経理を辞めたい!転職前の注意点は?現役担当者が語る「辞めなかった理由」など

現在、経理部門で働いていて「経理を辞めたい」とお考えの方もいるのではないでしょうか。
もちろん、他業種へ転職して悩みが改善する可能性もありますが、場合によっては転職後も同じ悩みを抱えてしまうケースもあるでしょう。
そういったリスクを回避するために、まずは「経理を辞めたい」と考える理由を掘り下げて、自分自身をしっかりと見つめ直すことが大切です。
本記事では、「経理を辞めたい」と考える理由TOP10をご紹介します。また、辞めたいと考えつつ、結果的には辞めなかった経理担当者に対してインタビューも行いました。
転職前に考えておくべき注意点もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
「経理を辞めたい理由」トップ10
まずは、経理からキャリアチェンジしたい・経理を辞めたいと考えている人の主な理由をご紹介します。
1.同僚や先輩社員との関係性
経理部門では、直属の上司以上に、同僚や先輩社員との関係性が重視される場合があります。
一般的に、経理業務の担当範囲は実務経験年数に応じて決まるため、一部の長いキャリアを持つ人材に重要な仕事を任せている企業が往々にしてあるからです。
いわゆる「お局」と呼ばれる社歴の長い人材が実権を握っているケースも多いでしょう。「お局」社員との人間関係に悩み、風通しの悪さから退職を検討するケースも多数見られます。
2.上司やマネージャーとの関係性
ベンチャー企業や中小企業は、社長や上司の権限が強くなり、トップダウンの社風が強い傾向です。
また、上司やマネージャーの無責任さに腹が立って辞めたという声も聞かれます。
お互いに見ている状況が違うだけ、ということもあるのですが、やはり悩んでいる当人にとっては退職を考えるきっかけになるでしょう。
3.決算を任せてもらえない
大手企業では、経理部門の中でも業務内容ごとにチームが分かれており、担当以外の業務に携わることはできません。他の人がどんな仕事をしているのか分からないという状況も多いでしょう。
また、規模の小さい企業では、顧問先の会計事務所に決算業務を依頼しているケースもあります。
そのため、なかなか難易度の高い仕事にチャレンジさせてもらえず、焦燥感を覚える経理担当者は少なくありません。
そこで、より大きなチャンスを狙って退職を検討する話は、転職市場でよく聞かれます。
4.現在の職場で、自分がやりたい仕事がない
仕事に慣れてくると、向上心のある人は「より難易度の高い仕事に挑戦したい」と考えます。
しかし、現在の企業では挑戦したい仕事自体が存在しないというケースもあるでしょう。
例えば、非上場企業での経理には、上場企業基準の決算や開示業務、連結決算業務がありません。
また、財務会計だけではなく管理会計にも携われる企業を目指して転職を検討する方も多く見受けられます。
5.給与が少ない
管理部門である経理は、営業部門のように実績を数値で評価することが難しい傾向です。
そのため、実績に応じた「歩合給」ではなく、年次で上がる「固定給」を採用している企業が多く見受けられます。
企業によって昇給フローは異なりますが、努力に見合った昇給を実感できず、「給与が少ない・昇給しない」と不満を抱く方も多いようです。
6.繁忙期の残業がつらい
経理は月末月初や四半期決算、年次決算などの時期に業務が集中する傾向があります。
経理の業務は期日が決まっているものが多いため、繁忙期の残業は避けられないと言えるでしょう。
企業の状況によっては人員削減の結果、1人に負担が集中して休日出勤が発生するなど、プライベートの時間も削られるケースもあります。
そのため、繁忙期の残業を辞めたい理由として挙げる人も少なくありません。
7.ルーティン業務にやりがいを感じない
経理業務は、データ入力や伝票処理などの日次業務から、年末調整や決算などの年次業務まで、決まった作業を繰り返すルーティン業務が中心です。
変化や刺激を求める人にとっては、単調な作業が続く日々にやりがいを見失いやすいかもしれません。
8.他部署の従業員との関係性
経理は、業務上他部門との連携が多く発生します。各部門からの問い合わせ対応や書類の提出を促したり、コスト削減や改善提案を行ったりと、摩擦が生じることも多いでしょう。
