2023年08月28日

弁護士業務はAIによって奪われてしまう?弁護士に将来性はあるのか?

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弁護士業務はAIによって奪われてしまう?弁護士に将来性はあるのか?近年、テクノロジーの急速な進化により、AIの活用範囲はますます広がっています。
この進展は、高度な知的産業である弁護士の業務にも大きな影響を与えかねない潮流です。
AIは、知識の活用と論理的な判断に優れており、今や人間よりも迅速・正確に業務をこなす存在になりつつあります。
果たして、弁護士の業務もAIによって奪われてしまうのでしょうか。
本記事では、弁護士の主な業務を例示し、AIによって代替可能かどうかを一つひとつ検証しながら、弁護士の将来性を探っていきます。

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弁護士の主な業務内容とは?

弁護士の役割は、個人や法人の法律問題を解決するために、法律の専門家として適切なアドバイスと法的支援を行うことです。
以下に、弁護士の主な業務内容を紹介します。

法的トラブルの相談に応じ、アドバイスを行う

弁護士は、日常生活や企業活動で生じる法的トラブルの相談に対応し、依頼人に必要な法的アドバイスを提供します。
例えば、離婚や相続問題、労働トラブル、契約違反などの法律問題について、依頼人の権利や法的手段に関する助言です。
依頼人の立場や目的を理解し、最善の解決策を提案する役割を果たします。

法律全般の文書を作成する

契約書や通知書、申立書、訴状など、さまざまな法的文書の作成に携わることも弁護士業務の一環です。
これらの文書は法的な手続きや取引に関連しており、法的規制の遵守が求められます。
必要に応じて証拠の調査・収集を行い、依頼人の権利を保護するために適切な手続きを踏みながら、文書作成に尽力します。

裁判の手続きや交渉の代理人なる

依頼人に代わって、裁判の手続きや和解に向けた交渉を行うことも弁護士の主な役割です。
裁判の手続きでは、訴訟の提起、被告への訴状送付、裁判所への証拠提出などを代理で行います。
和解交渉では、依頼人の利益や要望を達成するために、相手方との話し合いを通じて紛争の解決を目指します。

実際の裁判で被疑者・被告人の弁護を務める

弁護士は、刑事事件・民事訴訟などの裁判において、被疑者や被告人の弁護を担当します。
映画やドラマでよく見る弁護士のイメージがまさにこれです。
法廷での陳述や反論など、専門性を活かした弁護活動を通じて、無実の可能性がある人の基本的人権を擁護することは弁護士本来の使命です。


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検証1:裁判手続きや交渉

ここからは、弁護士の業務がAIによって奪われてしまうのかどうかを検証していきます。

まず、裁判の手続きや交渉についてです。
実は、弁護士以外の者が法律事務全般を行うことは、「非弁行為」として認められていません。
非弁行為とは、法律に基づく代理業務や法律相談、法的手続き、示談交渉などを含む法律事務を、弁護士の資格を持たない者が行うことを指します。
これらは、弁護士法や日本弁護士連合会の規定によって禁止されています。
弁護士は法律の専門家であり、高度な法的知識やスキルを持っています。
弁護士以外の者が法律事務を行うことは、法律の専門知識と経験の欠如により、依頼人の権利や利益を守ることができず、むしろトラブルに発展するリスクがあります。
以上の理由から、裁判の手続きや和解交渉なども、弁護士以外の者が行うことは法律上許可されていません。

では、人間ではないAIはどうなのでしょうか。
「DoNotPay」というAIを例にとると、判例や法的文章の書き方を学習しているため、一般的な法的文書であれば作成することは可能でしょう。
しかし、「DoNotPay」も集団訴訟を起こされてしまっており、現在でもAIが弁護士行為(弁護士行為に近似する行為)を行うことについては、論争中のテーマとなっています。
人間ではないと言え、裁判の手続きや交渉を含めた「非弁行為」が許されないことは、AIにおいても例外ではないようです。
そもそもAIは、個別の状況に応じた判断や倫理的な観点からのアドバイスを提供することが難しく、法的な責任を持つこともできません。
また、法律は常に変化しており、AIが適切な法的アドバイスを提供するためには最新の情報と正確な判断が必要です。
したがって、法的なサービスにおけるAIの利用には慎重な検討が必要であり、法律とAIの問題点は今後ますます注目されていくでしょう。


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検証2:実際の裁判で依頼人の代理を務める?

