法務の年収は高い?年収アップの方法や必要な経験・スキルなどを解説
時代の変化に伴い、近年は法務の業務も多様化しています。これまで以上に難易度の高い仕事を任せられる機会も増えることでしょう。
そこで多くの方が気になるのが、「法務の年収は上がるのか?」「法務として年収をアップするにはどうしたらよいのか」ということです。
この記事では法務として年収を上げるポイントや実際の事例などについて解説します。
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法務の平均年収は?
2023年にMS Agentを利用し、法務として転職した方の決定時の年収は平均546万円でした。年齢別で見てみると以下の通りです。
年代 | 転職決定者の オファー年収 |
転職希望者の 現年収 |
---|---|---|
20代 | 428万円 | 403万円 |
30代 | 496万円 | 536万円 |
40代 | 690万円 | 696万円 |
50代以上 | 762万円 | 885万円 |
全年齢 | 546万円 | 650万円 |
※調査対象:2023年1月1日~2023年12月31日に「MS Agent」にご登録いただいた法務経験者及び、「MS Agent」を通して法務として転職先が決定された方(弁護士・公認会計士・税理士を除く)
※オファー年収は月額給与及び定期的に支給される賞与の合計額であり、別途支給される時間外手当や決算賞与等の変動要素がある金額に関しては含まれておりません。
20代以下を除く全年代において、転職前の年収よりも低い結果となりました。これは転職決定者の40%が未経験者であり、年代が上がるにつれて転職市場で不利な状況となっていることが原因と考えられます。
しかし、この数字は転職1年目の年収データであることも考慮しなければなりません。経験や実績を積むことで、更に高い年収を得ることも可能となります。
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法務で年収アップを叶えるには
法務として年収を上げる方法を大別すると「今の職場でスキルアップする」か「転職するか」「管理職になるか」です。転職で年収アップを目指す場合には、比較的年収の高い業界やポジションを狙わなければなりません。
以下、それぞれを解説します。
今の職場でスキルアップする
転職はせず、スキルや知識を磨いて現在の職場での昇給を目指すという方法があります。法務職は契約書の作成や法律に関する調査などを行う、非常に専門性の高い職業です。そのため、企業もすでにそれを見越した年収を設定しており、なかなか昇給が難しい側面もあるでしょう。
今の職場で昇給を目指す場合には、自社商品や企業特性なども考慮した上で「企業が求めるスキルを磨く」必要があります。
比較的年収の高い業界・ポジションへ転職する
年収アップの代表的な方法が転職です。ただし、転職先は慎重に選ぶ必要があります。安易に転職してしまうと、「前職よりも年収が下がる」という事態にもなりかねません。
年収アップを目指して転職する場合には「規模が大きい企業」や「外資系企業」、「法務立ち上げポジション」など、業界やポジションを重要視しましょう。それぞれ解説します。
規模が大きい企業
事業規模が大きく、従業員数の多い企業は資金が豊富であり、従業員の年収が高い傾向にあります。そのため、大企業への転職によって年収がアップする可能性は高いでしょう。
ただし、高年収の大企業求人はそれだけ人気も高く、スキルや年齢、コミュニケーション能力、実績などを総合的に判断されます。有利に転職活動を進めるためには、専門知識を有する転職エージェントを活用するのも、手段の1つです。
また、たとえ企業の規模がそこまで大きくなくとも、法務の年収基準が高い業種もあります。たとえば、メーカーや金融業界、製薬業界などです。大企業への転職が難しい場合は、法務の年収が高い傾向にある業界を選ぶことも検討しましょう。
外資系企業
各法人によって多少の違いはありますが、一般的に外資系企業は年収が高いようです。その理由の1つに業務難易度の高さが挙げられます。
具体的には、日本の法律についての知識、国際法に基づく国際的な商慣習についての知識、異文化への高い理解などが必要とされます。また、本国法人と連絡を取るための英語力も欠かせません。
高い能力を求められるだけに給与も高い傾向にあるようで、年収が800万円を超えることもあります。
ベンチャー・スタートアップ企業などの法務立ち上げ
