40代法務の転職市場は?年収や求められるスキル、転職成功のコツなど



法務のキャリアを積み重ねた40代が転職を考える場合、自身の市場価値を正しく把握することが重要です。
年収事情や年齢とともに求められるスキルを理解し、転職におけるミスマッチを避けるための準備も欠かせません。
今回は、40代の法務経験者が転職活動を行う上で、どのようなことに気をつけるべきか、転職成功に向けたポイントも含めて詳しく解説します。
40代法務の転職市場
法務の転職市場は、市場全体の傾向と同様に「売り手市場」だと言えるでしょう。
また、法令・コンプライアンス意識の向上や企業のグローバル化に伴い、より法務の重要性が高まっているため、売り手市場の傾向はしばらく続く見込みです。
このような状況であることから、企業側は採用要件を緩和して対象者を広げています。
特に、管理職候補や立ち上げポジションなどの経験・スキルを重視する場合、40代をメインターゲットとして募集する企業が増えています。
そのため、法務経験者や弁護士として関連業務の経験があれば転職しやすいと言えるでしょう。
ただし、40代で未経験の方や経験の浅い方がポテンシャルで採用される可能性は、当然20代・30代と比較して低くなるため注意が必要です。
40代法務経験者の年収
続いて、法務に携わる40代の年収事情を見ていきましょう。
40代法務経験者の年収は?
「MS Agent」の2023年登録者データでは、弁護士・公認会計士・税理士を除く40代法務経験者の平均年収は696万円です。
一方、国税庁が発表した「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、40~44歳の平均年収は501万円、45~49歳は521万円となっています。
この差から見て、40代法務の年収は比較的高い水準にあると言えます。
これは、法務としての専門性に加えて、40代というキャリアの積み重ねが年収に反映されていると考えられるでしょう。
ただし、年収は個人のスキルや経験、所属企業の規模などによって異なります。
以下に、法務の年収が高くなるケースに着目してみましょう。
高年収な法務担当の特徴
管理職
一般的な見識として、管理職=年収アップという方程式は、40代法務においても例外ではありません。
法務の管理職は、社内規程の整備や人材マネジメントに加え、経営視点でのリスク判断などが求められるため、責任の大きさに応じて報酬も高くなる傾向です。
特に、法務部長やコンプライアンス責任者といったポジションでは、企業の中核を担う立場として、ハイクラスの年収に近づくケースも少なくありません。
金融機関・メーカー
法務部門が重要な役割を担う金融機関やメーカーでは、法務の年収水準が高い傾向があります。
それぞれ業界特有の法規制があり、利益に直結する高度な法務スキルが求められるため、対価となる年収が評価対象となります。
金融業界では金融商品取引法の専門知識、メーカーでは知的財産の管理・運営に対する評価が代表的です。
大手企業
規模の大きい企業は豊富な資金力があり、法務職に限らず給与体系が魅力的です。
大手の場合、法務に関する案件数が多く、大きな取引や複雑な業務が発生しやすい傾向にあります。
そのため、契約交渉やコンプライアンス体制の整備など、40代でも幅広い業務をこなせる人材ほど高収入が見込めるでしょう。
外資系企業
多くの外資系企業では、実力や成果に伴う報酬制度が採用されています。
法務従事者は国内法だけでなく、国際的な法規制や商慣習への対応も求められるため、業務の難易度に比例した報酬が支払われるのです。
40代でも転職可能ですが、グローバルな法務知識を業務に活かせるだけの英語力が必須となります。
ベンチャー(法務立ち上げ)
法務部門がまだ確立されていないベンチャー企業では、ゼロから体制を構築するために、優秀な法務人材を確保する傾向が見られます。
そのため、年収も含めて厚待遇で迎え入れられるケースが少なくありません。
法務立ち上げポジションの業務範囲は幅広く、企業成長に直接貢献できる場面も多いため、高年収につながるケースが多いです。
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40代法務が転職で求められるスキル
40代から転職を行う場合、ほとんどの業界・職種では以下のような年齢相応のスキルや経験が求められますが、これらは法務職においても当てはまります。
マネジメント経験
法務部門で40代の採用する場合、企業の中核的人材・管理職として活躍してもらうことを前提とするケースが見受けられます。
そのため、前職で管理職に就き、一定のマネジメント経験を持つ人は、採用されるチャンスは高いです。
業界知識
