社会保険労務士(社労士)資格を保有する人材の活躍の場とは?

更新日:2022/01/28
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社会保険労務士(社労士)資格を保有する人材の活躍の場とは?

管理部門・士業の転職

国家資格の一つとして知られている社会保険労務士(社労士)試験は、2021年度の試験で合格率が7.9%という難関試験です。
独立開業以外にも働き口はあり、主に社労士事務所でスタッフとして勤務する場合が多く、一部勤務社労士として働いている場合もあります。

未経験者が人事・労務の分野に転職するための武器として資格取得をすることが多く、社労士資格はバックオフィス系の資格としては人気が高いものの一つと言えます。
この記事では、そんな社労士資格の概要と、資格がどのような形で業務に活かされるのかについて触れつつ、社労士資格を持つ方々のキャリアについて解説します。

社会保険労務士(社労士)とは

社会保険労務士とは、社会保険労務士法にもとづいた国家資格です。
法律の目的とするところは、労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施・事業の健全な発達・労働者等の福祉の向上であり、社労士はそれを実現するための存在であると言えます。

企業が成長するにあたって、ヒト・モノ・カネの流れが円滑であることは重要です。
カネ・モノの調達は経営者の裁量に任される部分が大きいものの、ヒトとの出会いは一期一会で、それぞれ異なるパーソナリティを持っています。

経営方針によっては、企業とスタッフとの間で衝突が起きることもあるでしょう。
そのような場面で人間関係を調整する際には、法律や制度を熟知した上で、人間味のある対応ができるプロフェッショナルが求められます。

そこで登場するのが、難関資格をくぐり抜けた社労士です。
社労士は、労働法・社会保険の分野に精通したスペシャリストかつ人材に関する専門家としての役割を担う存在です。

【参考URL】
第53回(令和3年度)社会保険労務士試験合格者数等受験状況一覧

社労士とは

社労士とは一体何をする仕事なのか?自社で社労士に委託するメリットは?

社会保険労務士法

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社会保険労務士(社労士)としての業務


社会保険労務士には、有資格者だけが担当できる業務、いわゆる「独占業務」というものが存在します。
詳細は、社会保険労務士法の第27条に記載されています。

条文の中で「第2条第1項第1号~第2号にまで掲げる事務を業として行ってはならない」と記されていることから、独占業務はそれぞれ「1号業務」・「2号業務」と呼ばれ、内容も細かく分かれています。 また、社労士の独占業務ではない「3号業務」もあり、企業側が社労士に求める業務は多岐にわたります。

以下に、1号業務・2号業務・3号業務についてご紹介します。

1号業務

1号業務の内容は、主に以下のようにまとめられます。

①労働・社会保険に関する法令にもとづいて、申請書等を作成すること
②各種申請書等につき、その提出に関する手続きを代行すること
③労働・社会保険に関する法令にもとづいた、申請・届出・報告・審査請求等を代理すること
④ADR(裁判外紛争解決手続)代理業務
※④に関しては特定社労士のみ

1号業務についてまとめると、主に行政機関に提出する書類作成・当事者の代理人になることが主な業務となります。

大企業ではイメージしにくいかもしれませんが、中小以下クラスの企業では労務・総務専門の人材が少なく、各種手続きに手間取ってしまうところもあります。
そこで、社内の限られたリソースをより重要な業務に振り分けるため、提携している社労士事務所に必要な手続きをお願いする企業は珍しくありません。

また、労働・社会保険の分野は社員の生活に関わる部分のため、トラブルも起こりやすい傾向にあります。
企業の評判を下げる恐れがあるため、社員・元社員と話がこじれ裁判沙汰になることは、どの企業も避けたいと考えるでしょう。

紛争解決手続代理業務試験(特定社労士試験)に合格した社労士は、いわゆるADR(裁判外紛争解決手続)代理業務に従事する資格が得られます。
特定社労士として双方の言い分を聞きながら、最終的に円満な形での事態解決に向けて動けるため、シビアな労働問題の現場でも頼りにされる存在です。

