【法務担当者が押さえておくべき資格一覧】求人例や転職活動で活かす方法など
法務への転職を考えている方や法務でキャリアアップを目指す方の中には、法務に関連する資格の取得を検討する方も多いでしょう。
この記事では、法務担当者が押さえるべき資格をご紹介します。各資格の概要と応募できる法務求人例、転職活動での活用方法なども併せて解説するので、ぜひ参考にしてください。
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法務の求人情報
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各法務資格の難易度
法務関連資格の難易度を図解しますと、下記のように整理できます。資格取得の際の参考としていただければ幸いです。
※資格の難易度に関しましては、合格率、合格までに必要とされる期間、合格に必要とされる知識量の多さ等の観点から、総合的に判断させていただいております。
法務関連資格1:弁護士
弁護士は、法務関連の資格としては最高峰の国家資格であり、法務に関する業務全般を行う権限が認められる資格です。
合格率は25%程度、合格するには3年以上の期間がかかります。弁護士になるには、司法試験に合格したのち、司法研修所に入所し約1年間の司法修習を修了する必要があります。
司法試験の受験資格に関しては、法科大学院課程(原則3年間)を修了するか、司法試験予備試験に合格することにより得られます。
なお、受験可能な期間は、受験資格を取得した日の後の最初の4月1日から5年間となっています。
弁護士の職域は非常に広く、後述する司法書士や行政書士の業務に関しても、一定の条件の下で行うことが認められています。
また、近年は企業内で活躍する弁護士の方が増加しています。
日本組織内弁護士協会の調べによると、2024年6月末時点で3,391名の弁護士が企業内弁護士として就業しており、弁護士にとって代表的なキャリアパスとなりつつあります。
司法修習終了後に、法律事務所ではなく、そのまま企業に就職する司法修習生も増えており、弁護士資格は企業内において法務職としての就業を希望する方にとって、自身の能力をアピールする非常に強力な武器となります。
弊社MS-Japanが運営する管理部門・士業特化型転職エージェント「MS Agent」で取り扱う弁護士を対象とした法務求人の一例をご紹介します。
グローバル化が進むメガバンクの国際法務担当(企業内弁護士)
仕事内容 |
・経営上の意思決定、業務・商品、プロジェクト等に係る法的検討 ・国内外の法務リスク管理・運営に関わる方針策定・実施 ・法律問題に係るアドバイス、ドキュメンテーション・サポート など |
必要な経験・能力 |
<必須> ・弁護士としての勤務経験 ・ご年齢に応じた経験 |
想定年収 |
700万円 ~ 1,500万円 |
法務関連資格2:司法書士
司法書士は、不動産や法人の登記の代理及び供託の代理、裁判所や法務局などに提出する書類の作成権限を有する国家資格です。
また、一定の制限はありますが、簡易裁判所における民事訴訟、和解、調停等にて当事者を代理することができます。
合格率3%前後の難関資格であり、合格するには3,000時間程度(法律知識のない方の場合)の学習時間が必要となるため、数年単位での学習期間が必要となります。
司法書士の場合、就業先としては基本的に司法書士事務所が多く、企業で働く方はまだまだ多くはないようです。企業側としても、司法書士に対しては登記を行う専門家としてのイメージが強く、企業への転職にあたってはあまり評価されていないのが現状です。
しかし、要求される法律知識の専門性や、対応可能な業務内容の広さを考えると、企業への転職にあたってもっと評価されてしかるべき資格であると思います。
「MS Agent」で取り扱う司法書士資格保有者を対象とした法務求人をご紹介します。
M&Aビジネスを手掛けるベンチャー企業の法務担当
仕事内容 |
・契約書のチェック ・各種法律相談・株主総会対応 ・商業登記、登録事務 など |
必要な経験・能力 |
<必須> ・司法書士資格 ・実務経験1年以上(法律事務所、司法書士事務所、事業会社いずれも可) ・M&Aに関する知見や実績を積みたい方 |
想定年収 |
600万円 ~ 900万円 |
法務関連資格3:行政書士
行政書士は、役所に提出する許認可等の申請書類の作成並びに提出手続代理、遺言書等の権利義務、事実証明及び契約書の作成等を行うことのできる国家資格です。
合格率10%以下の難関資格であり、働きながら資格を取得される場合、1年以上の学習期間が必要となります。
ただし、行政書士会が定めた登録区分により、行政書士として企業に雇用されることは禁止されています。企業の従業員として働く場合、行政書士の独占業務を行うことはできません。そのため、行政書士として働くためには、独立開業や雇われ行政書士が一般的です。
ただし、行政書士資格取得を通して得た知識は、法務の転職市場でプラス評価となります。
