法律事務所の事務はつらいって本当?向いている人や辞めた方が良い事務所の特徴を解説!
「弁護士のサポート役」を担う法律事務所の事務は、法律事務所の仕組みや慣習を理解する必要があり、一般企業の事務とは異なる職種と言えるでしょう。
経験者は転職市場で評価されるため、産休・育休後の復職も比較的容易なことから人気が高い職種です。
そんな人気の法律事務所の事務には、どのような性格・スキルがある人が向いているのでしょうか?
この記事では、法律事務所の事務に向いている人の特徴や、法律事務所の事務がつらいと言われる理由をはじめ、良い法律事務所の見分け方も解説していきます。
国内の法律事務所は増加傾向
日本弁護士連合会の「弁護士白書 2022年版」によると、2022年5月31日時点における国内の法律事務所数は18,128事務所です。
2020年が17,417事務所、2021年は17,772事務所であることから、1年間で約350事務所ずつ増えていると言えるでしょう。
2020年 3月31日時点 |
2021年 3月31日時点 |
2022年 5月31日時点 |
|
---|---|---|---|
1人事務所 | 10,525 | 10,841 | 11,169 |
2人事務所 | 3,124 | 3,149 | 3,178 |
3~5人事務所 | 2,639 | 2,655 | 2,630 |
6~10人事務所 | 776 | 764 | 777 |
11~20人事務所 | 244 | 246 | 248 |
21~30人事務所 | 56 | 57 | 62 |
31~50人事務所 | 33 | 39 | 38 |
51~100人事務所 | 9 | 10 | 15 |
101人以上事務所 | 11 | 11 | 11 |
合計 | 17,417 | 17,772 | 18,128 |
その内、弁護士資格有資格者が1人である「1人事務所」が6割と、最も高い割合を占めています。
数ある法律事務所の中で、自分にとって働きやすい「良い法律事務所」を見つけることは容易ではありません。
法律事務所の事務に向いている人と向いていない人の特徴
法律事務所の事務に向いている人の特徴は下記の通りです。
•パソコンスキルがある人
•人をサポートすることが好きな人
•コミュニケーション能力が高い人
•向上心がある人
•守秘義務を守れる人
一般企業の事務と同様に、法律事務所の事務もパソコンを使う仕事がほとんどです。中級レベルのワード・エクセルスキルやスケジュール管理ソフトなどの使用経験も評価されるでしょう。
また、法律事務所の事務は、スケジュール管理やメール・電話・来客対応など弁護士のサポート役を担うため、人のサポートが好きな人が向いていると言えるでしょう。業務の中で、弁護士や依頼人とのやりとりが発生するためコミュニケーション能力も必要不可欠です。
この他にも、専門用語や法改正などを積極的に調べる向上心のある人や、依頼人や案件の情報を漏らさない守秘義務を守れる人は、法律事務所の事務に向いていると言えるでしょう。
反対に、コミュニケーションが苦手な人や、サポートよりも前に立って物事を推し進めたい人は、法律事務所の事務に向いていないでしょう。
また、基本的に事務員は弁護士の指示を受けますが、多忙により弁護士が指示をできないこともあるため、指示待ちタイプな人も向いていないと言えます。
「法律事務所の事務はつらい」と言われる理由
まず、「法律事務所の事務はつらい」と言われる理由について、ひとつずつ確認していきましょう。
ミスが許されないので緊張感がある
法律事務所の事務業務でミスが発生すると、依頼人の不利益につながってしまうこともあるかもしれません。法律事務所の過失によって、依頼人が損害を被った場合は、「弁護過誤」で損害賠償や慰謝料請求されるリスクもあります。
もちろん、最終的には弁護士が確認し、弁護士の責任の下で弁護行為を行いますが、弁護士も人であるため、絶対に見落としや間違いがないとは言い切れないでしょう。
法律事務所では、法律的トラブルを抱えて相談に来ている依頼人に対して、更なる損害を与えないよう、細心の注意を払う必要があります。
こういった、ミスが許されない状況に身を置くことによるストレスから、法律事務所の事務は精神的につらいと感じてしまう可能性があります。
人間関係が狭い
前章でも解説した通り、国内の法律事務所は弁護士が1人体制の「1人事務所」が約6割を占めています。法律事務所は弁護士が少数で運営しているケースが往々にしてあり、弁護士1人当たりに事務員が1,2人程度という事務所が多いため、どうしても小さい組織になりがちです。
この規模では、仮に弁護士と相性が合わなかった場合に、人事異動等で体制が変わることもないため、人間関係が悪い状況を体制によって改善することもできません。
この少数組織ならではの人間関係が、つらいと言われてしまう理由につながっているでしょう。