2号業務

2号業務とは、労働・社会保険に関する法令にもとづく帳簿・書類を作成することです。
少しかみ砕くと、企業側で必要となる各種書類の作成を行うことが2号業務にあたり、具体的には就業規則・労働者名簿・出勤簿・賃金台帳といった書類が該当します。

こちらも、大企業であれば入社時点で帳簿・書類は揃っているはずですが、中小企業・新規設立企業の場合は作成に手が足りない状況も十分考えられます。
経験豊富な社労士に書類作成を依頼することで、将来的な法改正もにらんだ対応がスムーズに進みます。 社労士の独占業務は、あくまでも1号業務と2号業務です。
ただ、社労士が行う業務について説明する上で、3号業務を省くことはできません。

3号業務とは、労務管理・社会保険に関する企業等からの相談に応じたり、具体的な指導をしたりする業務のことです。
人材面でのアドバイス・コンサルティングと考えれば、分かりやすいかもしれません。

具体例をあげると、以下のようなケースでのアドバイスが該当します。

・企業のアルバイト給与が最低賃金を下回っている場合に、賃金の引き上げを行うよう指導
・スタートアップ企業が労務担当者を新しく採用した際の、労務管理・人事評価に関するアドバイス

よって、必ずしも社労士がしなければならない業務とは限りませんが、企業に対する説得力の面で考えれば、社労士が意見を述べるのは理にかなっていると言えるでしょう。

【参考URL】
社労士の独占業務である1号業務と2号業務とは?違反時の罰則と他士業との関係

社会保険労務士の独占業務とは?

社労士の独占業務とは?無償独占の意味と今後なくなるという噂の真偽

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社会保険労務士(社労士)としてのキャリア

社会保険労務士の資格を取得した場合、具体的に資格を活かせる職場として、主に3つの分野が考えられます。
以下に、それぞれのキャリアについてお伝えします。

社会保険労務士事務所

資格と直結する業務ができるのは、社会保険労務士事務所です。
有資格者でなければ採用されない職場ではないものの、任せられる業務が多くなる分だけ、優遇されやすいことは確かです。

社労士事務所で担当する業務は、先にお伝えした通り1号・2号・3号業務ですが、細かく分けると以下のようになります。

〇労働に関する保険の手続き

雇用保険・社会保険などの手続きや、労災事故発生時の手続きに必要な書類の作成を行います。
労務担当者が労災関連の書類を作成するケースが少ないこともあるため、社労士を頼る可能性は十分にあるでしょう。
ただし、事務所によっては積極的に対応していない場合もあります。

○給与計算

給与計算は専門性の高い分野で、給与計算だけをアウトソーシングしている企業もあるほどです。
社員ごとに異なる出勤日・労働時間をタイムカードから確認して、最終的に給与明細を発行するまでの流れを代行します。
こちらも、事務所によっては積極的に対応していない場合があります。

○就業規則の作成や修正

就業規則は、どの企業にとっても重要な書類のため、記載事項は法律に則った形でまとめなければなりません。
そこで、企業側が準備した資料をもとに、社労士事務所で問題のないよう就業規則を作成・修正します。

○書類の提出や郵送代行

区役所・市役所・ハローワークなど、官公庁に資料を提出・郵送する場合、思いのほか時間がかかります。
そこで、書類提出・郵送代行を社労士事務所にお願いすることで、企業内のスタッフの負担が少なくなります。

○人事や労務に関する相談対応

社労士事務所にとって、労働に関する企業のトラブルなどについて、解決策や予防策をアドバイスすることも重要な仕事の一つです。
独占業務ではないものの、第三者かつ専門家の視点からアドバイスを受けたいと考える経営者・人事担当者は多いのです。

企業の人事・労務部門

バックオフィス部門で社労士の資格が活かされるのは、人事・労務部門のポジションです。
資格取得によって、労務の専門性があることを証明できるため、キャリアアップ・収入増などのメリットが期待できます。
社内で信頼されるだけでなく、社外への信用にもつながりますから、取得そのものが新たなキャリアのスタートになるかもしれません。