実際に「MS Agent」でも、行政書士資格を歓迎要件としている法務求人も多く見受けられます。
医療機関向けコンサル会社の法務担当
仕事内容 |
・各種契約書作成・審査・管理 ・各種議事録の作成 ・社内規程の整備 ・コンプライアンス研修や教育の企画実行 など |
必要な経験・能力 |
<必須> ・事業会社での法務経験 ・社内外の関係者と円滑にコミュニケーションができる方 <歓迎> ・行政書士試験合格者 ・社会保険労務士試験合格者 など |
想定年収 |
550万円 ~ 750万円 |
法務関連資格4:ビジネス実務法務検定
ビジネス実務法務検定は、ビジネスを行う上で不可欠なコンプライアンス・法令遵守能力の基礎となる実践的な法律知識をバランスよく効率的に身につけることを目的とした検定試験です。
初級レベルの3級、中級レベルの2級、上級レベルの1級の3つの級があります。
3級の合格率は70~80%前後、2級の合格率は20~40%前後、1級の合格率は10%程度となっています。問題形式に関しては、3級及び2級に関してはマークシート方式、1級に関しては論文式となっております。
1級を受験するためには、2級の合格が必要です。
3級合格には3ヶ月程度、2級合格には半年程度、1級合格には1年以上の学習期間が必要となってきます。
法務関連資格の中でも知名度の高い資格であり、人事異動や採用の際の能力評価の参考にする企業も増えています。
法務実務経験のない方でも、2級以上の資格をお持ちであれば、転職や就職の際に企業へのアピールにつながる資格であるといえます。
データ管理の安定企業の法務担当
仕事内容 |
・顧客契約書(英文契約書あり)の作成・レビュー ・顧客契約交渉の立ち合い ・新サービス提供時の関係法令チェック、規約等の作成 |
必要な経験・能力 |
<必須>※以下いずれか 法科大学院修了生・法学部卒・企業法務経験 <歓迎> ・英語が得意な方 ・ビジネス実務法務検定2級以上 |
想定年収 |
450万円 ~ 650万円 |
法務関連資格5:ビジネスコンプライアンス検定
ビジネスコンプライアンス検定は、健全な企業活動に必要なコンプライアンス経営・コンプライアンス行動について、理念と目的の理解度、価値判断基準、対応能力を身につけることを目的とした検定試験です。
初級試験と上級試験があり、初級試験の合格率は40%程度、上級試験の合格率は25%程度です。取得に必要な学習期間は、初級で1~2ヶ月程度、上級で2~3ヶ月程度です。
短い学習期間で取得できる資格ですが、ビジネスマンであれば本来誰でも知っておかなければならない知識を身につけることが出来るため、挑戦する価値のある資格であるといえます。
企業のコンプライアンス意識が高まる近年、転職市場におけるビジネスコンプライアンス検定の評価が高まっていると言えるでしょう。
コンプライアンス対応業務はもちろん、法務部や金融業界などで高く評価されます。
法務関連資格6:個人情報保護士
個人情報保護士は、2005年の個人情報保護法施行に伴い設けられた民間資格であり、個人情報の適切な管理や運用方法を身につけることを目的としています。
合格率35~40%程度の資格で、合格には1~2ヶ月程度の学習期間が必要です。
近年相次ぐ個人情報の大規模漏えい事件などの影響もあり、社会的にも注目されている資格だと言えるでしょう。
個人情報保護に関する社員教育の一環として社員の団体受験を実施している企業も増加傾向で、企業側の認知度も高くなっています。
法務関連資格を転職活動で活かす方法
ここまでご紹介した法務関連資格は、転職市場で一定の評価を受けることができます。
しかし、履歴書の保有資格欄に記載するだけでは、自己アピールポイントとして不十分です。ここでは、法務資格を転職活動で活かす方法をご紹介します。
保有資格を業務で活かした実績をアピールする
資格は保有している事実だけでは評価されません。資格取得を通して得た法務知識を、業務で活かし、企業に貢献した実績をアピールすることが重要です。
どのような業務において、どのくらい実績を上げることができたのか、具体的な数字やエピソードを交えてアピールしましょう。
法務未経験者は資格取得で熱意と意欲をアピールする
未経験からのキャリアチェンジの場合、法務関連資格は法務への熱意と意欲をアピールする材料となります。
「転職の事前準備として、法務知識を体系的に学ぶ目的で資格を取得した」など、自ら学ぶ姿勢をアピールすることができます。
また、資格取得を目指したきっかけと志望動機に関連性を持たせることで、説得力のある志望動機とすることもできるでしょう。
法務知識以外のスキルもアピールできる
資格取得を通して身につくスキルは、法務知識だけではありません。
試験日から逆算して学習スケジュールを立てる計画性や、毎日コツコツと学習を続ける継続力、上位級を目指した向上心など、法務知識以外のスキルもアピールすることができます。
法務の転職市場で評価されるスキルとは
法務の転職市場では、資格に加えてどのようなスキルを保有していれば高く評価されるのでしょうか?
