2024年10月08日

企業法務弁護士とは?顧問弁護士と企業内弁護士の役割の違いや業務内容を解説

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企業のビジネス活動が複雑化していく中で、ガバナンスやコンプライアンスの強化が一段と重視されるようになり、企業法務の重要性も増しています。
この状況下で法務に関わる弁護士は、 ますます転職のチャンスが広がっているといえるでしょう。

この記事では、企業の法務に携わる弁護士の業務と、求人例や転職事例を紹介します。
ぜひ、転職やキャリアアップを 成功させるための参考にしてください。

企業法務とは?

企業法務は、大きく分けて「臨床法務」「予防法務」「戦略法務」の3つがあります。それぞれの定義や重要性、具体的な事例を確認しましょう。

臨床法務

臨床法務は、主に法的トラブルが発生した場合の対応を指します。「法律問題がすでに起きていて、それを解決するための手段を探る役割」を担っており、契約紛争や労働問題、訴訟などの具体的な問題に対応します。
臨床法務は、企業のリスクマネジメントにおいて必要不可欠な役割です。法的トラブルの対応や解決は、企業のブランドや金融状況、そしてビジネスの継続性に大きな影響を及ぼす可能性があります。
業務例としては、契約違反による訴訟や労働問題の解決、知的財産権侵害の対応などです。

予防法務

予防法務は、法的な問題が発生する前に対策を講じる役割を果たします。臨床法務とは対照的に、まだ起こっていない問題に対応し、健全な企業経営を行うための役割をもっています。
予防法務は、企業が法律違反やそれに伴う潜在的なリスクから自身を守るための重要な業務です。これによって企業は未然に問題を回避し、その結果としてコストの削減や、企業ブランドの保護などができます。
業務例としては、社内規定作成や見直し、契約書のチェックなどです。

戦略法務

戦略法務は、企業のビジネス戦略に合わせて法的問題を扱うものです。臨床法務や予防法務のようにトラブルを扱うのではなく、企業の目標達成を支え、新しいビジネス機会を創出するための法的な枠組みを設計します。
法的視点から企業の長期的な成功に貢献するためにも、戦略法務は欠かせません。適切な戦略を策定することで、競争上の優位性を確保し、新しい市場への進出や新しいビジネスモデルの構築を可能にします。
業務例としては、M&Aの法的側面の管理や新規事業の法的リスク評価、企業の規模拡大に伴う法的課題の予測と対策などです。

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企業法務に関わる弁護士には、2種類ある

企業法務に関わる弁護士には、担当する企業を 外部からサポートする「顧問弁護士」と、企業内で法務に携わる「企業内弁護士(インハウスローヤー)」という2つの働き方があります。
それぞれ企業に対する立場や報酬体系が異なるため、まずはその違いを見てみましょう 。

顧問弁護士という働き方

顧問弁護士は基本的に、 自ら法律事務所を経営もしくは法律事務所に勤務して、さまざまな業種業態の企業内部の法務を専門的にサポートします。
特定の企業にしばられることがないため、複数の企業と顧問契約を結ぶことができ、多様な業界の法務を担当して経験を積むことが可能です。
主な業務内容は、クライアント企業の法務手続き、法務相談への対応、法的トラブルへの対応などです。
報酬体系は一定の法務を請け負う対価として、毎月定額の顧問料が支払われる形式 が一般的です。
ただし、法的トラブルにまで発展した場合、別途契約を結んで報酬も別途支払われることがあります。

企業内弁護士という働き方

一方で 企業内弁護士は特定の企業に所属し、その企業の経営方針に従いながら、法務全般と法的トラブルへの対応などを担当します。
あくまでも弁護士という立場で業務を行うため、所属する企業に有利になるように、法的解釈を曲げたり不正を隠したりすることはできません。
場合によっては企業内ルールの策定など、責任の重い業務を担当することもあり、特定の業種に関する法務の知識やスキルを、専門的レベルにまで高められるでしょう。
収入面では、その企業の勤務規定に準じます。
ただし専門的な業務が多いため、一般職よりも給与が高めに設定されていたり、給与とは別に特別手当が支給されたりすることがあります。

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顧問弁護士としての企業法務での役割とは

顧問弁護士は、クライアント企業にとっての「外部アドバイザー」だからこそ、そうした一定の距離を置くスタンスに特有の強みがあります。

また、顧問弁護士は個人・法人問わず、さまざまな立場で法的トラブルに巻き込まれた方々の相談に乗ったり、代理人等として解決に乗り出したりします。そのような法律実務家としての多様な職務経験を活かし、応用を利かせながら、クライアントに対して柔軟なアドバイスを投げかけることが可能です。

