2024年02月15日

三大国家資格とは?試験内容と難易度、五大国家資格についても解説

管理部門・士業の転職

数ある国家資格の中でも、弁護士・公認会計士・不動産鑑定士の3士業は「三大国家資格」と称されています。
他の国家資格とどのような違いがあるのか気になるところですが、代表的な国家資格として取り上げられるからには明確な理由があるのでしょう。

本記事では、「三大国家資格」である弁護士・公認会計士・不動産鑑定士の役割や試験内容、難易度について詳しく解説します。
さらに掘り下げて「五大国家資格」と呼ばれる弁理士・技術士も含めて解説します。

三大国家資格とは

まず、そもそも国家資格とは何かを整理しましょう。

国家資格とは

国家資格とは、「国の法律に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格」と文部科学省によって定義されています。
また、「法律によって一定の社会的地位が保証されるので、社会からの信頼性は高い」という側面も明確に示されています。
つまり、国家資格を持つことで、その分野における専門的なスキルや知識を有していることが公的に認められ、特定の職業に就くための要件を満たしていることの証明となる資格です。

国家資格の試験は、資格の種類別に国や地方公共団体、法律で指定された団体が実施しています。
国家資格には、有資格者以外が携わることのできない「業務独占資格」が含まれていることが特徴的です。
社会的評価を伴う国家資格は、キャリアアップや転職において非常に価値のある指標と言えるでしょう。

三大国家資格とは

三大国家資格は、一般的に弁護士・公認会計士・不動産鑑定士の3士業を指します。
なぜこれらの資格が「三大国家資格」と呼ばれるのでしょうか。

理由としては、三大国家資格は資格試験で高度な専門知識と能力を求められ、非常に難易度が高い資格である点が挙げられます。
また、三大国家資格の保有者は、各専門分野で社会的に大きな影響力を持っている点も理由の一つです。
弁護士は法律で人を助け、公認会計士は経済活動の健全性を守り、不動産鑑定士は国土の価値を評価します。

さらに、取得した資格を維持し続けるためには、専門知識や能力に磨きをかけていく必要があります。
資格取得がゴールではなく、専門知識のアップデートや職業倫理の遵守が求められます。
「三大国家資格」は公式に定められた呼称ではありませんが、国家を支える代表的な資格であることは確かだと言えるでしょう。

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法律の専門家:弁護士

法律の専門家」である弁護士は、依頼人の権利や利益を守り、社会正義に向き合うことが使命です。
法律の相談や手続き、示談・和解交渉、訴訟の代理などを通じてさまざまな法的問題を解決に導きます。

試験内容

弁護士になるための司法試験は、法律系資格の中でも最難関とされており、合格することで弁護士、裁判官、検察官の道が開けます。
試験内容は多岐にわたり、一般教養から国際社会に対する理解まで、法律だけでなく幅広い知識が求められます。 短答式試験は、憲法・民法・刑法の計3科目、論文式試験では公法系(憲法・行政法)、民事系(民法・商法・民事訴訟法)、刑事系(刑法・刑事訴訟法)、選択科目(知的財産法・労働法・租税法・倒産法・経済法・国際関係法・環境法)の8科目科から出題されます。

受験資格は、令和5年度(2023年度)から変更され、これまでの受験資格に加えて、法科大学院在籍中の学生も一定の条件を満たせば受験が可能になりました。
また、司法試験のスケジュールも、短答式・論文式の結果発表を含めて約2ヶ月後ろ倒しになっています。

合格率

司法試験の合格率について、過去5年間の受験者数は減少傾向ですが、合格率は30~45%と上昇傾向です。令和5年度の合格率は45.3%と半数近い合格者が出ました。

数字だけを見ると「弁護士は難易度が低い」と思われることもありますが、司法試験は「受験資格を得る難易度」が非常に高く、司法試験受験時は一定の実力が持っていることが前提とされています。
受験資格を得る方法は、「法科大学院修了者」、「予備試験合格者」「法科大学院在籍中で一定要件を満たす者」です。
法科大学院に通わずに弁護士を目指すためには「予備試験」に合格する必要があります。予備試験の合格率は、例年3~4%前後で推移しており、非常に難易度の高い試験です。

つまり、司法試験は、難易度の高い受験資格を得て一定の実力があるにもかかわらず、さらに半分以下の45.3%しか合格できないほど難しい試験だと言えるでしょう。

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会計のスペシャリスト:公認会計士

三大国家資格の一つである公認会計士は、「監査」を独占業務として行える会計のスペシャリストです。
監査を通じて企業の財務状況を評価し、経営の健全性を維持する役割を担います。

試験内容

公認会計士試験は、会計や財務に関する膨大な専門知識と高度な理解が必要です。
試験は2段階方式で実施されます。まず、短答式試験(4科目・年2回)を受験しり、合格者のみが次の段階である論文式試験(5科目・年1回)に進むことが可能です。

試験範囲は、財務会計論や管理会計論、監査論、企業法、租税法など多岐にわたります。また、税理士のように科目合格制度がないため、1度の試験で全科目の合格が必要です。
いずれの科目も幅広く、深い専門知識が求められるため、試験合格には4,000時間以上の学習時間が必要と言われています。
ただし、受験資格は不要で、年齢・性別・国籍にかかわらず誰でも受験することが可能です。