他部門とのやり取りに孤立感やストレスを感じ、退職を検討する経理担当者も少なくありません。
9.会計・簿記への興味関心がない
経理は幅広い会計知識を要する業務です。また、会社法や税法は度々改定されるため、常に学習し、新しい情報をインプットし続ける姿勢が求められます。
そのため、お金の流れや簿記にまったく興味がない場合は、学び続けることが負担になるでしょう。
10.デスクワークがつらい
経理は、1日中パソコンと向き合うデスクワーク中心の職種です。外出の機会も少なく、椅子に座っている時間が長いため、身体の負担や閉塞感を感じやすいでしょう。
動きのある仕事を求めて転職を考える人もいます。
経理に向いてない人の特徴とは
直接的な理由がある場合を除くと、そもそも「経理に向いていない」と思い当たるところがあって、キャリアチェンジを検討する人もいます。
以下に、主な特徴をご紹介します。
数字を扱う適性がない
経理は、数字と向き合う業務が大半を占めています。月次や年次決算など、日々何らかの形で数字を扱っていると言えるでしょう。
数字を扱うことそのものにストレスを感じたり、1円単位の誤差を敏感に気づく感性がない場合は、「経理に向いていない」と感じるケースが多いようです。
コミュニケーションが苦手
「「経理を辞めたい理由」トップ10」でも解説した通り、経理は業務の過程で他部署とのコミュニケーションが欠かせません。
人前で黙々と作業するイメージで経理に転職した場合、ギャップを感じてしまうでしょう。
スケジュール管理が苦手
経理が扱うデータは期日のあるものが多いため、スケジュールの調整や確認が必須です。
チーム全体や他部署のスケジュールを把握しながら仕事をすることがつらいと感じる人にとっては、ネックになるでしょう。
新しいことに積極的でない
経理はルーティン業務が多い一方で、関連法令の改定やITツールの導入などによって、業務フローが変わることも珍しくありません。
社会情勢の変化によって経理の常識も年々変わっていくため、柔軟に対応する姿勢が求められます。
従来の方法に固執し、新しいことを習得する意欲が乏しい場合は、苦痛を感じる場面もあるでしょう。
現役経理担当者が語る「経理を辞めなかった理由」
ここでは、弊社MS-Japanに在籍する2名の現役経理担当者に行ったインタビューをもとに、「経理を辞めなかった理由」をご紹介します。
Kさんへのインタビュー
入社当初は、任せてもらえる仕事が少ないことに悩んでいました。
しかし、私の知識不足に原因があると考え、知識習得はもちろん、作業をこなすのではなく「なぜこの作業が必要か」を考えながら取り組み、どんな業務でも自分にできることが無いかを常に確認するようにしました。
すると、私の工夫に対して部長が細かいところまで気づいてくれていて、徐々に信用獲得につながり、任せてもらえる業務も増えました。
早く戦力として数えられる存在になりたいという思いで頑張ることができました。
Nさんへのインタビュー
引き継ぎが断片的だったため、「この業務はどのタイミングでやるか」や「誰に確認すればいいか」などが分からず、最初は大変でした。
企業によっては独特の社内用語や経理システムがあり、戸惑うことも多かったです。
しかし、コツコツと学習を続けて業務をこなしていくうちに、1か月の流れや1年の流れが見えてきて、辛さもだいぶ減りました。
また、他部署からの質問に対して自分の経験と知識を活かし、的確な回答ができたときには、役に立てたと感じられてやりがいを持てました。
経理を辞める前に実践すべき3つの取り組み
「経理を辞めたい」と考え始めた時、すぐに退職に向けて動くのはおすすめできません。
まずは以下の3つの取り組みを試してみましょう。
社内コミュニケーションに気を配る
経理業務の円滑化は、社内のコミュニケーションに大きく左右されます。
近年はチャットツールやWEB会議ツールの普及でオンライン上のやり取りが増えていますが、必要に応じて直接会って話すことも重要です。
また、書類のミスや提出遅れを指摘するだけでなく、日頃から感謝の言葉を伝えることで相互の信頼関係が深まるでしょう。
こうした取り組みによって、業務効率やストレス軽減にもつながると考えられます。
一通りの知識を身につける
経理を続けるには、基礎的な会計知識や最新の税法を理解しておくことが不可欠です。