「傍目八目」という言葉があるように、クライアントが巻き込まれている法的なトラブルの当事者ではなく、距離を置いた客観的な立場での視点だからこそ、初めて気づけることも十分にありえるでしょう。

顧問契約を結んでいなくても、たとえば外部の弁護士は経営体制をチェックする監査役(社外取締役)として、独立した立場を保ちながら業務を進めることができます。いくら「監査役は独立している」といっても、監査役がその会社に勤務する従業員ばかりだと、運命共同体で利害関係が一致しやすいために、会社を厳しくチェックできないのではないかと、株主や取引先、監査法人などから疑いの目で見られかねません。距離を置いたスタンスだからこそ有効な責務を果たせる場合があるのです。

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企業内弁護士としての企業法務の役割とは

企業内弁護士には、その企業にとって利益になる方向でトラブルの法的解決を図るという明確な使命があります。他の企業と利害が衝突した場面では、ただちに代理人として交渉に臨むことができます。その企業のことを日頃から知っているからこそ、問題解決のために必要なコミュニケーションを速やかに取り、円滑に進められるメリットがあります。

また、企業にとって必要なときにすぐ相談に乗れる機動性の高さも、企業内弁護士の持ち味です。従業員が法的トラブルを未然に防いで、企業が余計なエネルギーを消耗しないように対策を図る「予防法務」も、企業内に常駐している弁護士のほうに強みがあります。

従業員にとって、すぐに法律相談ができる「駆け込み寺」のような役割を企業内弁護士が担うこともあります。それが労使間トラブルの場合は、不当に企業側の言い分に偏らず、一人の法律実務家として公平な立場でアドバイスをする必要があります。

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企業法務を取り扱う弁護士や事務所もタイプでわかれる

弁護士のキャリアは多種多様で、五大法律事務所や外資系法律事務所、企業法務系法律事務所などさまざまな場所で働けます。ここでは、それぞれの概要と特徴について解説します。

五大法律事務所

五大法律事務所とは、日本における大手国内法律事務所のことを指します。これらの事務所は、多くの業種、多岐にわたる法的問題を取り扱っています。刑事事件や個人の民事事件よりも、企業法務にフォーカスしているのが一般的です。

国内外の大規模な取引や訴訟、対企業法務に関する広範なアドバイスなどを提供しています。五大法律事務所には多くの専門家が所属しており、幅広い経験を積むことが可能です。

外資系法律事務所

外資系法律事務所は、海外に本社をもつ法律事務所のことを指します。多くの場合、アメリカやイギリスなどの大手法律事務所が日本や他の国に支店を設けているケースです。

外資系法律事務所は、国際的な視点をもつ弁護士や法務専門家にとって魅力的な選択肢です。クロスボーダーの取引や国際訴訟、国際法の問題などを扱うことが多く、一般的には高度な英語能力が求められます。報酬体系などの待遇面・環境面は、アメリカやイギリスの法務業界の基準に従うのが一般的です。

企業法務系法律事務所

企業法務系法律事務所は、企業活動全般に関する法的問題を扱う組織です。五大法律事務所や外資系法律事務所も企業法務系法律事務所に当てはまります。ここに所属している法務専門家は、その企業が直面する様々な法的問題に対して深い理解をもつことが求められます。

企業法務系法律事務所では、企業法務を扱うことから、ビジネスの視点から法的問題を考える能力も必要です。特定の産業に関する深い知識と経験があると、強みになるでしょう。

中小法律事務所

中小法律事務所は、所属する弁護士人数が数名~十数名程度の事務所を指します。特定の地域や業界に深く根ざしていることも多く、会社・個人にかかわらず様々な案件を扱うケースが多いため、幅広い経験を積めます。

さらに規模が小さいため、より直接的なクライアントとのやりとりや、早い段階で重要な案件を任される機会も多いでしょう。企業法務のみを扱う事務所もあれば、民事・刑事含めたさまざまな案件を扱うところもあります。

ブティック型法律事務所

ブティック型法律事務所は、特定の法的専門分野に焦点を当てた事務所で、その専門分野で深い専門知識と経験をもつ弁護士が集まっています。たとえば知的財産権や環境法、労働法など「特定の法的課題に対する専門的な知識と経験」を深められます。

