2024年05月09日

法科大学院とは?入学試験や学費など、簡単に解説!

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司法試験の受験ルートには、予備試験に合格するルートと、法科大学院を卒業するルートの2種類があります。
法科大学院ルートを選んだ方が、比較的簡単に合格できるイメージがあるかもしれませんが、実際にはそう単純な話ではありません。

もちろん、法科大学院での授業・研修を経験することは、その後の法曹界での活躍にも活かすことができるでしょう。
この記事では、法科大学院とはどのような施設なのか、入学試験・学費といった情報に触れつつ簡単に解説します。

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法科大学院とは

そもそも法科大学院とは、どのような目的で設置されている大学院なのでしょうか。
以下、法科大学院の概要や学習する内容、コースについて解説します。

法科大学院(ロースクール)とは

法科大学院は、ロースクールとも呼ばれ、法曹養成に特化した教育を行う「専門職大学院」に分類されます。
分かりやすくいうと、弁護士・検察官・裁判官といった“法律のプロフェッショナル”(法曹三者)を養成するための学校です。

法科大学院ができることになった背景には、日本の法曹界が直面している様々な問題がありました。 具体的には、次のような問題があげられます。

  • ・法曹人口の少なさ(司法試験合格率の低さ)
  • ・質の高い法律家の養成(受験技術偏重の傾向・マニュアル思考に陥らない人材の養成)
  • ・旧司法試験の問題点の改善(難関試験ゆえ人生を賭けて臨まなければならない)
  • ・多様な法律家の養成(様々なニーズに対応できる人材の養成)

法科大学院が創設されたことにより、大学の法学部を卒業していない人でも、司法試験受験のチャンスが得やすくなりました。
また、法科大学院過程の修了者は、司法試験を受験するために必要な「予備試験」に合格する必要がなく、修了後5年間は司法試験の受験資格が与えられます。
※令和5年(2023年)司法試験からは、在学中であっても所定の単位を修得し、1年以内に修了見込みであれば、受験が可能となっています。

難関とされていた「旧司法試験」

旧司法試験は、受験者数4万人以上のうち、合格できるのが約1,500人といわれるほどの難関試験です。
旧司法試験を経験した人の中には「弁護士になるためには長年の浪人生活を送るのが当たり前」と語る人もいるほどで、2ケタ台の挑戦回数でようやく合格に至る人も珍しくありませんでした。

受験資格の制限こそないものの、第一次試験では大学卒業程度の一般教育科目が問われ、第二次試験からは短答式試験→論文式試験→口述試験の順に受験生が振り落とされていきます。
特に、論文式試験は「勉強して法律の知識が増えれば増えるほど合格しにくくなる」と言われるほど、重要な部分を端的に踏まえての記述が難しかったとされます。

受験生活から脱出できず、ようやく高齢で合格しても就職先が見つからないなどの弊害が生じるおそれがあり、ある意味では“人生をかける”覚悟がなければ受験できないほどの難関試験だったといえるかもしれません。
そのような事情もあって、より多くの人材に法曹界で働いてもらうためには、試験制度の変更が必要だったものと推察されます。

法科大学院で学習する内容とは

2004年4月に創設されて以来、法科大学院では、少人数制の教育によって密度の濃い授業が行われています。
法曹の実務に必要とされる専門知識・思考法を学べるのが特徴で、民法・刑法などの基礎科目をはじめ、国際法や弁論術といった科目も学びます。

必修科目のほか、専門科目として法哲学・法社会学など視野を広げる科目や、倒産処理法などの実務に即した科目も学べます。
民事裁判だけでなく、刑事実務・司法について学ぶ機会もあるため、法曹として働く上で必要な知識を幅広く得ることができるでしょう。

法科大学院には2年コースと3年コースがある

法科大学院を修了するためには、原則として3年以上在学・93単位以上習得することが要件とされますが、法学の基礎を学んだ法学履修者は1年以上・30単位以下を短縮できます。
具体的には、法学履修者向けのコース(2年コース)法学未修者向けのコース(3年コース)に分かれており、進学する際は学生それぞれの履修状況に応じてコースを選ぶことになります。

2年コース

法科大学院で「法律基本科目を履修済み」と認定された学生は、2年コースを選ぶことができます。
入学にあたっては、法科大学院側で実施する法律基本科目試験で合格する必要があります。

法律基本科目試験は、主に法学部出身者向けの試験となっていますが、必ずしも法学部出身であることは求められません。
受験段階で試験突破できる実力がある場合は、2年コースに進むことができます。