経理に就いて1年目は初めてのことばかりで難しさを感じるかもしれませんが、年次決算を経験する2年目以降は業務の全体像が見えやすくなります。
知識が備わると業務効率が上がり、問題解決もスムーズになるため、苦手分野を補強したり日商簿記などの資格取得を目指したりして、キャリアの安定を図ることをおすすめします。
業務フローの見直し
経理業務にはルーティン作業が多いため、工夫によって効率化できる部分も少なくありません。
会計ソフトや自動化ツールを積極的に活用し、手作業の部分を減らすことで、ミスや負担を軽減できます。
また、チームで話し合って無駄な手順を省くなど、業務フローを見直す取り組みも大切です。
転職前に考えておくべき注意点
これまでの理由や特徴を踏まえたうえで、それでも転職を希望する場合は、以下4点を確認してから検討しましょう。
1.経理経験者として評価されるスキルを身につけているか
転職では、前職で培った知識や経験が重視されることが多いため、経理経験者として評価されるスキルがあるかを考えてみましょう。
一般的に「3年以上の実務経験」が評価されやすいと言われていますが、ただ年数を積むだけでなく「これなら任せてください」と言える分野を確立すると大きなアピールポイントになります。
一方、実務経験が浅かったり、得意分野が思いつかない場合は、現在より好条件の転職は難しいかもしれません。そのため、転職への準備期間と割り切って在籍し続けるという選択肢もあります。
現職での経験を積みつつ、資格取得を目指すなど、転職活動を有利に進めるための武器を揃えておくことも有効です。
2.経理業務と職場環境のどちらに悩みを抱えているのか
「経理を辞めたい」と考えていても、本質的には職場環境の問題が原因で経理業務に嫌気がさしているケースもあります。
例えば「経理以外の雑務が多く、本来の業務に集中できない」「苦手な同僚と合わない」といった問題なら、社内異動や他社の経理への転職で解決できる可能性が高いでしょう。
職場環境を変えれば問題が解消するかもしれないので、まずは原因を見極めることが大切です。
3.転職活動・退職の時期として最適か
経理には、確定申告や決算期などの繁忙期があります。この時期は企業側も採用に手が回らず、求人が少ない場合があります。
また、退職者側も繁忙期に退職すると、引き継ぎが十分にできずトラブルになるリスクが高いでしょう。
求人数や採用の活発さを見極めつつ、繁忙期を避けることで、より良い条件で転職できる可能性が高まります。
4.迷ったら転職エージェントへの相談がおすすめ
転職エージェントは、転職希望者と企業をつなぐサービスで、無料の会員登録をすることで専任のキャリアアドバイザーから実践的なアドバイスが受けられます。
求人の紹介や企業の内部情報の提供、書類添削や面接対策なども無料でサポートしてくれるため、忙しい現職中でも効率的に転職活動を進めることが可能です。
経理経験者におすすめの転職先
ここでは、経理経験者が活かせる転職先をいくつかご紹介します。
ご自身の悩みや興味関心に合わせて、キャリアの選択肢を検討してみましょう。
他社の経理
「現職ではキャリアアップが難しい」と感じる場合は、他社の経理に転職することでスキルを活かしつつ新しい環境にチャレンジできます。
なぜ現職ではキャリアアップできないのかを明確にし、その問題を解決できる企業を選ぶことが重要です。
担当業務や社風、年収や福利厚生などをじっくり比較検討して応募企業を決めましょう。
面接では、どうして再び経理に挑戦するのかを問われる可能性が高いので、説得力ある説明を準備しておくと安心です。
財務・管理会計
経理の経験をベースに、財務や管理会計へ転職するケースもあります。
ベンチャーや中小企業では経理と財務が兼任のところも多いですが、大企業では別の部署として独立している場合があるため、求人情報をチェックする際は業務範囲をよく確認しましょう。
経営企画
企業の経営戦略を立案し、データ収集や分析を行う「経営企画」も、経理経験を活かせる人気の転職先です。
経理の知識に加え、財務や会計、分析力やコミュニケーション力が求められるため、現職のうちに学んでおくことで転職成功の可能性が高まります。
会計事務所
経理は自社の資金を管理・記録する仕事ですが、会計事務所はクライアント企業の経理を代行します。
多様な業界・規模の企業を担当できるため、幅広いスキルが身につくでしょう。