五大法律事務所や外資系法律事務所と比べると、就職の難易度はそれほど高くなく、企業法務未経験者が入所できるようなケースもあります。

企業内弁護士

企業内弁護士(インハウスローヤー)は、特定の企業または組織の内部で法的な問題を取り扱います。企業の経営陣や他の部門と密接に連携しながら、法的な視点からビジネスをサポートするのが主な役割です。

企業内弁護士は、一般的に1つの企業に専念するため、その企業の文化やビジネス環境に深く慣れ親しんでいる必要があります。所属する企業や組織の構造にもよりますが、ワークライフバランスは比較的良好とされています。

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企業法務弁護士の具体的な業務内容

企業法務弁護士は、多種多様な法的問題に対応します。それぞれの業務について詳しく説明します。

ジェネラル・コーポレート

ジェネラル・コーポレート業務は、企業が日々の業務運営を行ううえで必要となる一般的な法務です。取締役会と株主の関係や各種契約(従業員、サプライヤー、顧客などとの契約)、業務リスクの管理といった広範な分野を含みます。企業法務弁護士のスタンダードとなる業務で、企業が法律遵守を確保しつつビジネスを効率的に運営するために欠かせません。

労務問題

企業法務弁護士としての労務問題の取り扱いは、従業員と雇用者間のさまざまな問題や対立を含みます。たとえば「労働紛争の解決」であれば、企業法務弁護士は、調停や交渉などを通じて解決を図ります。具体的には、不当解雇やパワハラ・セクハラ、長時間労働などです。

倒産手続き

企業法務弁護士としての倒産手続きは、財政的困難に陥った企業がその負債を清算し、再生するプロセスを法的に支援することです。倒産手続きの進行や債権者との交渉など、さまざまな業務を担当します。

債権回収

債権回収は、企業が貸し出した金銭などの債権を回収するための業務です。企業法務弁護士は、返済の催促から訴訟や差し押さえなどの法的手段を通じて債権回収をします。債権回収にあたっては、適切な契約書作成のアドバイスや、貸し倒れリスクの最小化に向けた法的対策も検討します。

危機管理

危機管理・不祥事対応は、企業が直面する可能性のある危機や問題、たとえば不正行為や規制違反、内部告発などに対応するための業務です。企業法務弁護士は、事実関係の究明や法的な影響の分析などを通して、危機や不祥事の全体的な管理を担当します。

M&A

企業法務弁護士は、企業の成長戦略の1つであるM&Aに際して、重要な役割を果たします。取引の構造化、契約交渉、デューデリジェンス(事前調査)、規制当局との交渉、組織再編など、M&Aに関する多岐にわたる業務を担当します。

キャピタルマーケット

キャピタルマーケット業務は、企業が資金を調達する際の法的支援です。たとえば新規公開株(IPO)や増資、社債の発行などが挙げられます。企業法務弁護士は、資本市場取引に関連する契約の交渉や証券規制に関する遵守、証券取引所や規制当局との交渉などを担当します。企業法務弁護士の業務としては、専門性が高い内容です。

知的財産

知的財産に関する業務とは、具体的には企業の特許や商標、著作権などの知的財産の保護と管理などです。企業法務弁護士は、知的財産の登録やライセンス交渉、侵害訴訟などを取り扱っています。加えて、知的財産の適切な保護と利用に関する戦略的アドバイスを提供しつつ、企業の知的財産を競争に役立てるための支援も行います。

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企業内弁護士と法律事務所勤めの違いや、メリット・デメリット

企業内弁護士と法律事務所勤めは、扱っている業務の内容や給与の支払いなど、さまざまな面で異なります。ここでは、企業内弁護士と法律事務所勤めの違いや、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。

企業内弁護士と法律事務所勤めの違い

企業内弁護士は、特定の企業の社員として働き、その企業の法務全般を扱います。一方で法律事務所の弁護士は、主にクライアント(企業や個人)から依頼を受け、法律的な問題を解決します。

企業内弁護士は、所属している企業の仕事を遂行し、企業から給与を受けます。しかし法律事務所勤めの弁護士は、事務所から給与が支払われるものの、仕事を受けるのは基本的に外部のクライアントからです。こうした点でも、企業内弁護士と法律事務所勤めの弁護士には、大きな違いがあります。

企業内弁護士のメリット・デメリット

企業内弁護士のメリットは、腰を据えて働けることです。企業内弁護士は、その企業の一員として働くため、業務内容や期間が比較的安定しています。長期的な視野をもち、企業のビジネスや戦略に深く関与することも可能です。法務の専門家としての役割だけでなく、経営層とも直接関わるため、役員待遇や経営陣へ昇進する可能性もあります。