トラブルを抱えた依頼人の精神的ケアが必要
弁護士を頼る依頼人は、法律的なトラブルによって、精神的に追い詰められていることが多いです。担当弁護士が不在で待たせる際などは、事務員が依頼人に対して、気持ちを静める声がけをしたり、不満や不服に耳を傾けたりなどの一次ケアを対応する場面もあります。
反社会的勢力の対応をする可能性がある
法律事務所は、社会的トラブルを法律的に解決するという立場上、ヤミ金融業者や悪徳商法業者、暴力団などの反社会的勢力と、電話や直接の接触がありえます。また、感情的な状態になりやすい離婚や相続などの依頼で、当事者が事務所に乗り込んでくる危険性もゼロではありません。
これらの理由から、「法律事務所の事務はつらい」と言われることがあります。しかし、ミスが許されないのは一般企業の事務でも同等であり、狭い人間関係も相性が良ければ快適に過ごせるはずです。
法律事務所の事務は、必ずしもつらい訳ではなく、法律事務所の環境や本人の適性による部分が大きいと言えるでしょう。
しかし、一般企業におけるブラック企業と同様に、法律事務所にもブラック法律事務所と呼ばれるような待遇の事務所が存在します。
次章では、やめたほうがいいブラック法律事務所の特徴を解説するので、法律事務所の事務でつらい思いをしたくない方は、ぜひご覧ください。
やめたほうがいい法律事務所の特徴は?
やめたほうがいいブラック法律事務所には、どのような特徴があるのでしょうか。
給与水準が低い
法律事務所の事務は平均年収200万円~350万円で、一般企業の事務と同水準と言われています。パラリーガルのように、法律業務が発生する場合は300万円~450万円が平均です。
法律事務所の規模や地域によって年収水準が異なりますが、200万円~350万円よりも低い場合は、平均より低い年収と認識して良いでしょう。
残業代が支払われない
法律トラブルを解決する法律事務所であっても、残業代を支払わないサービス残業が横行している事務所もあります。
弁護士は基本的にハードワークであることが多く、残業への耐性が高いがために、事務職員の残業に対する感覚と違った部分が多い弁護士もいます。
多少の残業は当たり前だろうといった感覚の弁護士が運営する法律事務所には要注意です。
パワハラやいじめがある
法律事務所の転職理由として、弁護士や弁護士の配偶者からのパワハラや、事務員内でのいじめなども、まれに見受けられます。
従業員が少ない中で人間関係に問題があれば、逃げ場がなく、精神的苦痛を感じる人も多いでしょう。
これまで、法律事務所がつらいと言われる理由やブラック事務所の特徴を記載してきましたが、法律事務所で働くメリットはもちろんたくさんあります。
次章では、法律事務所で働くメリットについて解説します。
法律事務所の事務として働くメリット
法律事務所の事務として働くメリットとして、以下のようなものが挙げられます。
専門性の高いスキルが身に付く
法律事務所の事務は一般企業の事務と同様の作業もありますが、法律に関する専門業務を行うこともあります。
例えば、議事録の作成や裁判書類の作成補佐が挙げられます。議事録の作成においては、弁護士が行う法律相談に同席し、相談内容や打ち合わせ内容を後日参照できるように議事録にまとめます。
より専門的な業務だと、訴状や準備書面などの裁判所に提出する書類のドラフトを作成したり、判例や法律書などから業務に必要な情報を調査、収集することもあります。
業務を覚えるまでは大変かもしれませんが、一度覚えたその業務は専門性の高いスキルとなるため、他の法律事務所に行っても即戦力の事務員として活躍することが可能です。
社会貢献性が高い
弁護士は基本的人権を擁護し、社会的正義を実現することを使命とする職業ですので、社会貢献性が非常に高いです。
事務員として、間接的に依頼者の問題解決にかかわり、人生を良い方向に導くことができるという点は、法律事務所で働く明確なメリットと言えるでしょう。
良い法律事務所の見つけ方
次に、良い法律事務所の見つけ方として、注意すべき3つのポイントをご紹介します。
面接で弁護士の人柄・事務所の雰囲気を観察する
面接は、応募者が面接官に評価されるだけでなく、応募者が応募先の事務所を評価できる場でもあります。
可能であれば、オンラインではなく直接訪問による面接がおすすめです。画面越しではなく事務所を訪れることで、就業環境の確認や、入社後の同僚にあたる従業員と対面できる可能性があります。
規模によっては弁護士が面接を行うため、人柄や自身との相性などをよく観察しましょう。
具体的な仕事内容を確認する
法律事務所の事務は、事務所によって実際に従事する仕事が異なる場合があります。電話・来客対応やスケジュール管理などの秘書業務や、パラリーガルのように法律関連業務に携わる可能性もあるでしょう。
また、債券整理や交通事故、離婚など、事務所の取扱い案件によっても事務の仕事内容が異なります。