以下では、実務経験、法律知識、語学スキル、法律を活用したビジネスを推進する力、について取り上げて説明します。
実務経験
企業の法務部門では、契約・取引法務、機関法務・組織法務、コンプライアンス・社内規程の策定などの業務を行います。
契約・取引法務は売買契約など企業が締結する諸契約について、民法・商法・借地借家法・割賦販売法など契約関連の法律を踏まえた上で、契約書の作成・審査を行う業務です。
幅広い分野の法律知識が要求されます。
機関法務・組織法務は、株主総会や取締役会といった企業の機関や組織が法律に則って行われるようにチェックする業務です。
株式発行や子会社設立などに関わる業務も含まれます。
コンプライアンス・社内規程の策定は、コンプライアンスの従業員への徹底、社内規程の整備・作成などを行う業務です。
こちらは社内研修の実施や、従業員を対象とする相談窓口業務なども含まれます。
これら法務部門の実務経験が豊富な人ほど、即戦力としての期待値が高まり、転職市場で高評価を受けやすいです。
法律知識
法務は企業の法的な対応を担当する部署ですので、業種業態を問わず法律の知識が必要です。
法務が理解しておくべき法律としては、民法、商法・会社法、労働法、独占禁止法などがあります。
企業法務の重要な仕事の一つが、企業が取引先と締結する各種契約の書類チェック、修正です。
その際、民法の総則、物権、債権などに関する基本知識を持っていると、企業間の利害調整を行う場合に活かせます。
民法は企業法務担当者が保有しておくべき最低限の法律知識です。
また、企業経営を法的にサポートする法務担当者として、商法・会社法の知識も欠かせません。特に株式会社の場合、株主総会や取締役会に関する規定、株式発行による資金調達に関する規定などを含む会社法に関する知識は不可欠といえます。
労働法に関する知識も、コンプライアンスへの意識が高まっている現在、法務担当者に求められる事項の一つです。
従業員の待遇に関する決定は人事・労務部門が担当しますが、人事・労務部はあくまで所定の法律のもとで業務を遂行する役割を担います。
一方、法律そのものを理解し、法に則っているかどうかをチェック・審査するのが法務部門です。
そのため、法務担当者には法律に関する最新の正確な知識が必要になってきます。
さらに、企業の事業活動が公正な競争を阻害する恐れがないかをチェックするために、独占禁止法に関する知識も必要です。
独占禁止法を違反するような事態が起こればマスコミにも報道され、企業の対外イメージの悪化にも直結します。
自社が活動する事業分野で法に抵触するような事態が起こっていないかを、確認できる法律知識が求められます。
語学スキル
法務部門を設けていることが多いグローバル企業では、法務部員に英語力も求められます。
新卒の場合であれば働きながら語学スキルを磨いていくということも許容されるかもしれません。
しかし転職市場では即戦力としての経験が求められやすいため、採用の時点で一定の英語力を求められるのが一般的です。
ネイティブな英語ではなくても、相手の話す英語を理解できる、自分の言いたいことを相手に伝えることができる、といったことができれば問題ありません。
法律を活用したビジネスを推進する力
近年、デジタル技術の進歩にともない、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の実現に向けて企業のビジネスモデルも大きく変わりつつあります。
デジタル技術に関する法的な問題の理解は、法務担当者に求められている重要な知識です。
また、情報のデジタル化によって企業は「ビッグデータ」を扱えるようになり、保有する大量の個人情報を活かした新たなビジネスチャンスを模索できるようになりました。
しかしその一方で、個人情報流出などの新たなリスクを抱えるようになってもいます。
そのため個人情報の取り扱いに関する法知識・実務経験を保有していることも、法務部門の人材には必要です。
まとめ
今回ご紹介した法務関連資格を保有することで、能力や知識が可視化され、法務の転職市場で一定の評価を受けることができます。
しかし、資格を持っているだけで転職に成功するというわけではありません。資格取得を通して得た法務知識やスキルを適切にアピールすることが重要です。
また、資格以外にも実務経験や幅広い法律知識、語学スキル、法律を活用してビジネスを推進する力を有するかどうかも問われます。
転職活動では、保有している資格・取得を目指している資格に加えて、これまでの実務経験とそこで身に付けたスキル・知識も自身のアピールにつながることを理解しておきましょう。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、外資系小売り業に就職、セールスマネジメントや採用、教育研修を経験。
人がいかに業績を左右するかについて認識し、現職のMS-Japanに転職する事を決断。
入社以来、東海エリアのキャリアアドバイザーとして、キャリアチェンジやスキルアップを目的とした若年層の支援を中心に担当しております。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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