合格率

過去5年間における公認会計士試験の合格率は7〜10%の範囲で推移し、極めて低い水準です。
受験者数や合格者数は年々増加していますが、合格率が減少傾向にあるのは、短答式試験の高い難易度が影響しています。
また、試験合格後も、公認会計士として登録できるようになるには、3年以上の業務補助と実務補習を修了しなければなりません。

企業の業務内容やビジネス環境が複雑化しつつある近年、監査業務も変化に対応する必要性が高まっています。
それに伴い、監査業務を担う人材を輩出する公認会計士試験も難易度が高まっていると言えるでしょう。

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不動産の専門家:不動産鑑定士

不動産鑑定士は、不動産の価値を適正に評価する専門家です。
公共用地の鑑定評価をはじめ、個人や企業を対象に建物の利用価値の判定や、土地の有効活用の提案が代表的な業務です。
不動産鑑定士による評価は、不動産の売買、賃貸、担保、税務、会計など、多方面の業界で必要とされています。

試験内容

不動産鑑定士試験は、短答式試験と論文式試験の2段階方式です。
短答式試験は不動産に関する行政法規と不動産鑑定評価に関する理論の2科目で、マークシート方式で行われます。
論文式試験は民法、経済学、会計学、不動産鑑定評価に関する理論(論文科目・英修科目)の4科目が論文形式で出題されます。
短答式試験合格者のみが論文式試験を受験することができます。短答式試験に合格し、その年の論文式試験が不合格だった場合でも、その後2年間は論文式試験から受験可能です。

両試験に合格し、実務修習を受けた後に国土交通大臣の修了確認を経て不動産鑑定士として登録できます。
受験資格に制限はなく、学歴や実務経験を問わず誰でも受験することが可能です。

合格率

不動産鑑定士試験の合格率は総体的に低く、過去5年間で短答式試験は35%前後、論文式試験は15%前後で推移しています。
難易度としては公認会計士よりも低めですが、合格までの道のりは容易ではありません。
勉強時間は2,000~4,000時間程度必要とされ、結果が出るまでには2〜3年かかることが一般的です。
両試験を1年で合格する割合はわずか5%程度と言われており、取得が難しい資格であることが伺えます。

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五大国家資格とは

続いて、「三大国家資格」からさらに掘り下げて「五大国家資格」について解説します。
「五大国家資格」とは、三大国家資格である弁護士・公認会計士・不動産鑑定士に加えて、弁理士・技術士を含めた5つの国家資格を指します。

知財の専門家:弁理士

弁理士とは、特許、実用新案、意匠、商標などの知的財産全般を取り扱う専門家です。
主な役割には、知的財産権の申請手続きや、産業財産権の紛争解決、コンサルティング業務などがあります。
権利侵害に関する訴訟では代理人として参加するなど、知的財産権の保護と適正な運用に寄与する国家資格です。

弁理士試験は、短答式・論文式・口述試験の3段階方式です。
試験科目は、特許・実用新案法、意匠法、商標法などで、知的財産に関する幅広い知識と深い理解が求められます。
難易度は高く、合格までの勉強時間目安は2,000〜3,000時間と言われており、三大国家資格のように合格までの道のりは険しいでしょう。
合格率も約6~10%程度という低水準で推移しています。

科学技術の国家資格:技術士

技術士は、産業経済や社会生活の科学技術をカバーする国家資格です。幅広い科学技術に対応するため、建設部門・機械部門・金属部門など21部門に分かれて実施されます。
資格保有者は高度な知識と応用能力を持つエンジニアとして、科学技術の研究や計画、設計、分析、試験、評価を行い、それらを指導することができます。
科学技術に携わる技術者にとって、最も権威のある資格です。

資格を取得するには4〜7年の実務経験が必要であり、一次試験合格後に修習技術者、または技術士補として実務経験を積んで二次試験を受験します。
一次試験は基礎科目、適正科目、専門科目からなり、幅広い科学技術に関する基礎知識と専門知識が必要です。
二次試験は筆記試験と口頭試験で構成され、応用能力、問題解決能力、実務能力が試されます。
合格率を見ると、一次試験は約30~40%程度ですが、二次試験では約11%まで低下しています。

弁理士と技術史は、どちらの資格も高い専門性と応用力が求められ、取得に至るまでにいくつものハードルを乗り越えなければなりません。
それぞれの役割も社会での貢献度が大きく、だからこそ五大国家資格に含まれているのでしょう。

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まとめ

「法律」「経済」「土地」の3要素は、国が成り立っていくためには欠かせないものです。
弁護士、公認会計士、不動産鑑定士の3士業は、それぞれの分野の専門家として国家を支える重責を担うからこそ「三大国家資格」と称されるのでしょう。
いずれの資格も、重責に相応する知識と能力を要することから、取得に至る難易度はハイレベルです。
しかし、公正な社会を保つために必要とされる資格であることには間違いありません。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

林 良樹

大学卒業後、カーディーラ・小売業を経験し、2008年からMS-Japanでリクルーティングアドバイザーとキャリアアドバイザーを兼務しております。

会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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