また、その企業の就業規則によって勤務時間が決められているため、スケジュールを調整しやすく、ワークライフバランスを重視したい方には大きなメリットと言えます。

企業内弁護士のデメリットは、ルーティンワークが多いことです。企業内弁護士は、一般的に特定の企業の法律問題に専念するため、業務内容が一定の範囲に限定されてしまう傾向にあります。法律事務所勤めの弁護士と比べると、多様な案件を経験する機会が少なくなってしまうかもしれません。

法律事務所勤めのメリット・デメリット

法律事務所で働く弁護士、とくに大手や中堅の法律事務所では、高い給与水準になっているのがメリットです。後の項目で詳しく解説しますが、40代前半までは法律事務所のほうが給与が高い傾向にあります。自身の専門性を活かし、幅広い種類の法律案件に対応できるのも大きなメリットです。

法律事務所の弁護士は、多様なクライアントに対応する必要があります。クライアントのビジネスモデルや業界環境、法律問題を理解するための時間とエネルギーを必要とするのが主なデメリットといえるでしょう。たとえば1日で、「破産寸前の人」と「富裕層」といった、まったく社会的地位の異なる個人クライアントに対応するような例もあります。臨機応変な対応が必要になってくるため、柔軟性に自信がない人にとってはストレスの職種です。

労働時間が長くなりがちなのも、法律事務所に勤めるデメリットといえます。法律事務所での業務は基本的にクライアントワークなので、案件の複雑さや緊急度によっては、ワークライフバランスを犠牲にしなければならないこともあるでしょう。

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企業内弁護士と法律事務所勤めで年収は違う?

年収の違い

40代前半までは「法律事務所のほうが企業よりも高い」水準にありますが、40代後半からは年収が逆転する傾向にあります。

弁護士の年収は、その勤務地や職務内容により大きく異なります。法律事務所の弁護士では、パートナーへの昇格が年収の伸びに大きく寄与し、企業法務を主に扱う大手法律事務所の年収は一般的に高い傾向にあります。29歳以下の法律事務所の弁護士では、56.8%が年収600万円以下、約10.5%が1,000万円以上です。

一方、企業に所属する弁護士の平均年収は、40代前半までは法律事務所の弁護士より100~200万円程度低い傾向にありますが、45歳以降では逆転し、企業のほうが高くなります。企業の弁護士では、年収水準の法人間の差が小さく、昇進・昇給の体系が整備されているため、年収が確実に伸びる傾向にあります。29歳以下の企業弁護士で1,000万円以上の年収を得ているのはごく少数でしたが、40代半ばで管理職に昇格した場合、平均年収は1,000万円を超えるようです。

なお、上記の数値は、MS-Japanの調査によるものですが、被用者を対象としているため、独立している弁護士の方やパートナー等は含まれておりません。また、年収は企業や組織の規模など、さまざまな条件によって変わってくるため、必ずしも上記の傾向に沿ったものになるとは限りません。

評価制度の違い

結論からいえば、「弁護士(法律事務所勤務)は定量的な評価基準」「企業内弁護士は定量的+定性的のバランス型の評価基準」です。

弁護士(法律事務所勤務)と企業内弁護士の評価制度は、業務の性質と目的の違いから、それぞれ異なる特徴があります。法律事務所で働く弁護士の評価制度は、多くの場合、実務成果を重視します。評価指標としては、「取り扱った案件の数量や質」「発生させた収益」「クライアントからのフィードバック」「専門知識やスキルの向上」「同僚やパートナーからの評価」などが用いられます。これらの指標によって、個々の弁護士のパフォーマンスを測り、昇進や報酬を決定するのが一般的です。

一方、企業内弁護士の評価制度は、より広範な観点からの貢献を重視します。企業内弁護士は法律問題だけでなく、ビジネスの視点からも問題解決に取り組むのが基本です。個々の法律的成果だけでなく、「チームの目標達成度」「組織への貢献度」「問題解決能力」「コミュニケーション能力」「リーダーシップ」なども評価対象となります。これらの指標をもとにパフォーマンスを評価し、報酬や昇進を決定します。

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企業法務弁護士のキャリアパスは?

