金融機関の経理は一般企業とどう違う?業務内容の違いや転職時に求められるスキルを解説!

金融機関の経理でキャリアを積んでいきたいと考えている方の中には、一般企業と金融機関の経理業務の違いや、金融機関の経理に転職する上で求められるスキル、転職するメリットなどあまりよく知らない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、金融機関の経理と一般企業の経理の違いや、転職時に求められるスキル等について解説していきます。
金融機関の経理の仕事内容について
金融機関に関わらず、経理は企業の要ともいえる「お金」に携わる仕事です。
資金の流れを把握し、月単位・年単位でそれらを管理していくことはもちろん、日々の出入金の管理や帳簿付け、伝票整理なども行います。
国税庁や税務署の対応を任されることも多く、幅広い知識が要求されることはもちろん自ら意欲的に学ぶ姿勢も大切です。
経理というとどの業界であっても大差がないようなイメージを抱くかもしれませんが、中でも金融機関の経理は業界特有の専門知識や高度な事務能力が求められる傾向があります。
一般企業との違いを見てみましょう。
一般企業
一般企業の経理は日常の売上、仕入れ、経費の計上や支払いの処理、決算業務、資金管理、税務申告、固定資産管理などが主な業務です。
これらの業務内容はほとんどすべての企業で共通しており、金融機関においても「主計部」と呼ばれる部門が上記の業務を担当しています。
金融機関
金融機関はその名の通りお金を扱っており、取り扱う金額も膨大なため、経済に与える影響は非常に大きいです。
そのため、一般企業よりも多くの情報開示が求められており、「開示資料」の多さが金融機関の経理の特徴といえるでしょう。
金融機関特有の開示書類としては、主に以下の書類が挙げられます。
リスク管理に関する開示
- ・信用リスクに関する報告書
- ・市場リスクに関する報告書
- ・流動性リスクに関する報告書
- ・オペレーショナルリスクに関する報告書
規制資本に関する報告
- ・バーゼルIIIに基づく資本比率報告
- ・自己資本の充実度に関する報告書
- ・レバレッジ比率報告
その他の規制に基づく報告
- ・金融商品取引法に基づくディスクロージャー
- ・各国の金融監督当局への報告書
これらの開示書類の作成には金融商品取引法や銀行法、証券取引法などの知識が求められるため、一般企業と比べて広範かつ高度な知識が必要になります。
金融機関の経理で求められるスキル・知識
上述の通り、金融機関の経理には特有の知識やスキルが求められます。
主に以下のスキル・知識は金融機関で働くうえで必須なため、金融機関への転職を考えているのであれば、事前に勉強しておくといいでしょう。
金融商品の理解
デリバティブ、債券、株式などの金融商品の取引の仕組みを理解し、リスクを管理する能力。
リスク管理スキル
信用リスク、マーケットリスク、流動性リスクなど、多岐にわたるリスクの識別と管理能力。
規制報告の作成スキル
金融当局への詳細な報告書を正確に作成し、タイムリーに提出する能力。
また、お金の専門家が集まる金融機関では、他部門と十分に連携するためのコミュニケーションスキルが高いかどうかも重視されます。
現場でどのような取引が行われ、そこからどういった問題が会計上生じてきそうなのか、現場の声を聞いてアドバイスをしたり、実務に落とし込んだりする力が求められています。
金融機関の経理に転職する際に有利な資格
次のような資格を持っていると、転職時に有利になる可能性があります。
- ●日商簿記(2級以上)
- ●税理士科目
- ●米国公認会計士(USCPA)
- ●TOEIC
日商簿記(2級以上)
経理の業務能力の証明をするうえで、王道の資格ともいわれるのが日商簿記です。
就職や転職において、日商簿記が評価されるのは2級以上とされており、簿記2級では商業簿記に加えて工業簿記も扱います。
また、標準的な会計知識や財務諸表を読み解く力もつきますので、取得する場合は2級以上を目標としましょう。
税理士科目
税理士といえば、難関といわれる国家資格の一つですが、経理職において大きなアピール材料となることはいうまでもありません。
税理士資格は科目性で、税理士を名乗るためには全科目に合格する必要がありますが、経理職の転職においては数科目でも合格していればアピールに繋げられます。
税理士科目の中でも特に転職市場価値が高い科目を知りたい方は、税理士科目合格は1科目でも転職市場価値が高い!特に評価されやすい科目は?をご確認ください。
米国公認会計士(USCPA)
米国公認会計士はその名の通り、アメリカにおける公認会計士の資格であり、一般的に日本の公認会計士よりも難易度は低いといわれています。
取得することで一定の語学力があるのを証明できることに加え、国際会計基準等に理解があることを示せます。
特に金融機関の場合はIFRSやUS-GAAPといった国際会計基準を適用している場合も多いため、米国公認会計士は評価されやすいです。
TOEIC
TOEICは英語力の証明として日本では広く用いられている資格です。
とはいえ、実際に使える英語力を有していなければ実務上意味がないため、できるだけTOEIC800点以上を目指すようにしましょう。
金融機関の経理に転職するメリット
専門知識を高められる
金融機関の経理に転職するメリットとして、新たな環境でキャリアアップを図ることができるのに加え、より専門性の高い知識を身に着けられる点が第一に挙げられます。
金融商品取引法や銀行法、証券取引法といった業界特有の知識を持った経理人材は少ないため、人材としての市場価値を高めることができます。
高収入が期待できる
金融は他業界と比べて給与水準が高い業界です。
2024年7月時点でMS-Japanの転職エージェントサービス「MS Agent」の求人を集計してみると、金融業界の年収の中央値が809万円、金融以外のすべての業界の年収の中央値が643万円となっており、いかに金融業界の年収水準が高いかが分かります。
また、大手の金融機関などではしっかりと昇給・昇格の給与テーブルが決まっていることがほとんどですので、勤続による年収アップも期待できます。
経理未経験者でも金融経理に転職できるの?
経理に限らず、未経験の職種へ転職するのは難しいとされますが、特に経理の場合にはその傾向が顕著に表れます。
そのため、完全に経理未経験である場合には、最初から金融業界の経理だけに絞って転職活動をするのではなく、他業界も含めて幅広く検討し、まずは経理の実務経験を積みましょう。
尚、経理ではないものの、銀行や証券会社など金融機関での業務経験がある場合には未経験でも一定の評価をされやすくなります。
まとめ
今回は金融機関の経理の仕事内容や求められるスキルについてお伝えしました。
先にも述べたように、特に金融機関の経理は非常に専門性が高いことから、前職の経験はもちろん+αのスキルも判断材料となります。
金融機関は専門性が身に付き、年収アップが見込める、経理人材にとって魅力的な環境です。
金融機関の経理に転職したい方は、MS-Japanの転職エージェントサービス「MS Agent」をご活用ください。
MS Agentは経理をはじめとする管理部門や士業に特化した転職エージェントであり、30年以上の歴史と転職支援実績があります。
金融機関の経理求人も取り扱っており、完全無料で経理の転職に精通したキャリアアドバイザーが転職をサポートいたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。
会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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