また、税理士を目指す人にとっては、勉強と実務を同時に進めやすい環境が整っている事務所もあります。
経理を辞め、他職種に転職した事例
最後に、「MS Agent」を利用して経理以外の職種に転職した事例を2つご紹介します。
非上場企業の経理からプライム上場企業の経営企画に転職した30代女性の事例
Mさん(30代・女性)
転職前:非上場メーカー 経理
転職後:東証プライム上場企業 経営企画
メーカー企業で経理を担当しながら、社長直下のプロジェクトにも携わっていたMさんは、30代に入り「もっと成長できる環境で働きたい」と転職を決意。
これまでのプロジェクト経験が評価され、東証プライム上場企業の経営企画部から内定を獲得しました。
幅広い経理業務を経験し、企業経営に必要な数値の理解や分析力が備わっていた点も、高く評価されたようです。
一般企業の経理から税理士法人へのキャリアチェンジを果たした50代女性の事例
Tさん(50代・女性)
転職前:一般事業会社 経理
転職後:中堅税理士法人
顧問税理士とのやり取りを通じて「企業を外部から支援したい」と考えるようになったTさんは、税理士法人への転職を希望。
クライアントと密接に連携を取れる環境を求め、弊社キャリアアドバイザーと面接対策を重ねた結果、中堅税理士法人への入社を果たしました。
「なぜこの法人を選んだのか」という質問に対して明確に答えられたことが評価につながったと言えます。
経理を辞めずに、他社の経理に転職した事例
次に、「MS Agent」を利用して他社の経理に転職した例をご紹介します。
スキルアップを目指して上場企業の経理に転職した30代女性の事例
Aさん(30代・女性)
転職前:上場子会社 経理
転職後:老舗上場企業 経理
上場子会社で10年間、月次・年次決算や連結パッケージ作成などを担当していたAさんは、さらなるスキルアップを求めて上場企業の経理へ転職。
過去の業務改善実績を具体的にアピールし、即戦力として評価されて老舗上場企業から内定を得ました。
自己分析を徹底し、経歴の棚卸しを行った結果、年収アップにつながる好条件での転職に成功しています。
ワークライフバランスが取れる上場企業の経理へ転職した30代男性の事例
Iさん(32歳・男性)
転職前:上場子会社 経理
転職後:東証スタンダード上場メーカー 経理
地方拠点の経理部門で5年半勤務していたIさんは、担当業務が限定的だったためキャリアに限界を感じていました。
さらに、子育てもしやすい環境を求めていたIさんに対し、弊社はリモートワークが可能で残業も少ない老舗上場メーカーの求人を提案。
見事内定を獲得しました。希望条件の優先順位を明確にし、長期的なキャリアプランを描いたことが成功の要因です。
MS Agentには各業界に精通したキャリアアドバイザーが在籍しており、経理の他社転職だけでなく、経理以外の職種へのキャリアチェンジについてもアドバイスを行っています。
お気軽にご相談ください。
まとめ
「経理を辞めたい」と思ったとき、実際に退職するか、環境を変えて経理を続けるかは人それぞれです。
焦って結論を出すのではなく、まずは現状を見つめ直し、自分にとって何が必要なのかを考えることが重要でしょう。
社内での環境改善やスキルアップが、今の職場で新たなやりがいや成長を得るきっかけになるかもしれません。
どうするべきか迷ったときは、弊社MS-Japanの「MS Agent」にぜひご相談ください。
「良いところがあれば転職したい」「まだ悩んでいるけど話だけ聞いてみたい」といった段階の方も歓迎しています。どうぞお気軽にお問い合わせください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、食品メーカー営業を経て2005年MS-Japan入社。企業側営業担当を1年半経験し、以降はカウンセラー業務を担当。若手中堅スタッフの方から、40~50代のマネージャー・シニア層の方まで、年齢層問わず年間500名以上をカウンセリングさせていただいています。
企業管理部門全般~会計事務所など士業界、会計士・税理士・弁護士資格者まで弊社の特化領域全般を担当しています。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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