内容
・リーガルリスクマネジメントの統括
・契約書・利用規約・約款等の作成やレビュー
・知財の検討
・新規事業・新規ビジネススキームのための法的調査、助言、関連書類の作成
・コーポレートガバナンスの強化
必要な経験・能力
・事業会社でのビジネス法務の実務経験(目安5年以上)
 ※知財の検討経験は必須
・英文契約書のリーディングスキル
想定年収
1,000万円 ~ 1,500万円

法務経験者が「別職種」にキャリアチェンジする場合の注意点

法務経験者が「別職種」にキャリアチェンジする場合の注意点

法務としての経験や法律知識は、法務以外の別職種でも活かすことができます。
法務経験者は、経理や人事など管理部門の転職市場では、完全未経験ではなく、管理部門経験者として評価されるでしょう。
管理部門の中でも、経営企画の転職市場では特に法務経験者は高いニーズがあります。
企業の経営は様々な法律の中で行われているため、法律知識のある経営企画であれば的確な戦略を策定することができるでしょう。

キャリアチェンジの支援を受ける

法務経験者の転職は専門のエージェントを活用しよう

法律をベースとする法務の仕事は専門性が高く、その知識やスキルは様々な転職市場高く評価されます。
しかし、自身で市場価値を適正に評価し、職務経歴書や面接で伝えることは簡単ではありません。
また、募集側の企業にとっても、法務は企業の信頼を左右する重要なポジションであることから、採用に慎重になる傾向があります。

そのため、法務の転職においては、マッチングに秀でた転職エージェントを利用することがおすすめです。
法務から別職種への転職を希望する場合は、個々の知識やスキル・経験を第三者目線で判断してもらうことで、自身の強みを言語化できるだけでなく、スキル・経験を活かせる企業の紹介を受けることができます。
応募先企業に合わせた応募書類の添削や面接対策など、専門的なサポートを無料で受けることができます。

また、「仕事が忙しすぎる」「人間関係に疲れた」「法務業務がつまらない」など、応募先企業には伝えづらい退職理由でも、転職エージェントには正直に伝えることで、退職理由に合わせて最適な求人を紹介してもらうことができます。

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まとめ

法務は専門性が高く、常に自己研鑽が求められ、企業経営に関わる重要なポジションを担っています。
しかし、責任が重く多忙であることや、適切な評価がされにくいポジションであることなど、様々な理由で「法務を辞めたい」と考える人が多いことも事実です。

では、法務からのキャリアアップやキャリアチェンジ、転職をしたい場合、どうすればよいのでしょうか。
成功するために重要なのは自身の能力前向きな意識を持ち続けることです。
能力に磨きをかけ、ポジティブな意識で取り組めば、仕事が楽しくなり、可能性も広がります。
特に別職種へのキャリアチェンジ、別企業への転職を考える際は、転職エージェントを活用して自身の市場価値、そして希望を候補先企業にしっかりと伝え、自身にとって最善の選択ができるようにしましょう。

  • #法務辞めたい
  • #法務転職
  • #法務つらい

この記事を監修したキャリアアドバイザー

小島 亜里紗

大学卒業後、ウェディングプランナー、業界大手で求人広告の企画提案営業を経て、MS-Japanへ入社。
企業担当のリクルーティングアドバイザーを経験した後、現在は転職を考えられている方のキャリアアドバイザーとして、若手ポテンシャル層~シニアベテラン層まで多くの方の転職活動のサポートをしています。
人材業界での経験も長くなり、いつまでも誰かの記憶に残る仕事をしていたいと思っています。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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