40代は即戦力としての活躍が期待されており、20代のように業界知識を一から研修やOJTによって教育していくことは想定されていないケースが一般的です。
そのため、法務としての勤務経験や管理職としての経験があっても、転職候補先の企業と異なる業界に属していると、採用は難しくなる場合があります。
同じ業界もしくは関連する業界で勤務していたのであれば、市場動向や製品・サービスに関する商品知識も豊富であると捉えられ、採用担当者からの高評価を期待できるでしょう。
柔軟性
法務として働いてきた経験があれば、法務の仕事は柔軟性が必要であることを、身に染みて理解しているかもしれません。
例えば、法律事務所では、顧客の要請に応じて法に反する行為を指摘する役割があるため、偏りのない堅実な考え方が求められます。
一方、企業の法務職は職場内で法律や規則を運用する役割を担うため、時には柔軟な法解釈を行う必要性に迫られるのです。
時には上層部や組合側とコミュニケーションをとる必要があったり、予期しない状況に遭遇した際は臨機応変に対応したりしなければなりません。
対外的には規律を重んじ、社内では柔軟な対応が求められます。
英語スキル
英語スキルがあると、転職が有利になる場合があります。外資系はもちろん、海外に支社やグループ会社がある日系企業や海外展開を目指す企業などでは、英語スキルを応募要件としていることも少なくありません。
具体的な英語スキルの基準は企業によって異なるため、必ず求人の応募要件を確認しましょう。
40代法務が転職する際に気をつけたいこと
40代で法務転職を目指す際には、初めから条件を絞り込まず、柔軟な視点を持つことが大切です。
ここでは、転職活動で気をつけておきたい3つのポイントに着目します。
大手だけを狙わず、幅広く探す
法務職の求人は全般的に数が少なく、新卒採用を軸とした大手企業が40代を求めるケースも限られています。
そのため、大手企業だけを狙うのではなく、中小企業やベンチャー企業も視野に入れて活動することが得策です。
中小企業では、経営に近いポジションでスキルを発揮できる機会も多く、やりがいを感じられる環境に巡り合えるかもしれません。
ベンチャー企業の場合、法務部門が整っていないケースが多く、法務立ち上げのためには経験豊富な法務人材が必要です。
幅広い選択肢を検討することで、40代を求める職場に出会う可能性が高まるでしょう。
マネジメント職にこだわりすぎない
40代ともなるとマネジメント経験が評価されやすいですが、転職先では必ずしも管理職としてのポジションが最初から与えられると限りません。
企業によっては、入社後の実務を通じて社内環境に慣れた上で、将来的にマネジメント職としての活躍を期待する場合もあります。
転職活動の段階では役職にこだわらず、自身の経験を活かせる環境かどうかも含めて柔軟に検討することが賢明です。
年収アップを求めすぎない
40代法務は実務経験や社会人経験が豊かな年代ですが、年収アップが見込める増える転職先を見つけるのは容易ではありません。
高年収の法務求人の多くは管理職を前提としたものです。
実務中心のポジションで年収が魅力的な求人でも、残業が多く、心身に負担を伴うのであれば、長期的な視点で避けるべきでしょう。
企業は年齢に見合った実績や即戦力としての価値を重視するため、現状維持が目標ベースになることも想定する必要があります。
大幅な年収アップを求めるよりも、働きやすさやこれまでのキャリアを活かせる職場かを考慮することが大切です。
40代法務の転職成功は「実績の棚卸」がカギ
40代で法務としての転職を成功させるためには、「実績の棚卸」が欠かせません。
これまでのキャリアで積み上げてきた実績を整理し、それを転職活動で明確に伝えることが重要です。
法務の仕事は、企業規模や行政機関との関係に応じて異なり、担当する業務の種類もさまざまです。
契約書の作成や法令遵守の指導だけでなく、法律相談、紛争対応、行政とのパイプ役など、幅広く求められます。
40代というキャリアの節目では、単なる業務経験の羅列にとどまらず、自身の強みがどのように発揮されてきたかを再確認することがポイントになります。
自身がどのような場面でどういった価値を提供したのかを具体的に伝えられるよう、棚卸の過程で入念に整理しましょう。
「実績の棚卸」のやり方
これまでの仕事での経験を細かく書き出す
まずは、過去の業務経験を一つひとつ書き出していくことから始めます。
契約法務やコンプライアンス対応などの主要な業務だけでなく、日常の小さな業務や意識して取り組んだことも記録しましょう。
具体的なエピソードがあると、説得力のあるアピールポイントとなります。
また、成功体験や困難な出来事、そこから得た気づき、湧き出た感情なども記録しておくと、自らの成長を実感し、面接時にも自信を持って話せるでしょう。