法務の立ち上げポジションでの求人は、ベンチャー企業やスタートアップ企業であっても、年収が高い傾向にあります。コンプライアンス体制や社内規定の整備、法的トラブルへの備えなどを目的に、法務部の設置を検討する企業が多いようです。上場を目指している企業では、とくに法務の役割が重要です。
法務部の立ち上げを重要課題としている企業では、高い年収を払い、優秀な法務を確保しようとするため、転職による年収アップが目指せます。
管理職になる
現在の職場でスキルアップをする場合でも、転職する場合でも、年収アップにおいて「役職」は非常に大切な要素です。ほとんどの企業で、管理職になれば年収も高くなります。
ただし、管理職にはマネジメント能力が求められる上に、業務内容も多様化します。法務の仕事に専念したいという方は、法務として優秀でも管理職では実力が発揮できないということにもなりかねません。
自身の能力や、やりたいことに応じた年収アップの方法を見つけることが非常に重要です。
MS Agentでは、会計業界・管理部門に特化した転職エージェントとして、30年以上にわたって蓄積したノウハウを活かした個別相談会を実施しています。法務の転職に精通したアドバイザーが、キャリア形成・転職についてアドバイスいたしますので、ぜひご相談ください。
すぐの転職を考えていないものの、キャリア形成について相談したいという方からのお申し込みも大歓迎です。
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セミナー
中長期的なキャリアが不安な法務職の方向けの相談会
法務の年収アップに必要な経験・スキル
法務として年収アップを目指すためには、以下の経験や知識、スキルが必要不可欠です。
法務の年収アップに必要な要素
・法律に関する知識
・知的財産関連の実務経験
・コンプライアンス関連の実務経験
・M&A関連の実務経験
・マネジメント経験
・法務部の立ち上げ経験
・語学力
それぞれを詳しく見ていきましょう。
法律に関する知識
法務である以上、基本的な法律の知識を有していることは当たり前であり、それだけではアピールポイントになりえません。
年収アップにつなげるためには、所属する企業の商品やサービスの特性を踏まえた専門知識や、それに関連する法律の知識が必要です。
高度かつ専門性の高い法律知識をもつ法務は、企業において非常に重要な役割を果たします。
知的財産関連の実務経験
知的財産に関連する法律は難解であり、思わぬトラブルに巻き込まれてしまう事例も決して珍しくありません。そのため、知的財産に関する知識を有している人材は重宝されます。著作権や特許が関係する企業に勤める法務にとっては、とくに重要性の高い項目です。
コンプライアンス関連の実務経験
コンプライアンス(=法令遵守)は、現代社会において極めて重要な要素です。コンプライアンスを無視する企業の発展は、難しいといっても過言ではないでしょう。
カルチャーの観点では当然であったことが、コンプライアンス違反であったという事例もあります。コンプライアンスに関する客観的な判断と、社内周知が徹底できる法務は、リスクヘッジのために欠かせません。
M&A関連の実務経験
M&Aの実行においては法的観点による確認が欠かせません。法的な不備があると、M&Aが無効になってしまう可能性もあるでしょう。一方ですべてのリーガルチェックを外部の弁護士などに一任するとなると、費用がかさんでしまいます。
そのため、企業によってはM&Aに関する実務経験のある社内法務を優遇することもあるようです。M&Aに関する契約書の作成や投資リスクの調査などの業務経験があると評価されやすいでしょう。
マネジメント経験
社内法務は人材育成や組織運営、他部署連携、他社との折衝など、マネジメント能力を要する業務に携わることも少なくありません。
マネジメント能力が高ければ役職にも就きやすいため、年収アップのチャンスが大きくなります。
法務部の立ち上げ経験
ベンチャー企業やスタートアップ企業、中小企業などは法務部が設置されていることの方がまれです。そのため、部署の立ち上げを目的に求人を出しているケースも珍しくありません。
法務部の立ち上げ経験があれば、転職活動が有利になるだけでなく、転職によって年収が上がる可能性も高くなります。
語学力
外資系企業やグローバル展開を進める企業では、コミュニケーションや文献調査、契約などの場面で英語をはじめとする外国語を使用するシーンが多いものです。
語学力が高ければ、上記のような企業において活躍の場が広がります。また、語学力が活かせるような企業は、平均年収が高い傾向にある点も見逃せません。
法務の転職市場は?
