2019年06月13日

法学未修者の法科大学院進学は危険!? 既修者との大きな差

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法学未修者の法科大学院進学は危険!? 既修者との大きな差

法科大学院には、法学部を卒業している既修者向けの2年コースと、法学部以外を卒業している未修者向けの3年コースがあるのはご存知でしょうか。
未修者コースは1年長く勉強期間があるので、一見すると法律を勉強していない方にとって有利な印象を受けるかもしれませんが、厳しい現実を理解した上で進学する必要があります。
具体的な勉強期間を考慮した場合、法学未修者は、既修者が大学で4年、大学院で2年の合計6年で履修する内容を3年で履修しなければなりません。
この時点でお分かりの通り、既修者の2倍の速度で勉強をする必要があります。
もちろん、自分の頑張り次第で司法試験に合格することはできるため、必ずしも「不利」とはいえませんが、おのずと「勉強はハードになる」と考える必要があります。
また、既修者は自分が法曹に興味があるのか、適性があるのかを見極めて法科大学院に進学しているのに対して、未修者の場合はその前提がない点も考慮する必要があります。
今回は、法学未修者と既修者の違いに触れながら、法学未修者が法科大学院進学や司法試験受験に挑戦する際に考慮すべき点をご紹介します。

法科大学院 法学未修者コース

法科大学院の法学未修者コースは、法学部以外の学部を卒業・卒業見込みの人、および大学を卒業した後、社会人の経験をした人のためのコースです。
法律学の基礎知識をすでに習得している人が入学する法学既修者コースが2年制であるのに対し、未修者コースは、法律学の基礎知識を学ぶための期間として1年が加えられ、3年制となっています。

選抜方法は大学により異なります。たとえば京都大学の場合なら、次のようになります。

1.第一段階選抜
学業成績などの出願書類の内容にもとづいて選抜されます。

2.口述試験または小論文
京都大学の法学未修者コースは「特別選抜」と「一般選抜」の2種類があります。
特別選抜においては、口述試験が行われます。口述試験は、試験室で提示される1,000文字程度の長文および出願書類にもとづく質問がされます。法律学の知識の有無が問われるものではありません。
一般選抜においては、小論文試験が行われます。小論文試験は長文を提示して出題され、人間や社会のあり方についての思索を問う内容となります。

また、一橋大学では、選抜試験は第3次まで行われます。

1.第1次選抜
TOEICの成績によって選抜されます。

2.第2次選抜試験
小論文試験が行われます。小論文試験の内容は、資料が示され、問題分析力や思考力、記述力などが試されるものです。第2次選抜は、この小論文試験と第1次選抜の成績、自己推薦書、学業成績の審査結果を総合して行われます。

3.第3次選抜試験
面接試験が行われます。面接試験は、法科大学院で学ぶ者としての適性、および法曹としての適性が審査され、法律知識が問われるものではありません。第3次選抜は、この面接試験の結果、および第2次選抜試験までの結果を総合して行われます。

法科大学院 法学既修者コース

法科大学院の法学既修者コースは、法学部を卒業した人のためのコースです。
選抜試験において法律科目の試験が行われ、法学の基礎知識があると認められる人が入学できます。
2年制のコースとなり、法学未修者が1年目に履修する、憲法・行政学・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法などの単位を習得したものとみなされます。

選抜方法は、やはり大学によって異なります。京都大学の場合には、次のようになります。

1.第一段階選抜
学業成績などの出願書類の内容にもとづいて選抜されます。

2.法律科目試験
法律科目試験では、憲法・行政法・民法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法・商法の7科目の試験が行われます。

また、一橋大学の場合では、未修者コースと同様に第3次選抜まで行われます。

1.第1次選抜
TOEICの成績により選抜されます。

2.第2次選抜試験
法学論文試験が行われます。法学論文試験の科目は、民事法(民法および民事訴訟法)および刑事法(刑法および刑事訴訟法)の2科目です。第2次選抜は、この法学論文試験の結果と、第1次選抜の成績および自己推薦書、学業成績の審査結果を総合して行われます。

3.第3次選抜試験
面接試験が行われます。面接試験は、法科大学院で学ぶ者としての適性、および法曹としての適性が審査され、法律知識が問われるものではありません。第3次選抜は、この面接試験の結果、および第2次選抜試験までの結果を総合して行われます。

未修者が法科大学院に進学するのは不利なのか?

法学未修者が法科大学院に進学するのは、司法試験を受験する上で法学既修者とくらべて不利なのでしょうか?
たしかに、司法試験の合格率は、2018年なら、法学既修者が26.5%であるのに対し、法学未修者は17.1%と法学既修者の方が高くなっています。
とはいえ、法学未修者が既修者と比較して「不利」だとは、必ずしもいうことはできないでしょう。

法学既修者が、法学部で4年、法科大学院で2年の計6年をかけて履修する内容を、法学未修者は法科大学院の3年で履修しなければなりません。したがって、その分勉強がハードになるとはいえます。
しかし、法学未修者の司法試験合格者が一定数いるのは確かです。司法試験に合格するかどうかは、ハードな勉強をどれだけ頑張れるか「自分次第」で決まるといえるのではないでしょうか。

未修者の法科大学院 合格・不合格後のキャリア

法学未修者が法科大学院進学した場合、司法試験合格・不合格後のキャリアはどのようになるのでしょうか?
司法試験に合格した場合には、法曹への道が開けることとなります。
多くの人は、弁護士を志すことでしょう。
弁護士となる場合には、法律事務所に就職するほか、一般企業の企業内弁護士としての道を選択することもできます。
司法試験に不合格だった場合には、一般企業に就職することとなるでしょう。
一般企業のなかには、法科大学院修了者を法務部門などに積極的に採用するところもあります。

まとめ

法学未修者の法科大学院進学は危険!? 既修者との大きな差

法科大学院に未修者として進学することは、既修者と比較して必ずしも不利とはいえません。
本人の頑張り次第で、司法試験に合格するチャンスは大いにあります。
弁護士としての道を志したいと少しでも積極的に挑戦してみてはいかがでしょうか。

【参考】
日本弁護士連合会『司法試験合格者の状況』

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