具体的な業務内容としては、社労士事務所で担当している業務に加えて、社内で別途必要となる業務を任されます。
企業は社労士事務所に仕事を頼むわけですから、その点では社労士事務所とある程度似通った業務内容を担当するイメージになるでしょう。

独立開業

自分で社労士事務所を立ち上げ、独立開業できることも、社会保険労務士資格を取得することの醍醐味です。
独立した場合、自分の裁量で仕事ができる分だけ、会社員以上に大きな収益を得るチャンスがあります。

独立という選択肢を選ぶ最大のネックは、自ら仕事を取ってくる「営業力」が求められることです。
同じ士業の税理士と比較した場合、顧問単価が低くなる傾向にあることから、売上の面ではしっかり戦略を立てなければ路頭に迷う恐れもあります。

よって、いきなり独立という選択肢を選ぶのではなく、社労士事務所で働きながら独立資金を調達するのがベターでしょう。

キャリアアップの道は人それぞれ

社労士の資格を取得した後は、当人の意思次第で自由にライフスタイルを選べます。
最も大切なことは、自分に合ったキャリアを選ぶことであって、そのためにはあえて今まで想像もしなかったフィールドに転職するのも一手です。

バックオフィス・士業特化型転職エージェントのMS-Japanでは、以下のように多様なケースをお手伝いしてきました。

・実務未経験で資格を取得し、社会保険労務士事務所へ転職
・企業の人事職から社会保険労務士事務所へ転職
・社会保険労務士事務所から企業の人事へ転職
・独立開業していたが、企業の人事へ転職
・社会保険労務士事務所から社会保険労務士事務所へ転職 など

実務経験の有無・年数などによって、転職実現の可能性は変わりますが、資格があればキャリアの選択肢が広がります。
転職にあたって、まずはあらゆる選択肢を想像することが大切です。

【参考URL】
社労士事務所の事務スタッフの仕事内容とは?求められるスキルや経験を解説

人事部とは? 業務内容、4つの機能、年間スケジュール、総務との違い

人事(HR)のお仕事とは? 業務内容から必要なスキル、特徴や人事部の必要性まで詳しく解説

人事部とは?人事担当者の仕事と役割とは?

社労士の独立には何が必要?開業準備から営業方法まで!

社労士は独立開業するべき?迷ったときに考えるべき3つのポイント

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社会保険労務士(社労士)資格が活かせる職場・年収相場は?

厚生労働省の統計『令和元年賃金構造基本統計調査』によると、社会保険労務士の給与額は33.4万円、年間賞与は84.1万円となっています。
つまり、社労士の平均年収は484.9万円となっており、公認会計士・税理士や不動産鑑定士に比べると少ない傾向にあります。

ただ、これはあくまでも全体の平均値に過ぎず、年収は勤務先の年収水準や・実務経験年数によって大きく変化します。
希望する年収がある場合は、それを実現しやすいキャリアパスを検討するのが賢明です。

具体的には、大手企業の管理職候補を目指す・スタートアップ企業で人事部長クラスを狙うなど、常に現在のキャリアの先を考えて戦略を立てましょう。

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まとめ

社会保険労務士が担当する仕事は、どの企業にとっても不可欠なものである反面、社労士として・もしくは社労士の資格を活かしてキャリアアップしたいと考えた場合に、具体的なイメージが湧きにくいものです。

現状から最善のキャリアを探したい場合は、転職エージェントに相談して、自分と似たような事例を確認するのが近道です。

MS-Japanは、社会保険労務士などの士業や、企業の人事などの管理部門に特化した転職エージェントです。
試験合格後のキャリア構築にお悩みなら、社会保険労務士のキャリアに詳しいキャリアアドバイザーにぜひご相談ください。

この記事を監修した人

大学卒業後、現職へ入社。
入社後は、RA(リクルーティングアドバイザー)として100社以上を担当し、スタッフクラス~管理職クラスまで幅広い中途採用支援に従事。
社内では珍しい異動の機会をいただき、2021年4月からCA(キャリアアドバイザー)として、人事総務領域専任担当として転職支援に従事。
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