企業法務弁護士のキャリアパスは、「企業内弁護士」として活動するか「法律事務所勤めの弁護士」として活動するかによって若干異なります。それぞれのキャリアパスについて確認しましょう。

企業内弁護士のキャリアパス

企業内弁護士のキャリアパスは多岐にわたり、企業や業界、個々の弁護士の専門分野や目指すキャリアによって変わります。企業内弁護士としてのキャリア初期では、多様な法律問題に対応しつつ、業界や企業のビジネスについての理解を深める力を養います。

経験を積み、専門知識を磨くと、シニアやマネージャークラスへと昇進するのが一般的です。昇進すると、特定の法律分野やビジネスエリアに対する専門的な責任をもつようになり、より複雑な法的問題を扱います。さらに経験を積むと、法務部長などの役職がつき、取締役会や最高経営責任者(CEO)への直接的な助言をするようになります。

先ほども紹介したように、企業内弁護士は、経営層へ昇格するパターンもあります。また、新たな業界や分野に経験の幅を広げスキルアップするべく、企業内弁護士として別の企業へ転職するというったキャリアもあるでしょう。

法律事務所勤めの弁護士のキャリアパス

新たに法律事務所に入った弁護士は、アソシエイトとしてスタートするのが一般的です。アソシエイトは多岐にわたる案件を扱い、上級の弁護士から法律知識と実践スキルを学びます。この段階では、主にリサーチや書類作成などのタスクを担当します。

経験を積むと、シニアアソシエイトに昇進します。より複雑な案件の管理や、ジュニアアソシエイトの指導などを担当します。

次の段階として考えられるのは、パートナーへの昇進です。パートナーは法律事務所の経営に関与し、新たなクライアントを開拓しつつ、収益を上げることが求められます。さらにパートナーは、法律事務所の戦略的な方向性を決定する役割も担っています。社会的地位も高く、同業者からも一目置かれる存在になるでしょう。

パートナーへの昇格基準は事務所によって様々で、パートナーの中でも上級職位が設けられているケースもあります。(シニアパートナー、マネージングパートナー、エクイティパートナー等)。法律事務所に弁護士として勤める場合は、これらの役職が最高クラスです。

もちろん、「法律事務所勤めの弁護士から企業内弁護士に転職する」「事務所で培ってきた経験・スキルを活かして独立開業をする」といったルートもあります。

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弁護士対象!MS-Japanで扱う法務求人事例

MS-Japanで扱う弁護士を対象とした法務求人事例をご紹介します。

<弁護士限定>法務・コンプライアンス◆リモートワーク制度有/充実した福利厚生/ワークライフバランス◎

仕事内容
・新規ビジネス創出のために必要な法令調査、事業スキーム検討、法的リスクの分析、契約書作成支援
・既存ビジネスに関する法改正動向調査、法的リスクの分析、対策の提案、関連部調整
・社内及びグループ会社向けの情報発信及び研修
・コンプライアンスプログラムの構築・運用
・有事対応
※今回、応募者のご経験の強みやご志向性によって、担当業務を決定させていただきます。
必要な経験・能力
【必須要件】
・弁護士資格を有する方
※企業法務経験がない方も歓迎です!

【歓迎要件】
・クレジットカードをはじめとする決済ビジネスに興味がある方
想定年収
580万円 ~ 1030万円

法務部 アシスタントマネージャー(課長)

仕事内容
・CLOの意思決定サポート
・国内外の事業会社および関連部署の法務案件処理
・国内外の法律事務所の活用
・法務管理体制(ルール、プロセス作り等)の策定・推進
必要な経験・能力
【必須要件】
・弁護士資格
・法務実務5年以上(法律事務所/事業会社不問)
・能動的な姿勢・コミュニケーション
【歓迎要件】
・ビジネスレベルの英語力
想定年収
900万円 ~ 1200万円

法務・コンプライアンス:企業法務担当

仕事内容
・国内外取引先との各種契約書の作成・審査・交渉
・各種取引及び商品開発等のプロジェクトにおける、日本及び海外関連法令の調査・取り纏め及びこれに基づく法的リスク分析・リスク低減策の検討提案など
・国内外で生じる各種トラブルの事案解明・法的分析・解決支援・再発防止策定実行支援、係争案件の主体的推進
・当社グループ内の法令コンプライアンス向上のための啓発・教育研修・仕組づくり・実行推進
・その他ガバナンス管理、法令コンプライアンス管理、法的助言等
必要な経験・能力
■必要な経験・スキル・能力
・日本及び/又は海外主要国の弁護士資格
・国内外法律事務所における勤務経験5年以上又はこれに準じる法曹実務経験
・英語・日本語契約書の審査及び作成能力、社内及び取引先様との折衝能力
・事実・法令分析力及びそれらに基づく課題・紛争解決能力
想定年収
1000万円 ~ 2100万円