2000年代に突入して以降、会社法の改正や会社の分割、組織の再編成、M&A、海外進出やグローバル化の促進など、企業の在り方が大きく変わってきました。それに伴い、企業法務の役割も多様化しています。
訴訟や法的トラブルに関するリスクヘッジや事後対応に加えて、会社法の施行への対応や買収防衛策、内部統制システムの整備などに携わる法務も増えているようです。今後も、合併・買収や事業の売却、資本参加などの法律にかかわる戦略法務、海外現地法人の設立・撤退・買収、国際交渉など、法務の業務は増加していくことでしょう。
これらの業務をすべて外部の法律事務所に任せることは、費用面からもスピード面からも現実的ではありません。企業が法務部門を設置する重要性は更に高まっていくでしょう。
またMS Agentに相談を寄せている法務の転職希望者の年齢別の割合は、「10年~15年未満」のベテラン層が28.0%と最も高く、「3年未満」のビギナー層が26.8%と続く形になっています。年収アップの観点からも、今後法務の転職が活性化していくことが予測されます。キャリアの浅い方でも、自身の強みや企業にもたらすことのできる利益などをしっかりとアピールできれば転職は可能です。
法務の転職で年収アップに成功した事例
年収アップに成功した法務の転職事例をご紹介します。
年収480万円のIT系上場企業から年収540万円のエンタメ系大手上場企業へ
IT系上場企業に勤めていたMさんは、結婚を機に転職活動を開始。今後のライフイベントを見据えて、長期就業できる環境を求めていました。 また、これまで積んできたキャリアを活かしてスキルアップもできる環境を求めていました。
選考が通過する企業もエンタメ系の企業が多かったことから、対象をエンタメ業界に限定。大手上場企業から内定を獲得しました。 年収アップだけでなく、リモートワークやフレックス制度、産休や育休の取得のしやすさなどもあり、ライフイベントの観点から見ても魅力的で希望に叶う環境でした。
年収650万円の大手上場企業から年収710万円のIPO準備企業へ
プライム上場企業にて、契約法務・株主総会の運営など一連の業務経験をされていたが、経験と年齢を踏まえ新しい環境でスキルアップしたいと考え、転職先を探し始めたSさん。
新しいことにチャレンジしていきたい気持ちがありながらも、家庭とのバランスを踏まえ、残業時間やリモートワークの有無などの働き方も重要視していました。さまざまな企業から話を聞く中で、今までの経験を活かしつつキャリアアップにつながるIPO準備企業への転職を決断。残業もほとんどなく、週の半分はリモートワークと、希望が叶った転職でした。
年収370万円の非上場メーカーから年収500万円の東証プライム上場メーカー へ
Sさんは非上場メーカーで英文含む契約法務の他、社内の法律相談対応、訴訟対応、コンプライアンス教育などに携わっていました。法務としての専門性を磨きたいSさんは、契約法務の種類や量が少ないことに物足りなさを感じていました。30代中盤にさしかかるということもあり、将来のことを考えてスキルアップできる環境を模索していました。
一方、家庭の事情で転勤可能性が少しでもある企業への転職はできませんでした。そこで、法務機能を完全に本社に集約している老舗上場メーカーを検討。海外取引もあるメーカーだったので、英文契約の経験も積めるという点にも魅力を感じ、就職試験を受けました。司法試験受験で培った法律に関する基礎知識の高さと、コツコツと勉強を続けていた英語力が武器になり、内定を獲得しました。年収も370万円から500万円にアップしました。
管理部門・士業特化の転職エージェント「MS Agent」では、業界に精通したキャリアアドバイザーがあなたの転職活動をお手伝いします。
「どんなアドバイザーが転職をサポートしてくれるの?」と疑問に思われた方は、
「MS Agent」のキャリアアドバイザー一覧をご確認ください。
まとめ
2000年ごろを境に企業の在り方も変わり始め、企業法務の業務内容や果たす役割は多様化してきています。高度な知識や専門性が求められる一方で、年収がアップするチャンスも増えています。経験を積み、自身のスキルを高めることで活躍の幅が広がるでしょう。
また、年収アップを目指す場合には転職が効果的なケースも珍しくありません。実際に転職を成功させた事例も数多くあります。転職を検討している方はエージェントを活用するのも手段の1つです。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、飲料メーカー営業、学習塾の教室運営を経て19年MS-Japanに入社。キャリアアドバイザーとして企業管理部門、会計事務所などの士業界の幅広い年齢層の転職支援を担当。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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