未経験で法務に転職は無理なのか?転職に有利なスキルや未経験OKのおすすめ求人も紹介!



昨今、AIの発展や新しいビジネスの誕生とともに企業法務の重要性が高まっており、転職市場における法務担当のニーズが高まっています。
しかし、転職というと経験者が有利とされ、特に法務などの専門性の高い職種においては実務未経験での転職が難しいと言われています。
本記事では、難しいと言われている未経験から法務へ転職するためのポイントについて年齢やスキルなど具体的な内容を踏まえて解説します。
新ビジネスの誕生で、法務担当者のニーズが増えている!
近年、さまざまな業界でテクノロジーを活用した革新的なビジネスが続々と誕生しています。
さらにM&Aや海外事業の拡大なども合わせて、ビジネスの形態はますます多様化しています。
従来の法令では太刀打ちできない複雑な状況に直面している企業も少なくありません。
そのほか、知的財産やコンプライアンス関連などで発生する問題も深刻化しています。
事業形態が多様化する状況のなか、的確なリスクマネジメントを行いながらビジネスを円滑に進めるため、各企業で法務部門の強化が図られているのです。
このような背景から、昨今、企業における法務担当のニーズが増えています。
即戦力となる経験者の募集が多いことが予想されますが、未経験者にもチャレンジできる可能性はあるのでしょうか。
法務未経験でも法科大学院修了生や法学部卒は有利
そもそも法務は、契約・取引にまつわる業務や社内規定・コンプライアンスの周知、紛争・訴訟などのトラブル対応、子会社設立といった法的手続きなど、法律や司法に関する業務を担う部署です。
そういった専門性の高い役割があることから、採用担当者は「法律や司法に関する知識に長けているか」に注目する傾向があるため、法科大学院修了生や法学部卒の場合は有利に転職活動を進められるでしょう。
もし法務関連の学歴をお持ちでない場合は、これまでの勉強経験や今後の学習意欲について明確にアピールすることが大切です。
その際は、法務に役立つ資格を取得している、あるいは取得に向けて猛勉強中であることをしっかりと伝えて、採用担当者に「未経験でも熱意があり、今後戦力になる可能性がある」といったポジティブなイメージを与えられるように努めましょう。
法務未経験の30代でも転職できる?年齢はネックになるか?
法務の仕事には高い専門性が求められる傾向があります。
これは、企業にとって「法律」がデリケートな問題であり、社会的信用に直結する重要な領域だからです。
そのため、法務未経験で30代からの転職はやや難しいとされています。
しかし、「未経験者が絶対に法務に転職できない」というわけではありません。
未経験で法務に進む代表的な方法のひとつが新卒採用です。
また、法科大学院修了生や法学部出身の20代であれば、ポテンシャル採用のチャンスがあります。
この場合、第二新卒として早めに転職を決めることがポイントです。
一方で、30代に入ると転職でのハードルは高くなります。
法学部を卒業している30代前半であれば、ポテンシャル採用の可能性は残りますが、基本的には「即戦力」としてのスキルや経験を期待されるケースが増えます。
そのため、20代に比べて難易度は大きく上がるのが現実です。
さらに、法学部出身ではない30代の方が法務への転職を目指す場合、非常に厳しい道のりとなります。
この場合は、転職ではなく、企業内での異動を視野に入れるのがおすすめです。
たとえば、総務での経験がある場合、その企業の人事システムによっては法務への異動が可能な場合があります。
また、総務と法務を兼務している企業であれば、総務として経験を積んだ後に法務担当を任されるケースも考えられます。
未経験から法務への転職で求められるスキルは?
具体的に求められるスキルは下記の通りです。
コミュニケーション能力
法務の仕事では、社内外の人と協力して業務を進める機会が多くあります。
そのため、コミュニケーション能力の高い人は評価されやすい傾向にあります。
特に、未経験者の場合でも、他者と円滑に連携を取れる能力は、企業にとって重要なポイントとなります。
文章力
法務では、契約書や規約書類など、数多くの文章を作成する業務が日常的に発生します。
そのため、わかりやすく論理的な文章を書く力が不可欠です。
小説家のような文章力を求められるわけではありませんが、ビジネス現場において、「正確かつスピーディーに情報を伝達するスキル」が重要です。
未経験からスタートする場合でも、文章力を磨くことで、採用後に役立つ場面が多くなります。
語学力
近年、国際取引の増加に伴い、語学力が求められる場面が増えています。
ビジネスレベルの英語力はもちろん、専門的な法務用語にも対応できる力が求められることが多いです。
語学力の客観的な証明にはTOEICやTOEFLが効果的であり、特にTOEFLは国際的に知名度が高いため、ハイスコアを目指すことがおすすめです。
また、英語以外の言語を習得しておくことも、有利に働く場合があります。
法的素養
法的素養を持っていると、未経験者でも法務転職において有利になります。
これを証明する方法としては、法律関連の資格の取得が挙げられます。
弁護士や行政書士といった国家資格は特に高い評価を受けますが、これらを取得していなくても、法学部卒業、ロースクール修了、司法試験受験経験などがあれば、法的素養が高いと見なされる傾向があります。
【企業規模別】法務で求められるスキル
法務で求められるスキルは、企業規模によっても多少異なります。
具体的にどのような違いがあるのか、ここでは「大企業」と「中小ベンチャー企業」における主な必要スキルをまとめました。
大企業の法務で必要なスキル
大企業の法務においては、「地頭の良さ」が求められる傾向がみられます。
大企業では業務内容によってセクション分けされているケースが多く、採用担当者は「できるだけ早くその分野のプロフェッショナルになってほしい」と考えることから、学歴が重視されやすい印象です。
また、法務全体として円滑に業務を進めるためには各セクションの担当者とのスムーズなやり取りも必要であるため、コミュニケーション能力の高さも求められます。
中小ベンチャー企業の法務で必要なスキル
中小ベンチャー企業の場合は法務担当者がひとりであることも多く、「幅広いジャンルの業務を処理する能力」が要求されます。
また、自分ひとりで意思決定をしたり、解決策を講じたりする必要があるため、自主性やリーダーシップ、迅速な判断能力なども必要となるスキルです。
未経験で法務を目指すためのおすすめ資格3選
ここでは、未経験で法務への転職を目指す方におすすめしたい資格を3つご紹介します。
なかには難易度が高めのものもありますが、資格を取得することで志望企業へのアピールがしやすくなるため、ぜひチャレンジしてみてください。
ビジネス実務法務検定
「ビジネス実務法務検定」は、ビジネスに必要な法律知識を取得できる検定です。
具体的には、昨今の会社経営において重要視されている「コンプライアンス(法令遵守)」の重要性を学びながら法令の知識も身に付けられる内容で、企業内の法務を担う場合に大いに役立ちます。