仕事内容が求人情報に細かく記載されていない場合は、事務所が特化している案件を把握し、その中で募集ポジションが担当する仕事内容を具体的に質問しましょう。
多角的に情報を収集する
転職活動で応募先事務所について情報を集める際は、求人情報や事務所のホームページ、弁護士のブログだけでは不十分である可能性があります。
転職口コミサイトや弁護士懲戒処分検索センターで、応募先事務所と所属弁護士を検索したり、同業者の知り合いがいれば評判を聞いたりしても良いでしょう。
また、弁護士業界に詳しい転職エージェントの利用もおすすめです。転職エージェントでは、募集している法律事務所側にもヒアリングを行っているので、事務所の内情をよく把握しています。
気になる法律事務所の求人を取り扱っている転職エージェントであれば、内情を教えてもらえるだけでなく、転職の希望条件を伝えて最適な求人の紹介を受けることも可能です。
法律事務所の事務求人例
最後に、弊社MS-Japanが提供する士業・管理部門特化型転職エージェント「MS Agent」で取り扱う法律事務所の事務求人をご紹介します。
ご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。この他の非公開求人は無料会員登録することで閲覧いただけます。
未経験歓迎◎有名法律事務所で事務職員・パラリーガル募集
仕事内容 |
<法的業務> 弁護士のサポート、裁判所・法務局との連絡調整、資料申請・取得 など <企画業務> システム・スケジュール管理、来客・会議・備品・事務機器管理、弁護士採用活動補助 など <経理業務> 受任事件等の経理サポート、事務所運営にかかる各種経理処理 ※スキルやご経験に応じて担当いただく業務を調整します。 ※パラリーガルは法的知識・思考力を要する比較的高度な文書作成業務、法令等調査業務、倒産法関係業務などについても担当していただきます。 |
必要な経験・能力 |
4年制大学(学部不問)を卒業された方(法学部出身尚可) ※法律事務所でのパラリーガル、事務職員経験のある方は優遇しますが、未経験の方も応募可能です。 |
想定年収 |
350万円 ~ 400万円 |
働きやすい法律事務所からスタッフ募集
仕事内容 |
・データ入力(法律文書の作成/フォーマット有) ・電話応対(新規受付や保険会社・依頼者対応など) ・他、事務所の運営に関わる採用・教育・イベントの企画等 |
必要な経験・能力 |
・事務職経験を1年以上お持ちの方 ・基本的なPC操作が出来る方 ※法律の専門的な知識は不問 |
想定年収 |
290万円 ~ 337万円 |
M&A支援や顧問業務を扱う法律事務所にて事務員・パラリーガル募集
仕事内容 |
・各種書面の作成補助・チェック・提出 ・弁護士のサポート ・裁判所や法務局との連絡調整 ・資料申請や取得 ・郵送書類の管理 ・電話応対等 |
必要な経験・能力 |
<必須>※法律業界での経験は問いません ・基本的なPCスキル(ワード、エクセル、メール)をお持ちの方 ・事業会社または法律事務所での実務経験を2年以上お持ちの方 <歓迎> ・不動産関係/損保会社/商社での実務経験 ・司法書士補助者/司法書士資格保持者 ・法律事務所経験者(目録・書証作成などの経験者) など |
想定年収 |
300万円 ~ 500万円 |
まとめ
法律事務所の事務は、トラブルを抱えた依頼人や反社会的勢力の対応など、一般の事務と比較すると特徴的な業務があります。しかし、弁護士のサポートを通して依頼人の問題解決をすることで大きなやりがいを得ることができるでしょう。
また、法律の専門知識を得られるチャンスがあり、他の法律事務所でも活躍できるため、将来のキャリアで転職がしやすくなるというメリットもあります。
「法律事務所の事務求人例」でもご紹介した通り、未経験歓迎の求人も多いので、法学部を出ていなくても、臆することなく、チャレンジしましょう。
弊社「MS Agent」では、法律事務所の事務の求人のご紹介だけでなく、転職支援経験豊富なキャリアアドバイザーによる無料カウンセリングや、応募書類の添削・面接対策なども行っております。
法律事務所の事務への転職活動でお悩みの方は、ぜひご相談ください。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、大手サービス会社にて法人営業を経験、その後人材紹介会社にてキャリアアドバイザー経験を経て、MS-Japanへ入社。
主に会計事務所、弁護士事務所の担当を持ちながら士業領域での転職を検討している方のカウンセリングから案件紹介を担当。
会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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