このように細かな経験を書き出すことで、過去の業務が単なるルーチンではなく、どのような意図や目的で行われたのかが見えてきます。
自身の強みやスキルがどの場面で役立ったのかを再確認するためにも、丁寧な棚卸が必要です。
重要なポイントを整理する
次に、書き出した経験の中から重要なポイントを抜き出し、優先順位をつけて整理します。
応募先企業の求人情報をもとに、自身のスキルや実績が応募先企業で担う何の業務で活かせるのか、具体的に当てはめていきましょう。
企業によって求められる能力は異なるため、汎用的な経験よりもその企業にとって価値のある実績にフォーカスすることが重要です。
「どの課題に対してどういった解決策を示し、どのような成果を得られたのか」に注目し、数字や比較事例を用いてわかりやすく整えましょう。
こうした「実績の棚卸」は、履歴書や職務経歴書を作成する際の軸となり、40代の転職活動を有利に進めるための材料になるでしょう。
40代法務の転職は「MS Agent」がおすすめ
「40代で転職活動を進めるのは不安…」「自分にあった企業の選び方がわからない」という場合は、転職エージェントの利用がおすすめです。
MS-Japanが運営する「MS Agent」は、法務をはじめとした管理部門や士業に特化した転職エージェントです。
40代向けの法務求人は、企業の重要なポジションが含まれることが多いため、一般に公開されない求人も少なくありません。
「MS Agent」はこうした非公開求人を豊富に取り扱っており、求職者の条件やスキルに合った企業との出会いをサポートします。
自身で求人を探す場合と比べても、理想的な転職先が見つかる可能性が高まるでしょう。
「MS Agent」では、求職者の経歴・希望条件をヒアリングした上で、転職のタイミングや活動ペースを相談しながら求人紹介を行います。
この柔軟なサポートによって、現職での業務と並行しても無理なく転職活動を進めることが可能です。
求人選定だけでなく、応募書類の添削や面接対策といった具体的なサポートも提供しており、内定獲得までのプロセスを効率的に進められるでしょう。
会員登録は無料です。法務キャリアを活かせる40代の転職活動に、ぜひ「MS Agent」の利用をご検討ください。
40代法務の転職成功事例
ここでは、「MS Agent」を利用して法務への転職に成功した40代の事例をご紹介します。
大手からグロース上場ベンチャーへ転職した40代女性の事例
Mさんは大手メーカーで法務担当をしていましたが、柔軟性やスピード感に欠ける体制に疑問を感じていたことやマネジメントに携わることが狭き門であることから転職をすることに決めました。
「裁量を持ってマネジメント経験を積める」ことが第一優先だったため、弊社からはマーケット情報を共有し、100名規模の企業を中心にご紹介しました。
その中でも経験を活かせる同業界をメインに選考を進め、最終的にはグロース上場企業のベンチャー企業へ法務マネージャーとして入社することになりました。
民事系の法律事務所からベンチャー企業へ転職した40代女性の事例
民事系法律事務所で10年以上勤務していたAさんは、ワークライフバランスの改善を目指し、一般企業への転職希望で弊社へご相談いただきました。
Aさんは、企業法務の経験はありませんでしたが、弁護士経験や人柄などを高く評価され、最終的にフルリモートワークやフルフレックスで勤務可能なベンチャー企業で内定を獲得しました。
こちらの企業はインハウス弁護士が一人在籍しており、フォローできる体制が整っていました。
また、企業としても「弁護士有資格者」の方に入社をいただきたいという意向が強く、企業法務経験の有無は特に求めていませんでした。
Aさんとしても家庭との両立が可能な環境であることや、ご自身のキャリアアップにもつながることに魅力を感じ、入社となりました。
法律事務所から一般企業の法務立ち上げポジションに転職した40代男性の事例
Bさんは、日系企業の企業法務案件メインに取り扱う小規模法律事務所に勤めていました。しかし、代表弁護士が高齢で先行きに不安を感じており、第一子の誕生を機に慢性的な長時間労働の改善を目指して、転職活動を開始しました。
Bさんはワークライフバランスを重視しているものの、仕事への意欲が高く、メリハリがあれば残業があっても良いと考えていました。
そこで弊社からは難易度が高めの企業を紹介し、最終的に500名規模の総務部内で行われていた法務を部署として立ち上げるポジションにて内定を獲得しました。
現職で近しいステージの企業を多く担当していたため、経験を活かせることが高く評価されたようです。
法務の転職でよくある質問
最後に、法務の転職でよくある質問と回答を紹介します。
Q:企業の規模によって業務内容や働く環境に違いはありますか?