ビジネス実務法務検定は1~3級に分かれており、級ごとに認定基準や合格基準が異なります。
級数 | 認定基準 | 合格基準 |
---|---|---|
3級 | ビジネスパーソンとしての業務上理解しておくべき基礎的法律知識を有し、問題点の発見ができる。 (ビジネスパーソンとして最低限知っているべき法律実務基礎知識を想定) |
100点満点中 70点以上で合格 |
2級 | 企業活動の実務経験があり、弁護士などの外部専門家に対する相談といった一定の対応ができるなど、質的・量的に法律実務知識を有している。 (知識レベルのアッパーレベルを想定) |
100点満点中 70点以上で合格 |
1級 | 業務上必要な法務知識をビジネス全般にわたって持っており、その知識に基づいて多面的な観点から高度な判断・対応ができる。 (実務的対応能力としてのアッパーレベルを想定) |
共通問題2問・選択問題2問の200点満点中、問題ごとに得点が50%以上かつ合計点が140点以上で合格 |
3級と2級はどなたにも受験資格がありますが、1級は2級を取得した方のみが受験できます。
2級・1級は難易度が高いため、まずは3級にチャレンジしてビジネスに関する法令の基礎知識をしっかりと身につけることが大切です。
なお、3級の合格率は70~80%程度、2級の合格率は20~40%程度、1級の合格率は10%程度です。
一般的には3級合格には3ヶ月程度、2級合格には半年程度、1級合格には1年以上の学習期間を要するといわれているため、ぜひこの期間を目安に試験勉強を進めてみてください。
ビジネスコンプライアンス検定
「ビジネスコンプライアンス検定」とは、業務に必要なコンプライアンス能力を客観的に証明する資格です。
企業として法律やルールを守って運営することが社会的信頼に繋がるため、企業の法務に携わる場合はぜひ取得しておきましょう。
ビジネスコンプライアンス検定には「BASIC WEBテスト」「初級」「上級」の3種類があり、それぞれの認定基準は以下の通りです。
種類 | 認定基準 | 合格基準 |
---|---|---|
BASIC WEBテスト | 健全な社会生活を送る上で必要となる法令や社会規範、社会からの要請に基づくコンプライアンスに関する基礎的な知識と高い意識を有し、ビジネスパーソンとして日常業務を適切に遂行することができる | 得点に応じたレベル を3段階で評価 A:90%以上 B:70%~89% C:~69% |
初級 | コンプライアンス経営のもとで、ビジネスパーソンとして日常業務を遂行する際に必要となる基礎的な法律知識と価値判断基準を有し、経営理念や社内規模、社会通念に基づく健全な行動をとることができる | 65%以上の 得点率 |
上級 | コンプライアンス経営の推進者および主体者として日々の業務課題の解決に取り組み、具体的な事例について解決手段や対応策を意思決定することができる。 また、コンプライアンス経営の根幹となる高度な法律知識と実践的な価値判断基準を有する。 |
70%以上の 得点率 |
BASIC WEBテストは正答率に応じたレベル評価証が発行されるのみですが、インターネット上での選択問題方式にて手軽に受けられることが大きな魅力です。
コンプライアンスの基礎知識がどのくらい身についているのかを知りたい場合や、初級に向けた導入として受験するとよいでしょう。
もし明確な「資格」として取得したい場合や転職活動の肩書として活用したい場合は、初級や上級がおすすめです。
初級の合格率は40%程度、上級の合格率は25%程度となっており、初級なら1~2ヶ月程度、上級なら2~3ヶ月ほど試験勉強を行えば十分に合格を目指せるでしょう。
ただし、上級においては選択式のほかに記述式の問題も出題されるため、コンプライアンス関連の法令やルールに関して自分の言葉で説明する練習も行っておくことをおすすめします。
個人情報保護士
「個人情報保護士」は、個人情報保護に関する専門知識や技能を所有していることを証明する資格です。
法務においては個人情報を適切に管理し、運用することも重要な業務であるため、取得しておくと大きなアピールポイントになります。
個人情報保護士の資格試験は全問題マークシート方式で、課題Ⅰと課題Ⅱのそれぞれにおいて正答率70%以上が合格基準です。
平均合格率は35~40%程度と比較的高めの合格率となっており、1~2ヶ月間しっかりと対策をして受験に臨めば比較的合格を狙いやすい資格といえます。
未経験で法務に転職した成功事例
ここでは、MS Agentを利用して未経験から法務への転職を成功させた方の事例をご紹介します。
Aさんは法学部を卒業し、弁護士を志してロースクールを修了し、何度か司法試験を受験したものの合格できずに就職活動に取り組んだ結果、2ヶ月で3社から内定を得ることができました。
その大きな理由は、実務経験以外でどのようなことをアピールできるのか探求し、勤勉さ・学習意欲・これまでの法知識の3点より、“5年以内に国内契約法務を一人でこなせるレベルに到達すること”と目標を据えました。
この目標を達成できる先を応募先として決め、幅広い業務を担うことのできる中小ベンチャーに絞って就職活動したところスムーズに内定を得ることができたのです。
未経験可の法務求人例
ここでは、MS Agentにおける法務求人の事例をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
不動産法務アシスタント/東証スタンダード
仕事内容 |
・各種リーガルチェックの案件管理 ・リーガルチェックや法務相談のリサーチ ・社内ルールの作成サポート |
必要な経験・能力 |
・パラリーガル経験、ビジネス実務法務検定合格、法学部卒など ・仕事が丁寧で真面目な方 ・PCスキル |
想定年収 |
380万円 ~ 450万円 |
法務総務/創業77年の特殊鋼専門商社
仕事内容 |
・契約書の審査・作成 ・法律に関する営業部門からの相談対応 ・社内規定の整備 |
必要な経験・能力 |
・社会人経験があり、法務総務業務に携わりたい方 ・周囲と円滑にコミュニケーションが取れる方 ・積極的に業務に取り組んでいただける方 |
想定年収 |
400万円 ~ 650万円 |
法務事務/残業10時間未満
仕事内容 |
・法務相談対応 ・国内契約書の作成/審査補佐業務 ・押印書類、契約書原本の保管管理 |
必要な経験・能力 |
・管理部門での業務経験 ・契約法務の実務経験 ・事業部門での営業や営業事務のご経験 |
想定年収 |
380万円 ~ 500万円 |
まとめ
法務人材のニーズは年々高まっており、未経験者でも採用される可能性は十分にあります。
そのため、転職活動ではコミュニケーション能力や文章力をしっかりアピールし、自身のポテンシャルを企業に伝えることが重要です。
また、実務能力の向上や法的素養の客観的な証明として、資格を取得することもおすすめです。
資格は必須ではありませんが、目指すキャリアに役立つ資格を積極的に取得することで、法律に関する知識を体系的に習得できるというメリットがあります。
未経験から法務を目指す場合は、スキルや意欲を示しながら、自分の強みを最大限に活かせる方法を模索しましょう。


