2023年04月01日

「プロボノ活動」とは?弁護士業界で浸透している理由や活動例4つを紹介

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「プロボノ活動」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。NPOのメンバーや社会起業家などがしばしば発する用語ですが、もともとは弁護士の業界から他の分野に広まった言葉です。では、弁護士のプロボノ活動とはどのようなものなのでしょうか。

そもそも、プロボノ活動とは?

プロボノ活動とは、ボランティア活動の一種です。ボランティア活動の中でも特に、普段は専門家として稼働している人が、その専門スキルや経験を活かして行うものをいいます。

プロボノとは、ラテン語の「pro bono publico(公共の善のために)」の一部を取った言葉です。よって、プロボノ活動を「公益活動」と呼ぶ場合もあります。

平時であれば、たとえば福祉施設の人材募集で外国人に向けて求人を出すとき、その求人募集の言葉を翻訳することは、翻訳家のプロボノ活動といえます。

また、大きな自然災害に見舞われた場合の緊急時に、地元の医療機関だけでは救命救急が間に合わないとき、別の地域から医師や看護師が駆けつけることもあります。一般的には「ボランティア」といわれますが、これも専門スキルを駆使した無償奉仕であれば、プロボノ活動の一種だと評価していいでしょう。

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弁護士業界で浸透しているのは何故?

プロボノ活動はもともと、弁護士による法律相談などのボランティア活動から始まった歴史があるからです。また、日本では昔から公害訴訟など国を相手取って、多くの原告団を率いている弁護団は「手弁当」で代理人活動を行うこともありました。自費で専門スキルを他社に提供している点では、こうした弁護団活動も広い意味でのプロボノ活動といえるでしょう。

弁護士法1条には「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」「弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない」と定められています。

プロボノ活動は、ここでいう「社会正義」「社会秩序」に該当するといえそうです。つまり、弁護士法1条の精神を体現しているボランティア活動だといっても過言ではありません。

そのような背景により、弁護士から他の専門家へも、プロボノ活動に関する認知や参加意識が広がっていった経緯があります。

ただし、何をもって弁護士にとっての「社会正義」だといえるかは、意見や価値観が分かれます。

企業法務は、資本力のある大企業がますます成長していき、社会内での貧富の格差が拡大していくのを手助けしており、弁護士としての社会正義には見合わないとの意見もありえます。確かに、企業法務をプロボノで行うことはほぼ皆無といえます。しかし、大企業がコンプライアンス(法令遵守)を徹底するからこそ、一般消費者が保護される側面もありますし、そこで働く労働者が不当に扱われることを防止する役割も果たしています。よって、企業法務も社会正義の維持や発展に貢献しているとも評価できます。

とはいえ、一般的には「社会的弱者の救済」が、弁護士にとっての社会正義だとされています。企業法務系の弁護士も、プロボノ活動となれば、普段の活動とは異なる専門外の弁護士活動を行うことになります。

各地域の弁護士会でも、所属弁護士に対してプロボノ活動の義務化を行う動きが広がっています。たとえば、第二東京弁護士会では、年間10時間以上のプロボノ活動と、その事後申告を義務づけています。

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プロボノ活動の具体例

<基礎的法律業務>
たとえば、弁護士会や都道府県、市町村、日本司法支援センター、日弁連交通事故相談センターなどが主催する無料法律相談会に担当弁護士として関わることが代表的です。

また、当番弁護士として待機・出動し、その後、被疑者の弁護人としての依頼を受任しなかった(できなかった)場合、当番弁護士としての出動はプロボノ活動の一環となります。

<官公署の代理人活動>
国や都道府県、市町村やその他の公共機関の立場を代理して、他の者との交渉事務などを、無償ないし低額の報酬で受け持った場合には、これもプロボノ活動に含まれます。

<公益団体への法律事務の提供>
福祉・少年更生・人権擁護などに関する団体のために、弁護士として無償または低額の報酬で法律事務を提供することもプロボノ活動とされます。

たとえば、児童相談所や青少年自立支援施設、アムネスティインターナショナル、障害者福祉では、各都道府県の心身障害者センター、そのほか障害者の療養・更生施設、障害児の通園施設などが対象となります。高齢者福祉の部門では、高齢者福祉事業団や高齢者支援協会も含まれます。
さらに、大規模な震災が発生した場合に立ち上がるボランティア団体への法律事務提供も対象となります。

<社会的弱者への法律事務の提供>
犯罪被害者や障害者、生活保護受給者などのために、トラブルの相手方と交渉を行ったり、弁護団を結成したり、集団訴訟を提起するサポートなどを行う場合が該当します。

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まとめ

以上のように、弁護士が関わるプロボノ活動には、様々な種類があります。弁護士は、契約によって誰の味方にでもなれるぶん、法律という強力な武器を社会的弱者のために用いるべきです。それでこそ、社会全体のバランスが保たれ、社会正義が実現されるものと考えられます。

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<参考>
第二東京弁護士会ひまわりページ 2 一般的公益活動10時間の実行(会期第3条第2項)

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