次に、AIが実際の裁判で依頼人の代理を務められるかについて検証してみます。

実際の事例として、前述のAI弁護士と言われている「DoNotPay」が、本物の法廷で人間の弁護士の代わりに使用する計画がありました。
法廷においては、スマートフォンやコンピューターをイヤホンに接続して使用することがほとんどの国で禁止されています。
特に英国では裁判を録音することは法廷侮辱罪に当たります。
「DoNotPay」の開発者は、「DoNotPayは補聴器に分類され、AIが法廷の音声を聴くのは録音ではない」と主張しました。
しかし、検察官から罰則の警告を受けたため、開発者はDoNotPayを弁護士として法廷で使う計画をあきらめたのです。

現時点では、AIが法廷において適切な代理人として機能するかどうか、公平な審理が行われるかどうかといった懸念も払拭されていません。
代理ではなく自己弁護の補助をする場合でも、デバイスの問題から法廷にAIを持ち込むこと自体が難しいです。
そもそも、AIが裁判で依頼人の代理を務めることは、弁護士が行う法律事務に該当し、現在の法律で禁止されている「非弁行為」とみなされます。
このような背景から、AIが裁判で依頼人の代理を務めることは困難と言えるでしょう。

近い将来、AIがより高度な法的業務をこなせるようになったとしても、裁判で代理を務めるためには、社会的合意や法的な枠組みの整備が必要となるでしょう。


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検証3:法律全般に関わる文書作成

法律全般に関わる文書作成では、AIが得意とする文書作成についてはどうなのでしょうか。

法務省の見解によれば、親会社が子会社に対して契約書や約款の文書ひな形を提供し、一般的な法的意見を述べることは「非弁行為」に該当しないとされています。
つまり、AIによる文書ひな形の提供やレビューサービスは法的に問題がないと言えるでしょう。
また、契約書のAIチェックサービスについても、自己の法律事務を取り扱うだけであり、他人の法律事件に関する法律事務ではないため、弁護士法72条に違反しないとの見解があります。
ただし、契約書・通知書のひな形作成や送付代行などのケースでは非弁行為になる可能性があるため、注意が必要です。

AIは、インプットしたデータに基づく単純作業に優れており、ひな型に沿って大量の契約書データを学習させることで高品質な契約書を作成することが可能です。
特にデータ入力などの作業は、AIによる自動化や効率化が進んでおり、ミスを減らすことが期待されます。
これは、文書作成がAIに代替される可能性があることを示唆しています。

しかし、いくつかの問題点も存在します。
AIは定型的な契約書作成には適していますが、最新の法改正に絡む契約書や、個別の特殊な契約書を作成することは苦手です。
AIはあくまで文書作成の補助を行うだけであり、問題が発生した場合は利用者自身が責任を負わなければなりません。
また、法律知識のない人にとっては、AIが作成した契約書の正しさを判断することは難しいでしょう。


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検証4:法的な問題に対して個人や企業にアドバイスを行う

最後に、法的な問題に対して個人や企業にアドバイスを行うことについて検証してみましょう。

AIは、ディープラーニングなどの学習方法によって、大量のデータを元に論理的な判断や提案が可能になると期待されています。
ディープラーニング(深層学習)とは、人間が加工を施していないビッグデータをコンピュータが解析し、用途に応じた特徴やパターンを多層的(ディープ)に考える機械学習の一つです。
過去の事例が豊富であれば、AIはそれらのデータを分析し、類似の状況や法的解釈からパターンを見つけ出すことで、適切なアドバイスを提供することができるでしょう。
つまり、過去の事例が多い法的問題においても、AIは代替として機能する可能性があります。

逆に、過去の事例が少ない場合、AIの判断は難しくなります。
ディープラーニングはデータに基づいてパターンを学習するため、限られた情報では十分な判断を下すことができません。
新たな法的問題や未経験の状況に対しては、AIは不確実性を持つことになります。
法的問題は文脈や細かい事情によって異なる解釈が生じることもあり、AIだけではその多様性に対応することが難しいです。

したがって、AIは一定の範囲で法的問題にアドバイスを行うことは可能ですが、完全な代替として機能するには限界があります。
AIと人間の組み合わせによる協力や、AIの提案を人間が検証・補完することによって、より正確な法的アドバイスが成り立つと考えられます。


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まとめ

今のところAIの能力には得手不得手があり、近い将来、AIがより高度な法的業務をこなせるようになったとしても、社会的合意や法的な枠組みの整備が必要となるなど、課題の多さや難易度の高さが見受けられます。

またAIは文書作成などを効率的に処理できる一方で、倫理的な考察や柔軟な対応を求められる案件においては、依然として人間の弁護士の存在が不可欠です。

本記事の検証結果からも、一定の範囲でAIが弁護士業務を代替し得る可能性はあるものの、法的問題などから弁護士業務を完全に代替するとは言い難いでしょう。

AIが弁護士業務を奪い取るというよりも、AIを活用することで弁護士の仕事が変化し、より付加価値の高い業務に注力できる可能性があると言えます。

つまり、弁護士の将来はAIによって閉ざされてしまうものではなく、むしろAIと共存することで大きく開花していくでしょう。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

佐藤 颯馬

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。

会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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