この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、ウェディングプランナー、業界大手で求人広告の企画提案営業を経て、MS-Japanへ入社。
企業担当のリクルーティングアドバイザーを経験した後、現在は転職を考えられている方のキャリアアドバイザーとして、若手ポテンシャル層~シニアベテラン層まで多くの方の転職活動のサポートをしています。
人材業界での経験も長くなり、いつまでも誰かの記憶に残る仕事をしていたいと思っています。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
あなたへのおすすめ求人
同じカテゴリの最新記事

内部監査に向いている人とは?仕事内容や役割、資格について解説

経理の転職・求人情報|最新の転職市場や転職成功の秘訣など【経理専門キャリアアドバイザー監修】

人事異動を機に退職は可能!退職の進め方や、面接で伝える退職理由の例文など

法務の転職・求人|最新の転職市場や転職成功のポイントを解説!

【人事の転職】完全版|今すぐ知りたい転職市場と厳選求人をチェック!

行政書士の就職先は?転職市場や失敗しないためのポイントなど

三大国家資格とは?試験内容と難易度、五大国家資格についても解説

「簿記1級はやめとけ」と言われる理由は?後悔しないために知っておくべき現実と活かし方

経理の年収はいくら?年代別の年収相場や年収を上げる方法、おすすめの資格など
サイトメニュー

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。
新着記事
求人を職種から探す
求人を地域から探す
セミナー・個別相談会

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。