3年コース

法科大学院の標準コースともいえるもので、憲法・行政法・刑事法・民事法・商法といった法学の基本科目をスタート段階から学習していきます。
基本的に、入学前の段階で法律の学習経験を問われることはなく、法学部出身以外の学生はこちらを選ぶことになるでしょう。
なお、大学の法学部を卒業している場合であっても、未修者扱いで3年コースを選ぶことはできます。

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法科大学院の入学試験概要

詳細は法科大学院によって異なりますが、法科大学院の入学試験では、概ね以下のようなプロセスを経て合否が決まります。

  • ・自己評価書の提出
  • ・法律科目試験
  • ・小論文試験
  • ・面接
  • ・語学能力の証明

以下、それぞれのプロセスについて解説します。

自己評価書の提出

自己評価書とは、法科大学院の出願書類の一つです。
法曹を志望する理由や、法律家の理想像、大学院に入学する動機などを記述して提出します。

こちらはいわゆる“形式的な提出書類”ではないため、書類として内容がともなっていなければならず、書き方なども研究の必要があります。
大学院の特徴に対して、自分の動機や長所などをマッチさせるような書き方を工夫しましょう。

法律科目試験

法律科目試験とは、2年コースに課される論文試験のことをいいます。
憲法・民法・刑法といったほとんどの法科大学院で出題される問題のほか、民訴法・刑訴法が出題される場合もあります。

小論文試験

小論文試験は、主に3年コースで課される試験で、テーマは必ずしも法律に限定されません。
読解力・要約力・論理的思考力が問われる試験のため、それぞれの法科大学院に絞って対策を講じる必要があるでしょう。

面接

法科大学院の学生および法曹としての適性を見るため、面接を行う法科大学院も少なくありません。
面接に関しては、2年・3年コースともに行われる可能性があり、一定の自己PR能力が問われます。

語学能力の証明

語学能力を示す資料を提出することで、一次審査・総合評価で有利に働く可能性があります。
TOEIC等の提出が必須となっている法科大学院もあるため、大学在学中は語学もおろそかにしない方が賢明です。

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法科大学院にかかる学費

法科大学院にかかる学費

法科大学院に入学する場合、どこに通うにせよ、学費がいくらかかるのかについては確認が必要です。
国立大学を例にとると、概ね以下の通り入学金・授業料が発生します。

  • ・入学金:28万2,000円
  • ・授業料:80万4,000円(年額)

上記を合計すると、初年度の納入金は108万6,000円となり、国立大学とはいえ決して安くない金額です。
ただし、公立大学の場合は国立大学より安くなるケースもありますから、各種法科大学院の情報をチェックしてみましょう。

私立大学に関しては、大学によって授業料が変わるものの、総じて国立・公立よりは高いものと見込んでおいた方が賢明です。
なお、国公私立を問わず、授業料減免制度・補助金制度を導入している大学も多いため、授業料と併せて確認が必要です。

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法科大学院卒業後の流れ

法科大学院の卒業生は、基本的に司法試験を受験することになります。
原則、法科大学院を修了した直後の4月1日から5年間の受験期間内で、合計「5回」まで司法試験を受験できます。

司法試験合格後は、司法修習(1年間)を受けて実務スキル・職業意識・倫理観を養います。
司法修習生考試(通称、二回試験)という卒業試験を受けて合格した後は、弁護士・検察官・裁判官いずれかの資格を取得する形になります。

ちなみに、在学中に所定科目の単位を取得しているなど一定の条件を満たしている場合は、法科大学院在学中であっても司法試験を受験できます。

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まとめ

法科大学院は、弁護士・検察官・裁判官といった法曹を養成するための学校で、実務に特化した勉強ができるという特徴があります。
原則として3年間通う必要があるものの、法律基本科目試験に突破できる実力のある人は、学習期間を2年に短縮することもできます。

法科大学院に入学するには、各種試験や面接に加えて、自己評価書の提出や語学能力の証明も求められます。
相応の学費も発生するため、授業料減免制度・補助金制度の有無も確認しつつ、大学在学中から入学に向けた学習・準備を進めておきたいところです。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

河本 俊範

大学卒業後、食品メーカー営業を経て2005年MS-Japan入社。企業側営業担当を1年半経験し、以降はカウンセラー業務を担当。若手中堅スタッフの方から、40~50代のマネージャー・シニア層の方まで、年齢層問わず年間500名以上をカウンセリングさせていただいています。
企業管理部門全般~会計事務所など士業界、会計士・税理士・弁護士資格者まで弊社の特化領域全般を担当しています。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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