A:規模の異なる企業ごとに、法務業務の範囲や働き方が変わることは珍しくありません。
大手企業では法務部門が確立されており、契約法務やコンプライアンス、知的財産など、業務は細分化されています。
福利厚生や業務フローも整備されているため、安定した環境で働ける点も魅力です。
一方、中小企業やベンチャー企業では、法務業務を他の管理部門と兼任するケースが多く、少人数で多岐にわたる業務を担当する傾向があります。
幅広い業務を経験する働き方は、重責を任せられる人材として昇給のチャンスを早めることにもなるでしょう。
Q:法務としてスキルアップするにはどうすれば良いですか?
A:スキルアップのためには、日々の業務に加え、将来を見据えた経験の積み重ねが重要です。
契約書のレビューや社内の法務相談といった基本的な業務は、早期に経験を積みやすい領域でしょう。
機会は限られますが、M&AやIPOを目指す戦略的法務の経験は評価されやすく、キャリア形成にも役立ちます。
自身のキャリア目標に合わせてスキルを磨くためには、必要な業務に積極的にかかわる姿勢が大切です。
最新の法改正に対する自己研鑽や、異業界の法務に触れるなど、幅広い視点を養うことがスキルアップにつながるでしょう。
Q:法律事務所から一般企業の法務へ転職することは難しいですか?
A:法務として異なる業界への転職であっても、必要な準備を整えることで実現させることは可能です。
法律事務所では主に顧客の法的課題を扱いますが、企業法務では自社のビジネスをサポートする業務が中心となります。
そのため、法的知識だけでなく、企業の戦略やビジネスへの理解が必要です。
志望する企業の法務として、どのように貢献できるのかを具体的に説明することも重要です。
転職活動では、自身のスキルや経験を企業のニーズに結びつけることが成功のポイントとなるでしょう。
まとめ
40代の法務職として、これまでの経験を活かしつつ新たなステージを目指すには、実績の整理とスキルの再確認が欠かせません。
企業側のニーズを理解し、自身のスキルや強みをどのように結びつけるかが転職成功のカギとなります。
柔軟な視点で準備を進めれば、キャリアの選択肢が広がり、年収や働き方の面でも納得のいく着地点が見えてくるはずです。
転職活動の際は、法務の転職支援に強い「MS Agent」にご相談ください。
経験豊富なキャリアアドバイザーから具体的なサポートを受けることで、理想的な法務転職が実現しやすくなるでしょう。
- #40代法務
- #40代法務の年収
- #40代法務の転職


この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、ウェディングプランナー、業界大手で求人広告の企画提案営業を経て、MS-Japanへ入社。
企業担当のリクルーティングアドバイザーを経験した後、現在は転職を考えられている方のキャリアアドバイザーとして、若手ポテンシャル層~シニアベテラン層まで多くの方の転職活動のサポートをしています。
人材業界での経験も長くなり、いつまでも誰かの記憶に残る仕事をしていたいと思っています。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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