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インハウス弁護士の求人情報

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サイト上で公開されている求人はごく一部です。そのほかの求人情報は会員登録することでご確認いただけます。

弁護士の法務転職成功事例

弁護士の法務転職成功事例をご紹介します。

Aさんの転職事例

Aさん

Aさん(40代・男性)資格:弁護士

法律事務所
年収:1000万円前後

矢印 矢印

プライム上場企業(製造業)
年収:900万円+弁護士会費

Aさんは、旧司法試験に合格後、企業法務系法律事務所でキャリアをスタートさせ、その後総合系法律事務所や官公庁での経験を経て、企業内弁護士として事業に貢献しつつ、柔軟な働き方を実現したいとの考えから転職を決意しました。
転職活動において、Aさんは「事業内容」や「働き方の柔軟性」を重視し、「年収」は下がっても問題ないという条件で活動を進めました。
豊富な経験を活かし、最終的にフレックスタイムやリモート勤務、副業が可能な企業に入社し、企業の成長に貢献するという希望を実現しました。

Mさんの転職事例

Mさん

Mさん(30代前半・女性)資格:弁護士

民事系法律事務所
年収:600万円

矢印 矢印

東証プライム上場大手製造業
年収:650万円

Mさんは、一般民事案件を主に扱う弁護士事務所で働いていましたが、パートナー弁護士が遠方にいるため、実務を一人で進めることに疑問を感じ、長時間労働や今後のキャリアを考慮してインハウスの法務部に転職することを決意しました。
チームで契約書やコンプライアンス業務を進めるカルチャーに魅力を感じ、大手製造業を選択。カウンセリングを通じて転職の軸を整理し、将来のキャリアに向けた良い転職を実現しました。

Kさんの転職事例

Kさん

Kさん(30代前半・女性)資格:弁護士、TOEIC800点

地方・総合系法律事務所
年収:700万円(弁護士会費自己負担)

矢印 矢印

東証プライム上場大手メーカー
年収:740万円+住宅手当最大約70万/年(弁護士会費会社負担)

Kさんは、法律事務所で5年間の弁護士経験を積み、専門性を高めていましたが、独立が一般的な地方の環境で悩んでいました。
そこで、チームで働く方が向いていると感じ、インハウスローヤーとして安定したキャリアを築きたいと思い、転職を決意。
東証プライム上場企業を中心に応募し、最終的に大手メーカーに入社。年収アップとともに、住宅手当や弁護士会費の会社負担もあり、満足のいく転職活動となりました。


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まとめ

企業法務は、大きく分けて「臨床法務」「予防法務」「戦略法務」の3つです。これらの法務活動は相互に関連しており、各領域が補完し合うことでより効果的な法務運営が可能になります。

企業法務に関わる弁護士には、「法律事務所勤めの弁護士」と「企業内弁護士」の2種類があります。それぞれ法律事務所と一般企業に勤めることから、働き方や業務内容、給与体系にいたるまでさまざまな違いが見られます。

両者を比較してみると、一般的には法律事務所勤めの弁護士のほうが、給与水準は高めです。ただし40代を超えてくると、企業内弁護士の収入が上回るケースもあります。企業や組織の規模によっても大きく変わってくるので、一概に比べるのは難しいでしょう。

「法律事務所勤めの弁護士」と「企業内弁護士」のいずれも、同じ組織内で経験・スキルを積み上げていくことで、一定の役職までの昇進が可能です。法律事務所勤めの弁護士から企業内弁護士への転職、企業内弁護士から法律事務所勤めの弁護士への転職や、独立開業をする例も見られます。

弁護士としてのキャリアに迷いが生じている場合は、転職成功事例を参考にしてみるのも重要です。本記事の事例を参考にしつつ、今後のキャリアパスを検討してみてはいかがでしょうか。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

圓鍔 忍

大学卒業後、旅行代理店にて法人営業を約3年。20代でMS‐Japanへ入社。
企業の採用支援(リクルーティングアドバイザー)を約8年、求職者の転職支援(キャリアアドバイザー)を約5年経験。
両ポジションでチームマネジメントを経験し、キャリアアドバイザーとしては複数回にわたり支援実績数NO1を獲得。リクルーティングアドバイザーにおいても入社1年半後にチームマネジメントを経験させていただきました。現在は子育てと両立しながら、常に社内でトップ10以内の採用支援実績を維持。

経理・財務 ・ 法務 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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